妖怪アパートの不思議な日常   作:トナカイさん

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続き読んでみたいという方から感想きましたので久しぶりに書いてみました。
相変わらず、下手な文章+短くてすみません。
まだ不動産屋にもつけないとは。



第一話。邂逅

入寮するはずだった建物が火災で全焼した、と知らされたのは合格発表の2日後だった。

 

「おい、ちょっとこっちに来い」

 

施設の職員に呼ばれ、事務室に入った俺に突きつけられたのは、入寮予定だった高校の寮が火災で全焼したという知らせだった。

 

 

「は? ……寮が、か……かかか、火事⁇」

 

「ああ、全焼という話しだ」

 

話しだ、話しだ、話しだ……職員の声が頭の中でこだました。

頭の中は真っ白になった。なんで? どうして……。

全焼した、その言葉は理解できても、その現実は受け入れたくない。そんな感覚だった。

 

「建物を建て直すのに半年はかかるって話しだ。まあ……それまでは仕方ない。ここに置いてやる。何時もの通り、こき使ってやっから覚悟しとけよ?

わかったらさっさと仕事に戻れ」

 

話しは終わりだとばかり、に手を払う仕草をしてくる。

仕事というのはここの施設の雑務のことだ。

人手不足で職員の手が回らない仕事を俺は変わりにやらされていた。

バイト代は一応出るが、手元に渡されるのは月に1000円だけ。お小遣いという扱いだ。

後は貯金という名目で全て管理される。

施設では自由に金は使えない。

徹底的に管理される。

これが俺が施設から出たい理由その1だ。

 

「ま、待ってください! 俺……なんとかしてみせます‼︎」

 

なんとかってどうするんだ? と自分でも思ったが、これ以上施設で過ごしたくはなかった。

やっと一人になれるはずだったのに。

もう、誰も巻き込みたくないのに!

 

「なんとかって……中坊がなんとかできるはずないだろう。世間を甘くみるな!

お前みたいな子供に何が出来る?」

 

「子供でもなんとかしてみせます! 俺、アパート探します!」

 

預けてあるお金さえ返してもらえればアパートくらい借りられる!

そしたら、バイトしながら学生時代を過ごせばいい。昼は学校、夜はバイト。

ほら、簡単だろう?

 

「相変わらず口だけは達者な餓鬼だなぁ。お前みたいな餓鬼に物件を貸してくれる不動産屋があるわけないだろう?」

 

呆れ気味に溜息を吐きながら告げる職員のおっさん。

名前は確か……子守とか言ったな。

 

「そんなのわからないじゃないですか! とりあえず、俺、片っ端に不動産屋巡ってみます」

 

そう言って事務室を飛び出した。

チキショウ。なんたってこんなことに……!

 

「あ、おいおい。……物件ならいいとこがあるんだけどな。一応、佐藤さんと前田のおっさんには知らせておくか」

 

この時の俺は自分のことで精一杯だった。周りなんか何も見えていなかった。

だから知らなかった。自分を近くで見守っていてくれた人がいたことも。

俺が受けていたのはただの暴力なんかじゃなく、俺のことを思ってしていてくれた愛情だったということも。

家族を失った絶望により捻くれていた当時の俺には理解できていなかったんだ。

 

 

 

 

「どうしよう……」

 

気付いたら電車に乗っていた。それは、条東商業高校のある『鷹ノ台東』へゆく線だった。

電車の車窓から外を眺めてみると、夕闇に沈んだ街並みがカタンカタコンとあっという間に過ぎ去っていく。

考えなしに飛び出してきたが……物件探しってどうすればいいんだろう?

不動産屋に行ってどんな物件を見つければいいんだろう?

家賃の相場とか……何も知らないのに。

住宅街に灯る明かりを見ると、切なくなってくる。

少し前までは自分も当たり前のように、家族に囲まれた生活を送っていたのに。夕食は家族で囲んで。妹や母さんと学校のことを話したり、妹の買い物に付き合わされたり、酔っ払った父さんに絡まれたり。そんな当たり前な日々を送っていたのに。

 

「父さん……母さん……」

 

泣きそうになった。そういえば、両親と妹が死んだ日から涙が出たことはないな。俺の時間は止まったままなんだ。あの日から。

 

「ん? ちょっと君大丈夫? お腹でも痛いの? ……違う? じゃあ、お腹空いてんの? なら、オイラと一緒に御飯食べに行かない? 奢っちゃうよ?」

 

瞳を閉じて悲しみに暮れていると、そんな声をかけられた。目を開けると目の前に紺色のスーツをビシッと着こなした男の人が立っていた。

 

 

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