例外少女とギルガメッシュのFate/EXTRA   作:雨宮ラキ

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二回戦のアリーナ

 

燈月は新しく開かれたアリーナに来ていた。それはもちろん、トリガーを入手するためだ。

だが、アリーナは一回戦の時とは違い、体に纏わり付くような空気だった。

 

「……これは。」

 

アリーナに入る前に敵の姿を見たため、もしかしたら敵の宝具か何かなのかもしれない。

早くコレを解かなければ…死んでしまうかもしれない。

 

燈月はそう直感的に感じた。

 

「結界か。厄介なものを用意してくれたな。どこかに基点があるはずだ。

すぐに破壊しに行くぞ、小娘よ。」

「うん…わかった。」

 

燈月たちは歩き出し、エネミーを倒しながら先に進む。

その時だ。このアリーナにとてつもなく不似合いのものを見つけた。

 

樹だ。

 

「…あれが基点…かな。魔力を感じるし。」

「だろうな。早く壊しに行くぞ。ああいうものはいらん。」

 

ギルガメッシュは先程からものすごい勢いで燈月を急かしてくる。

やはり、いくらギルガメッシュだからといっても、辛いのだろうか。

 

燈月はコクンと頷き、足を進める。

 

 

「これはどういうことだ?」

 

角を曲がったあたりの通路から声が聞こえてくる。

 

「へ?どうもこうも、旦那を勝たせるために結界を張ったんですが。」

 

運良く死角になっているのか、ダンは燈月に気付いている様子はない。

もしかしたら、気付いていてわざと無視しているのかもしれないがここで出て行くのは得策じゃないだろう。

 

相手の出方を知らない今。向こう側も戦いたくはないのではないだろうか。

 

燈月はその場で立ち止まり、先に進もうとするギルガメッシュを引き留める。

 

「決戦まで待ってるとか正気じゃねーし?奴らが勝手におっちぬんならオレらも楽できて万々歳でしょ。」

「誰がそのような真似をしろと言った。死肉を漁る禿鷹にも一握りの矜持はあるのだぞ。」

 

 

意見があっていないのだろうか、揉めているのは一目瞭然だ。

 

「イチイの毒はこの戦いには不要だ。決してして使うなと命じたはずだが。お前には誇りというものが欠落している。」

 

やはり、ダンは騎士なのだろう。騎士道を貫こうとしているようだ。

 

「そんなもん求められても困るすね。誇りで敵が倒れてくれるならいいですけど?

でも、オレゃあその域の達人じゃなくて毒を盛って殺すリアリストなんすよ。」

 

それに比べて、彼のサーヴァントは何やらコソコソとやるのが主要なのかもしれない。

 

「…イチイ…。」

 

―確かに、イチイの種や葉には中毒性がある。摂取し過ぎると死に至る場合もあると聞くけど…。

 

「ふむ、なるほどな。条約違反、奇襲、裏切り。そういった策に頼るのがお前の戦いか。」

 

ダンとサーヴァントは意見が合わない為だろうか、険悪な雰囲気が二人の間に流れている。

 

「あやつら…仲が悪いのかも知れんな。これが勝負の鍵となる可能性もあるかも知れん。」

 

ダンの声が一段と低くなる。サーヴァントに対して落胆しているのかも知れない。…もしかしたら侮蔑の可能性もある。

 

「今更結界を解けとは言わぬ。だが次に信義にもとることがあれば――。」

「あーはいはい、わかりましたよ。」

 

サーヴァントが頷いたからか、ダンは引き上げていった。

だが、結界はいまも継続している。早く壊さなければ。そう思い、燈月は歩き出す。

 

 

 

 

燈月はやっとの思いで樹のそばまで来た。

樹を見ると、確かにイチイの樹に似ている。

 

「どいておれ。」

 

ギルガメッシュは観察しようと近付く燈月のマフラーを引っ張り、後ろへと下げる。

 

そして、いつの間にか取り出していた剣を振り下ろし、樹を真っ二つに斬る。

 

「ああ――まだ調べてないのに!」

「貴様が無闇に近付くのが行けないのであろう。毒だということは貴様も知っていただろう。不用心過ぎるのだ。あれ以上近付いていたら毒気に溺れていたぞ?」

「うぐ…―。」

 

燈月はすぐにその重要性に気付き、顔を俯かせる。どうやら目の前のことしか見えていなかったようだ。

 

 

ふと、燈月がちらりと樹のあった方を見ると、樹は元からそこになかったかのように消滅していた。

 

それを確認したと同時に、身体の力が抜けたのか、座り込んでしまう。

 

「……疲れた。」

 

どうやら、平然と過ごすためにものすごい気を使っていたらしい。

 

 

「今日は引き上げるか。」

 

ギルガメッシュも少し疲れたらしくやつれた顔をしながらいう。

 

当たり前だ。マスターと違い、毒に蝕まれながらエネミーと戦っていたのだ。

その辛さは燈月の倍は雄と超えているだろう。

 

 

「そうだね。帰ろう。」

 

燈月はバックに入れておいたリターンクリスタルを使い、帰還した。

 

 

 

 

そして、その次の日、燈月がアリーナに行こうとすると大人びた…いや、機械的な声が燈月の歩みを止めた。

 

「ごきげんよう。」

 

そうお辞儀をする褐色系の少女は紫の髪を一つにしばっている。

 

「突然話し掛けてすみません。私はラニ。」

「……天宮燈月です。」

 

燈月は突然話し掛けてきた少女…ラニに少し動揺しながらも自身も自己紹介をする。

 

「貴方を照らす星を見ていました。貴方の星はどうやら他の方とは違うようなのです。」

「星…?」

「ええ。それで質問してもよろしいですか?」

「私が知ってる限りなら。」

「では…貴方は何なのですか?」

「……へ?……記憶喪失真っ最中の普通の人間、だよ?」

「記憶喪失…ですか。では、私の問の答えを持ち合わせていなさそうですね。」

「…申し訳ないけどね。」

 

ラニは少し残念そうにするが、すぐに元の無表情に戻すと、口を開いた。

 

「では…よければで良いので、私に協力してもらえませんか?」

「協力って、何を?」

 

いきなりの言葉に燈月は驚きながら首を傾げる。

 

「私は星を観なければいけないのです。ですので、ブラックモアの星を、私にも教えて欲しい。蔵書の巨人(アトラス)の最後の末として、私はその価値を示したいのです。」

「…アトラス…?…ああ、いや、そこはいいや。協力するのはいいけど、星を見たら具体的になにが分かるの?あと、教えるって言っても何をすればいいの?」

「まず、一つ目。彼の星を見る事により、彼について分かります。もしかしたら弱点なども分かるかもしれません。」

「…なるほど。確かにそれは有益かも。」

「そして、二つ目。やることは簡単です。3日後に、ブラックモアの遺物を持ってくるだけです。出来れば3つほど。」

 

それなら簡単だ。燈月は二つ返事で了承する。

それを確認したラニは「では、三日後に。」と、燈月に微笑みながらお辞儀をし、3階に登っていった。

燈月はそれを見送り、アリーナに向かう。もちろん、改竄や藤村先生の依頼を受けた後にだ。

 

 

「小娘よ。あの女の依頼、受けるのか?」

「うん。なかなかにいい情報が手に入るかも知れないしね。」

「貴様がそれで良いのならば止はせぬが…。」

 

ギルガメッシュはあやつも敵になるかも知れぬのだぞ。そう言ったのだが、燈月には届かなかったようだ。

なぜなら…燈月はギルガメッシュを置いて、先に進んでしまっていたからだ。

 

「おい、雑種!何我をおいて先に進んでおる!貴様一人では死ぬに決まっておろう!」

 

ギルガメッシュは怒鳴りながら燈月を追いかけた。

 

そして、着いた先は先日イチイの樹があった場所だ。

 

「あ、ギル!…って、なんでそんなに怒ってるの?」

「当たり前であろう、何故貴様はそう突っ込んでいくのだ。自殺行為にも程があるぞ!」

 

燈月は矢じりを、手にしながら振り向く。

その様子を見て、ギルガメッシュは呆れながらも安堵する。

 

「ええと、……ご、ごめん…。」

 

燈月はすぐに、自分の行いを思い出し、罰が悪そうに謝る。

 

「で、でもいいじゃん、生きてたんだし!」

「……はあ。」

 

ギルガメッシュは溜息を付き、またも少し先を行く燈月の後を追った。

 

 

 

そして、アリーナの先を行くと、細い棒や藤村先生に依頼されていた柿、そして一番のお目当てのトリガーと、風切羽根を見つけた。

 

「…これで3つかな。全部合わせたら矢に見えるね。」

 

アリーナは個別に用意されている。入れるのは燈月と他の対戦者、ダンだけだ。

とすると、この矢じりと棒と風切羽根はダンの遺物で間違いないだろう。

アリーナが用意したものだとアイテムボックスに入っているはずだ。

それに燈月とギルガメッシュは弓の類は使っていないのだ。

 

 

「さて、そろそろ帰ろっか!今日の目的は完了したし。」

「そうだな。…まぁいいだろう。貴様の戦闘経験も磨かれてきたところだしな。」

 

そして、燈月たちはアリーナの終点にあるワープ装置を起動させ、帰還した。

 

 

 

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