例外少女とギルガメッシュのFate/EXTRA   作:雨宮ラキ

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ラニの占星術

 

 

二回戦が始まってから五日が経った日、今日はラニに頼まれた日だ。

 

そのため、燈月は三階廊下の突き当りまで来ていた。

そこには、やはりというか、褐色の少女がいた。

ラニはいつもここに居たのだ。それを燈月も知っていた。

凜に会いに行く日などに見かけていたためだ。

 

燈月が声を掛けようと近寄ると、ラニは燈月のほうに振り向き、挨拶をした。

 

「ごきげんよう。」

「…うん、ええと…こんにちは。」

 

こうも畏まられたらどう返せばいいのか少し戸惑ってしまう。

だが、挨拶はされたら返すものである。

だから、燈月は少し複雑な表情をしながらもラニに挨拶を返した。

 

「ブラックモアの遺物を持ってきてくれましたか?」

「うん、ここにあるよ。」

 

そう言いながら、燈月はバッグからビニール袋を取り出し、中身を出してからラニに渡す。

 

「礼を言います。今日ならば時も満ち、ブラックモアの星も詠めるでしょう。」

「お礼なんていいよ。私は、利用出来るから利用させてもらってるだけだし。」

 

ラニは「そうですか。」そう言い、燈月が持ってきた遺物に目を落とす。

 

「…これならばいけそうです。」

「ああ、良かった。これぐらいしか無かったからさ。」

 

そうは言うが、二日程前、アーチャーが燈月を射るために使った矢、それも一応遺物となりうるものだったのだ。

彼女が落としてしまったからもうないが。

燈月がそれに気付いてないのだから困りものだ。

 

 

 

ラニは遺物を柔らかな手つきで撫で、目を閉じ空を見上げた。

 

―――占星術。

 

 

太陽系内の太陽、月、惑星、小惑星などの天体の位置や動きなどと人間、社会のあり方を経 験的に結びつけて占う技術。

 

ムーンセルでそれが出来るのか不安だが、どうやらちゃんと出来たようだ。

ラニはブツブツと独り事のように呟く。

 

「……これは、森?……深く、暗い…。とても、とても暗い色。

時に汚名も負い、暗い闇に潜んだ人生。賞賛の影には、自らの歩んだ道に対する苦渋の色が混じった、そんな色。

緑の衣装で森に溶け込み、影から敵を射続けた姿…。」

 

隠れながら敵を殺していく…燈月は思った。

 

 

彼、アーチャーよりもアサシンに近いのでは?

 

と。

確かに、アサシンになれる資格も持っているのかも知れない。

だが、今回はアーチャーとして呼ばれた。それだけのことだ。

 

「ダンとは大違いだね。騎士道の騎の字もない。」

「…そう、だからこそ、憧憬が常にあるのかもしれませんね。

陽光に照らされた偽りのない人生に。」

 

どうやら、これで占星術は終わったようだ。ラニは目を開き、残念そうに首を横に振った。

 

「これは…私の探しているものではないのかも知れません。」

「あらら、それは残念だね。」

 

そうは言うが、燈月は全然残念そうには見えない。

強いて言うなら、嬉しさ半分、複雑さ半分だ。どうやら、彼女にはラニの言っていることがよく理解できなかったらしい。

と言っても、理解できなかったのは最後の方だけらしいが。

 

 

「んー、でも、よく分かんないな…。」

「でしたら、直接問いてみたらどうですか?第二層から彼の星の気配を感じます。」

「ま、それが一番、かな。ありがとう、ラニ。助かったよ。」

「いえ、お気になさらず。」

 

燈月がラニに手を振って立ち去る。

ラニはお辞儀をしていたようだが、燈月はそれに気付かず行ってしまった。

 

 

「…んんー…。それにしても…誰だろう。皆目検討もつかないよ。」

「分からぬものを悩んでいても仕方あるまい。早く行かねば逃げられるかもしれんぞ?」

「逃げるっていい方はちょっと違うと思うけど…そうだね!」

 

階段を下りながら燈月は呟く。

 

その独り言に対して、言葉が帰ってきた。

と言っても、周りからはただの変な独り事のようにしか聴こえないだろうが。

 

サーヴァントがいるという生活もいいものだ。

独りでいた燈月にとって、個室とは孤独になるところだった。

だが、サーヴァント…ギルガメッシュが居ることによって孤独になることは少なくなったのだ。

 

燈月はいつもお気楽な性格だが、だからといっていつも周りに誰かがいるということはなかった。

それどころか、一人のほうが断然多かったのだ。

その寂しさを隠すようにお気楽な口調をしていると言ってもいい。

だが、彼女にも友達はいた。今は、顔も名前も思い出せないが。

 

自分の友人とは男だったのだろうか、女だったのだろうか。

 

友達がいるということは思い出せる。だが、顔や声を思い出そうとすると靄がかかるのだ。

 

 

「ま、別にいいか。今は目先のことに集中しないと。」

「どうかしたのか?」

「気にしないで。」

「…?」

 

首を傾げるギルガメッシュに横目に、燈月は自身の考えを振り払うかのようにアリーナへと入っていった。

 

 

 

 

 






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