妖精さんと、人間さんのお話。

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テスト的に書いてみました。

感想、批判、何でもいただけますと幸いです。


「習作」妖精さんと人間さん

1.妖精さんの、一日

 

 

遠い遠い、世界のどこかにある、小さな村に、妖精さんは住んでいます。

 

茶色い髪を、二つに結び、小さな身体に、綺麗な羽。

 

ふわふわ、ふわふわ。

 

背中の羽根で、ゆっくりゆっくり、妖精さんは移動します。

 

「ナノハー!!」

 

「あ、アリサちゃん!」

 

ゆっくり、ふわふわ。

 

道を進んでいた所で、お友達のアリサちゃんに会いました。

 

金色の髪に、勝気な瞳。

 

アリサちゃんも、妖精さんです。

 

「おはよう、ナノハ。今日も早いわね」

 

「アリサちゃんもおはよう。えへへ、そうかなー?」

 

ゆっくり、ふわふわ。

 

お友達と二人で、妖精さんは移動します。

 

「アリサちゃん、ナノハちゃん」

 

「あ、スズカー!」

 

「スズカちゃん、おはようー!」

 

ふわふわ、ふわふわ。

 

もう一人のお友達、スズカちゃんもやってきました。

 

藍色の髪に、白いカチューシャ。

 

これでいつも通り、妖精さん三人で、今日も頑張ります。

 

「ナノハちゃん、今日はどこかな?」

 

「えっとね、宿屋のおじさん!」

 

「そっか、じゃあ早くいきましょ!」

 

アリサちゃんの言葉に、おー、と三人、手を挙げました。

 

妖精さん達が着いたのは、村にある小さな宿屋さん。

 

「おじさん、こんにちはー!」

 

「あぁ、妖精さん! 助かった!」

 

宿屋のおじさんは、妖精さんを見つけると大喜びです。

 

「おじさん、どうしたんですか?」

 

「あぁ、女房が風邪で寝込んじまってね。今日のお客さんに出す食事とかをどうしようかと思ってて」

 

「お料理、できます!」

 

「配膳もできるわ!」

 

「お客さん、捌きます!」

 

ふわふわ、ふわふわ。

 

ゆっくり浮かびながら、妖精さんは小さな身体で目一杯アピールします。

 

「ありがたい! 申し訳ないけど、今日一日手伝ってくれるかい?」

 

「妖精さんのお仕事は、人間さんのお手伝い!」

 

「お礼は古いお洋服と、果物ね!」

 

「ご本もあったら、嬉しいです」

 

「あぁ、洋服も果物も、ご本もあげるよ。それじゃあ今日一日、お願いね」

 

「「「はーい!」」」

 

両手を挙げて、嬉しそうな妖精さん。

 

三人の妖精さんは、村の大人気さんなのでした。

 

 

 

 

 

2.妖精さんの、お休み

 

 

まったり、ふわふわ。

 

村に何もない日は、妖精さんはお休みです。

 

「ふわわ、あくびがでちゃう」

 

「ナノハ、お行儀悪いわよ」

 

「アリサちゃんも、さっきあくびしてたよね?」

 

「み、見てたのスズカ!?」

 

お休みの妖精さんは、三人一緒に過ごします。

 

ゆっくり、ぽかぽか。

 

日差しを浴びて、お花さんから蜜と花びらを貰って、紅茶にします。

 

「んー、やっぱり薔薇さんの紅茶はおいしい」

 

「もー。アリサちゃんは薔薇さんにお願いしすぎだとナノハは思うの」

 

「あたしは薔薇さんの紅茶好きなんだもん! 薔薇さんだっていいって言ってるし!」

 

「私は、たんぽぽさんのお茶も好きだけどなぁ」

 

「スズカちゃん、おっとなー!」

 

ゆっくり、ぽかぽか。

 

日差しを浴びて、いい気持ち。

 

三人居ると、とっても楽しい時間です。

 

「今日は困った人居なくて、いい気持ちー」

 

「ホントね。お洋服もご本も貰えたし、今日の内にお洋服作っちゃおうか」

 

「それがいいね、ナノハちゃん、アリサちゃん」

 

「じゃあこれから、お洋服作りましょー!」

 

ゆっくり、ぽかぽか。

 

妖精さんは、三人仲良く、お洋服を作ります。

 

 

 

3.妖精さんと遠くの人

 

 

ゆっくり、ふわふわ。

 

妖精さんは、村を進みます。

 

困ってるような、そうじゃないような。

 

不思議な人が、村にいるから。

 

「んー、どこにいるんだろー」

 

「八百屋のおばちゃんに聞いてみない?」

 

「そうしようよ、ナノハちゃん」

 

わからない事は、人間さんに聞く。

 

妖精さん三人は、八百屋のおばちゃんの所へ行きました。

 

「おばちゃん、こんにちは!」

 

「おや、妖精さん。こんにちは」

 

「おばちゃん、今日村で困ってるような人、居ませんか?」

 

「村人に困った人は聞いてないけど。……あーそういえば」

 

ふわふわ、ふわふわ。

 

八百屋のおばさんは、少し嫌な顔をして言いました。

 

「なんだか見かけない人が今朝来てね。ロスト……なんとかとか、時空がどうとか言ってたけど」

 

「ロスト?」

 

「じくう?」

 

「なんです? それ」

 

ふわふわ、ふわふわ。

 

首を傾ける三人に、八百屋のおばちゃんも同じように首を傾けていました。

 

「あたしも分からないのさ。何か探してるみたいなんだけどね」

 

「捜し物ですか」

 

「捜し物なら、妖精さんのお仕事ね!」

 

「おばちゃん、その人どこにいますか?」

 

「村を回るって言ってたけど。噴水広場にでもいるんじゃないかい? 綺麗な金色の髪の毛した女の子だったよ」

 

「ありがとう、おばちゃん!」

 

「今度、お手伝いにきます!」

 

「またね、おばちゃん!」

 

妖精さんは、おばちゃんにお礼を言って、噴水広場へ向かいます。

 

ざざー、ざざー、ふわふわ、ふわふわ。

 

噴水の出る音に誘われて、妖精さんは噴水広場につきました。

 

広場には食べ物のお店が沢山と、絵を書いている人がいます。

 

その噴水のすぐ脇に、金色の髪の毛をした女性が座っていました。

 

妖精さんは、その女性に話し掛けます。

 

「人間さん、困ってるですか?」

 

「アンタ、この村じゃ見ない人ね」

 

「捜し物、してるんですか?」

 

「えっ、あの、えぇ! よ、妖精……?」

 

ふわふわ、ふわふわ。

 

自分の前に立つ小さな妖精さん達に、人間さんは驚いています。

 

「人間さん、お手伝いしましょうか?」

 

「ナノハ、いきなり言うのはダメだって言ったでしょ」

 

「アリサちゃん、厳しい」

 

「え、なのはって、え、アリサ……?」

 

ふわふわ、ふわふわ。

 

人間さんは、もっと驚いて妖精さん達を見ています。

 

「私、たかまちナノハ、妖精さん!」

 

「アリサ・ばにんぐす。妖精さんよ!」

 

「つきむらスズカ、妖精さんです」

 

「えっと、その……フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。人間、です」

 

ふわふわ、ふわふわ。

 

妖精さんが笑顔で自己紹介しても、人間さんは、ずっと驚いたままでした。

 

 

 

4.妖精さんと、人間さん

 

 

まったり、ゆらゆら。

 

妖精さんは、噴水の縁に腰掛けて、人間さんと話をします。

 

「それで、人間さん。何か困ってますか?」

 

「捜し物って聞いたわよ」

 

「私達、捜し物得意です」

 

まったり、ゆらゆら。

 

妖精さんの言葉に、人間さんは困った顔をします。

 

「うん、捜し物をしてたんだけど、ね。多分、見つかったかな」

 

「ほえ?」

 

「ちょ、ナノハ。みっともない声出さないの!」

 

まったり、ゆらゆら。

 

驚いたナノハちゃんに、アリサちゃんが注意します。

 

「妖精さんは、ロストロギアって、知ってるかな?」

 

「ロスト?」

 

「ロギア?」

 

「何です? それ」

 

「まぁ、知らないよね」

 

まったり、こてん。

 

三人で首を傾けた妖精さんに、人間さんは苦笑い。

 

「じゃあ、時空管理局も、知らないよね」

 

「じくう?」

 

「かんりきょく?」

 

「なんです? それ」

 

まったり、こてん。

 

やっぱり知らない三人は、同じように首を傾けます。

 

「えっと、うーん、簡単に説明すると、この村の村長さんみたいな人が、一杯集まってる所、かな?」

 

「村長さん、優しいです!」

 

「見かけるといつもお菓子くれるのよ!」

 

「ご本、一杯持ってます」

 

まったり、まったり。

 

村長さんの話を、妖精さんは楽しそうにします。

 

「その、時空管理局でね。あなた達の事を調べたいの」

 

「ほえ? 私達、ですか?」

 

「そう。あなた達がきっと、ロストロギアだから」

 

「だから、ロストロギアって、なによ!」

 

「ロストロギアは、簡単に説明すると、危ないもの、かな」

 

「わたし達、危なくないです」

 

「それを確認する為にも、一度調べさせてくれないかな?」

 

まったり、まったり。

 

人間さんの言葉に、妖精さんは困った顔を浮かべます。

 

「それ、どれぐらいかかるですか?」

 

「えっと……ごめん、私じゃ分からない、かな」

 

「いつ村に帰って来れるの?」

 

「それも、ごめん。私じゃ分からない」

 

「帰ってこれないかもしれないの?」

 

「そんな事は無いよ、ちゃんと帰ってこれる」

 

「でも、いつになるか分からないんでしょ?」

 

「うん、そうだね……」

 

ふわふわ、ふわふわ。

 

妖精さんは、困ってしまいます。

 

やることは一杯あるのに、いつ戻れるか分からない。

 

それじゃあ、一緒に行く事はできません。

 

「ごめんなさい。一緒に行けません」

 

「村でやる事が一杯あるのよ!」

 

「妖精さんの仕事、村の人間さんのお手伝いです」

 

「そっか、そうだよね……」

 

人間さん、落ち込んだみたいに暗い顔で噴水の縁から立ちます。

 

「あなた達は、村の大事な人なんだよね」

 

その言葉に、妖精さんは周囲を見渡します。

 

妖精さん達の周りには、八百屋のおばちゃん、宿屋のおじさん、おばさん。村の子供たちが大勢集まっていました。

 

「あれ? 人間さん」

 

「なぁ、お嬢さん。俺達はアンタが何しにきたか知らねぇけど。妖精さんに何かするつもりなら黙ってねぇぞ」

 

「妖精さん達は、村の大事な一員なんだ。勝手に攫っていくなんてあたしは許さないよ!」

 

村の人間さん達が、妖精さんを護るように見ていました。

 

何かあったら許さない、妖精さんは俺達が護る。

 

その言葉に、遠くから来た人間さんは、頭を下げました。

 

「お騒がせして、ごめんなさい。妖精さんを連れて行ったりする事はしません。後日また、改めてお伺いさせて貰います」

 

遠くから来た人間さんは、そう言うと、キラキラ金色に光って、服装を変えました。

 

白いマントに、黒い服。手には金色に光る長い杖。

 

「ふわわ、変身だー!」

 

「妖精さんも、ごめんね。また今度ゆっくり、お話しようね」

 

人間さんはそう言うと、ばびゅーんと空へと飛んでいきました。

 

「おおー! 凄い人間さんだー!」

 

「アリサちゃん、喜びすぎだよ」

 

「なによー、ナノハも喜んでたじゃなーい!」

 

「にゃはは。凄いすごーい!」

 

妖精さんの喜んだ声、村の人間さんもほっとしました。

 

 

 

5.遠くの人の、報告書

 

 

「――――以上、第43管理外世界の報告になります」

 

「ありがとう、フェイト」

 

静かな部屋で、金色の人間さんと、黒髪の人間さんが、話をしています。

 

「微弱なロストロギア反応で来てみれば、なんだろうな、これは」

 

「正直、分からない事が多すぎるよね。クロノはどう思ってる?」

 

「全く何も。村人に受け入れられている不思議な生物、とは言うものの。見た目と名前がなぁ」

 

「なのはにアリサ、すずかまで居るんだもんね。一体どうなってるんだか」

 

ふぅ。

 

大きな溜息をついて、二人はお茶を飲みます。

 

「ともあれ、検査はしなければいけないだろう。簡易機材での検査でもいいから、なるべく現地でできるよう手配しよう」

 

「ん、そうだね。それとこの事、なのは達にはどうする?」

 

「まぁ、言うべきだろうな。何しろ自分そっくりの不思議な生物だ。さぞ驚くだろうが、関連が無いとは思えない」

 

「うん、分かった。じゃあ今度の検査の時、現地で会えるよう調整するね」

 

「よろしく頼むよ」

 

人間さんは、笑顔でお仕事を再開しました。

 

 

 

6.遠くの人と、近い人

 

 

ゆっくり、ふわふわ。

 

今日も妖精さんは人間さんのお手伝いです。

 

腰を悪くした噴水の管理人さんの代わりに、花壇の水撒きをしています。

 

「お花さんお花さん、元気に育ってね!」

 

「元気に育って、花びら頂戴ね!」

 

「もうアリサちゃん、お茶のおねだり禁止ー!」

 

ゆっくり、ふわふわ。

 

妖精さんは、今日も楽しそうです。

 

「花壇の水撒き? 偉いね妖精さん」

 

「あっ、こないだの人間さん!」

 

「ばびゅーんて飛んだ人ね!」

 

「こんにちは、人間さん」

 

「うん、こんにちは」

 

この間来た、金色の人間さんが妖精さんのすぐ傍で妖精さんの仕事を見ていました。

 

丁度水撒きも終わった所です。

 

妖精さんは、人間さんとお話する事にしました。

 

「それで、人間さん。今度はどうしたんですか?」

 

「うん、実はね。この村ですぐ検査できるようにしたんだ。危ない事は無いから、検査させて貰ってもいいかな?」

 

「すぐ終わるです?」

 

「三十分ぐらいかな、すぐだと思うよ」

 

「じゃあいいですよ」

 

人間さんの言葉に、妖精さんはすぐに頷きました。

 

人間さんは、妖精さんに「ありがとう」とお礼を言ってから、村の中にある宿屋さんに、妖精さん達を連れて行きました。

 

「ここで検査をするんだ。それと、ナノハちゃんにはちょっと驚く事があるかもね」

 

「なになに? なんなの?」

 

「うふふ、秘密だよ」

 

「フェイトちゃん、準備終わったよ」

 

ふわふわ、ふわふわ。

 

興味津々で聞く妖精さんの声を遮るように、横から声がかかりました。

 

「あぁ、なのは。ありがとう」

 

「ふ、ふえぇ! 私そっくりの人間さん!」

 

「ナノハそっくり!」

 

「ナノハちゃんだ!」

 

「本当、三人ともそっくりだね。私の名前は高町なのは。人間さんだよ」

 

妖精さんそっくりの人間さん、名前も一緒の人間さんに、妖精さんは更に驚きます。

 

「ふえぇ! 名前もそっくり!」

 

「でもナノハより大人っぽい!」

 

「大人のナノハちゃん!」

 

「あはは、改めて見るとやっぱり驚くね。昔の私そっくりなんだもんこの子」

 

「ね、驚いたでしょなのは」

 

「うん、それにすずかちゃんもアリサちゃんも、見たらきっと驚くと思うよ」

 

「うふふ、そうだろうね」

 

まったり、ゆらゆら。

 

驚きと喜びが室内に満たされ、とても楽しい気分になりました。

 

「それじゃあ妖精さん、検査をしたので、ちょっと腕を出して貰っていいかな?」

 

「腕、ですか?」

 

「はい、どうぞ」

 

「これでいいの?」

 

妖精さんが腕の袖をペロリと捲ると、そこに小さなシールをペタリと貼り付けました。

 

「はい、ありがとう。それじゃあ後は、好きにしてていいよ」

 

「これだけですか?」

 

「うん、これだけ。とりあえずの検査だから、簡単に終わるよ」

 

「ねぇアリサちゃん、何しようか?」

 

「んーそうね。台所でお菓子作りましょ!」

 

「そうだね、そうしよう! おじさん、台所借りるねー!」

 

妖精さんたちは、また楽しそうに台所へと向かいました。

 

人間さんは、その姿を苦笑して見ています。

 

「ほんと、昔の私達そっくり。すずかちゃんが促して、私が意見出して、アリサちゃんが決める。役割分担できてるんだねちゃんと」

 

「不思議だよね。こんな離れた世界なのに、なんでこんな事が起こるんだろう」

 

「まぁ、いいんじゃないかな。危険は無さそうなんだし。計器はどう?」

 

「うん、ずっと微弱なロストロギア反応は出てるけど、それだけ。彼女達自体は、ロストロギアでも何でも無いのかもしれないね」

 

「妖精さんだもんねぇ。得体のしれない力はあるんだろうけど、危険だとは思えないよ」

 

「私も、なのはの意見に賛成かな」

 

人間さん達が話していると、アリサちゃんがトレーにカップとポットを持ってやってきました。

 

「アリサ特製のローズティーよ! 二人共飲んでね!」

 

「うわぁ、いい香り」

 

「いただきます。――うん、ほんのり甘くて、薔薇の香りが気持ちいいねこれ」

 

「ふふん、おいしいでしょー! 薔薇さんに頼んでおいしい花びら貰ったのよ!」

 

「植物とお話ができるの?」

 

「動物ともできるわよ! 卵は欲しい時とか、牛乳が欲しい時とか、偶に分けてもらうの」

 

「へぇぇ、そうなんだ。すごいねぇ」

 

まったり、ほわほわ。

 

妖精さんの話を楽しみながら、おいしい紅茶を飲んでます。

 

ゆっくりした時間で、次に現れたのは、スズカちゃんです。

 

「はい、私の作ったネコさんクッキー。おいしいよ?」

 

「うわぁ、可愛い」

 

「うん、とってもおいしいよ、スズカちゃん」

 

「そうですか、えへへ」

 

まったり、ほわほわ。

 

クッキーがほめられてスズカちゃんは嬉しそうです。

 

最後にやってきたのは、ナノハちゃん。

 

大きなトレーに、たっぷりのシュークリームを載せてきました。

 

「なのはの得意なシュークリーム! とってもおいしいの!」

 

そのシュークリームは、お手製の、とっても綺麗なシュークリーム。

 

人間さんは、お母さんの作る、大好きなシュークリームを思い出します。

 

「――うん、美味しい。ねぇ、なのは?」

 

「うん……うん、美味しい。美味しいね、フェイトちゃん」

 

ナノハちゃんそっくりの人間さんは、涙を流して、シュークリームを食べていました。

 

口に広がる甘み、優しい皮の弾力、どれも、母親の作っていた、大好きなシュークリームにそっくりだったからです。

 

「人間さん、悲しいですか?」

 

「ううん、違うの。嬉しいんだよ」

 

「嬉しいと、泣くですか?」

 

「うん。嬉しい時も泣くんだよ、人間は。――そっか、あなたは私じゃない私なのかもしれないね」

 

「ほえ?」

 

突然言われた難しい言葉に、ナノハちゃんは首をコテンと傾けます。

 

その様子に、笑顔を浮かべ、涙を拭いながらもう一人のなのはさんが言いました。

 

「このシュークリーム、私のお母さんが作るのにそっくりなんだ」

 

「ふえぇ、そうなんですか」

 

「うん、そうなの。もし私が管理局に入ってなかったら、きっと私はあなたみたいにシュークリームを作って、人のお手伝いをしようとしてたんだろうね」

 

「人間さんのお手伝い、楽しいですよ」

 

「うん、そうだね」

 

人間さんはシュークリームを喜んで食べます。

 

「そうだ、もし良かったら、私のお友達に会いにこないかな?」

 

「ほえ、人間さんのお友達ですか?」

 

「うん。妖精さんのアリサちゃんとスズカちゃんにそっくりなお友達がいるの。二人共きっと楽しいよ」

 

「どれぐらいで帰ってこれますか?」

 

「二三日もあれば帰ってこれるよ。村のお手伝いがあるから無理かな?」

 

「二三日なら大丈夫。自分にそっくりな人間さん見たいし、あたしは行きたい!」

 

「アリサちゃんがそう言うなら、私も」

 

「ナノハも行きたいですー!」

 

「うん、きっと楽しい旅行になるよ」

 

妖精さんと人間さん、みんな楽しく、お茶を飲んで過ごしました。

 

 

7.遠い人達の、報告書

 

 

「――第43管理外世界の報告になります」

 

「ありがとう、なのは、フェイト」

 

黒髪の人間さんと、金色の人間さん、ナノハちゃんそっくりの人間さんが三人でお話をしていました。

 

黒髪の人間さんは、お茶を飲み込んで、ゆっくりと話しました。

 

「人の可能性の分岐した存在、か。ロストロギアがそれを起こしたのかもしれないな」

 

「それでも、あの子達は迷惑をかけるような事は絶対しないと思うよ」

 

「あぁ、それは分かってる。魔力反応も大した事ないし、ロストロギア反応も微弱だ。何か起きるとは考えにくい」

 

「そういう事じゃなくって。あの子達はとってもいい子なの。だから何もしない」

 

「分かってる、分かってるさ。それで、来週地球に連れていくのか?」

 

「うん、二三日だけね。きっとアリサちゃんもすずかちゃんも喜ぶから」

 

「まぁ、忙しい君達の休暇だ、ゆっくり楽しむといい」

 

「ありがとう、クロノ」

 

「礼ならその妖精さんに言うんだな、フェイト」

 

「じゃあ来週、あの子達と一緒に旅行ね! 楽しみだねフェイトちゃん!」

 

「うん! なのは」

 

わいわい、わいわい。

 

楽しそうに話す二人に、黒髪の人間さんは、溜息を一つ零します。

 

 

 

妖精さん達に、また新たな、素敵な出逢いが訪れる事でしょう。

 

 

 


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