≪オペレーション確認≫
≪殲滅開始≫
「次から次へときりがない………!」
どちらも疲労困憊。
片方の嬢ちゃんは気を失っている。
さらにシールドエネルギーはほぼ底を尽き掛けている。
反対に、UNISは増加する一方。潰しても潰しても次から次へと沸いて出てくる。
まさに将棋でいう詰みだ。
いつ倒れてもおかしくない。
「手こずっているようだな」
見てられんよ。ヒヨコ共の戦いはな。
「手を貸そう」
経験の差を教えてやるとしよう。
それでもって機械ごときに負けるほど人類は落ちぶれてはいないということを容量の少ないそのイカれたメモリに叩き込んでやろうじゃないか。
ここに一羽の鴉が舞い降りた。
薄暗く、機械という機械がごった返した部屋で話し声が聞こえる。
「都市部の6割が破棄。いい傾向だね」
「そーだね。まぁ束さんと君の力があればこんなものでしょ?」
「けど、いいのかい?」
「んー?何がー?」
「例の子のことだよ」
「別にいいよ。だってこれも可愛い可愛いあの子のためだもん」
「丸で鬼だね」
「それはこっちの台詞」
「まぁ、そろそろだよ」
「そーだね」
天災と裁定者は歪んだ笑みを浮かべ、目の前で眠る少女を見つめた。
――――UNISの反応が消えた。
《それってヤバくなーい?》
――――あぁ、ヤバイな。しかしだ。
それは人類の可能性が現れたということだ。
我々が待ち望んだ存在。それもとびきりのだ。
――――ここからが本当の革命になる。
そう、茶番は終わりだ。
《………了解、そんじゃあいつらを呼んでくるよ》
――――頼んだ。
動き出した時間は止まらない。
その速度は下り坂を降るかのような速度で。
もう、誰にも止められはしないのだ。
「す、すげぇ」
あれだけ暴れていたUNISをたった数分で全て撃墜させた目の前の男。
身に付けている物はISと酷似しているがてんで違うものだ。
まず、エネルギーシールドが存在しない。その代わりよくわからない粒子を纏っている。
武装も現代兵器を模した物が多い。
機体の色はは統一された黒。
形はどことなく、熾天使に似ている………。
そして、彼の首に付いている≪首輪≫。
そこにはコードが幾つか機体本体と繋がっている。
「ジロジロと人を見るな」
「ご、ごめんなさい」
とても、冷淡な声音だった。
でもどこか温かみのあるような………。
≪おい、何をグズグズしている≫
「少し休んでただけだ」
≪目標はまだ残ってるぞ≫
何処からか声が響く。
「わーってる」
≪面倒な仕事なのはわかるが気合いを入れろ≫
「あいよ、通信を切るからな」
彼は心底めんどくさそうな顔をし、ため息をついた。
「まぁ、なんだ少年。お前はまだ伸びしろがあるから頑張れ」
適当なことを言っている………。そうとしか思えない。
「そこの嬢ちゃんを連れて避難しとけよ」
目の前の彼は不器用にウインクをしながら言葉を紡ぐ。
「ここからは俺達大人の仕事だからな」
そう言い、彼はブースターを吹かせ整備室から飛び出していった。
あの少年と嬢ちゃんはこれからの世界に必要な人材だ。
ましてや高校生。
ISの存在しなくなった世界を維持していくためにも必要な存在だ。
そんな彼らをここで失わせるわけにはいかない。
こんな泥沼な戦で命を散らせるのは年老いた老兵だけで十分だ。
≪貴様、録でもないことを考えているな?≫
「バレバレかよ」
≪無駄なことを考えるより生き抜くことを考えろ≫
相変わらず、言ってることは変わってねーでやんの。
長い付き合いだが、彼女の言っていることは正しい。
だからこそ、その意味を理解しなければならない。
ただ、それが俺の出した答えに当てはまるのかは別としてだ。
何のために戦うのか?
その答えは、どこにある?
その答えに準じろ。
戦う理由なんて、どうでもいい。
俺は、明日を、未来を繋げればそれで満足だ。
「奴さんのお出ましだな」
目の前に展開する、UNIS部隊を見つめる。
相変わらず気味の悪い機械だこと………。
目視だけで十数機。
≪ブリーフィング通りだ。やれるな≫
相棒、それは野暮な質問だ。
「当たり前だ。俺を誰だと思ってる?」
片手にブレードを、片手にライフルを。
狩人は、静かに構える。
「独立傭兵≪Raven≫の≪首輪付き≫だ」
さぁ、楽しい愉しい時間の始まりだ。
遅くなってすまない。
騙して悪いが
キューちゃんだけが主人公と言ったな。
あれは嘘だ。