私は、あの研究所で行われていたことを思い出すことが出来ない。
4号や6号は薄く覚えているようだが、私にはその記憶だけゴッソリ削り落ちているかのようにない。
そもそも、何故私はこの組織に属しているのだ………?
私の存在理由はなんだ。
私の戦う理由はなんだ。
私は一体………?
いつも得体の知れない恐怖が付きまとう。
<戦いはいい。私には戦いが必要だ>
戦場に出れば敵を殺し尽くすという存在理由を見いだせる。
戦場に出れば私の存在理由を証明することができる。
それだけが、心を安定させられる唯一の拠り所だった。
《そうだねぇー》
4号………。
いつも、狂った道化のような態度で味方にすら考えを明かさない奴。
《でもさーぁー、それって革命が終わったあとはどうなのかな?》
<………何が言いたい>
《お前の存在理由が無くなるのにそんな悠長にしてていいのかって言いたいんだよー》
<………………>
《ありゃりゃ、怒っちゃった?》
<何、革命が終われば私は消える。役目などないからな>
《あ、そう?》
わざわざこいつの掌で踊る趣味もない。
答える義理などない。
<貴様こそ、どうなんだ>
《俺?俺はねえ》
4号はそこで区切り、宙を見つめる。
《人間の可能性を見守りたいんだ》
………驚いた。
こいつがそんな事を考えている等とは微塵も考えていなかった。
《前回のカナダ襲撃あっただろう?あれで気付いちゃったんだよねー》
<………この前話してたIS乗りのことか>
《そうそう、そいつのこと》
4号が殺したIS乗り。
切に人類の平穏を祈っていた少女。
彼女とこいつが何を話していた内容は一切知らない。
こいつ自身、話す気が無いのだろう。
《そいつが言ってた人類の平穏とやらを俺は見てみたいんだ》
<………ほう>
《ありゃ、興味無さげ?まぁ別にいいけど》
おどけているが真剣な眼差しと言うことには代わりない。
《だから、俺は恐らく、革命の後この組織を抜ける》
<好きにしろ………>
俺の知ったことじゃない。
<俺が止める理由もない>
《そうかい》
4号はケラケラ笑う。
《お前が何に恐れてるかは知らないけど、存在理由なんて後々着いてくるものだ》
<………>
《お前は傀儡で終わるのか?》
<俺は………>
《いつまで足踏みしてるんだ》
4号はケラケラ笑い、立ち去ろうとする。
<貴様の言う通りだな。俺は足踏みをしてただけだ>
何を恐れる必要があったのか。
何を祈る必要があったのか。
《ならお前は何をする?》
<俺には大層な目標も目的も何もない>
しかし、それの何が悪い。
<なら、俺は>
《どうするんだ?》
<理不尽に生き、理不尽に死ぬ>
<それが私だ>
<私は死神だから>
<言葉など不要>
<好きに生き好きに死ぬ>
<ただそれだけ>
そう、私は死神。
恐れることなど何もない。
この身を濡らす雨と共に、さぁ革命を始めよう。