東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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前回のあらすじ

さとり登場


110 貫く槍

海中では、人はあまり動けなくなる。水圧という阻害要因によって動きが制限されるからだ。深いところに行けば行くほど、体にかかってくる水圧が強くなり、動きもかなり鈍くなる。よって水の中での攻撃の威力がほとんどないのはほぼ自明と言える。

 

 

DWの1人、魔理沙の目の前にいるシャークはそれを体現している存在だ。水の中での攻撃が弱くなるように、彼に対する打撃攻撃はほぼ無効化される。同じ理由で火力も通じない。水の中では火がつかないからだ。

 

 

パワーなら幻想郷トップと言われている星熊 勇儀のパンチであっても、火力のある弾幕を使いこなす魔理沙のスペルカードも彼には通じない。打撃か火のどちらかであれば威力がなくなるようになっていた。

 

 

そんな彼に通じる攻撃は、打撃や火以外、つまり斬撃などがある。その中でも彼が最も苦手としているのは電撃だ。雷は彼の最大の弱点である。

 

 

普通ならそんな弱点を漏らさない。相手はその情報を知る可能性は低い。

 

 

 

 

 

だがこの妖怪、古明地さとりは違う。

 

 

 

彼女は相手の感情および心を読み取る第三の目を有しており、相手の考えを見抜くことが出来る。更には相手のトラウマを読み取り、そのトラウマが弾幕であればそれを再現する事が出来る。

 

 

彼女を怖がる人は沢山いた。それどころか妖怪すらも彼女を避けていた。

 

 

だがこの男は実に楽しそうだった。

 

 

 

 

 

「お前が噂に聞くさとり妖怪か。思ったよりも幼い容姿をしているな」

 

 

さとりは目の前の男を訝しげに見ている。その理由は単純だ。彼女から見ると彼は得体がしれないからだ。

 

心が読み取れないと言うわけではない。今も彼がこの状況を楽しんでいる事が分かる。今のところ妹のこいし以外に心が読み取れない人や妖怪はいない。

 

 

 

彼女が不可解なのは、彼が楽しんでいる理由だ。

 

 

 

 

「…愉快そうですね。追い込まれていると分かっていながら」

「ハッ!だからこそ楽しいんだろう」

 

 

その言葉に嘘はない。その事実はさとりを余計に困らせる。追い込まれれば、普通は焦るか怖がるかだ。少なくとも、楽しみという感情は出てくるはずがない。なのにこの男は楽しんでいるのだ。彼女の理解の外である。

 

 

 

「あなたたちの目的は何ですか?」

「…………」

 

 

 

当然答えは返って来ない。そもそも敵に目的を話す方が変だ。

だが言葉に出さなくても、それを考えさせる事が出来れば彼女は読み取れる。だから敢えて話を出した。

 

 

そして思った通りシャークたちの目的を読み取った。

 

 

「……魏音さんですか」

 

 

シャークを含めたDW侵略組の目的は魏音だった。何故魏音を狙うのかはこの男からは読み取れなかった。それは彼自身もそれを知らないという事だ。

 

その真の目的を知っているのはシュバルだけだ。

 

 

 

 

「…隠し事が出来ないってかなりイライラするもんなんだな。黙っていても嘘をついても意味がないって訳か」

 

 

 

 

 

 

ゴキッと肩を鳴らしているシャーク。彼が彼女を仕留めようとしているのは心を読む必要もなく分かった。

 

 

詳しい事情は知らない。だがシャークやその他のメンバーの狙いが魏音であるなら、このまま放っておく訳には行かない。

 

 

シャークの弱点である雷の弾幕を放つ準備はとっくに終わっている。後はそれを放つだけだ。

 

 

 

 

「はあああああああああ!!!」

 

 

 

 

その場で作り終わっていた空気をぶち壊すかのような大声が響く。その声の主は魔理沙だった。

 

 

 

「なに…ッ!?」

 

 

 

シャークは魔理沙の動きに反応出来ていなかった。茫然と立っている彼を真っ白な光が覆って、爆音とともに煙が巻き上がる。彼女の渾身の弾幕が出た。

 

いつも通り途轍もない破壊力だ。並の妖怪ならとっくに倒れているに違いない。

 

 

しかし、その攻撃はシャークに通じるわけがない。打撃や火の攻撃は彼には効かないのだから。

 

 

「…魔理沙さん。あの人に攻撃を当てるなら…」

 

 

シャークの弱点を伝えようとしているさとりの言葉は途中で止まった。

 

 

「邪魔をするな……アイツは私が倒すんだ」

 

 

さとりは察した。いまの魔理沙はさとりの言葉が全く聞こえていない事を。猛烈な怒りによって冷静さを失った彼女は、例え何を言われても聞こえない。

 

 

魔理沙が起こっている原因も分かる。シャークは彼女を罵倒した。出来損ないの魔法使いであると。それは魔理沙の逆鱗だ。シャークを燃やし尽くさなければその怒りは収まる事は無い。

 

 

 

 

 

「…感情で我を失うか。ますます見損なったぜ」

 

 

 

 

煙の中から平然と立っているシャーク、当然怪我などはしていない。弱点属性でない攻撃は無効化されてしまう。

 

 

 

「怒りに任せれば良いってもんじゃ無い。敵は確実に仕留めなければならない。相手の攻撃や性質を分析した上で最適な行動を取る。それが戦いの極意だ。無知は身を滅ぼすだけだ。もしおれの事を殺したいなら確実に殺せる手段を選ぶべきだぜ」

 

 

 

 

シャークの言葉は魔理沙には聞こえていない。シャークを倒す事以外考えていない魔理沙はその話を聞こうともしていなかった。

 

 

 

 

 

「無知は身を滅ぼすだけだと…忠告した筈だぜ」

 

 

 

それ故に、魔理沙はシャークにしてやられることになる。

 

 

 

なにかを察したかのように焦っているさとりだが、魔理沙に伝える間もなかった。

 

 

 

 

風が強く吹く音が次第に近づき、青い光が彼方から真っ直ぐ魔理沙に向かって近づいている。

 

近づいて来ている光が見えていない魔理沙はその光を避ける術はない。

 

 

 

 

「ーーーッ!!」

 

 

 

 

肉体を貫く音、体中を走り回る痛み、そして吹き出る真っ赤な物体と遠くに飛んでいく青い光源。身体を貫かれたと、魔理沙はこの時点で漸く察した。

 

 

貫かれた身体は耐える事など出来るはずもなく、魔理沙はアッサリと意識を失い、身体はただ落下するだけだった。

 

 

 

 

 

 

身体を槍で貫かれる感覚は、全員が経験するわけでは無い。だが戦場となれば話は別だ。殺される可能性は当たり前にあり、身体を貫かれて死ぬ者も多数だった。

 

そして、身体を貫かれて意識を保つ事は簡単では無い。殴られたり蹴られたりするよりも激しい痛みを一瞬で感じる。場合によっては斬られたり打たれたりするよりも痛い事もある。

 

 

 

「ぐ…ガハッ…!」

 

 

炎の槍を貫かれて未だに意識を保っているジンは相当頑丈であると言えるだろう。

 

 

 

「ジンさん!」

「そんな、なんで…」

 

 

ジンの戦いを見ていた部下たちは混乱していた。突然ジンが攻撃を受けたのを見て動揺しない方がおかしい。

 

 

 

「何が、起こったの…?」

「槍がジンさんに向かって飛んで来たようですけど…」

 

 

 

霊夢や妖夢も同じくだった。ジンと敵対している視点から見てもいまの事態は理解できない。

 

 

 

 

 

 

 

「……やってくれるじゃねぇか…!」

 

 

 

逆に何が起こったかを理解できているのは攻撃を受けたジンと、ジンに睨まれている黎人だった。

 

 

 

「黎人…何したの…?」

 

 

動揺を隠しきれていないのか、霊夢が黎人に尋ねている様子は何処となく力がない。

 

 

 

「少し前に放っていた『熱線ロッド』が方向転換しただけだ。そういえばお前らはアレを見るのは初めてか」

 

 

 

それに答えている黎人は逆に冷静だ。周りの人らの動揺に何の影響も無いみたいだ。

 

 

 

だいぶ前に放った『熱線ロッド』とは、少し前にジンに斬撃を与える時に放った物の事だ。その時はジンにアッサリと躱されていたのだが、それが途中で方向転換してジンの身体を貫いたのだ。

 

『熱線ロッド』の飛ぶ方向を変える事が出来る事を霊夢やその場にいたものは知らない。少し前にリヴァルと戦う時にした事が有るのだが、それを見ているのは黎人とリヴァル、そしてディルのみである。

 

 

 

「それだけじゃねぇだろ…よく俺の能力の穴を突きやがったな」

 

 

 

勿論ジンに攻撃を当てた理由はそれだけじゃない。ジンはその本当の理由を見抜いていた。

 

ジンの能力は、対象物の10秒後の未来を見る事が出来る能力だ。その能力で相手の次の行動を読み取る事が出来るため、避けさせる事もなく攻撃を当てたり、相手の攻撃を躱す事が出来る。例えジンの予知とは違う行動をしようと思っていても、たった10秒間ではそんなに大きな違いは生じない。

 

 

 

 

「10秒後以降の未来は見えないんだろ。お前の目は」

 

 

 

逆に言えば、そう言う事だ。10秒後まで見えるのなら、それ以降に攻撃を当てるように仕掛けた行動は、その行動の目的を読み取られる事は出来ない。更にそのカギとなっている物がジンの視界に無いならなにかの拍子で先読みされる事もない。

 

 

黎人はその弱点を突いた。

 

 

まず熱線ロッドを放って遠くに飛ばしておき、ジンに攻撃を仕掛ける事でジンの視界を熱線ロッドから外す。

 

その際に地面に踏み込んで跡をつけていた。それは飛ばした槍を戻す方向だ。ジンがその跡の上に来た時に熱線ロッドの方向転換をするつもりだった。

 

 

ジンに予測されない見事な戦術だった。

 

 

 

 

 

「ここまで考えていたと言うわけですか…?その、黎人さんはあまり頭を使わないタイプだと思っていたんですが…」

 

 

 

 

妖夢がそう思うのは当然だ。黎人がそこまでの作戦が立てられるほど賢い性格と思えない。まして今の作戦は妖夢でも思いつかなかった作戦だ。

 

 

 

 

 

 

「…それは違う。考えてみれば、アイツ戦いの時は頭が回るのよ。勝つための最適手段を考えるのも簡単にやってた」

 

 

 

 

霊夢はといえば、黎人がそう言う力を持っている事を思い出していた。バイクで走りながらガイラと戦う時も手際が良かったし、ドベルとの戦いでも金属の糸を操るという戦法を駆使していた。そもそも頭が回っていないと形態の使い分けが出来るはずも無い。一見もはや無敵にも見える相手やその能力の弱点を見抜くのもお手の物なのだ。

 

 

 

 

「さてどうする?まだやるのか?それとも、抗うか?」

 

 

 

 

 

黎人は目の前の男に尋ねる。この状態でどうするのかと。

 

大きなダメージを受けている身体で、3人と戦うと言うのはほとんど難しい話だ。いつも通り動けるはずが無いし、特に黎人との戦いは長引く可能性がある。

 

普通に考えてみれば、降参した方が得策とも言える。この状況で下手に抵抗すれば死ぬ可能性があるのだ。

 

 

 

 

 

しかし部下たちは、ジンがこの程度で諦める男では無いと言うのを知っている。

 

 

外の世界では伝説と謳われている剣士、あらゆる窮地を乗り越えて如何なる強敵を倒して来た男なのだ。

 

 

 

 

この程度でジンが追い詰められているとは、誰も信じていないのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「分かった。降参だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

 

 

 

 

 

降参を主張するジンに、部下や霊夢に妖夢、そして黎人までも驚きを隠せなかった。この男なら降参するはずが無いと、敵である黎人たちも思ったのだから。

 

 

 

 

「じ、ジンさん!そんな…なんで……」

 

 

 

 

 

降参しようとしているジンに、部下の1人が問い詰めるように叫ぶ。降参しないと信じていたのに、彼が降参した事で混乱することしか行動できない。

 

 

 

「…どうやっても覆せないだろ。この身体じゃコイツらを倒すのは難しい。ここは素直に負けを認めた方が得策だ。この男、降参した敵を殺すような男でもないみたいだし」

 

 

 

 

ジンの言っている事は確かに正しい。そもそもそれが一般的な考えだ。

 

だがジンならそんな行動はしないのではないかと思っていた。

 

 

 

「確かに今の状態では勝率はほとんど無かったと思います。けれど、ジンさんなら何か手があったんじゃないですか?どんな困難も乗り越えたジンさんなら…」

 

 

 

妖夢は尋ねる。ジンならなんとか出来たんじゃないかと。

 

彼に関する伝記を読んできた彼女も、ジンならなんとか出来たんじゃないかと思っていた。敵ではあるが、そうと思っていた。

 

 

 

 

 

「それは買い被りというものだぜお嬢ちゃん。何を見てそう思ったのかは知らないが、伝記とかの書物は良いようにしか書かれない。まして武勇伝のようなものは完璧な人間に仕立て上げる。

 

けどそんな訳ない。個人的には敗北の方が多いし、寧ろ無様な事ばかりしていたと思うよ。

 

伝説が全てと思わない事だ」

 

 

 

 

 

伝説は、人間が特に憧れる存在である。自分とは掛け離れている存在に、尊敬の想いを抱かずにはいられない。もともとそのように描かれているものなのだ。

 

 

だから伝説の存在とされているものを、自分たちとは違う存在と思いがちである。

 

 

それは大きな間違いだ。

 

 

種族が違うなら別の話だが、人間であるなら、それは人間のように行動する。諦める事だってあるし、無理なものは無理である。いまのジンの状態ではどんな優れた存在であったとしても難しいと判断するだろう。

 

 

 

 

「俺は無謀な事はしない。無理だと判断すれば諦めるさ。そうと分かっていながら挑めば死を招くだけだし」

 

 

 

 

なんとも言い表せない、不完全燃焼を殆どの人が抱いている。ジンを特別な存在として捉えていた者らは正直落胆している。期待していたのに裏切られたような感じだ。

 

 

 

 

 

 

「…悪いけど、その状態のままついてきてもらう。俺たちもいま用事があるからな」

「構わねぇよ。けどコイツらは逃してくれねぇか?」

「…分かった」

 

 

 

 

 

そのままついてこいという黎人の指示に従う。腹の傷を治せる人がいないため、その傷を治療しないままついてくることになる。かなり苦しい事を要求されているが、降参している以上ワガママは言えない。部下の助命だけを求めて、ジンはそれ以上何も言おうとしない。

 

 

 

 

 

 

「黎人さん。その…私がジンさんを永遠亭に連れて行ったら良いんじゃないですか?」

「それはしなくて良い。ついていくって言ったし、そこまでする必要はねぇよ」

 

 

 

 

この場に3人いるのだから、1人がジンを妖怪の山に連れて行っても良いんじゃないかと妖夢は考えたのだが、黎人はそれを認めなかった。

 

 

 

 

 

(ヘタに監視の人数を減らして、逃走される可能性を減らすというわけか。意外と敵兵の扱い方についても慣れているね)

 

 

 

 

 

 

監視する人数が減れば、逃げられる可能性が高くなる。黎人はそれを避けたのだ。

 

 

 

 

 

 

ジンを拘束したまま、黎人たちは移動を始める。ポカンとしていた部下たちはそのまま帰っていった。

 

 

魔理沙が豺弍を探しに行ってるから、自分たちは魏音を探しに行こうとしている。

 

 

いま魔理沙がかなりピンチである事は、この時全く知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙が倒れ、シャークの手には先ほど投げ飛ばしていた槍が握られている。その槍は赤く染まっていた。魔理沙の体を貫いたのはその槍なのだ。

 

 

「…追跡型だったんですね」

「メガロドンは凶暴なサメの名前だ。獲物をそう簡単に逃しはしない。

この技はそれを再現したものだ。外すとか避けるとかではない。獲物を確実に仕留めるまで追い詰める。

油断したな。目の前の敵しか見ていなかったからこう言う事になる」

 

 

 

まさか遠くに飛んだ槍がそのまま自分に向かってくるとは思っていなかった。だから魔理沙は投げ飛ばされた槍に全く警戒しなかった。

 

先ほどさとりがシャークの企みを読み取ったのだが、それを魔理沙に伝える時間が無かった。

 

 

 

「さて、続けてはお前さんが相手か?言っとくが心を読めるぐらいで勝てると思わない事だ」

 

 

 

 

非常にマズイ状況だ。系統は違うが、シャークは先読みをする能力を持つ相手と戦った事がある。

 

 

先読みをする相手との戦いは、スピードで勝負する事だ。

 

 

 

つまり、先読みを済ませている相手よりも素早く動く。

 

 

 

 

未来を先読みする能力を持っているジンは戦闘能力は高いのだが、さとりはそう言うわけではない。シャークが苦手である攻撃をする事は出来るが、それでもシャークを倒せるとは言えない。何しろシャークのスピードは異常なのだから。

 

 

 

本当は魔理沙と協力してシャークと戦うつもりだったのだが、感情的になってしまって攻撃を受けてしまった魔理沙はもう動けない。

 

 

 

1人でシャークと戦う。それはさとりにとってかなり難しい内容だった。

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

 

 

 

 

突然、シャークが何かに気づいた。彼の心情から、いま何が起こったのかをさとりも読み取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らの意識は、シャークにやられた魔理沙に向けられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙は倒れたままだ。流石に起き上がるという事は無かった。

 

だがよく見てみると、黒い靄みたいな物が出ている。魔理沙の周りを漂っているようにも見えるし、魔理沙からその靄が発しているようにも見える。

 

 

そして次に魔理沙の髪の色が変わっていく。もともと金髪だったのだが、段々と赤くなっていき、最終的には橙色になっていた。

 

 

 

 

 

「…?何が、起きたんだ…?」

 

 

 

 

 

シャークが疑問に思うのも無理はない。髪の色は突然変化する事はない。染めるにしても、魔法などによって色を変えるにしても、こんな短時間で出来る筈がない。ましていまの彼女は意識を失っているはず、自分で髪の色を変える事は出来ないのだ。

 

 

ならば目の前で起こっている現象はどうして起こっているのか。あまり考える事が得意ではない彼はその答えを予測する事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

《ギュオン…!》

 

「なに…!!」

 

 

「あれは…魔法陣…?」

 

 

 

 

 

魔理沙を中心とするように魔法陣が展開される。魔理沙も魔法陣が使えるのだが、その魔法陣は彼女が出すようなものではない。どちらかと言うとパチュリーが出すようなものだった。

 

 

 

すると、槍で貫かれたことで体に空いてしまった筈の穴が塞がって行く。

 

 

 

「治療魔法…!?バカな…霧雨魔理沙は攻撃魔法程度しか扱えない筈じゃ…」

 

 

傷が塞がったのを見れば、それが治療魔法であると言うのは分かる。そして、情報とかみ合わない事に気づく。

 

魔理沙は、どちらかと言うと攻撃型の魔法を取り扱う事が多い。それも単純でかつ派手なものが。治療魔法などの繊細な魔法は彼女の得意分野ではなかった筈だ。

 

 

 

 

 

 

 

《ムク…》

 

 

 

やがて、彼女は立ち上がった。霧雨魔理沙()()()()()の女性だ。

 

 

 

だがシャークもさとりも、それが霧雨魔理沙とは思えなかった。

 

 

 

 




魔理沙に何が起こったのか。次回もお楽しみに。

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