例外少女とギルガメッシュのFate/EXTRA   作:雨宮ラキ

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ダンの騎士道精神

 

燈月が昼、食事でも取ろうと思い、個室から出ると思いもよらぬ人間が居た。

 

その人物…ダンは無言で燈月を見ている。

 

「…あの?」

 

沈黙に嫌気が差したのか、燈月が声をかける。

 

「ああ、済まない。昨日のことに関してだ。」

「昨日……奇襲のことですか。」

「ああ、そうだ。……すまなかった。サーヴァントの身勝手な行動とはいえ、校内での奇襲、深く謝罪する。」

 

そう表情を変えずに言う老人。

無表情だが、本当に詫びたい、そう思っているのだろう。

 

「いえ…傷はありませんし…問題ないですよ。」

「これはわし自身の問題だ。しかし…アーチャー。失望したぞ。」

 

ダンはダンのそばで控えていた青年に言う。

 

「この戦場では公正なルールが敷かれている。それを破るとは人としての誇りを貶めることだ。

これは国の国との戦いではない。人と人との戦いだ。畜生に落ちる必要はもうないのだ。」

 

そう、アーチャーに顔を向けて言うダンの眼には確固たる信念が見受けられた。

 

「アーチャーよ。汝がマスター、ダン・ブラックモアが令呪を持って命ずる。」

「学園サイドでの敵マスターへと祈りの弓(イー・パウ)による攻撃を永久に禁ずる。」

「はぁ!?」

「っええ!?」

 

燈月とアーチャーの目が大きく見開かれる。

燈月は驚きで声が出ないのだが、アーチャーは違うようだ。

 

「おいおい、ダンナ。正気かよ!負けられない戦いじゃなかったのか!」

「無論だ。わしは自身に懸けて負けられぬし、当然のように勝つ。その覚悟だ。」

 

なら、なんで!

 

アーチャーは叫ぶ。本当に訳がわからない。という顔だ。

 

「だがアーチャーよ。貴君にまでそれを強制するつもりはない。

わしの戦いとお前の戦いは別物だ。何をしても勝てとは言わん。

わしにとって負けられぬ戦いでも、貴君にとってはそうでないのだからな。」

 

その言葉にアーチャーはまたも目を見開く。そして、一瞬顔を歪め姿を消した。

 

彼は自身のサーヴァントに令呪を使ったのだ。

燈月がい得ることではないが、そんな「正々堂々戦え。」という命令のために使っても良いのだろうか…いや、彼にとってはいいのだろう。それが最善の策だと思ったのだから。

 

「君とは決戦場で正面から雌雄を決するつもりだ。どうか、先ほどのことを許して欲しい。」

 

ダンは燈月の返事も聞かずに立ち去ってしまった。

彼の騎士道精神がアーチャーの行動を許せなかったからこその先ほどの行動だったのだろう。

 

 

そこで、ギルガメッシュが姿を隠したまま話しかけてきた。

 

「おい、燈月。聞き逃していないよな?先ほどの言葉を。」

「……?」

「貴様は…全く…。いくら敵が目の前で令呪を使ったからと言ってそんなに驚くことではなかろう…。我が言いたいのはあの老いぼれが言っていた宝具のことだ。」

 

ギルガメッシュがため息をつく。

当たり前だ。燈月はまだポカンとしていたのだから。

 

ギルガメッシュが宝具と口にしてもちょっと反応するだけで当の名前が浮かんでこないのだろう首を傾げるだけの燈月。それに怒ったギルガメッシュは燈月の頭を軽く叩いた。

 

「あいたっ!」

「いつまでボケッとしているつもりだ、貴様は!」

「あー…うん、ごめん…。で、何だっけ?」

「先ほど敵が言っていた宝具のことだ!」

「宝具……宝具…あー祈りの弓ね。……なんだろ、図書室でも行ってみよっか。」

 

燈月はハッと我に返り、歩き始める。…もちろん、図書室に向かってだ。

 

 

 

 

 

 

「祈りの弓について」

 

イチイの機で作られた短弓。

イチイはケルトや北欧では聖なる樹木の一種とされ、これを素材とすることで「この森と一体である」という儀式を意味したという。

 

 

 

燈月は数ある本の中から目的の本を見つけ出し、その内容を携帯端末にコピーした。

使えるかどうかはわからないが持っていて損はないだろう。

 

慎二とは違うので、彼が本を隠すということもしないとは思うが念には念を、というやつだ。

 

 

 

 

 

その後、魂の改竄をし、スキル……黄金律を取り戻した。

 

黄金律は攻撃スキルではなく、ただ、エネミーを倒した時に貰えるPPTが多く貰える。と言うものだった。

 

確かにお金が貰えるのは嬉しいが、攻撃手段が増えない、というのは少し悲しい物があった。

 

 

 

教会から出て、1階に行くと藤村先生がいた。

そう言えば…そう思った燈月はバックの中を漁る。

 

すると、オレンジ色をした何かが目に入った。

 

「あった。」

 

燈月はそれを取り出し、藤村先生に渡す。

 

「はい、これ。私のアリーナに紛れていたようですよ。」

「あ!私の柿!ありがとう天宮さん、恩に着るわ!…そうだ。

生徒からお願いされたことがあるんだけど代わりに聞いてもらえないかしら。私も忙しくってねー。」

「…まぁいいですよ。」

「助かるわー。あのね、その子アリーナでメガネ落としちゃったらしくて。

第二層の海の底に落としたらしいんだけど、そういう物ってたまに他の人のアリーナに紛れ込んでる事があるのよね。

だからあなたのアリーナも探してみてもらえないかしら。」

「わかりました。メガネですね。」

「ええ、ありがとう、天宮さん!」

 

流石先生というべきか、生徒から頼み事を良くされるらしい。

だが、されすぎて困っているのだろう…自分の悩み事もあるようだが。

 

燈月は藤村先生にお辞儀をしてアリーナへと向かう。

 

 

 

アリーナはなんと言うか…廃墟となった城のような場所だった。

城という根拠はないが、造りかたが豪勢のような気がしたのだ。

 

そして、前回よりも入り組んだアリーナを探索し、マッピング作業をする。

案の定というか、なんと言うか…藤村先生から頼まれたメガネは燈月のアリーナに落ちていた。

 

礼装もゲットし、トリガーも入手し、アリーナから帰還した。

 

 

 

エネミーと何回か戦闘を行ったのだが、端末に表示されているPPTの量が一気に増えた気がしたのは気のせいでも何でもないだろう。

 

 

 

 

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