ウチの真姫がファーザー・コンプレックスを患ってしまった件について   作:うなぎパイ

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それなりに要望があったのでテキトーに続けていこうかと思います

不定期なので首をキリンの如く伸ばしてお待ち下さい


第0話 出会い  「辰宮 楓」視点

電車に乗るんじゃなかった

 

「く………んッ」

 

まさか私が痴漢に会うなんて思わなかった

これも友達が態々都心にまで行って買い物しようとか言うからだ

責任転嫁もいいところだが口には出さないので欲しい

そんな私の気も知らずに痴漢をしている男の手はいやらしくお尻を触ってくる

ここで周りに言って被害妄想の酷い女性と思われたくない

ここは我慢して次の駅で降りよう

許されることではないけど兎に角この状況から脱したい

 

「おい」

 

少し怖い声の男の人の声が聞こえた

話を掛けられたのは私なのだろうか

考えてから後ろを向くと痴漢をしていたであろう中年の男性の肩を一人の男性が掴んでいた

大きい

身長が私の頭一個分近く大きい

180以上あるのではないだろうか

 

その男性は拳を自分の顔の横にまで持っていき

 

「何だ------------」

「ふんッ!!」

「ねぐぺッ!!!」

 

中年男性の顔面へ拳を振り下ろした

そして中年男性はそのまま窓ガラスへ---------まって、窓ガラスはそんなに簡単にヒビ割れるものなの?

これは殴った彼が凄いのか、単純に窓ガラスの強度が弱いのか

きっと前者だろう

 

「あ、ヤベ」

 

彼も同じように窓ガラスのヒビに気づいたのかすぐに拳を引き戻した

そして軽く手首をぶらぶらし始めた

 

「意外に脆いな

 窓ガラス……」

 

いやいやいや!

脆くないですよ!

JRはそんな安物使ってませんって!

っていうか殴られた男の人確実に鼻の骨折れてるんですけど

 

「あ」

 

気の抜けた声を出すと男性はキョロキョロと周りの見始める

どうしたのだろうか?

あ、それよりお礼を言わないと

流石にお礼言わないのは非礼過ぎる

倒れてしまった中年男性の鼻を気にしながらも男の人に声を掛けようとする

 

「………ぁの」

「はぁ……」

 

男性は私の声に反応せずに周りの人がどいて出来たドアへの道を歩き出す

あれ聞こえてない?

私そこまで人に、ましてや男の人に話しかけるのなんて得意じゃないから声が小さくなってしまった

若干焦り始めた私を知らずに男性はタイミングよく開いたドアを出ていってしまった

 

「ま、まって……っ」

 

あぁ駄目だ

手を伸ばしても届かない

ここで諦めて礼もせずにおしまいになんてして良いはずが無い

意を決して私は大声を張り上げる

 

「ま、待ってください!!」

 

私の声が届いたのか男性はピタッと立ち止まった

良かった、これでお礼を---------

って何故か早歩きで人ごみの中に紛れようとしてるッ!!

 

「ま、待って!!待ってくださいッ!!」

 

もう一回出したら二回目も三回目も変わらない

必死に声を出して彼に近づこうとする

っていうか早い!

本当に早いッ!!

一歩一歩が大きすぎる!

あっちは早歩きなのだろうがこっちは全力で走っていく

普段しない運動をしたせいか息切れがすぐ起きる

それを我慢してやっと彼の裾を掴むことに成功した

 

「はぁ……はぁ……ッ!」

 

声を出そうにも息切れが酷くてまともに喋れない

膝に手を添えて肩で息をする

なんで私は駅にまで来て息切れなんてをしているのだろうか………

 

「な、なんで逃げるんですか……ッ!!」

「いや、お巡りさんにお世話になりたくないもので………」

「だからって話くらいは聞いてください……ッ!!」

 

あんな堂々と拳を振るっといてそんな臆病な事をいっているのだろうか

まぁ私を助けてくれる為だったから単なる暴力ではないけど………

やっと息を整えることが出来たのですっと立ち上がる

身長の違いで下から見上げることになった

 

「ッ!!!!!!」

 

え、何?

私今なにか変なところでもあった?

メイクは特につけてないから顔が悲惨になっていることは無いと思うんだけど………

服?スカートかな?

安物ではないけど学生の身分で買える位の物だ

都心の人たちにとっては田舎物みたいな扱いになってしまうのだろうか………

あ、やだ

そう考えてしまったことで真実じゃないとしても急に恥ずかしくなってきた!

こんなことならちゃんとしたもの買って着とけば良かった!!

思わずスカートの先を両手でギュッと握る

 

すると男性が肩に手を掛けて来た

そしてそのまま強引に引き寄せていく

え、何?

今度は何?

彼は何がしたいの?

意味の分からない彼の行動に戸惑いながらも目の前の彼の顔を見る

 

とても整っている顔だ

10人に聞けば10人がそう答えるだろうと思えるほどに

これまではっきりと見たわけではなかったので分からなかったがそう感じた

少し目つきはツリ目の為悪いとも言えるが、それも彼の良さを引き立たせる要因の一つになる

体を鍛えているのか半袖から出ている腕には男らしい浮き上がる血管と見るだけで分かる大きな筋肉が付いていた

まさかの相手にポカンとしてしまった

そして彼は口を開いて言った

 

 

「遺伝子レベルで一目惚れです

 結婚を前提に付き合ってください」

 

 

「………ふぇ?」

 

 

 

 

……………………………………あ、駄目だ。あまりにも想定外の言葉に情けない声と共に一瞬意識がクリアになってしまった

え、ちょ、ちょっと待って

いきなり?

初対面相手にそんな小っ恥ずかしいこと言うの?

顔が整っているだけにあまりの男らしさに思わず顔が赤くなってしまう

駄目だ

何か言わないと

ここで言わないと失礼だ、助けてまで貰ったのに

頭がまだ整理されていない状況でほぼ無意識に言葉を喋る

 

 

「その……私、貴方の事をよく知らないですし………

 えっと………それで………」

「………………………」

 

「お友達からで、ということで………良いですか?」

 

 

これが私、『辰宮 楓』

後の『西木野 楓』と『西木野 宗一郎』の最初の出会いだった

 

 

 




キリ良くしたかったので短くなってしまいました
結婚までは真姫ママ視点でいこうと思います

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