気が付いたら腕が宙を舞っていた。
遅れてやってくる激痛。
「ぐあぁぁあぁぁぁぁあ!!!!」
意識が飛びそうなほど今まで体験したことのない痛みが襲いかかってくる。
それでも意識を手離さない。いや手離せない。
目の前にいる少女の殺意の籠った瞳をみて、手離せなくなった。
何故こうなった。
何故だ。
何故なんだ。
自問を繰り返す。
しかし答えは見つからない。
それもそうだろう。
答えはいつも後からついてくる。
≪あいつはもうダメだな≫
アホみたいな速度で攻撃してくる四脚型の攻撃を避ける中、セレンが溜め息混じりにそう呟いた。
≪今まで色々な傭兵や兵士を見てきたがあれはもう助からない≫
答えてる余裕などない。
ただ、沈黙で答えるしかない。
≪あいつの目はもう死んでいる≫
セレンの言葉の通りだった。一夏の瞳にはもう光がない。絶望に染まり死を受け入れるただの木偶の坊に成り果てている。
おまけに相手も相手だ。
見事なまでに殺意をコントロールしている。
一体何が彼女をここまで追い詰めたのか知りたくなってくる程だ。
≪だから言っただろう。生きるという意味を履き違えた奴が
甘ったれた奴は取り巻く環境の変化に適応できない。
ましてやそこが命のやり取りをする場所であるなら尚更。
ずる賢く、他者を踏み台に、卑怯に、冷徹かつ冷血に、全てを利用し食い潰す精神を持たねばならない。
そう、この場にいる
「………」
セレンの言うことは最もだ。
戦場では常に死が付き纏う。情が死を産み出す。
俺は、間違っていたのかもしれないな。
ただ、遊びのように少年に期待を持たせた。
なんの実力も覚悟もない者をこの薄汚れた世界へ招き込んでしまった。
罪や罰なら俺が受けるべきだろう。
だが
「ここではまだ死ねない」
まだ、やることが残ってる。
-Assemble-
頭:WHITE-GLINT/HEAD
胴:WHITE-GLINT/CORE
腕:WHITE-GLINT/ARMS
脚:WHITE-GLINT/LEGS
右腕:051ANNR
左腕:063ANAR
左右背:SALINE05
〔………〕
データ解析完了。
assembleデータ、WHITE-GLINT
これが彼の言っていた、特殊兵器。
神々しいの一言だ。
だが、その反面、どこか禍々しい印象がある。
この感じは、どこかで………?
≪その反応は間違いじゃないよ≫
至高のお方が否定なさる。
≪あの忌々しい兵器は私と博士の産物だからね≫
≪キミの母親、九号がいるだろう?本当はあの兵器に乗り移る筈だったんだよ≫
しかし、その段階に至る前に襲撃を受けたと。
≪そう言うことさ。あぁ忌々しい≫
至高のお方は舌打ちと共にそう吐き捨てる。
≪あの兵器のデータを見ただろう?今のキミじゃ勝てない。だから出来る限りダメージを与えろ≫
そう言うと至高のお方は通信を切りました。
………忌々しい。
ここで、沈められないのが苦痛の何者でもないが、指示は完璧にこなさなければ。
乙女は武器を構えた。
まさかのワンサマー持ち越し。
もちっとだけ続くんじゃ。