例外少女とギルガメッシュのFate/EXTRA 作:雨宮ラキ
決戦まであと2日。
燈月はアリーナに入ろうとしたが、慎二によって入られないように細工が施されていた。
慎二の口の緩さのお陰か、解除するための
どこにあるのか、最初こそ分からなかったが、学園の人に聞き込みをするとすぐに判明した。
「保健室前で立ち止まってなにかしていたよ。」
「自分の机をいじってたよ。もう学校生活は送らなくていいのにどうしたんだろうね。」
などと言う言葉から机の周り、保健室のドアを調べ、ちょっといじるとその魔法陣はすぐに消えた。
流石に慎二といえど、そこまで複雑なものをムーンセル内に施すのは難しかったのだろう。
ムーンセル内にハッキングするという時点ですごいとは思うが。
やっと、入れる。そう思いながら扉の前に行くと慎二が立っていた。
「チッ…思ったより早いな。あいつ、そこまで宝とれてないんじゃ…。」
「…宝?」
宝とはなんなのか、そう問いかける前に慎二はアリーナに入っていってしまったため聞けなかったが、向こうのサーヴァント…ライダーは海賊なのだ。宝を欲するのは当然なのだろう。
それにしても、アリーナに海賊が欲する宝などあっただろうか。
「慎二なら、出来ない事もないのかな。」
少し、疑問に思うことはあるが、今はそんなことを気にしている場合ではない。そう結論付けた燈月は慎二を追ってアリーナへと入っていった。
「……居ない。」
一通りアリーナを探し回ったのだが、慎二どころか、おたからのおの字も一切と言っていいほど見つからなかった。
先程の慎二の言葉から察すると、どうやら彼はアリーナに一人で向かわせたライダーに宝を持って来てもらっていたようだし、合流しすぐに撤退したのだろう。
「だろうな、気配が一切無い。あやつらはアサシンでは無いからな、もう居ないのだろう。」
「…最初っから居ないって知ってたんでしょう。ならいないと言ってくれればいいのに。」
教えてくれればこんなに体力使うこともなかったのに…などと文句を垂れながらエネミーを倒していく。
「フッ…居ない敵を探す為に駆け回っている姿は滑稽だったぞ?」
「……………。」
燈月はギルガメッシュのことを睨み、アリーナから出る。
「なんだ、まだ怒っているのか?」
部屋に戻った燈月はギルガメッシュに背を向けて椅子に座っている。
ギルガメッシュはいつの間に取り出したのかワインの入っている黄金の杯を飲みながら見ている。
「…怒ってない。」
「起こってるではないか。もっと素直になったほうが良いぞ?」
「人の気配がわからない自分に腹が立ってるだけだし…。」
「では何故我に背を向けている?」
「…別に意味はない。」
「ならば敬意を払え。我に背を向けるではない。」
「…やだ、鎧が眩しいから眠れないし。」
「…我の命令を断るなど貴様ぐらいのものだぞ?」
「…うるさい、寝たいから黙ってて。」
「……明日までには機嫌を直せ。そうでなくてはあやつらには勝てんぞ?」
「わかってる……おやすみ。」
それから少し経つと、燈月の寝息が聞こえてきた。
決勝まであと一日。
燈月は昨日の不機嫌など元からなかったかのようにアリーナを駆け回っていた。
なぜそんなにも機嫌がいいのか。それは少し前に遡る。
藤村先生にみかんを渡し、黄金のシャンデリアを貰ったことも嬉しいうちに入るのだが、それは三割にも満たない。
燈月がアリーナに行こうと扉近くに来たところ、慎二とライダーが言い合っているのが聞こえたのだ。
「シンジィ、最初に言ったはずだよねぇ?アタシを働かせるには何が必要かってさぁ。」
「なっ!まだ金がいるのかよ!この強浴女!」
「そうとも。アタシは雇われ海賊だからね。積まれた金が多いほどやる気が出るってもんさ!」
「………ちっ、わかったよ。ちょっと待ってろ。」
慎二は扉を触り、ハッキングをした。どうやらアリーナ内の財宝を増やしたようだ。これは彼が言っていたことだから間違いない。
「財宝!?」
燈月は財宝と聞き、目を輝かせる。
「わ!なんだよ、天宮、驚かすなよ!」
「財宝って、何?宝石?」
「財宝は財宝だよ、金になるものか、金だ。僕のサーヴァントはお金を払えばそれだけ強くなるからね!こうやってハッキングまでして財宝を出現させたのさ!」
「おおっ!私も取りに行ってもいい?」
「好きにすれば?財宝は第二層に出現させたからね。」
燈月はやった!と目を爛々に輝かせながら嬉しそうにその場で飛び跳ねてる。
「へぇ、随分と余裕じゃないか。そいつの目の前で財宝を全部とっちまおうって算段かい?いや、もうどうしようもないネジ曲りっぷりだ!小悪党にもほどがある!」
「小悪党って言うな!………じゃ、じゃあな天宮。」
燈月はその話を聞いてなかったのだろう、何を話してたんだろうと疑問に思いながら慎二を見送った。
慎二が居なくなったことを確認してからギルガメッシュが口を開く。
「…財宝という言葉を聞いた途端、元気になりおって…‥貴様もあのサーヴァントに似ているのではないか?」
「…失礼だよ、ギルガメッシュ。私はお金が欲しいんじゃなくてお宝が欲しいんだから!」
「………貴様の前で宝は見せないほうが良いかもしれんな。」
「私、落ちてるものしか取らないよ?…っと、早く行かなきゃ、先に取られるよ、急ごう!」
燈月は扉を勢い良く開き中に飛び込むように入る。それに続いてギルガメッシュも入っていく。
「…まぁ、ものによっては我の目に付くものもあるかもしれんしな、奪うのも悪くないだろう。」
…そして、現在、燈月は3つ目の財宝をとり、宝探しは終わった。残りの2つは残念ながら慎二の手に渡ってしまったが。
慎二は財宝が無くなったとわかって、撤退したようだ。
「何が入ってるかなぁ。」
「…ここでは確認するなよ?雑魚だと慢心し、背後を取られたら敵わん。」
「わかってるって!…じゃあ、帰ろっか。」
燈月は回復薬のついでに買っておいたリターンクリスタルを使って帰還した。
部屋に戻った燈月は財宝の中身を確認する。
「…わぁ!すごい、ルビーにマカライト!金とか、銀とか本当に財宝だよ!」
「ああ、なかなかに良い物だな。」
ギルガメッシュは一つのコインを手に取り、存分に眺めた後、指で弾き元の場所にもどす。
それを見て怒ったのか、燈月はギルガメッシュに触らせないように財宝を抱える。
「雑に扱ったらダメだよ、傷がついたりしたら大変だし。」
「それぐらいで価値は変わらん。溶かしてしまえば傷など分からんのだからな。」
「夢がないなぁ…。」
まぁ、確かに溶かして固めたらそれで綺麗になるけどさ……
など文句を言いながら燈月は財宝を1つにまとめ、棚の上に置く。
「さあて、本題に入るけど…明日の決勝戦に向けて整理しなきゃね。」
「そうだな。……その顔からすると何となくだが分かっているのだろう?」
「…そう、だねー…ただ、調べて行って見つかったのが男なんだよね。」
そう言いながら、燈月は暇な時間に調べて見つけた一つの本を取り出し、あるページを開いた。
「史実とは違うけどさ、スペインの無敵艦隊を打ち破って英雄になったのって言ったらフランシス・ドレイクぐらいだと思うんだよね。」
「…ほう?」
「ゴールデンハインド…だっけ?あれ、フランシス・ドレイクの私掠船なの。……まぁ、慎二が馬鹿で助かったって感じだね。図書館に置いといたら気付きづらいものを持ちだしてくれたんだから。」
そのページにはフランシス・ドレイクについて書かれていた。
「…これ、フランシス・ドレイクの他にもいろいろ書かれてるから基本的なことしか書かれてないんだよね、だから見落としたんじゃないかな。」
「……なるほど。まあ、相手の真名だけだが判明したのは向こうにとっても痛手だろう。
…さて、明日のために寝ておけ。途中で倒れたりしたら困るからな。」
「わかった。…じゃあ、おやすみ。」
燈月はいつの間に作成したのか、クッションを頭の下に置き眠りについた。
いやー、流石に話数が長くなってしまったのでダイジェスト風でお送りしてしまいました。
まぁ、しょうが無いですよね、相手がワカメですし。
…なんだか、どんどん燈月に変なキャラが追加されてるような…気がしなくも無いですけど…。気のせいですよね!
あはは…