例外少女とギルガメッシュのFate/EXTRA   作:雨宮ラキ

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少女との鬼ごっこ

アリーナへ続く扉を開け、第1層へと足を踏み入れる。

魂の改竄も済ませ、準備は万端にしてきたはずだ。

 

少なくとも燈月はそう思っている。

 

 

アリーナにありすの姿はなく、燈月は首を傾げる。

 

 

「ほう、姿は感じないが気配はあるな。」

「え、いるの?」

「ああ、近くにいる筈だぞ?そんなこともわからないのか?」

「…いや、わからないのが普通だから。」

 

 

そんなふうに話しながら先を歩くと透明な床の先に少女はいた。

 

 

「あ、お姉ちゃん!来てくれたんだね!

鬼はお姉ちゃんだよ、ありすのこと捕まえられたらお姉ちゃんの勝ちだよ!」

「私、鬼苦手なんだけど…大丈夫かな。」

「じゃあ、よーい。どん!」

 

燈月の心配を余所にありすは合図を口頭で言う。

その言葉とともにありすはアリーナの奥へと走り去っていった。

 

「はぁ…なんで貴様はこんな事を引き受けたのだ……。」

「ほ、ほら、情報が手に入るかも知れないでしょ?」

「ハッ…。そういうなら一つぐらいは手に入れないと我は許さんぞ?」

 

そうはいうがギルガメッシュは少しばかり楽しそうだ。いままで気を張ってばかりだったからだろうか。

これで少しばかり空気をかえられればいいのだが…。

 

と、言ってもそれで緩みすぎては意味は無いが。

 

 

敵を薙ぎ払い、拾えるアイテムを拾いつつ、ありすを追いかけていく。

 

エネミーは2回戦よりも行動が複雑になっていて少し手間取った。

 

それもそうだ。ギルガメッシュは燈月の指示を待ち一切自分から手を出さなかったのだ。

 

 

「前よりかは上手くなったな。」

「そう?」

「ああ。指示が的確になって来ている。」

「でも結構傷負ってるよね?」

 

 

燈月は申し訳なさそうに言うがギルガメッシュは笑みを噛み殺しながらいった。

 

「これぐらいで傷だと?笑わせてくれる。か擦り傷よ。」

「あー。そうだった。そういう性格だったね…。」

 

燈月は頭を抱えつつ、ギルガメッシュに回復薬渡す。

 

ギルガメッシュはそれを受け取り自身の傷を回復させる。

それもそうだ。2人はもうありすのそばに来ていた。

 

目の前の通路を通ればありすと対峙できる。

2回ほど逃げられたが次はそうもいかないだろう。

そろそろアリーナも終わりだ。

 

ありすもそれを分かっていたのだろう今回は逃げずにそのままたっている。

 

 

「あーあ、見つかっちゃった。でも楽しかったよ。お姉ちゃん!」

 

本当に楽しかったのだろう満面の笑みで笑いかけてくる。

 

 

「私も楽しかったよ。ありがとう、ありす。」

「そっか…!

 

 

……ねぇ、お姉ちゃん。あたし(ありす)のお話聞いてくれる?」

 

ありすは先程までの笑みが嘘のような顔をして燈月を見た。

 

「…話?」

「うん、あたし(ありす)ね、ずっと昔は違う国にいたの…。」

 

 

そう、ありすが言った瞬間、ありすの横に黒い…ありすと全く同じ容姿の少女が現れた。

 

 

 

そして、ふたりが交互に話し始めた。

 

 

 

どうやら、ありすは戦争に巻き込まれ、白い部屋に閉じ込められていたらしい。

毎日変わらない生活をし、親も友達も居ない、独りぼっちで過ごす。

 

でも、ありすは泣かなかった。行儀良くしていないと父親に怒られるから。

 

 

でも、ある日、我慢出来ないぐらいの痛みがありすを襲った。

そして目を覚ますとこのムーンセルにいた。

 

 

「でもいいんだ。ここは楽しいから。色んな人がいて、みんな仲良くしてくれる。」

「ええ、そうねありす(あたし)。ここなら力いっぱい遊べると思ったでしょう?」

「でも、思いっきり遊んだら壊しちゃうかも。

くびもおててもとれちゃうかも、取れちゃったら大変だわ。」

「壊しちゃったら直せばいいよ。ママから貰った針と糸があるもの。

ちゃちゃっと縫っておしまいよ。ママみたいにお上手じゃないけど、ちゃんとくっつくわ。」

 

ありすは燈月とギルガメッシュのことなど忘れたように話す。

残酷なことをとても楽しそうに。

 

「くっつければだいじょうぶだもんね。」

「だいじょうぶじゃない?」

「良かったー!またママに怒られるかと思った。」

「じゃあ、力いっぱい遊びましょう。

だって、このお姉ちゃんはようやく出会えた仲間だもの。」

 

 

仲間?燈月は首を傾ける。全く持って記憶にない。

ギルガメッシュも燈月に顔を向けてくる。

 

お前はアイツらの仲間なのか?と。

 

だが、燈月はそんなこと知らないため、首を振る。

 

 

「前の二人のマスターとは違う。

今度はちゃんと触れ合えるの。真っ赤な血も、あたたかいの。

 

さあ。"あの子"を呼ぶとしましょう?」

「うん、それがいいよ!」

 

ありすはそう言って手を振り上げる。

するとありすの後ろに巨大な怪物が現れた。

 

アリーナの床が、壁が、全てが震え上がる。

それほどまでに規格外なのだ。

 

燈月の頭に警鐘が鳴り響く。

 

 

逃げろ。

 

 

逃げろ。

 

 

逃げろ。

 

 

と。

 

 

アレには触れてはいけない。ギルガメッシュならいける可能性もあるだろう。だが、燈月にとってはそうではない。

 

足がガクガクと震え、背中を冷や汗がつたう。

 

 

「あはっ、すごいでしょ。このこお友達なんだよ。」

「ねぇ、お姉ちゃん。この子のこともあそんであげて。」

 

二人のありすは笑って燈月にゆらりと近づいてこようとする。

 

 

「おい!燈月!大丈夫か!」

 

燈月はその言葉で自身の立場を思い出した。

 

「っ…。大丈夫…。」

 

未だに足は震えるが、大丈夫。燈月はそう思い、1歩後退しようとした。

 

 

だが、一切足が、手が、身体が動かない。

 

石にでもなってしまったかのようだった。

 

 

ギルガメッシュはそれに気づいたのだろう。

鼻で笑った。

 

「我に口答え出来るというのに怪物には足がすくむか…。お主ももう分からん人間よのう。」

「し、しょうがないでしょ!?怪物なんて、見たこと無かったんだから!初めてだよ!」

 

 

それに性格や、中身がどうあれギルガメッシュの見た目は人間そのものだ。

 

その差だろう。

 

 

「はぁ…こんな状態のマスターが居ては戦おうにも戦えん。気が引けるがここは撤退でもするか?」

「…そうしてくれると、助かる…かな。」

 

ギルガメッシュはまたも深いため息をつき、燈月を担ぎあげた。

 

「って、ちょっと!この担ぎ方はないと思うんだけど!」

 

燈月は現在、脇に抱えられてる状態だ。怒るのも無理はないだろう。

だが、ギルガメッシュはそんなこと知ってか、無視してそのまま前線を離脱した。

 

 

 

 






前、アーチャーの時の戦いでマスターを放置して戦ったことがありますが、その時は燈月が動ける状態なのに動かなかったからです。
でも今回は足がすくんでいるということと勘のいいギルガメッシュのことだから気付いていたからじゃないでしょうか。

なにが、とはネタバレになるのでいいませんが。
え?もう知ってる?ははは、気にしないでください
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