三色が迫る。
赤と青白と青。炎と雷と氷だ。
「往きます、マスター」
「ヌハハ! 燃え散れぇ!」
「うるさいよ」
『名前というならばマスターの字を頂きたいです』
『な、待て! そういう事なら私にも……』
『は、は、は。良いんじゃないですかニィ? 弐に流で、あなたにピッタリですね――この二流』
『貴様ぁーー!』
こんな感じの喧嘩が毎日行われるので頭が痛い。城も結構な勢いで壊れるし。デュナミスの召喚魔とかに修理させているから手間はないんだけど。
ともあれそうして新たに名前を得た三人はそれぞれ自分の異能を用いて俺へと迫る。周囲には荒廃した街並み。魔法世界旧オスティア市街だ。二十年前の落ちて、かつての古都の栄華は見る影もなく危険度の高い魔物の巣窟となって、さらには悪の大組織の現本部まである。まさにラストダンジョン。それでもだからこそ、人も亜人も滅多に近づかない。俺たちのような連中が修行やら模擬戦をするのには都合がいい。
「フーー」
息を吐きながら三人を観察する。前進に雷光を纏う颯は俺から見て右から直進してくる。それに少し遅れて左から焦が右腕に炎を纏わせ、二人のさらに後ろに流水だ。数メートル四方の水で作られた立方体が浮かんでいた。成長したなぁ、と思う。修行といいながら、ひたすらに模擬戦を繰り返してきてからそろそろ一年近い。デュナミスが筋トレしかしていないから、障壁や基本スペック以外は素人同然だったので、一から鍛えているのだ。インストールだかダウンロードだとか言って済ませるよりは自分で学んだ方がよっぽどいいだろう。そして、大分形になって来た。最強クラスとはいかなくても、三人合わせてならば並みの高位魔法使いならば圧倒できるだろう。
それだけだけど。
「右手に気、左手に魔力っと」
感卦法。最高位難易度のアルティマアーツ。気と魔力の合一。旧世界魔法世界含めても一握りしか使い手がいない究極技法。それを俺は使える。使えるというよりも、使えた。
転生特典。
実に腹立たしいがあの腐れ神が俺に押し付けた力は
まったくふざけている。
通常だと十年以上、数十年近くも習得に掛る技法が当り前のように使えた。いろいろ物騒なこの世界では使用を強いられるから使わざるを得ないが、ここ最近までは結構低抗があった。
戦うのは別に好きでも嫌いでもないけど、自分の為には必須だ。だから使う。使わなければ、使えない。
「シッーー!」
「ハァーー!」
右から颯の雷脚が、左から焦の炎拳が。僅かに時間差が付けられ迫る。どちらかを受ければ面倒だ。だから避けない。先に来る颯を迎撃しても焦の拳は喰らうだろう。だったら感卦の気を纏っていても結構痛い。痛いのは好きじゃない。
だから、
「!?」
颯の蹴りを受ける。ただ防御するのではなく、俺の右手首を颯の足首にぶつけて威力を殺し、
「なっ!」
掴む。纏われていた雷は麻痺効果があるが感卦の気がある以上は無意味だ。それ故に掴んだまま左へと振る。振って、焦へと投げつけた。
「ぬぁ!?」
「ッ……!」
咄嗟に拳を止めた焦に颯が激突する。そのせいで一瞬動きが止まり、
「そい」
拳をぶち込む。軽い掛け声で気合いが入っていないようだが、そこは感卦パワーなのだ威力は申し分ない。
「がっーー!」
多重障壁は修行故に消されていたからモロに受けて二人が吹き飛ぶ、廃墟へと激突していく。そして、一人流水が残り、
「あぁこれは負けてしまいました、ええしょうがないです敗者ですからね、エッチな同人誌のように凌辱されてしまうのでしょうねエッチな同人誌のように。心苦しいですが仕方ありません、負けたのは私と使えないアホ二人のせいですから――さぁどうぞ」
水塊を消して俺に向けて両腕を広げていた。
「てい」
「あう」
とりあえず頭にチョップして黙らせる。黙ってくれるといいな。というかエッチな同人誌とか何処で知った。両手で頭を押さえながら涙を浮かべる流水はいいとして。
溜息を吐く。
まぁ今日はこんなものだろう。全身から感卦の気を消失させる。低抗が少なくなったとはいえ決して使ってても気持ちいいものではない。使わなければ三人の修行に付き合えないから仕方ないのだが。
「やれやれ……」
ままならないなぁ、と思う。
主義に反する組織に所属し、使いたくもない力を使う。出遭いそのものは幸いだったけれど
妥協するしかないのだ。なにもかもうまくいくわけがない。
それがつまり――人生なのだから。
やべはやくもネタがない。
多分ヘルマン編あたりにこのメンツぶちこもうとかおもってますよー?
あ、あと別に流水という名前と某死○太極の彼女とは関係ありませんっ(
あとなんか凄い天狗道ぽいといわれるのであらすじかえました。
怒りの日オーラしかないけど直接的な設定はでませんよ!(タブン
あれと一緒て嫌過ぎる