東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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どうも、ゆっくり狼牙です。
8月が終わってもうた…
楽しい時間ほど早くすぎるってマジで思う。
夏休みが後1年欲しい…
黎「1年中遊びたいんですね分かります。」

それでは、ゆっくりしていってね。


24 「金」の力

前回のあらすじ

黎人「金」の力を覚醒

黎「俺に力を貸してくれ!」

霊「10分も何やってるの?」

魔「妖夢もイライラしてるぜ。」

幽「まぁ、体感時間は一瞬でしょうね。」

黎「いよっしゃ、準備ができ」

妖「おそーーーい!!」

 

(嘘です本当に一瞬です。)

 

 

 

「遂に…5つ揃えましたか。」

 

暗い部屋の中、モニターの黎人の姿を見る者がいた。

そう、ディルだ。

 

「博麗の巫女もいい仕事するじゃないですか。お陰で手間が省けますよ。」

 

紅茶を飲み、ニヤリと笑った。

 

「さて…紫さんはどう動くつもりでしょうか。」

 

 

 

 

左下で刻まれる「金」

右手には長さ1メートルくらいの剣がある。

その剣を、思いっきり振った。

 

「よし…これなら戦える。」

 

他の4つでは戦えなかったが、これなら期待できそうだ。

鞘に両手を添える。

 

「ここで新たな力になりましたか…」

 

妖夢も構えなおした。

 

 

 

 

「あれが『金』か…」

 

黎人の変化の様子に魔理沙は感嘆の声を上げる。

 

「今度は剣か…妖夢相手なら持って来いの武器ね。」

 

霊夢は冷静に分析していた。

勿論剣だからといって勝てる保証はない。

だが、さっきよりは希望が見えてきた。

 

 

 

そして、妖夢たちの戦いが再開した。

 

 

 

ーーガキィィ…ン

 

妖夢の斬撃を黎人が防いだ。

 

「ぐ、ぬアァァァ…」

 

刀に慣れてない為、黎人が押され気味だ。

そして、妖夢は2本目を取り出した。

 

「…!チィッ」

 

横から2本目が襲う。

黎人はしゃがんで回避。

そして、妖夢は2本の刀で黎人を翻弄する。

 

ーーズバッ

 

黎人の服が一部裂けた。

黎人は思いっきり後ろに飛んで距離をとる。

 

 

(…なんか別段変わったって感じは無いな)

 

 

黎人は「金」の姿の身体能力が全く変わってない事に違和感を感じた。

今までは、何かしらの力が向上、もしくは特殊能力が発動される感じだった。

この「金」だけはそんな実感がない。

他のと見劣りしてしまう。

この能力はどうすれば良いだろうか。

 

 

「余所見は禁物ですよ‼︎」

 

 

刀を一本収めた妖夢は一気に距離を詰めた。

 

「断迷剣『迷津慈航斬』」

 

妖夢の剣が青く光った。

妖夢がその剣を思いっきり振りかぶり、

黎人の刀に当たった。

 

「…!」

 

さっきの「冥想斬」とは違う。

威力で言えばこっちの方が強い。

さっきと同じように弾かれそうになる。

 

(…ま…けるかよ。こんな形で‼︎)

 

黎人は刀に力を込め、

 

霊力も込めた。

 

すると、黎人の刀身が白色に光った。

 

 

(…⁉︎まずい。)

 

妖夢の方が押され始めた。

危険を察知した妖夢が後ろに大きく飛んだ。

 

 

 

(妖夢の方が…力負けした⁉︎)

 

 

 

このことは、幽々子は驚いた。

女性とはいえ、何年も刀に触れた妖夢の方が、剣に触れて間もない黎人に鍔迫り合いで負けたことは、ありえない。

 

(もしかして…黎人は『彼』と…同格、なの?)

 

幽々子は頭に浮かんだ男と黎人を重ねた。

 

 

 

 

黎人は刀を見た。

刀身が白く光っている。

さっきの鍔迫り合いで、急に力が強くなった。

 

(まさかこれは…)

 

 

 

「金」は、霊力を込めることで、斬撃力、要するに攻撃力が上がる。

周りから力を吸い上げて威力を上げる「木」とは対をなす。

 

 

 

「よし、使い方が分かってきた。これなら…」

 

黎人は刀を持ってる右手を左に構えた。

そして、刀に思いっきり霊力を貯める。

 

(…!この霊力…お爺様と同じくらいの)

 

刀が更に輝いた。

直視することが出来ないほど

 

「行くぜ、妖夢‼︎」

 

黎人が声をかけた。

妖夢は無言で刀を構える。

 

黎人は思いっきり妖夢に突っ込み、刀を振った。

 

 

ーーズバァァァ‼︎

 

 

振った刀の太刀筋から、白色の光が放出された。

庭の地面が、壁が、それによって切り裂かれた。

砂が煙を巻き上げる。

霊夢達は、2人の姿が見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

土煙が晴れ、段々と中の様子が見えた時

2人の姿も確認できる。

そこには、振りかぶった姿勢のままでいる黎人と…

 

 

 

 

その首に刀を立てている妖夢が見えた。

 

 

 

「負けたーーか。」

 

黎人が口を開いた。

 

「まさか、運が良かっただけですよ。」

 

よく見ると、妖夢の持っている剣は、先ほど収めた楼観剣だ。

そして、右肩は傷を負っている。

遠く離れたところに、白楼剣が転がっていた。

 

 

 

 

「え?…何で、今の間に、何が起きたんだよ。」

 

魔理沙は呆気にとられていた。

 

 

 

 

 

 

 

時刻は遡る。

 

 

黎人が刀を振りかぶり、光を放出した時、

妖夢はゼロ距離で受け止めていた。

だが、地味にしかし確実に妖夢の方が押されつつあった。

(これなら、行ける‼︎)

 

そして、妖夢は刀を弾かれた。

 

「ぅあ‼︎」

 

妖夢の身体を光は通過した。

右肩を捉えており、そこから血が出た。

黎人が勝ちを確信したが、甘かった。

 

妖夢は左手でもう一本の刀を抜き、黎人に斬りかかった。

 

(不味い‼︎)

 

黎人は咄嗟に避け、

 

れなかった

 

 

 

(…⁉︎何だ?身体が…動かねぇ。)

 

何故か身体を動かせなかった黎人は、なす術が無かった。

 

 

 

 

 

 

「それであっさりと…情けないわね。」

 

霊夢に辛辣な感想を述べられ少し落ち込む黎人。

 

「いやだって、『動けなくなる』なんてのは聞いたことねぇよ。対処しようがなかったぜ。」

 

「金」は光の斬撃ー通称「銀風」(ぎんぷう)を放出すると、反動で暫く動けなくなる。

黎人は見事にそこをつかれたのだ。

 

「しかし…惜しいよな。そんな負け方で」

 

魔理沙は同情しているようだ。

 

「心配すんな、魔理沙。」

 

黎人は妖夢を指差した。

 

 

 

 

「リベンジする。今度は…勝つ。」

 

 

 

 

その言葉には力があった。

その場の全員が沈黙するが、暫くすると、

 

「こっちこそ…負けませんよ。」

 

妖夢が返した。

 

 

 

 

この2人は、闘争心が燃え盛っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい雰囲気の所失礼〜」

 

「「「「うわっ!?」」」」

 

黎人と妖夢の間の上空から紫が逆さまで現れた。

その場にいた幽々子以外が驚いた。

 

 

 

「フフッ黎人。その力を目覚めさせたようね。」

 

紫は黎人に言った。

 

「…そんなことを言いに来たの?紫」

 

横から霊夢が呆れ顔で言う。

 

 

「そうじゃないわよ。その力を与えた人物…知りたくない?」

 

その瞬間、黎人と表情が変わった。

 

「知ってるのか?アイツを…」

 

黎人は信じられない気持ちだった。

ずっと気がかりになっていた、「アイツ」の存在。

 

「何だ何だ?面白そうだな。」

「面白くはないわよ。でも、聞いてみる価値はありそうね。」

「あの〜何ですか?それ…」

 

魔理沙は興味深々、霊夢は魔理沙ほどではないが興味はある。

妖夢はよく分かってないようだ。

 

 

「……」

 

 

幽々子は端の方でその様子を黙って見ていた。

 

 

 

 

「ま、そう焦らず聴きなさい。」

 

紫は黎人達を制し、話し始める。

 

 

「これから話すことは、幻想郷そのものに関わる問題よ。」

 




如何でしたか?
漸くひと段落着きました。
とりあえず能力については全部載せました。ヤッタゼ。


解説入ります。
「金」は身体能力に何かしらの変化は無いです。
が、刀に霊力を貯めると、攻撃力が上がります。
立ち位置的にはバランス型ですかね。
で、霊力最大時は、刀から高威力の光の斬撃、いわば「銀風」(ぎんぷう)が放たれます。
攻撃範囲が高く、スピードもあるので優秀ですが、一発打つと霊力をロストする上放つと暫く動けなくなります。
使い所が重要ですね。

さて、次回紫がディルについて話します。
名前についてはすでに出していますが、彼がどういう存在なのかも書いていきたいと思います。

次回まで、ゆっくり待っててね。

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