オーバーロード読者なら誰もが考える〈アインズ・ウール・ゴウン〉フルメンバーのユグドラシル終了日のお話。

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人生初投稿です。
カッとなってやりました。
コノエス様の『オーバーロード・あんぐまーると一緒』より、あんぐまーるを拝借しています。


オーバーロード 〈アインズ・ウール・ゴウン〉は永久に不滅

 その日、かつて一世を風靡したD-MMORPGユグドラシルのサービス終了が、告知された。

 

 

 

 プレイヤーの皆様へ

 

 ユグドラシルの長らくのご愛顧、誠にありがとうございます。

 突然ですが、再来月の末日二十三時五十九分五十九秒をもちまして、ユグドラシルのサーバーを停止し、サービス提供を終了することが決定しました。

 皆様の格別のご支持をたまわり、かくも長く皆様に愛され、楽しんでいただけたゲームを提供できたことは、我々一同の誇りであり喜びであります。

 これからサービス終了の日まで、様々な公式イベントが用意されていますので最後までお楽しみいただければ幸いです。

 

 ユグドラシル開発・運営チームより

 

 

 

 私の名前は鈴木悟。

 ユグドラシルでのプレイヤー・ネームはモモンガ。

 ギルド〈アインズ・ウール・ゴウン〉のギルドマスターを務めている。

 〈アインズ・ウール・ゴウン〉はユグドラシル内では有名なギルドだ。

 ユグドラシルのギルドはシステム定員が百名なのだが、我がギルド〈アインズ・ウール・ゴウン〉は四十一名と少ない。

 しかし、その精強さは並外れており、大小問わなければ千を超えるギルドの中で、過去数年に亘ってギルド順位十位以内を維持し続けている。

 と言っても、ここ一、二年はユグドラシル自体も寂れてしまい、それは〈アインズ・ウール・ゴウン〉も例外ではなかった。

 直近三か月以内にログインしたプレイヤーは私を含めて四人。

 他の三十七人は事実上、辞めてしまった。

 ユグドラシルのサービス終了も、この状況では止む無しと言わなければならないのだろう。

 だが、両親も既に亡くなり、兄弟も一人っ子のためおらず、他の親戚も疎遠で事実上天涯孤独の身。

 リアルの友人はいないと言ってよく、職場でも然したる人間関係もなく、愛着もない。

 恋人など言わずもがな。

 そんな私にとって、ユグドラシルは青春そのものだった。

 そのユグドラシルが無くなってしまう、という告知を公式サイトで目にした時、私の胸中は制御不可能な感情の奔流で荒れ狂い、しばらく涙が止まらなかった。

 ようやく気持ちが落ち着いた私は、すぐにギルドメンバーの連絡アドレスにユグドラシルのサービス終了と、最後にもう一度共に遊べないかというメールを送っていた。

 ……。さらに、サービス終了の一か月前と一週間前、前日にも同じ内容のメールを送ったのだった。

 

 そしてこの日、ユグドラシルはサーバーダウンの日を迎える。

 二十一時になる前には夕食も風呂も済ませ、ユグドラシルにログインした。

 これが最後と思うと何でもないログイン操作にすら名残惜しさを感じてしまう。

 無事、ログインするといつもの円卓の間に出現する。

 驚いたことに、既に二人のギルドメンバーが円卓に着いていた。

「弐式炎雷さん!ペロロンチーノさん!お久しぶりです、来てくれたんですか!」

「モモンガさん、お久しぶりです、ご無沙汰してました。流石に、サービス終了と聞いてはログインしないわけにはいかないと思いまして。モモンガさん、今まで不義理を働いてすいませんでした」

「何を仰るんですか。また会えて言葉を交わせた、それだけで十分ですよ」

「久しぶりです、モモンガさん。あの、俺も、もう何か月もこっちこれなくって申し訳ありませんでした。今日はサーバーダウンまでここにいます。姉ちゃんも十時過ぎになるって言ってたけど、必ずインしてサーバーダウンまでいるって言ってました」

「皆忙しいのは分かっていますのでお気になさらず。それと、最後まで付き合ってくれてありがとうございます、ペロロンチーノさん。ぶくぶく茶釜さんにも会えるんですね」

 懐かしい声と懐かしい名前に早くも感極まりそうになったが、そこでフレンドチャットが新たなギルドメンバーのログインを通知してきた。

「やー。遅くなったと思いましたが、まだ四人目ですか。お久しぶりです、モモンガさん、ペロロンチーノさん、弐式炎雷さん」

「たっちさん!お久しぶりです。会いたかったですよ!」

「きた!ユグドラシル最強きた!これで勝つる!」

「たっち・みーさん、ご無沙汰してます。また会えて嬉しいですよ」

 と、挨拶から積もる話に移りつつ、時間が経つにつれてギルドメンバーが一人、また一人とログインしてくるさまは幸せな光景だった。

 事実上辞めていたメンバーは、今日のためだけにアカウントをアクティブにするための課金をしてまで来てくれた。

 リアルが忙しい人も何人もいるはずだが、それでも皆サーバーダウンの最後の瞬間まで付き合うと言ってくれた。

 ユグドラシルから離れていたが、それでも皆、〈アインズ・ウール・ゴウン〉での思い出を心の中で大事にしていたことがはっきりと分かり、感動を隠せずにいたら宥められたりもした。

 皆がギルド〈アインズ・ウール・ゴウン〉で遊べたこと、今日までギルドとナザリックを維持し続けたことを異口同音に感謝してくれていたが、私はそれ以上に皆に感謝と親愛の情を感じていた。

 この気持ちの半分も伝わらない自分の語彙力、否、人間のコミュニケーション能力の限界がひどく恨めしかった。

 

 サーバーダウンまで一時間を切りつつも、円卓の席が着実に埋まり、空席は二つだけとなっていた。

「あと四十分ですか。ヘロヘロさんとあんぐまーるさんは来てくれるでしょうか」

「ヘロヘロさんは転職してから忙しそうにしてましたよね。残念ですが、もしかしたら来れ…」

 と言ったその瞬間に、フレチャに新たな通知、そしてログインエフェクトが発生した。

 そこから現れるのは、エルダー・ブラック・ウーズ、スライム種最強の一角。

「ヘロヘロさん!うおー!後はあんぐまーるさんだけだぜー!」

 といった言葉を皮切りに、新たに円卓に加わったヘロヘロさんを歓迎する言葉が三十九人から一斉に浴びせられる。

「うわぁ。ちょっとインしてモモンガさんに挨拶したら落ちようと思ってたんですけど、そんな空気じゃないですね。覚悟決めましたよ。私もサーバーダウンまで完走します!」

 と、職場のデスマーチで名前の通りヘロヘロになっていただろうに、ヘロヘロさんも喜んで付き合ってくれると言ってくれた。

 

「モモンガさん、あんぐまーるさんも待ちたいですけど、それでもギルド武器のスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを持って玉座の間に行きませんか。やっぱり、ギルド武器が安置されてるだけっていうのも寂しすぎるし、あそこがナザリックの一番の要ですし」

 と誰かが言い出せば

「あ、それ賛成!ついでにNPCは守護者もメイドも皆呼び出して整列させよう!」

「じゃあモモンガさんが玉座に座ってNPCたちは跪いて臣下の礼、俺たちはモモンガさんの左右に控える側近役だな!」

「三十九人も側近がいるって多すぎ(笑」

「さらっとあんぐさんハブんなし!悲しくなるようなこと言うなよ。絶対あんぐさんも来るから!」

「じゃあちょっとNPCたち集めてくるね。ナザリック広すぎるから十分はかかるよ。急がないと」

 とあれよあれよと決まってしまい、最後の瞬間は玉座の間で、〈アインズ・ウール・ゴウン〉メンバーとナザリックNPC勢揃いで迎えるということになった。

 そして――。

 

「後二分だよー。あんぐまーるさん早くー」

 とまだ来てない、最後の一人を待ちわびる涙ぐんだ声が上がったその数秒後。

「うわ!あんぐさんログインした!誰かメッセージで玉座の間に来るようにって!」

「うっしゃああああ!〈アインズ・ウール・ゴウン〉、全・員・集・結!!フルメンバーで最期を迎えられるギルドはうちだけだろ!」

「さあ早く来るんだあんぐさん!」

 と言ってると、

「盟主!並びに我が盟友らよ!〈アインズ・ウール・ゴウン〉末席あんぐまーる、遅れ馳せながらただいま帰参しました!」

 と叫びながら玉座の間に全力疾走で駆け込み、玉座に座る私の五歩手前で急ブレーキ、そのままの勢いで跪く幽鬼の騎士。

 ああ、懐かしい。

 彼こそ、アインズ・ウール・ゴウンに最後に加入したメンバーで、私を盟主と慕い、騎士ロールを崩さなかったプレイヤー、あんぐまーるさんだ。

 とうとう再会を果たした〈アインズ・ウール・ゴウン〉の四十一人は喜びを爆発させ、盛大な歓声が玉座の間を満たし、揺るがした。

 皆を見渡す。

 こうして一堂に会するのも何時振りだろうか。

 一人ひとりの顔を見るだけで、それぞれの思い出が次々と浮かんできて止むことがない。

 〈アインズ・ウール・ゴウン〉は過去の栄光の残骸などではなかった。

 一人も欠けることなく、ユグドラシルと共に終わりを迎えられるとは、二か月前の自分は想像できなかっただろう。

 一人で勝手に諦めていたことが仲間に対する侮辱に思えて、自分に対して腹が立つやら恥じ入るやらだったが、今はそれよりもただ、再会を喜びたかった。

 

 

 

 皆が揃ったという興奮が醒め、少しは冷静さが戻ったのは誰だったか。

「ねえ、時間が…」

「え?」

「あれ?どうなってるんだ、これ」

「え?ちょ…。今日っていうか、もう昨日?がサーバーダウンの日だよね?え?」

「嘘!?システムコンソールが出ない!GMコールも何の手応えもない!」

 一人が違和感に気付くと、それは一気に他のメンバーにも広がっていった。

 不安と混乱が収拾不能なパニックに変わるその一瞬前、

「いかがなさいましたか。至高の御方々」

 と、今まで誰も聞いたことのない、しかし篤い敬意と喜びを感じさせる美しい声が響いたのだった。




原作はWEB版しか読んでないので続きません。
来月中に書籍版も買って読みますが、続きません。

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