例外少女とギルガメッシュのFate/EXTRA 作:雨宮ラキ
ダン·ブラックモア
あれから、一夜が終わり、昼になった。
「もう問題ないのか?」
暇潰し程度に図書館で本を読んでいた燈月だが、霊体化をしたギルガメッシュに話しかけられた為に、本を一度閉じた。
「何が?」
「昨日のことだ。」
「ああ…。うん、問題ないよ。ずっと引き摺ってはいられないしね。それに――」
そう続けようとした彼女だが、それは一つの着信音によって防がれる。
どうせ、二回戦の知らせだろう。
そう考えた燈月は溜息をつきながら話を戻した。
「…それに、すぐに二回戦が始まるしね。そう言おうとした時に報せが届いたみたいだよ。」
燈月はそう言って立ち上がり、本を元の場所に戻してから、図書館を出る。
掲示板には、前回同様燈月の名と――ダン・ブラックモア――という名が記されていた。
ふと、燈月は振り返る。そこには白髪の白い髭を生やした老人が立っていた。
兵士か何かなのだろうか軽めの、だが防御面では良い活躍をしてくれそうな服を着ていた。
「ふむ。君が次の対戦相手か。」
「と、すると貴方がダン・ブラックモアですか。……確か、教会前で慎二に注意してた人ですね?」
「君は…あの無礼者と友人か何かなのかね?」
「対戦者だっただけ……ですよ。」
ダンの何気ない発言に一瞬、顔を暗くさせるがすぐに調子を取り戻す。
「それにしても…若いな。実戦の経験も無いに等しいと見た。」
「バレちゃいます?」
「ああ。一々、居なくなった友のことを思っていてはこの先生き残れないぞ。
それに、君の目……迷っているな?」
「………」
「案山子以前だ。そのような状態で戦場に赴くとは…不幸なことだ。」
燈月が何も言わないのを見かねてか、ダンはそのまま立ち去っていってしまった。
「まよっている…かぁ。」
「迷う?そんな必要なかろう。」
「…どういうこと?」
「貴様は自身の道を真っ直ぐ歩いていれば良い。
誰かに指図されてもなお、自身の道を突き進むのが貴様らしいだろう。」
「なるほど…。……ダン・ブラックモア、なんで私には強そうな人ばかり当たるんだろう。
…これも試練と割り切るのがいいのかな。」
燈月の独り言は、昼のためか、ギルガメッシュ以外の耳へ入ることなく消えていった。
「そうだ、遠坂さんに会いに行ってみよう。」
彼女なら助言をくれるかもしれない。そんな考えと昨日くれたハンカチを手に、燈月は屋上に来ていた。
「あら、天宮さん。あなたの対戦者聞いたわ。あのダン・ブラックモアらしいわね。」
「"あの"って…ダン・ブラックモアって有名人なの?」
「ええ。、彼、今はもう現役ではないけれど、名のある軍人なのよ。」
「だから、あんな服装してたんだね。」
そう言って思い出すのは兵士のような服装。
緑に溶け込めるように緑色を基調とし作られたソレはいかにも軍人がきてそうな服だった。
「西欧財閥の一角を担うある王国の狙撃手だった。匍匐前進で一キロ進んで敵の司令官を狙撃するとか日常茶飯事。ま、並の精神力じゃ無いのは確かね。」
「……それはすごい。何だか、ムーンセルの悪意が感じられる人選だよ。」
「でも、一回戦とは何もかも違うわよ。慎二はただのゲームチャンプだったけど、彼はプロの軍人なんだから。見たところ記憶は戻ってないみたいだし…本当ご愁傷さまね。」
「…あはは。」
燈月が顔を引き攣らせながら笑うがそれを遠坂に怒られてしまった。
「笑っていられる状況じゃ無いのよ。根性論は口にしたくないけど、勝利へと執念は目的から生まれるんだから。」
「わ、わかってる。わかってるからほっぺた触らないで。」
遠坂は燈月の頬をグリグリしたり引っ張ったりしながら説教まがいのことをする。
しまいにはただ、プニプニさせて遊んでいる始末である。
「中々、柔らかいわね。……じゃない。例え、あんたの宝具がいくら強いからって言っても一回戦と同じようには勝てないわよ?」
「ふへ?」
燈月は少し赤くなってしまった頬を擦りながら顔を傾げる。
「宝具、使ってないよ?」
「じゃあ、あんたそんな状態でエル・ドラドを倒したの?」
「うん。サーヴァント、結構いいの引いたおかげ、かな。」
「ふうん…いくらサーヴァントがいいの引けたからって言っても援護するのはマスターの仕事だし…。少し、見直したかも。」
「本当?」
「ええ。でも…あなたのパーソナルデータは問題がありすぎるわね。予選を突破した時にバグでも発生したのかしら。それとも貴方の魔術回路に異常が発生してるか。」
遠坂は少し考えたあと、口を開く。
「いずれにせよ、何とかするしかないわね。とにかく、今はサーヴァントを使いこなして魂の改竄を繰り返しなさい。」
「わかった。」
「セラフは基本的に参加しているすべてのマスターに、大して平等のはずよ。だから、宝具が使えないマスターがいると判れば修正処理を施すでしょ。」
「………そうだね。あ、そうだ。遠坂さん、これ、要らないって言われたけどやっぱり返すよ。ちゃんと、綺麗にしておいたから。――それじゃ。」
燈月は遠坂の手にハンカチを握らせ、屋上から立ち去る。そして、飛び込むように個室に入るとギルガメッシュを呼んだ。
「ギルガメッシュ!ちょっと、宝具やら色々、教えて!」
「…なんだ。いきなり駈け出したかと思えばそんなことか。」
「そんなことじゃないよ!ギルガメッシュの宝具、いつかは帰ってくるよね!?もし、最後まで生き残らたとして、レオとかに当たったら貴方でも勝てないかも知れないよ?」
燈月はギルガメッシュの腕を掴み、少し慌てたように問う。
「さあな。そんなもの我にはわからぬ。セラフからしたら我が宝具を使わないことで周りと平等にしているのかも知れん。」
「…わからないんだ。」
「だが、安心しろ。我の強さはなにも宝具だけにあらず。我の肉体から倉庫に入っている武器までもが我の強さよ。」
「…しっかりしてAUO!なんか変だと気付いて!流石に肉体は力にはならないから!」
「そうか?」
「武器は絶対的な力にはなるけど。なるとしてもルックスだよ!」
「ほう、そうだったか。」
どうしよう。AUOが何かに飲まれて行っている気がする。
燈月はそう思ったのだった。
きっと、これを書いていた時の私は頭がおかしかったに違いありません
なんだよ、肉体って...。いや、でも言いそうだから怖いデスネ...アハハ