小型オービットを飛ばし威嚇しつつ制空権を奪い取る。
ナインズの設計したあの機体は空中を舞うように動き相手を撹乱し確実に攻撃を叩き込んでくる。
なかなか処かかなり厄介な機体性能をしていてブースターによる移動がかなり早い。それに加えて抜群の戦闘技術に戦闘センス。相手にしたくないタイプだ。
[オービットを展開しても無駄です]
乙女はそう告げフレアでオービットを迎撃する。
それも高速移動を行いながらだ。
――――無駄ではないさ。
こちらもブーストを吹かせ、追従する。
KARASAWAを打ち、更に垂直型ミサイルを打ち込む。
軌道が不規則なら規則性を無理矢理持たせればよい。
オービットで威嚇しつつ徐々に動きを絞っていく。
しかし、相手も流石で何を狙っているのか勘づいたようだ。
[お母さんが狙っていることはお見通しです]
乙女はライフルをパージし、新に装備を纏う。
ブレード系に切り替えてくる。片手は小型ガトリングガン。
接近戦か。
――――残念だが、近接戦闘なら負ける気がしない。
月光を展開し、クイックブーストで隙をうかがう。オービットによる牽制も行いながらだ。
[それは私も同じです]
オービットの1つが墜ちる。
ブレードの餌食になったか………。
[私はお母さんを根本に造られました。戦術もお見通しです]
どこか誇らしげに乙女は言う。
――――なら戦術などかなぐり捨てた戦いをしよう。
本物の殺し合いをやろうじゃないか。
【ッ!?】
純粋な殺気を当てる。
まだまだお子ちゃまな乙女は一瞬動きが鈍る。
そこに月光を叩き込むが、プライマルアーマーに威力を殺される。
しかし、そんなことはわかっている。
なら、一点集中、突破だ。
月光をパージ。
武装を選択。
[な、何ですかその武器は!?]
それは武器と呼ぶには武骨すぎた。
しかし、その反面、どこか統制のとれた形をしている。
超大射突型ブレード。
―――ん?これか?これはなぁ。
思わず笑みが零れる。
ここまで素晴らしい反応をされると素直に嬉しい。
―――優秀なナインズが私の要望に忠実に従い作り上げてくれたものさ。
≪あれを作れと言われたときは正気を疑いました≫
《いいねぇ!禍々しいよあれ!》
<面妖な>
『……まるで話にならんな』
〔………趣味が悪ぃな〕
【………同意です】
共通回線から各々の感想が述べられる。
………………。
[わ、私は良いと思いますよ!]
――――うるさい黙れ!このブレードの威力を見たら馬鹿にしている阿呆どもをギャフンと言わせてやる!
これでは赤っ恥ではないか。何がなんてもぶつけてやる。
超大射突型ブレードの薬莢を充填させる。エネルギー源は勿論粒子だ。
普通の射突型ブレードは簡単な爆発で杭を打ち出すという簡素な物だが、この射突型ブレードは違う。
まず、薬莢内で粒子による小規模爆破を起こし、その爆発を粒子で包み込み爆発時に発生したエネルギーを貯めておく。
それを連続して行う。
その後ブレードを射突させ対象を攻撃する。
薬莢はリボルバー式となっていて計6つある。
射程距離は10メートル前後。
試し撃ちをしていないから威力はわからないが粒子を使った攻撃だ。
恐らく強力な武器のはずだ。
とりあえず、乙女の動きを止める。
そしてこいつを叩き込む。
乙女は相変わらず、変則的な動きでオービットを撃墜しようとしている。
オービットを操り、徐々に射程圏内へと誘導させる。
乙女の動きは目の前のオービットを中心に攻撃をしようとしている。
ならば、それを利用してやろう。
射程圏内に入ればこちらのものだ。
私は形態を高速戦闘スタイルに変更させ乙女に当たらないようにミサイルを撃ち込みつつ更にオービットをばらまく。
数が多ければ多いほど制御が困難だが、それは人力での話。
私の演算システム、制御システムにかかれば赤子の手を捻るが如く操ることができる。
いつまで足掻けるかな………?
徐々に射程範囲内に近づいてくる乙女。
動きは以前速いままだが、それでもパターン化されつつある。
――――オービットに手を焼いているのか?
[そんなまさか、戯れてるだけですよ]
言葉とは裏腹に乙女の回避は徐々にギリギリになっている。
仕掛けるのならそろそろだ。
既にエネルギーは満タンである。
一瞬だけ動きを止める。
[今ですっ!!]
乙女がオービットから目標を変え、突撃してくる。
――――言ったろう?私は近接格闘が得意とな。
ブレードを射突。
その瞬間、轟音どころか爆音が響き渡った。
続くのが衝撃。
【ッッッ!!!!?】
乙女の体に杭が突き刺さっていた。
それだけではない。
貫かれたところから20センチをまるで、抉り取られたかのような穴が空いていた。
――――威力、スピード、文句なしの逸品だな。
杭が元の鞘に収まる化のように戻ってくる。
乙女は現状がわからないようで、身動きひとつ取らない。
私達は苦痛を感じない。しかし、それにより動けなくなるということにとてつもない違和感や負のイメージを抱く。
乙女は初めてその感覚に陥っているのだろう。
【………………】
ふむ、食らった感想を聞きたかったのだがな。
これでは無理か。
――――ナインズ、こいつを修理してやれ。
「その必要はないよ」
背後から聞こえる声。
………………いつもながら気味の悪いやつだ。
数機のヘリを従え、財団が立っていた。
「この子は僕が回収する。そういう契約だろう?」
――――そうだったな。
「とてもいい経験を積ませて貰ったよ。ありがとう」
心から思ってもいないことを平然と言えるな。
「この戦闘データを元にこの子はさらに成長する」
――――そうか。
「そして、僕の理想に近づく」
財団はそう呟き、撤収指示を出す。
「あ、そうそう。乙女には次の革命に参加してもらうから。そこのところよろしく」
―――把握した。
「それじゃあ、また」
財団は乙女を担ぎ上げるとヘリに乗り空へ消えていった。
「これで、布石は揃った」
冷酷な男は愉悦に歪む顔で人知れず嗤った。