そもそもが間違っていた。
イレギュラーという存在。
君じゃ勝てない。
この言葉の重みをもっと深く理解するべきだった。
片腕は損傷により強制パージし、残り弾数も残り数発。
スラスターは黒煙を上げている。
目の前
完全に詰みだ。打開策などどこにもない。
「機械が人を超えることなどできない」
目の前の人間はライフルの銃口をこちらに向けながらそう呟く。
「機械は人間に管理されることが世の常だ」
〈……それが世の常なら私たちがその世を塗り替えてみせる〉
「私たち…?」
〈………〉
これ以上言う必要はない。今は感情を抑える。ここで感情を露わに喋り続ければ、私だけでなく至高のお方の考えているシナリオにまで影響が出てしまう。
「これ以上話さないってか」
人間のトリガーにかける力が入るのを確認する。
どうやらここまでのようだ。
さようなら、至高のお方、お母さん。
人類に黄金の時代のあらんことを………。
ライフルが火を噴き、体を銃弾が蹂躙してくる。
痛みなどない、ただ破壊される。
そう思考回路が認識しただけだ。
終わりは呆気ないのだろう。
乙女が最後に考えたことは「最後にもう一度だけあの場所で過ごしたかった」ということだけだった。
「……乙女が完敗で終わったか」
乙女の撃墜をアラートで確認する。
確認するだけだが。
もともと期待などしていなかった。
とにかく今は、目の前の下等生物の滅殺が優先事項だ。
「惨たらしく死ね」
ブレードを振い、四肢を斬りおとす。
二度とこの場に戻ってこれないように、心に深く抉る様に傷をつける。
「やってくれるじゃねぇか嬢ちゃん」
「………」
少年のもとについた時にはもう遅かった。
四肢は斬りおとし再生を警戒してか、四肢を砕きただの肉塊になっていた。
ただ救いなのは、失血によるショック死をしていないところだ。
腐ってもIS、人命に対する処置は完璧だ。
「貴様もいずれこうなる、首を洗って待っていろ」
吐き捨てるように少女は憎しみを込め言い、戦場を後にした。
≪こいつはもうだめだ。肉体はどうにか元に戻る、しかし精神はもう元に戻らない≫
セレンの声には何の感情も感じられない、無理やり感情を押し殺しているのだろう。
こうでもしなければ、やりきれないのだろう。
俺だってそうだ。
割り切らないと心が押しつぶされる。
「好きに生きて好きに死ぬ。それがこいつの場合はここだっただけだ」
あと何度心を殺さなければならないのか………。
首輪付きは少年を抱え、拠点へ戻る。
首輪に繋がれたケモノはただ静かに、心の中で、涙を流した。
ワンサマー退場!皆様盛大なる拍手をお願いします!(私はしないがな)