例外少女とギルガメッシュのFate/EXTRA   作:雨宮ラキ

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遠坂凛という少女

廊下から出た燈月は、AIの一人であり、燈月の友人という役割を割り当てられた一成にすすめられ、屋上に来ていた。

 

「一成の言うほど…美しいとは言えないけど、いい眺め。」

 

歩きながら外の眺めを見ていると、しゃがんでこちらに顔を向けている一人の少女と目があった。

 

「あら。そのカスタムアバター…マスターね?」

「うん、そうだよ。貴方は…遠坂凛、かな?」

 

遠坂凛は、容姿端麗、成績優秀な月海原学園のアイドル、という役割だった少女だ。

確かに、顔だちは良い。頭が良いのかはわからないが、優秀な魔術師ということは、彼女の行っていた行為で何となくだがわかる。

 

「壁とか床を触ってるってことは、ここの作りを調べてるの?」

「ええ、そうよ。こんなの見せつけられてるのに、調べないって何がハッカーよ。」

 

凜は立ち上がり、スカートを払う素振りをした…もちろんその必要はないが。

 

「それにしても貴方、ちょっとぼんやりし過ぎじゃない?

他のマスターが目の前にいるっていうのにそんなにのんびりして。

もしかして、まだ記憶が戻ってきてないとか言うんじゃないでしょうね。」

「……ちょっとだけ、不備があったみたいで…あはは。」

 

燈月は無理に笑おうとするが、笑顔が引きつる。

 

「不備!?それってかなりまずいわよ。

コレのシステム上、ここから出られるのは最後まで生き残ったマスターだけ。

棄権…途中退場は許されてないわ。記憶に不備があって、いままでの戦闘経験が無くても、ホームに戻ることは出来ないわよ?」

「…記憶がちゃんとあっても、ホームに戻りたいとは思わないよ。」

「そういうことは覚えてるのね。でも、まぁ問題無いわ、貴方どこかで脱落するもの。」

 

という言葉にギルガメッシュが口を開く、と言っても、燈月だけにしか聞こえないが。

 

「何なのだ、この小娘は。貴様が未熟者であるのは変わりないが、我がサーヴァントなのだから、退場するわけ無いだろう。」

「ちょっと、未熟者ってひどくない?これでもハッカーとしてはいい方なんだけど。」

「何を言っておる。我が言っているのは戦闘経験のことだ。ハッカーとしての力など我の知ったことではない。」

 

燈月は自身がここに来る前、凄腕とまでは行かないが、強い方のハッカーだったことは覚えている。

 

「……あっそう。でも、遠坂さん、私が脱落するかなんてわからないよね?」

「分かるわ。そんなぼんやりしてたら背中からザクッとやられるもの、私ならそうするわ。」

「…そうかなぁ。」

「…はぁ、そういうところがダメだって言ってるんだけど…。

…貴方、本戦に来る前に魂の端っこでもぶつけたんじゃない?どうして記憶が欠落してるのか、後で調べてみたら?」

「んー…気が向いたらね。」

「…………あのさ、また夢でも見てる気分なら改めなさいよ?

そんな状態で勝てるほど甘くは無いわよ。」

 

凜は呆れ顔で燈月に言い、「そろそろ私は戻るわ、じゃあね。」そう言うと、屋上から出て行ってしまった。

 

「なぁ、燈月よ。」

「…何?」

「少し話があるのだが…。良いか?」

「話?どうかしたの?」

「……まだ確信は得ていないのだが、武器の大半が我の倉庫から消えている。

いや、消えているというのは間違いだな。使用禁止になっている。」

「嘘!…それってまずいんじゃ?」

「いや、それほどまずくは無い。これは使用禁止になっているだけだ。

直に使用できるようになるだろう。」

「直にって……いつ?」

「確かなことは言えんが、貴様が戦闘経験を積み、我に見合った魔術師になれば使えるようになるだろう。だが、心配は要らん。我のステータスは万全だ。

最低限の武器しか使えなくとも、問題無い。」

「……そう、なんだ。」

 

結構な一大事だというのに全く慌てないギルガメッシュをみて燈月は頭を抱えた。

 

 

 

 

 

 

――夕刻。

 

 

燈月が1階に行くと新婦の格好をした男に話しかけられた。

 

「本戦出場おめでとう。これより君は正式に聖杯戦争の参加者となる。

私は言峰。この聖杯戦争の監督役として機能されているNPCだ。」

「ほう、言峰綺礼か。……いや、言峰綺礼の見た目をしたただのAIか。」

 

ギルガメッシュは彼のことを知っているのか。

そう問いかけようとしたが、言峰が話を続けたので問いかけることが出来なかった。

 

「今日この日より、君たちはこの先にあるアリーナという戦場で戦うことを宿命付けられた。

この戦いはトーナメント形式で行われる。

七回戦まで勝ち進み、最終的に残った一人に聖杯が与えられる。

非常にわかりやすいだろう?どんな愚鈍な頭でも理解可能な実にシンプルなシステムだ。」

「……NPCとなってもその性格は変わらない、か。」

 

―…確かに鼻につく言い方をする神父だ。

 

そんなことを考えてる燈月を知っているのかはわからないが、言峰は話を続ける。

 

「戦いは一回戦毎に七日間で行われる。各マスターには一日目から六日目までに相手と戦う準備をする猶予期間(モラトリアム)がある。

君はこれから六日間の猶予期間で相手を殺す算段を整えればいい。

そして最終日…七日目に相手との最終決戦が行われ、

勝者は生き残り、敗者にはご退場いただく、という具合だ。

 

何か聞きたいことがあるのなら答えよう。

最低限のルールを聞く権利は等しく与えられるものだからな。」

 

「聞きたいこと…。あ、そうだ。私の対戦者って誰なの?」

「何?まだ決まってないのか?ふむ…――妙な話だがシステムにエラーがあったようだ。

君の対戦組み合わせは明日までに手配しよう。」

 

システムエラーは珍しいのか、少しばかり驚いているようだ。

偶数なのにこうやって決まっていないということは、もう一人、燈月のようにエラーがあった人物がいるのだろう。つまり、その人物が対戦者だということだ。

 

「それと、もう一つ。本戦に勝ち進んだマスターには個室が与えられる。

2−Bが入り口となっているので、この認証コードを携帯端末に入力(インストール)してかざしてみるといい。」

 

 

「アリーナの扉は開けといた。今日のところは空気に慣れるといい。

扉は予選の時に通過したあの扉だ。」

 

言峰は燈月に認証コードを渡し、去っていく。

 

「ふむ、個室、か。見に行ってみようではないか。」

 

ギルガメッシュの言葉に燈月はコクリと頷き、端末に認証コードを入力してから、個室に向かった。

 

 

 

 

 

 





…多分、ギルガメッシュはこの制限でも足りない気がする。


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