――――ブリュンヒルデ。
別名、白騎士。
IS開発初期に多発した事件を数多く解決してきたこの世界でいう童話に出てくるヒーロー。
現在はIS学園所属の教師となっている。
そして、その教え子に自分の弟も存在している。
――――貴様はただの凡人に過ぎない。
ISの適正と技術が頭一つ飛び抜けてるだけ。
――――貴様に力などない。
――――あるのはただの傲慢だ。
白騎士が数百のミサイルを撃墜したあの軍事事件。
あれからISの存在価値が変化した。
半端な力を持つ為に、軍事転用にシフトチェンジしてしまった。
完璧な兵器として最初から作られるのならまだ良かった。
――――ISに力などない。
――――所詮は子供の玩具だ。
そう、子供の玩具。
扱う者も、作った者も。
全て玩具にしか過ぎない。
「貴様たちの言う通りだ」
織斑千冬は殺意を宿した瞳で私をその瞳に写す。
「私に力はない」
――――理解していて何故その過ぎた玩具を捨てない?
「しかし、この玩具で大切な奴を守れたのも事実だ」
織斑千冬。
この人間を少し舐めていた。
人間は自らの意思で進むことを諦めている。
「だから、私はこの玩具を捨てられない」
「私の身の丈にあった最高の玩具だからな」
しかし、この人間はどうやら違うようだ。
いいだろう。
――――成る程な。
ここで殺すのは惜しい存在だ。
この人間は未来に必要な存在だ。
――――ならば貴様の出した答えをここで証明してくれ。
「ああ、そうさせてもらうさ」
織斑千冬の武器は雪片のみ。
これが、彼女の覚悟。
――――流石は日本人だな。
ならば、その流儀に乗る。
私は装備を粒子化させる。
そして、新たにブレードを呼び出す。
《アセンブル》
Nineball-Seraph:Another統一。
左右腕武器:LS-99-MOONLIGHT
「レーザーブレードか」
――――如何にも。さあ戦おう。
織斑千冬。
だだの凡人。
しかし、その意志、覚悟は称賛に値する。
「悪いが、不出来な弟が腹を空かせて待っているのでな」
――――あぁ、織斑一夏のことか。
「最初から全力で行かせてもらう」
瞬間。
織斑千冬の姿がぶれる。
後方から雪片による斬撃が他の連中とは比べられないほどの速度で襲いかかる。
速度はそこそこ。
しかし、遅い。
――――甘い。
月光で雪片をいなす。
月光では防御など到底不可能だが。斬撃を斬撃で瞬時に相殺、或いは反らすことは簡単にできる。
「チッ………」
――――どうした。
「いや……な、久々に勝ちたいと心の底から感じてな」
織斑千冬はニヤリと笑う。
――――そうか。なら全力で掛かってこい。
「言われなくとも」
斬撃。
斬撃。
斬撃。
全て相殺するように斬撃を放つ。
「流石………だな」
――――では、こちらから行かせてもらうぞ。
両腕の月光を振るい、織斑千冬に斬りかかる。
全ての斬撃一撃一撃が重く、威力がある。
それを織斑千冬はギリギリで避け反撃を狙う。
「なかなか隙が出来ないな」
――――生憎と隙を見せるほど私は甘くないのでな。
「それは同意するよ」
織斑千冬は苦笑しながら反撃に転じる。
とても鋭い斬撃。
月光と正面から衝突しお互いに後方に勢いよく下がる。
――――とても不愉快だが
私は月光を構えつつ、呟く。
――――貴様との戦闘はとても充実していると感じた。
生まれ落ちて、初めての感覚。
「それは私もだ」
雪片を構え、笑みを深める。
やはり、人間は素晴らしい。
「貴様には効くかわからないが」
雪片の形が変化する。
零落白夜。
それは諸刃の剣。
己のエネルギーを糧に、相手のエネルギーを喰らい潰す。
面白い。
「これが、私の全力で、最後の一撃だ」
――――なら私も全力で迎え撃とう。
月光に光が集束していく。
通常の約2倍の輝きを放つ。
「行くぞ」
――――掛かってこい。
零落白夜を構え、織斑千冬は今までの速度を越える速さで真っ直ぐに向かってくる。
それに、対して私は月光を振るう。
放たれるのは、光の刃。
真っ直ぐ、織斑千冬にぶつかる。
「うおおおおおおおお!!!!」
そして――――――――。
「くそっ……」
そこには仰向けに倒れる織斑千冬が残っていた。
あの後、零落白夜は押し負けた。
目の前が光で包まれ、私は意識を手放した。
目が覚めると、そこはIS学園直属の病院だった。
私は助かったのだ。