例外少女とギルガメッシュのFate/EXTRA 作:雨宮ラキ
剣が落ちた音と共に、ギルガメッシュは勢い良く飛び掛かり、一気にアーチャーとの間合いを詰めた。
アーチャーは縮められた距離を広めようと後ろに下がる。
だが、それだけでは距離を広められる訳もなく、また縮められてしまう。
そのため、アーチャーはギルガメッシュを弓で射ろうと思い、弓を張る。
たが、その間にも間合いは詰められ、ギルガメッシュはアーチャーを斬ろうと飛び掛かってくる。
アーチャーは舌打ちをし、まだ充分と張られていないというのに矢を放った。
そんな弱い矢をギルガメッシュが撃ち落とせない訳もなく、軽々と撃ち落とす。
ギルガメッシュがそれに気を取られてしまっていたせいか、アーチャーはその間に距離を取る。
ソレはアーチャーにとって距離を取るには充分だったのだろう。
ギルガメッシュが顔を上げた時には結構な距離を取られていた。
ギルガメッシュがまた距離を詰めようと走りだそうとするが、ソレはアーチャーの矢によって妨げられる。
もっていた剣を使い、弾きながら先へ進もうとするが、次々と矢が放たれるため、なかなか進めない。
そのため、ギルガメッシュは武器を飛ばし始めた。
「何でもありだな、てめぇは!」
「これでも我は手を抜いているが?」
「はっ!まだ手を抜いてるっつーのかよ。」
アーチャーはありえねぇ…などと呟きながら矢を放つ。
だが、木で出来た矢と鉄や鋼などで出来た武器の類では圧倒的に武器の方が有利だ。
個数が限られているとは言っても、飛ばしてしまった剣はいつでも戻すことが出来る。
いざとなれば拾えばいいのだ。
それに個数が限られているのは向こうも同じなのだ。
しかも、放つ速さも違う。
ギルガメッシュは取り出して投げるという二パターンだが、アーチャーは取り出し、構え、放つという三パターンなのだ。
だが、矢と武器の数は変わらない。
つまりは、確実に大量の武器を飛ばせるはずのギルガメッシュが手を抜いているとしか考えられないのだ。
いくらアーチャーが弓の名手だとしても、弓を張るのは時間がかかるものだ。弦が切れてしまっては元も子もないのだから。
ということは、アーチャーは舐められているのだ。
今回、燈月はフロアの隅に縮こまっているのでギルガメッシュ独自の判断だ。
つまり、ギルガメッシュは幾ら慢心しようが怒鳴られたりしないのだ。
だからこその慢心だ。
騎士道精神の持ち主のダンが隙を見て燈月のことを攻撃するわけがない。
そして、そのダンのサーヴァントであるアーチャーも燈月に攻撃することはないだろう。ダンに怒られるのが目に見えている。
自身のマスターである燈月が殺される心配もなく、そして、自身が死ぬことは一切ない。そういう慢心だ。
だが、それはアーチャーを怒らせるだけである。それが一目でわかるようにアーチャーの額には青筋が浮き出ていた。
「てめぇ…ふざけてんのか?」
「我は至って真面目だが?」
そう、ギルガメッシュが言った瞬間、燈月は「嘘つけ…」と、呟く。だがそれはギルガメッシュに聞こえるわけもなく、もちろんそれより遠くにいるアーチャーに聞こえることもない。
「なるほど…性根が腐った野郎ってことか。余裕振った顔しやがって。
てめぇからは殺されないっつー自信しか見えねぇわ…。」
「当たり前であろう?この我が貴様のような鼠に殺される?笑わせてくれるわ!」
ギルガメッシュは地を蹴り、アーチャーに斬り掛かった。
だが、それはアーチャーの戦場で培った勘だろうか、間一髪のところで避けられてしまう。
「避けるな!」
「避けるに決まってんだろ!?」
そう言いながら、ギルガメッシュはもう一振り喰らわせようとする。
―――が、そこでセラフに介入された。振るっている途中だった剣は、止められるわけもなく、アーチャーに突き刺さる、かと思えば弾かれたように剣が飛ばされてしまう。
「あー…疲れた!やっぱ、俺には合いませんわ、こう言うの。
つーか?相手がこいつって時点で無理っしょ。王様見てるみたいで、どんな手使ってでも殺したくなってくるし。」
「それは決戦の時までどうにか抑えておけ。それに、わしのサーヴァントである以上、一人の騎士として振る舞ってもらいたい。」
「わかってますよ。騙し討ちは禁止なんでしょ。はぁ…人には適材適所ってもんがあるんだが…。」
その後も、二人の会話は続いていたようだが、燈月は早く帰りたかったのか、話の途中でリターンクリスタルを使い帰還した。
「……アーチャー、許さないから。」
最後に一言、伝えてから。
燈月、怒ると怖い…