例外少女とギルガメッシュのFate/EXTRA 作:雨宮ラキ
異様に後編だけ長くなってしまいました。
ルーナがレオから貰ったぶどうジュースを飲んでいると、近付いて来たのは血濡れた白衣を着ているラニだ。
「おはようございます、雨宮さん。可愛らしい格好ですね。」
そう社交辞令のように言うラニだが、本当にそう思っているようで、心がこもっていた。
それに気付いた燈月は照れ臭そうにありがとうと言った。
「ラニも、似合ってるよ。大人の女性みたいな…。」
「ありがとうございます。」
ラニがそういうと、話が途切れる。
ラニは元々不要な話はしないのか、無口なようなのである。
ふと、そこに近付く一人の少年がいた。
「やぁ、雨宮。楽しく過ごしているかい?」
「……うん。」
燈月は目を見開きながら頷いた。
そこに居るのは慎二なのだが、服装が可笑しいのだ。
一言で言うなら、ゾンビ。特殊メイクを施したようで本格的だ。
「楽しそうには見えないんだけど?君さ、わかってる?パーティなんだから楽しくなくても、笑顔を作らないと。」
「いや、楽しいよ。ただ、慎二の格好が可笑しくて。」
ぽかんとした表情をしてしまったせいで、要らぬ心配をさせてしまったようだ。
「なんだよ。仕方ないだろ?いきなり、服渡されて、メイクさせられたんだから。」
「あ、そのメイク自分でやったんじゃないんだ?」
「するわけ無いだろ!こんなの!」
慎二は肩を震わせながら燈月に突っ込む。
「おやおや、何だい慎二ぃ、結構楽しそうにしてたじゃないか。」
「なっ!してない!するわけ無いだろ?この僕が!」
そんな中、慎二の行動を一番知っているであろう人物、エル・ドラゴがいつもと変わらぬ格好で現れた。
「ライダーは着替えてないんだね。」
「ああ、している奴もいるみたいだけど、アタシはアンタ等から見るといっつも仮装しているようなもんだろ?」
いつもと変わらぬ…と言っても、所々ハロウィーン仕様になっている。
と言っても、カボチャの刺繍がされていたりだが。
「…ん?と言うか、出てきてもいいの?」
「大丈夫じゃないかね。他にも出てきてる奴いるだろ?」
そう言われ、辺りを見回してみると確実にマスターではない、という感じの人もいる。
仮装なのか違うのかはよく分からないが。
なぜこうも皆が姿を表しているのか、それは明日にはサーヴァントの顔を忘れているからである。
ムーンセルの配慮だろう。サーヴァントにも楽しんでもらえるようにと。
ふと、そこで燈月は自身のサーヴァントであるギルガメッシュに問いかけた。
「ギルは出てくる気ないの?」
「馬鹿者。我が出て行ったら、もしムーンセルに記憶を消されたとしてもこの類稀な存在感のせいですぐに思い出してしまうではないか。」
「いやいや、ムーンセルだよ?あり得ないでしょ。」
ものすごい遠回りだが、つまりは出てくる気はないのだろう。
燈月はため息をつきながら、慎二たちと別れ、食事を取りに行く。
テーブルのそばに行くと、パンプキンパイやパンプキンスープ、パンプキンプリンやお菓子など、色とりどりの食べ物の香りが漂ってきた。
だが、その中、一際目を引く者がひとつ。
食べる気が無くなるぐらい真っ赤な麻婆豆腐がテーブルのど真ん中に置かれていた。
「いい赤さね!美味しそう!いっただきまーすっ!」
そう言って食べた魔女っ子が顔を真っ赤にしてジュースをごくごく飲んでいる。
それがどれほど辛いのか…その少女を見ただけでわかる。
「む…いかん、燈月。それを食べるというなら我は貴様と契約を解くぞ!」
「…はい?」
「我は麻婆が嫌いなのだ、無論それを食す奴も嫌いだ。」
「そうなんだ…どれくらい辛いのか調べてみたいものではあったけど…。」
ふと、その時、言峰が麻婆豆腐の入った皿を持ってこちらにやってきた。
どうやら、中身の補充をしているようで…。
「む、君は食べないのかね?」
「…辛いのは、苦手で。」
「一口だけでも食べてみたらどうだ?旨いぞ?」
そうは言われるが、契約を解除されては死んでしまうのだ。
好奇心はあるが死んでまでして食べてみたいとは思わない。
燈月は頬を引き攣らせながら、遠慮します…と、断った。
言峰はとても悲しそうな顔をしていたが。
それから、テーブルに乗っているものを食べたり、飲んだり、話したりしながら時間を潰していると、もう夜になっていた。
パーティも終盤なのか、みんなのテンションも心なしかヒートアップしているように思える。
そんな中、燈月の眼の前で麻婆豆腐を食べて半泣きになっていた少女がマイクを持って教壇に立った。
「今日は機嫌がいいわ!1曲歌ってあげる!」
酒を飲んだのか、顔が真っ赤になっていて、酔っ払っているんだなということが見て取れる。
それにしては、口元が赤く腫れている気がするが、気のせいだろう。
マイクの聞き取れる音に反して声が大きかったのか、マイクが悲鳴をあげているが気にせず彼女は歌い出す。
とても、絶望的で
物凄く狂気的で
壊滅的に下手な…お世辞にも上手いとは言えないような…
マイクと言うより、聞いていた観客全員が悲鳴をあげていた。
燈月が目を覚ますと、そこはマイルームだった。
そこには、ギルガメッシュがいつもの玉座に何故か、髪を下ろし何処ぞの執事のような格好をしていた。
執事と言っても、こちらもハロウィーン仕様のようだが。
「目が覚めたか、小娘。余り我をこき使うでない。」
「……よくわからないけど、ごめん?」
目が覚めたばかりのせいか…二日酔いのように響く頭痛のせいなのか、あまり頭が働かない。
それに気付いたのか、ギルガメッシュはため息を付きながらも説明してくれた。
「我が貴様をここまで運んでやったのだぞ?礼の一つでも言えぬのか?」
「…そうなの?それは…ありがとう。
………ところで、私、パーティの最後のほう何してたんだっけ?」
燈月は、もう自分が気絶するに至った経路を覚えてはいなかった。
ムーンセルが消去したと言うよりも、心の奥底に閉じ込めたような物だ。
その上からムーンセルが消去したのだから、もうなにかの反動で思い出すことはないだろう。
歌を歌っていた彼女の声も顔も服装も、何もかも覚えておらず、他のサーヴァントでさえうろ覚えだ。
「疲れた。我はもう寝る。貴様も寝ろ。」
「うん…。あ、そう言えば、ギルガメッシュ、たまには髪下ろしても良いんじゃない?」
「フッ…当然であろう?我を誰だと思っておる。」
そして、夜は更けた。
Halloween Partyの痕跡を一切残さずに。楽しかった事があったという事だけを皆の記憶に残して。
勘の良い人ならわかるんじゃないですかね。彼女が誰なのか。
私は個人的にあの子好きですよ。今度、また他のキャラも出したいですねー
候補としては、清姫とか、マリーアントワネットとかかなぁ…。
どちらにしてもカオスになりそうですけどね。
さて、次回辺りからまた普通のに戻りますね。
もしかしたらもう一回番外をやるかもしれませんね。
では!