例外少女とギルガメッシュのFate/EXTRA 作:雨宮ラキ
燈月がエレベーターから降りると、そこはもう戦場だった。
サーヴァント2人はマスターに指示をされたらすぐに動くだろう。
燈月はその凄みに潰されそうになりながらもダンを見据えた。
「…決戦前のお喋りは済んだし、始めましょうか。」
「うむ、そうだな。アーチャー。」
ダンが横に控えているアーチャーを呼ぶと、彼は一言、返事をした。
それと同時に、燈月もギルガメッシュに目配せをする。ギルガメッシュは頷くと、地を蹴りアーチャーに向かい、剣を振るった。
アーチャーも同じ事を考えていたらしく、弓でギルガメッシュを狙う。
ギルガメッシュに向かってとばされた矢を剣で弾く。
燈月はそれを見ながら後方に下がり、いつでも回復出来るように準備する。
いつ毒を使ってくるのか分からない。それならいつでも使えるようにしておかなければいけない。
だが、現在2人は弓を射、剣で弾き、を繰り返している。
たまにギルガメッシュが武器を飛ばし、ダメージを与えようとしているのだがアーチャーの弓の精度が高く、思うように剣を飛ばせていない。
ギルガメッシュは苛立ちを感じ、舌打ちをする。
アーチャーは決戦前のアリーナでの戦いでは手を抜いていたようで、前回に比べ弓を張る速さ、矢の数、そして矢の強度すべてを上げてきたようだ。
「我との戦い、手を抜いておったな?」
「ああ、そりゃあ、ただの偵察みたいなもんだったし?でも、まぁ…ちぃと、あん時は油断し過ぎてたわ。」
二人は呑気に会話をしているが、ここが戦場だという事は忘れてないようで…
ギルガメッシュが前に進めばアーチャーが距離を保つ為後ろに下がる。
「ほう…つまりは本気を出したということか?それをするにはいささか遅かったようだが。」
ギルガメッシュが余裕そうな笑みを浮かべながら言う。
その時、ずっと見るだけだったダンがアーチャーに向かってコードキャストを使った。
「アーチャー、火力を上げるぞ。」
「ありがとよ!ダンナ。」
使ったのはgain_str…筋力をあげるものだ。
その瞬間、速さがまたも上がった。
「なかなか楽しめそうになってきたではないか。…だが、二度も同じ攻撃は効かんぞ。」
そう言ってギルガメッシュは、2回同じ場所に向けて剣を振るう。
アーチャーは前、燈月が奇襲され攻撃されたその罠と全く同じ攻撃をしてきたのだ。
だが、アーチャーにはそれが読み通りだったかのように不敵に笑った。
「いや、一度も喰らってなかったな……む?何がおかし……――っ!」
一本でダメなら二本。二本でダメなら三本にすればいい。
二本の矢を振り落とし、余裕そうにしていたギルガメッシュの目の前には矢が一本。
ギルガメッシュは躱そうとするが、あと数ミリ遅く。
ギリギリ交わせず、頬がチクリとする。しかも、その矢には毒が塗ってあったらしく、そこから毒が回っていくのがギルガメッシュには分かった。
「生き物ならこれだけで死ぬもんだが、アンタはどうなんだ?」
身体を蝕む独に毒耐えながらも、ギルガメッシュは矢を振り落としていく。
だが、毒によるものなのか、視界が霞み、たまに矢が体に刺さってしまう。
生前ならばこれぐらいどうってことは無かったのだが、ムーンセルに規制されているからだろうか、毒への耐性が減っている気がする。
「っ…ギル!」
さすがに異変に気付いたのか、燈月はギルガメッシュに回復薬を使用する。
すると、くすりが効いたのか、徐々に視界など、すべての器官がハッキリとしていく。
「ちぃ…もう少しだってのに。」
「やってくれるな、ネズミ。」
ギルガメッシュは自身に刺さった矢を抜き、アーチャーに向かって全速力で走りながら、剣を飛ばす。
アーチャーはそれを軽く躱し応戦しようと弓を放ちながら後ろへとさがる。
だが、後ろにある歪みの先から剣が出ていることには気付かず、後ろに下がろうとする。
「アーチャー!後ろだ。」
「っ…!?……ぁぶね。」
ダンの言葉でやっと気付いたのか、アーチャーはその場で一度立ち止まり、前に行こうとして立ち止まる。
ギルガメッシュが目の前で、剣をアーチャーに刺すところだったのだ。
アーチャーはその場にしゃがみ込みそれを回避し、その場から離れ手を床についた。
「――茂みの棘。死にな!」
アーチャーがトンと付いた途端、ギルガメッシュが居る場所が膨れ上がった。
危険を感じ、飛び退いた瞬間、そこからいくつもの棘が突き出してきた。
ギルガメッシュは飛び退きながらもアーチャーに剣を飛ばして行く。
アーチャーもそれに負けず、矢を放っている。
ギルガメッシュは地に足を付けたかと思えば、すぐに地面を蹴りアーチャーに向かって行く。
「その首、目障りにも程があろう!――嵐を払う」
「脇ががら空きだ。――矢尻の毒」
二人がスキルを発動するのは同時だった。
アーチャーの矢がギルガメッシュを攻撃し、ギルガメッシュの剣がアーチャーを斬る。
「っぐ…。」
アーチャーが斬られた箇所を手で押さえる。電子世界のため血は出ていないが、痛みはやって来るのだ。
その痛みに顔を歪めているとアーチャーの真横を剣が後ろから通ってくる。
頬に痛みが走るが、アーチャーはニヤリと笑ってギルガメッシュに向き直った。
「毒のせいで目が霞んでんのか?ちゃんと当たってないぜ?」
「はっ…!貴様こそ、痛みで攻撃出来てなかろう。」
燈月は毒の回復よりも怪我を優先したらしく、ギルガメッシュにヒールをする。
それを確認したアーチャーは笑みを深くした。
「ダンナ!」
「良いだろう。仕留めるがいい。魔弾の射手よ。」
燈月はその言葉だけで分かったのだろう。回復薬を使おうとするが、一歩遅く。
「森の恵みよ。圧政者への毒となれ。
―――
アーチャーは弓をギルガメッシュに向け、矢を飛ばす。
「ギル!」
燈月の叫び虚しくソレはギルガメッシュに刺さり、その瞬間、一瞬だがギルガメッシュが木に包まれたかのように見えた。
瞬きをするとそこにはギルガメッシュが立っているだけであり、何も代わり映えはない。
だが、祈りの矢は毒の周りを強くするものだったようで、ギルガメッシュは苦痛に顔を歪めた。
それを見て、燈月はすかさず回復をする。だが、回復をすると解毒が出来ないため、ギルガメッシュの痛みは終わらない。
ギルガメッシュは倉庫からいくつもの武器を飛ばす。
投げ飛ばした武器の数は十を越えていて、毒が回ってなければ躱すことは難しいだろう。
「危ねえ!…その苦痛の中、どうやってここまでの威力出してんだよ。」
「我は王だからな…これぐらい出来て当然というものよ!」
ギルガメッシュはアーチャーの放つ矢を躱し、今使える武器の中で一番強いだろう剣を握る。
毒が身体を蝕むと、すかさず燈月が回復させるから良いものの、普通の英霊ならばこんなこと出来ないだろう。
アーチャーの背後からが刀を向けられ、ギルガメッシュの攻撃に一瞬だが反応が遅れてしまった。
それが唯一つのアーチャーの敗因だろう。
「っはぁ―…。」
全速力で走ってきたのだろう。息も絶え絶えだった。まだ良かったのは、アーチャーとギルガメッシュの位置が変わり、ダンの目が届いていなかったことだろう。
途中、ダンもそれに気付き、止めようと走ったのだが一歩及ばなかった。
「っ…すまねぇ、ダンナ……。」
アーチャーはギルガメッシュに斬られ、その場に倒れこんだ
くっ……顔のない王、使えなかった…
まさか、ここまでグダるとは思わなかったんです……2つに分けてもいいかなって考えたんですけどそうすると辛いですし……
まぁ…顔のない王なんて嫌いだから出番なんて作りませんけど…。
あれのせいで幾度となくやり直したことか……っ!
くっそぅ…。