東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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お久しぶりでこざる
少々忙しくてなかなか投稿できませんでした
申し訳ありません




今回は刃燗vs鵞羅
どんな戦いになるのか見て下さい


52 捷疾鬼

前回のあらすじ

黎人が死んだ!

黎「それifの方だろうが!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

人里から遠く離れた森で走る人が2人いた

1人は上白沢 慧音

もう1人は藤原 妹紅だ

「何なんだ…この異様な殺気は」

妹紅は何が起こっているのかが気になっている

2人は感じ取っていた

森の奥から感じる殺気を

それが人里に悪影響を及ぼすかもしれないと思い、急いで向かっていた

「もう直ぐだ。そこを越えれ…ば⁉︎」

突然、慧音が動きを止めた

正確には電気が走って動きを止められていた

「慧音‼︎」

後ろで倒れている慧音を見て、妹紅はその近くに走った

「大丈夫か?」

「すまん…突然何かが」

妹紅が進行方向を向いても、何も見えなかった

見えない何かが阻んでいるということは…

 

 

 

 

「結界ね。これは間違い無く」

 

 

後ろから声をかけられた

そこには霊夢がいた

「霊夢?お前…」

「なーんかやな予感がしたのよね。刃燗が走り込みに行く、て行った時から。案の定ヤバそうだし」

「…それで、結界って?」

慧音が聞くと霊夢は手を差し出して力を貯めると

緑色の壁が浮かび上がった

「ご覧の通りよ。どっかの誰かさんが仕掛けたようね」

「だが、なんで妹紅は無事に…?」

「人間には効かないようにしている。恐らく妖怪に邪魔されない為ね。慧音は半獣のほうがあるから入れなかった。妹紅は不死身といっても種族は人間だから効果なしというわけ」

それだけ言って霊夢は札を取り出す

「私は別に問題ないけど、面倒だしこの結界を破壊するわ。何だったら妹紅は先に行ってなさい」

それを聞いて、妹紅は行く先を向いた

「分かった。先行ってるぞ」

妹紅はそのまま森の中に入っていった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「テメェは…あん時いた連れの奴か」

鵞羅は刃燗を少しだけ覚えていた

黎人や霊夢と一緒にいた男

能力も力もなく

唯一、ボクシングに沿った戦闘が展開できるだけで

たいした戦闘ができない非力な人間であったと記憶していた

「お前が?俺を?ハッ笑わせんな。お前に何ができる」

目の前の男が自分を倒すなどあり得ない

鵞羅は確実にそう思っている

 

 

 

「そうやって馬鹿にしてると痛い目見るぞ」

刃燗は知っている

油断大敵

人を弱いと思い込んだ時が最も危険であるということを

 

 

「ふん…じゃあやってみろよ」

鼻で笑う鵞羅

完全に舐めているとしか見えなかった

 

 

 

 

 

刃燗はポケットから札を取り出した

その札を前に翳す

「力をかせ、【捷疾鬼(しょうしつき)】」

刃燗が唱えた瞬間

黒い光が刃燗を包み込んだ

 

 

 

「…!何だ…?」

突然の変異に動揺する鵞羅

彼は知らないのだ

妖怪を纏う能力が存在することを

 

 

 

 

黒い光が晴れた時

刃燗の体は黒く染まっていた

正確には、刃燗の肉体が薄暗くなっている

 

 

 

「何だ、それは…」

「何だと聞かれて答えると思ってんのか?」

刃燗は拳を握り、足を半歩前に出して

ゆっくりと跳ねる

ボクシングでは基礎の基礎と言われるステップ

それ自体は別に変わった様子は無い

 

 

 

 

 

 

そう思っていた時、鵞羅は顔面に強い衝撃を感じた

それが殴られた痛みだと分かった頃には吹き飛ばされ始めていた

 

 

 

 

 

「ぐあ‼︎」

左頬を殴られ、吹き飛ばされる

数メートル離れたところで地面に激突し

引きずりながら体制を立て直す

 

 

慌てて正面を向くもそこに刃燗はいない

と思いきや目の端に黒い影が映る

それを見た瞬間鵞羅は腕を顔の前に出して防御しようとする

だがその手をすり抜けるように

その合間を通って攻撃を与えた

顔面を殴られ腕を顔に近づけた

そうした時刃燗は顔面から腹部に照準を変える

腹に何発か打ち込み

一回転してその勢いのまま腕を振って鵞羅を吹っ飛ばした

 

 

 

 

 

 

「ガハッ…何だアイツの速さは…」

ボクシングに限らず、全ての武道において

足の動き…俗に言う歩合は、最も重要

距離の取り方、素早さ、瞬発性、勢いを担っているわけであり、その差が勝敗を決している面もある

刃燗の動きは余りにも速く、全く追いつけない

このままでいればあっという間に倒される

(チッ…こんなことで一回消費することになるとはな…)

 

 

 

 

茂みの中に吹き飛んだ鵞羅に動きは無い

その様子に違和感はあるものの全く動かないでいる刃燗がいる

鵞羅を探すのも一手だが、彼はそれが出来ない

それを止めているのは、この力を手に入れる際の萃香の忠告だった

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「この札は…封印された妖怪の力を纏うものさ」

刃燗に札を渡しながら、その使い方を説明している

「封印されているのは【捷疾鬼】。鬼の中で速いと称される鬼さ」

別名、夜叉

伝記上では、四天王の一人と記されている

「これを纏えば異常な速さが手に入る。

けど多用は勧めないよ。本来出来ないことを無理やり実現しているに過ぎないからね。体力浪費は今までの比じゃない」

黎人が「火」の力を長続き出来ないのと同じ理由である

「それに無闇に動き回らないほうがいい。目の前の敵を打ち倒すことに集中するんだ」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

鵞羅の行方が分からない今、捜索するために動き回れば余計に浪費する

鵞羅が出てくるまで待たないといけないのだ

次出てきた時は何らかの策が展開されている筈である

その時、萃香からのアドバイスを思い出す

『策は力でねじ伏せろ』

ハッキリと言えばゴリ押しである

だが、力で押し切るのは正攻法だ

刃燗は相手の出方を伺っていた

 

 

 

 

 

 

やがて鵞羅が出てきた

手には例のドスがある

右手でドスを持ち、左手は大きく開いている

それを見て、刃燗は斬の風を吹かせると見切る

だが横に避けたりせず、真っ直ぐ鵞羅に迫った

その後鵞羅の手から風が吹く

迫ってくる刃燗に正面から襲いかかる

だが、それが当たるとは思ってすらいない

 

 

刃燗は上空に飛び上がった

風どころか木すら飛び越えるんじゃないか、て程の高さだ

落下地点は鵞羅の直ぐ後ろ

間髪入れず、その懐目掛けて拳を入れる

 

 

 

 

 

 

 

 

ことはなかった

「…⁉︎な、何だコリャ…」

刃燗の動きが突然止まった

よく見ると自分の体に糸が絡まっている

さっき鵞羅が出てきたときは無かったはずだが

 

 

 

「何故こんな糸が現れたんだ?て顔をしてるな。さっきからずっとあったよ。1本1本が細いから見えなかったかもしれないがな」

鵞羅に近づくとき、身体中で糸を引っ張っていた

手繰りながら進んでいき、ついには全く動けなくなるくらいまで絡まっている

自分の体がウンともスンとも言わない

「そんな何発も出来ねぇから使いたくは無かったんだが…代償に喰らっときな。斬雨【斬時雨】」

鵞羅のスペルカード、斬時雨が発動

上空から斬属性の雨が降り注ぐ

動けないこの状況では大悲惨となる

 

 

 

 

「甘ェ」

それだけ言い、刃燗は足に力を入れる

若干紫色に光っていた

「爆撃【ドン・フット】!」

すると刃燗の足下から爆風が発生

それは刃燗を包み

ブチッブチッと糸を引きちぎった

「な…⁉︎自分の体ごと糸に攻撃したのか」

雨が降り注いで煙を掻き分け

煙が晴れた頃にはそこに刃燗はいなかった

と思いきや後ろに刃燗が回りこんでおり、顔面を殴った

 

 

 

 

《ガギッ》

だが、何かに阻まれたようで硬いものを殴ったかのようになった

よく見ると鵞羅の周りにシールドが貼られている

「あっぶねぇ…念を入れといて助かったぜ。まさか【蜘蛛の糸】を破られるとは思わなかったからな。だがまだだ。その程度じゃ俺には勝てねぇ」

鵞羅は左手を上に上げる

「斬開【斬楽花火】」

すると手から銀色の弾幕が上空高く打ち上がる

と思いきや突然爆発して分裂し、落下し始めた

「チッ…ヌオオオオ‼︎」

上からの弾幕を避けながら鵞羅に攻撃をし続ける

だが、シールドを貼られた鵞羅には全く効果がない

「ハッ無駄だ無駄だ。サルの攻撃を何発受けようと崩れるわけがねぇんだよ」

鵞羅は勝利を確信した

あの高速移動を何分も耐えれる筈がない

持久戦に持ち込めば変異が解けて決着がつく、と…

 

 

 

 

 

「勝手に決めてんじゃねぇ!!!」

その様子に怒り、渾身の一発を当てた

すると、今までビクともしなかったシールドが揺れ始めた

「な…なんだと」

「手応えあった!いくぜぇぇぇ!!」

当てた拳に力を込めた

すると、先ほどの足から発していたのと同じ紫色の光が出る

「爆撃【ドン・ナックル】!」

接してるところが爆発

その爆破の衝撃には耐えられず

鵞羅の貼ったシールドは破られた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐ…クソが」

爆発に巻き込まれ、満身創痍の鵞羅がフラフラと現れる

シールドを貼っていたからある程度は防いだが、ダメージがなくなるわけでは無かった

その場に倒れこみ、フラついている

 

「ハアッ…ハアッ…いよいよ限界に近いようだな」

聞こえてくる声

その声の主は確認するまでもない

鵞羅はその主を睨む

「それはテメェもだろ。その変異の力で硬くなっているようだが、爆発のダメージが消えてる訳じゃない。ましてあんな無茶苦茶なスピードを出し続けてるんなら限界もいいところだろ」

鵞羅の分析は正しい

爆発を受けてるのは鵞羅だけではないし、何より刃燗は2回も受けている

体力の消耗はどっちが激しいかは明白である

しかし、刃燗はそれに動じなかった

 

「そんなのはどうでもいい。テメェを倒せるなら、俺の身体がどうなっても構わねぇ」

刃燗は覚悟を決めている

二週間前に黎人を苦しめた男を倒すために自分がどうなってもいいと

 

 

 

 

「終わりにしてやる…これで、最後…?」

刃燗の動きが止まった

何か妙な音が聞こえたからだ

それは羽音のような

 

 

 

 

 

 

「ようやく産まれたか…オセェんだよ、ったく」

鵞羅は後ろの方を見た

その方向を見ると、刃燗は自分の目を疑った

 

 

 

 

そこには黒く小さい虫が大勢でこっちに向かって飛んできていた

 

 

「な…何だありゃ」

黒い虫ならGが有名

そうでなくとも、熊蜂、蛾などたくさんいるが、

眼に映る虫は見たことがない

少なくとも、鎌の付いている飛行虫など、刃燗は見たことも無かった

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

数分前

鵞羅は懐から卵を取り出した

それに自分の血をつけそこに寝かした

「開発された凶暴な虫【ガチュリス】。寿命が約1時間の虫だが、その間卵についた血の主たる親に従う。そう何度も作れる訳じゃないから出来れば使いたくなかったが…」

そして、鵞羅はドスを持って刃燗のいる方に向かった

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

そして現在、ガチュリスが孵りこっちに向かっている

親(鵞羅)に立ち向かっている刃燗を標的に、突っ込んだ

「ぐあ‼︎」

その釜は小さい故に大きなダメージを与えるわけじゃ無いが、100は超えている虫の攻撃ではたまったもんじゃない

しかもスピードは捷疾鬼を纏っている自分と同じ速さであるから、避けきれない

 

「この…【ドン・フット】!」

足下から爆風を出して何匹かの虫を倒す

だが、それだけで全滅どころか1割も沈んでない

「くそ!【ドン・ナックル】!」

次から次にスペルを発動するも、一向に減らない

 

 

 

 

次の瞬間

《ドシュッ》

「ぐあ…」

背中からドスを突き刺された

後ろには鵞羅が回り込んでいた

「ガチュリスに気をとられすぎたな。俺を忘れてもらっちゃあ困るぜ」

鵞羅は刃燗を突き飛ばす

例え速く動けても動き出しが遅ければ意味がない

視覚からの攻撃に刃燗は為す術も無かった

「ダメ押しでもしてやろうか。暴嵐【スパーク-ストーム】」

大量の斬属性の風が襲いかかる

本数が多くなっているだけだから、避けるのは難しくない

 

筈だった

《ズバ!》

「がぁ!!」

刃燗のスピードも落ちてきて、いよいよ限界だった

動きが鈍くなり、避けるのも上手くいかない

 

 

 

 

 

「ハァハハハハ!この勝負は貰ったァ!俺の、勝ちだ!!!」

辺りに鵞羅の笑い声が響く

 




刃燗の戦闘シーンが漸く載せれたァ
捷疾鬼、てのは鬼の一種ですね。本文の通り速いで有名です
ボクシングにスピードが加わるといいかなー、て


しかし、それで勝てるほど甘くはなかった
次回、刃燗はどうなるのか、楽しみにして下さい




〜NGシーン〜
「何故こんな糸が現れたんだ?て顔をしてるな。さっきからずっとあったよ。1本1本が細いから見えなかったかもしれないがな」
鵞羅に近づくとき、身体中で糸を引っ張っていた
手繰りながら進んでいき、ついには全く動けなくなるくらいまで絡まっている
自分の体がウンともスンとも言わない
「そんな何発も出来ねぇから使いたくは無かったんだが…」
そうして、鵞羅は前に踏み出した





《ギシッ》



「へ?」
「あ…」
だがその動きは突然止まった
何故なら





「な!俺が糸に絡まった!!くそ、取れねぇ!」
「おいいいいい!!!?どうすんだこの状況!!」





妹「…何か森のほうが騒がしいんだが」
慧「…何が起きてるんだ」
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