例外少女とギルガメッシュのFate/EXTRA 作:雨宮ラキ
燈月は小さなあくびを漏らしながら一階の用具室前へとやってきた。
人間がどこに居るのかはあまり把握しきれない彼女だが、禍々しいモノなどを探知するのには長けている。
…と言っても、二階からでも音が隠しきれてなかったため何処にあるのかなどすぐに分かったが。
「あ、言峰。」
「ようこそ、決戦の地へ。身支度は全て整えたかね?扉は一つ、再びこの後者に戻るのも一組。覚悟を決めたのなら
元々用意されていた定型文なのだろう。淡々と話す言峰はやはりAIなのだという事を再認識させられる。
燈月はがさりとバックの中身を調べて必要なものが全て揃っていることを確認する。
「…そうだね。問題ないですよ。」
「そうか、では若き闘志よ。決戦の扉は今開かれた。ささやかながら幸運を祈ろう。
再びこの校舎に戻れることを。そして………存分に殺し合い給え。」
そういうと言峰は扉から離れる。
扉には鎖が巡らされていて、トリガーを使わなければ入れないような仕組みになっている。
燈月は鍵穴にトリガーを2つ差し込む。
―――ゴゴゴッ…―!
扉が震え、本来の姿を取り戻す。一言で、分かりやすく言うならばエレベーターだ。いや、エレベーターそのものだ。
だが、エレベーターは何も押してないのに勝手に開かれた。
燈月に―乗るがいい。と言うかのように。
その言葉に急かされた訳ではないが燈月は中に入る。
中に入ると、慎二とライダーが立っていた。
「なんだ、逃げずにちゃんと来たんだ。」
燈月と慎二が、乗ったことが確認されると、扉が締まり、エレベーターが下に向かって降りていく。
「お前ってさ、ホント空気読めないよね。折角僕が忠告してやったのに。」
「まぁ、戦って負けて死ぬならまだしも。不戦勝で死ぬのは嫌だからね。」
「ふーん?でも、悪いね。君じゃあ僕には勝てないよ。
どうせ負けるんだからさっさと棄権すればよかったのに。」
「…棄権なんて出来るの?…いや、聞く必要は無いね。そんなルール、ある訳が無い。
まぁ、トリガーを取らずに決戦場に来なければ棄権、とかになるのかもしれないけど。」
「…でも、それだと死ぬんだろ?…危険とは違うじゃないか。」
「……そうだね。」
「まぁ、僕にそんなルール必要ないけどね。僕には勝てる訳がないんだからね。」
「随分と余裕だね。」
「当たり前だろう?僕と僕のエル・ド……サーヴァントは最強なんだ!」
「…‥…フッ。」
その言葉を聞いてか、ギルガメッシュは慎二に聞こえるか聞こえないぐらいの声で笑う。
「それにしても、お前も運が無いよな。一回戦目から僕に当たるなんて。
もしこれが決勝戦なら友人のよしみでちょっとは見せ場を作ってあげても良かったんだけど……。」
「……いや、いらな」
「そうだ!いいこと思いついた!これからの戦いで得になる話だけど聞くかい?」
「いらない。」
燈月は言葉を切られたことに少し苛つきながらも返事を返す。
「……はぁ、お前って本当に馬鹿なんだな。」
「…はあ?」
「呆れを通り越して哀れだよ。…そっか、分不相応の力を手に入れちゃって僕に勝てるとかドリーム見ちゃったのか。」
「…慎二のほうが哀れだよ。自分が確実に勝てると思い込んでる。慢心していいのは絶対的王者だけだよ?」
「なっ……おい、そこのサーヴァント。お前からも言ってやれよ。諦めたほうがいいって。」
慎二は燈月を一瞬睨み、閃いたようにギルガメッシュに目を向ける。
「…何だ、我にこいつに何かを言えというのか?…おい、燈月よ。」
「なに?」
「このワカメに目にモノを見せてやるがいい。この我が訓練してやったのだ、負けたらタダではおかんぞ?」
「…うん、わかった。」
「なっ…!お前も、お前のサーヴァントも、立場ってもんを分かってないのかよ!」
「分かってないのは貴様であろう?……おい、ライダー。お前が好む財とはどんなものだ?」
「ん?アタシかい?アタシは金を使うのが好きなんだよ。」
「……やはりか、貴様とは相容れぬな。財宝というのは使い切れぬ量持ってなくては意味が無かろう。」
「んー…確かに。一生かかっても使い切れない量を使うっていうのはいいね。」
「なんなんだよ、僕を放って話進めるなよ!」
燈月がため息をつこうとした時、軽い振動と共にエレベーターが止まった。
「…あ、着いたよ。」
「ちょっと!?
……ふん、まぁいいさ、お前がその気なら遠慮なくやってやる。圧倒的な実力差ってやつを思い知ればいい。僕のエル・ドラゴのカルバリン砲でボロボロになって後悔するんだね。」
そういうが早いか、慎二はエレベーターから降りようとする。燈月はその背中を呼びかける。
「そうやって、余裕でいられるのも今だけだよ?私なりに足掻いて見せるから。」
「はっ…やってみなよ。」
慎二の後を追うように燈月もエレベーターから降り、決戦の場へと、降り立った。