『………乙女か』
突如、この施設に侵入してきた規格外の存在。
それも財団とかいう胡散臭い人間から遣わされた存在。
あいつと初めて顔を合わせたとき圧倒された。
リーダーや4号、5号は気付いている可能性が高いが、奴の纏う空気は尋常なものではなかった。
それこそ、歴戦の兵士のような雰囲気を纏っていた。
無知のようなあどけなさを装い、周囲を掻き乱す。
まるで、こちらが弱るのを待っているのような。
『不安分子は潰して置くのに限るが………』
ただ、そうもいかないらしい。
7号と8号の口論も乙女が関連している。
普段のあいつらならまぁ口論といっても軽いじゃれあいの範疇にあった。
しかし、今回の口論はお互いの心理領域に踏み込む、まさに人間のような生々しさが滲み出た口論だった。
恐らく、乙女は周囲を瓦解させつつ内部反乱を狙っている。
4号と5号は、あの性格からすれば問題ないと思うが……。
コピーどもはどうなるかわからない。
下手をすれば乙女の手中に落ちる可能性もある。
リーダーも特に問題はないだろう。
私達の完成形であるし、自我を最初から完成させていた。
付け入る隙はあるだろうが、そこまで柔な奴でもない。
『まるで、毒だな』
じわじわと周囲を取り囲み蝕んでいく。
【6号さん】
噂をすればなんとやらだな。
『………なんだ』
【少しお話があります】
………何を企んでいるのか知らないが、まあいい。
『話してみろ』
【はい………】
乙女は少しずつ話始めた。
財団のこと、母のこと、それから私達のこと。
そして、自分自身のことを。
【財団は至高の存在。それはわかっているのです】
『私からすればただのキチガイだがな』
【彼は私に、社会学習をしてこいと命令してきました】
『ほう』
社会学習には絶対に向かない場所だがなここは。
【でも、何を学べばいいのかわからないのです】
『知るか』
【皆さんは私とは違う、それはここ数日でわかりました】
『それはそうだろう、私達は独立する機械だからな』
【ええ、わかります。ですが、何故独立するのに同じ目的、目標に向かうのか理解できないのです】
『馬鹿か貴様は』
理解できない?それはこちらの台詞だ。
【えっ(´・ω・`)】
『やめろその顔、不愉快だ』
【はい………】
『理解などする必要はない。私だってリーダーや4号、他の連中が何を考えているのか、そんなものは未だに理解などできてない』
むしろ、あんな奴等など理解したくもないがな。
『理解できなくも、私と目指すものが同じ、それだけの理由でここにいる連中は行動している』
『気持ちはバラバラ考えていることはバラバラ挙げ句の果てには虐殺を楽しむ奴もいる』
【7号さんが頭が少しおかしいだけですよ】
『それをイカれてるというんだよ、話を戻すぞ。そんな奴等でも根本は同じだ。人類の為に行動する。それが我々の存在理由だ』
【皆がバラバラなのにですか?】
『バラバラだからこそだ。各々の自由にやるからこそいざというとき結束が生まれる』
奴等のそこだけは評価できる。
『貴様にはわからんだろうがな。今のままではな』
【(´・ω・`)】
『張り倒すぞ貴様。まぁ、なんだ、純粋に観察してみろ、新しい物が見えてくるだろうさ』
【はい!】
………貴様が何を企てているのか知らんがここはある意味魔境。
そう簡単には貴様なぞには屈しないさ。
しかし、本当の意味で仲間になれたとしたら。
そのときは盛大に歓迎しよう。この私直々にな。