ほんっとにスミマセン!
活動報告には記載したのですが、執筆する時間があまり取れなかった上に、あとは締めの1話を待っているだけの2作品があったので、そっちを優先してしまいました><
でもまさかこんなに開いてしまうとは……orz
本当に遅くなりましたが、愛ちゃん編第7話になります!どうぞ><
「うん!これでよしっと」
現在時刻はAM0:20過ぎ。
夢中に作業してるうちに、いつの間にか日付は変わっていたみたい。
日付が変わった。それはつまり、今はもう2月14日ということ。
「……わっ……もう寝なくちゃ……」
明日も……というかもう今日か。
今日も朝は早いのだ。部活はお休みさせてもらうけど。
なぜなら私は今日、比企谷先輩に告白する。
勝ち目なんかひとつもない告白だけど。
それでも……もしかしたらっていう、万が一っていう、ほんの少しだけの希望にすがって、誰よりも早く、雪ノ下先輩よりも由比ヶ浜先輩よりも、そして……いろはちゃんよりも早くチョコを渡したい。
そんな、ほんの僅かだけの希望にでもすがらなきゃ、先輩に告白するだなんて勇気、意気地なしの私には持てないもん。
だからそのちっぽけな、ひとカケラだけの勇気が持てるように、私は誰よりも早く比企谷先輩に会わなきゃならないんだ!
私は、さっき作り終わって今ラッピングしたばかりのチョコをそっと机に置いて、明日の戦いに備えてもぞもぞと布団に潜り込むのだった。
× × ×
しん……と静まり返った、まだ真っ暗な冬の朝の空気は、普段であれば刺すような痛みを伴うほどに身を凍えさせる辛いものだけれど、今の妙に火照った身体には少しだけ心地好いと感じてしまう。
結局一睡も出来ず、ボーっとぽわぽわしているようでもあり、でも冴え渡っているようでもある私の頭は、緊張のしすぎでちょっと麻痺してるのかもしれない。
「寒っ……」
とはいえ、いくら心地好いなんて言ってみたって、やっぱり寒いものは寒いのだ。早く学校に行こっと。
まぁ学校に着いたって、私は結局のところいつ来るかも分からないあの人を、寒空の下ずっと駐輪場で待ってることになるんだろうけどね……
「えーっと……」
[件名:おはようございます
本文:早朝から失礼します、愛川です。
誠に急で申し訳ないのですが、どうしても外せない急用がありまして、本日の朝練を休ませて頂きたくご連絡させていただきました。
私は葉山先輩のアドレスを知りませんので、お手数ですが葉山先輩にお伝えしておいていただけると助かります。
それではメールより失礼いたしました。]
「これで、よし……?」
ホームで電車を待っているあいだにお休みを伝える準備。
ホントは昨日のうちにしなくちゃだったんだけど、普段あんまり作らないお菓子に悪戦苦闘してるあいだにすっかり忘れちゃってたのだ。
初めて戸部先輩にメールを送るんだけど、なんていうか……あはは、すっごい業務連絡みたいになっちゃったよ……。いくらなんでも固すぎるかな。
でも伝えたいことはホントこれくらいだし、大丈夫だよね?
[追伸…戸部先輩。朝練ガンバってください!]
うん。最後の一文で随分とやわらかくなったよね?
「送信っ」
よし。これで準備は全て整った。
あとは……いざ決戦の地へ……!
× × ×
途中でカイロ替わりに買った、最近お気に入りの黄色と黒の派手な缶のコーヒーを頬っぺに当てつつ目的地に到着っ。
駐輪場で待っているあいだ、私の頭の中には色々な思いが巡ってる。
比企谷先輩との出会い。
文実での悲しい出来事。
体育祭での、ほんの少しだけ救われた気持ち。
いろはちゃんへの告白。
比企谷先輩との再会。
比企谷先輩との二人っきりのお昼休み。
──私は……比企谷先輩が好き。
これはもう、どう考えても覆しようのない事実。
じゃあ……私はこのチョコを先輩に渡して……そのあとは一体どうするんだろう。
このチョコを先輩に差し出せば、その瞬間に私の初恋は終わってしまうだろう。
だって比企谷先輩が大切に想ってるのはたぶん……。
それ以前に、私は先輩にとってのそういう対象でさえ無いしね。
……あまりにも遅すぎた。
臆病な自分を言い訳にして、この気持ちをちゃんと伝えようと動きだすのが。
まだ私と比企谷先輩にはなんの絆も繋がりもない。あるのは再会出来た日と、それから二日間一緒に過ごせたお昼休みの、たった三時間にも満たない短い時間だけ。
もし、勇気を出してもっと早く動きだせていれば、あるいはもう少しだけは希望を見いだせていたのかもしれないけれど……でも、どっちにしたって結局結果は一緒だろうし、今更タラレバにすがったってみっともないだけだ。
私は振られて、それでそのあとどうすればいいのかな。
すぐに諦めはつくのかな?すぐに忘れられるのかな?
それとも……もっと苦しいのかな……?気持ちを伝えたくても伝えることが出来ずに苦しんできた今日までよりも。
そんなことを考えていると、足がどうしようもなく震えてくる。
ゆうべだってそんなことばっかり考えちゃって一睡も出来なかったっていうのに、まだ懲りないのか……私は。
バカだなぁ……私。
だったらまだ告白なんてしなければいいのに……
せっかく仲良くなれたのに……せっかく二日も二人きりで一緒にランチが出来る仲になれたのに……
振られると分かってる今、無理に告白なんてしないでこのままゆっくりと二人の時間を費やして行けば、私と比企谷先輩の間には、確かに絆が生まれるはずなのに……
それなのに私は、その未来の可能性を消しちゃうかもしれないのに、全部壊しちゃうかもしれないのに……それでもやっぱり今日の告白はもう止めることが出来ない。
なんで私はバカだって分かってるのに告白を止めないのかな。
それは、バカだって分かってるけど、なんで止めることが出来ないのかの理由も分かっちゃってるからなんだろう。
──私は、今まで散々自分自身の弱さで手遅れにしてきた。だから、もうこれ以上の手遅れは嫌なんだ。
たぶん、私が告白しようとしまいと、このバレンタインで比企谷先輩の環境は大きく変わるような気がする。
奉仕部のお二方といろはちゃんによって。
そしてその環境の変化への予感が当たってしまったら、私は二度と想いを伝えることさえ出来なくなってしまうだろう。
それだけは絶対に嫌だ……!
私はこれ以上の手遅れに、ただ手をこまねいているだけじゃいられないんだ。
せめてこの想いだけでも伝えたい。たとえ……あの夢のような二日間みたいに、比企谷先輩と二人で笑いあうことが出来なくなったとしても。
私は、私のせいで辛い思いをさせてしまったこの可哀相な想いを見殺しには……もうしたくない……
と、その時心臓がどくんと跳ね上がった。
この場所で待ち始めてどれくらいの時が流れたのだろう。
せっかくの優しさを隠してしまうような気だるそうな目。
朝からとっても面倒くさそうな猫背。
セットとかに一切興味が無いのであろうボサボサの髪。
普通であればそれらの全てがマイナスイメージでしかないはずなのに、恋する私にはそれらの全てが愛おしく感じてしまう。
そんな、愛おしくてたまらない初恋の人の姿が、寒さと不安に震える私の視界に、ついに映ったのだ。
× × ×
「ひ、比企谷先輩っ、おひゃ……おはようございますっ」
どう声を掛けたものか少し迷ったけど、これからとても重要なイベントが待っている以上、そんなことでウダウダしてる場合じゃない。
だから私は、所定の位置なのであろう場所に自転車を停めて鍵を掛けている先輩へと急いで駆け寄り、そのままの勢いで挨拶をした。
……もう先輩とお喋りしててもあんまりトチったり噛んだりはしなくなれたはずなのに、さすがに今日この日の挨拶だけは無理だった……
これは緊張とかのせいじゃなくって、寒空の下1時間以上も待ってた事による口まわりのかじかみのせいだと思いたい。
すると普段では有り得ないのであろう後ろからの突然の挨拶に、比企谷先輩がすっごくビクゥッとしたのが窺えた。
あわわ……!ビックリさせちゃったかなっ……
「と、突然声かけちゃってスミマセン!驚かせちゃいましたか……?」
「あ、やー……別に大丈夫っす……。えと……ん?だ、誰……?」
…………え、嘘……?
比企谷先輩が最後にボソリと付け加えた呟きに頭が真っ白になった。
いろはちゃんに紹介してもらえた水曜日。
抜け駆けして二人で過ごせた木曜日。
そして、その二日間の経験を経てとっても楽しく過ごせた金曜日。
私にしては頑張れたって思ってたのに、まだ記憶に留めておいてもらえる程の存在じゃなかったのかな……
「あ、あの……その……」
視界が滲み始めた。
だ、ダメでしょ愛……!そんなの、覚えてもらえてない程度のことしか出来なかった私が悪いんだから!
それならそれで、もう一度名乗って告白すればいいだけの話じゃない……
それは分かってるんだけど……なんだかスタートから心が折れちゃいそう……
「あ、スマン愛川か……!あー、アレだ。お前普段なんつーの?サイドポニーっつうの?片側に髪まとめてんのに今はおろしてるから、一瞬誰かと思っちまったわ」
「……へ?」
…………はぁ〜……ビックリしたぁ……そういうことかぁ……
なんだか安心して全身の力が抜けてフニャッとしちゃってるのがよく分かる。
うー……良かったよぉ……で、でもっ……
「ひ、酷いですよ比企谷先輩……髪型違うだけで誰?だなんて〜……」
「いやマジでスマン。普段朝から声を掛けられること自体無いから、少し焦っちまったのかもしれん」
もぉっ!
……ま、まぁ女の子は髪型ひとつで印象全然違っちゃうしね。
でも私は酷いとか言いながらも心の中ではホントに安心してて、思わず笑顔になってしまいそうになる。
「えっとですね、私普段はおろしてるんですけど、マネージャーのお仕事がある日は、邪魔になっちゃうんで朝からずっとまとめてるんですよ」
「あー、そういうことか。……じゃあ今日はサッカー部が休みってことなのか」
「あ、違くて……その、今日は朝練を休ませて貰ったんです」
「あ、そうなの?どうした、どっか体調でも悪いのか」
「わわわっ……いえいえ大丈夫ですっ!ちょっと用事があったんでっ」
「ほーん」
……えへへ、やっぱり比企谷先輩は優しいな。
ちょっと部活を休んだって言ったくらいで、すぐさま体調の心配をしてくれるなんて。
ふぁぁ……一時はどうなる事かと思ったけど、このやりとりのおかげで緊張が吹き飛んでくれた。
比企谷先輩が私が誰か分からなかったおかげで助かったなんて……ふふっ、なんだか複雑っ。
「てかなんか用事あったっつーんなら、こんなとこで俺と喋ってて大丈夫なのか?……あ、もう時間も時間だし、用事が済んでたまたまここに居たらたまたま俺が通ったってとこか」
「……」
一瞬だけ解けた緊張が、先輩のそのセリフでまた私の心に襲い掛かってくる。
「……いいえ、違いますよ? 用事は、まだ済んでないんです」
でも……また襲い掛かってきた緊張なんてもう知らない。
私はもう止まらない。
「あ、そうなの? んじゃあ俺はこれで…」
「私の用事というのは、今まさに行われている最中なんです」
「……は?」
「だって……私は比企谷先輩に用事があったんですから」
なんだろう?おかしいな。
これから告白しようとしてるのに……また襲ってきた緊張で足が震えてるっていうのに、なんで私はこんなにも落ち着いてるのかな。
それは……一旦緊張の糸が切れちゃったからなのかも知れない。
それとも、集中しすぎてゾーンってやつに突入しちゃったのかな。
分からない……分からないけど、それならそれで好都合でしかない。
告白しながら泣いちゃったりとかするのかな?なんてちょっと心配だったから、そんなみっともない事にならなくて済みそうで助かっちゃった!……かもっ。
うん。手も足も震えてるけど大丈夫!頭は冴え渡ってる!
いくぞ!愛!
そして私は鞄から可愛くラッピングしたひとつの包みを取り出し、両手を添えて先輩へと差し出した。
「……比企谷先輩……私は、文化祭実行委員で先輩と出会えて本当に良かった。あの時はホントに色んな事があったけど、この人凄いなって……すごく格好良いな、って思ってました。実行委員が終わって会えなくなっちゃいましたけど、もうお話出来なくなっちゃいましたけど……でも……ずっとあなたのことを忘れられませんでした……ずっとあなたのことを考えてばかりでした。…………ずっと、あなたのことが好きでした…………………チョコ、受け取っていただけますか……?」
続く
しつこいようですが本当に遅くなりました(汗)
危うくひと月くらい開いちゃうトコだった(・ω・;)次はもうちょっと早く更新します(白目)
というワケで、愛ちゃん編もようやく終盤です。早ければあと2〜3話というところですかね。
愛ちゃん編はあまり盛り上がってない事は重々承知しておりますが、それでも自分で書き始めた責任として最後までしつこく書き続けますので、もう愛ちゃんはいいから他の書けやボケとか言わないでね☆