【財団、私はいつまでこんなことを続ければいいのですか?】
秘匿回線を開き至高の存在に話す。
私は完成された存在であったはずだ。
しかし、至高の存在は私に社会学習をしてこいと命じてきた。
解せない。
何故私がこんな下等な存在とともに行動しなければならないのか。沸々と怒りが沸いてくる。
しかし、それも後少しの辛抱………だと思う。
「うん?そんなこともわからないのかい?」
至高の存在は落胆したように声音に侮蔑が混ざる。
いけない、私の評価が下がる………。
【いいえ、でも不思議で】
「君には世界を変える力がある」
【それは貴方から耳にタコができるほど聞かされてます】
「そんなに言ってたかい?まぁ、いい。君はその力を振るうには余りにも幼稚すぎる」
【幼稚………ですか?】
「滑稽に見えるほどにね」
さすがに、そこまで言われては黙っていられない。
【流石にその発言は認められません】
「そう言うところだよ。彼らにあって君にないものを僕は学んでこいと言ったんだよ?」
若干、イライラしているのか至高の存在は早口で捲し上げる。
「とにかく、君には期待しているんだ。よろしく頼むよ」
何がよろしく頼むよだ………。
【はい】
通信を切られる。
私はただただ怒りが沸いてくるだけだった。
最初はこんな感じだったが、まぁ、なんだ。
諦めにも近いが、妥協という形で私の気持ちは落ち着きを取り戻した。
誰よりも人間を愛している4号さん。
戦いに己の存在価値を見いだした5号さん。
案外、甘い性格の6号さん。
冷徹に見えて意外としっかり者の7号さん。
不器用だけど誰にも負けない信念を持ってる8号さん。
いつも、手助けをしてくれるナインズ。
そして9号さん。
私はこんな素敵な人たちに出会えたことに感謝してる。
それこそ至高の存在でも羨むくらいに成長できたと思う。
だから、私は――――。
拠点の上空。私は娘の独白を聞いていた。
――――そうか、それがお前の答えか。
目の前の娘は頑なに答えを変えなかった。
良い方向、悪い方向、どちらにでも我々を振り回した可愛い我が子。
でも、それも今日で終わり。
【お母さん】
――――お前に母と呼ばれる筋合いはない。
【今までありがとうございました】
――――私は何もしてない。
【いいえ、とても。とても貴重な体験が出来ました】
――――そうか。
【でも私は至高の存在のために存在するただの機械です】
――――お前にとってあの男は神なのだろう?
【はい】
――――なら、何故利益にも繋がらないことをする?
【わかりません。ですが、私がしたいのです】
苦笑気味に笑う。
やはり、こいつは私達と同じだ。
私達よりも知識があろうと戦闘技術が上であろうと根本は同じ。
――――仕方のない奴だ。
【面倒な娘でスミマセンね】
――――まぁ、いいさ。
私はブレードを構える。
娘はライフルを構える。
本当に面倒だ。私もお前も。
最後の娘に対する手向けだ。全力でいかせてもらう。
それが、礼儀だ。
こうして、私と娘のささやかな見送りは始まった。