黎人と鵞羅の戦闘が始まった
咲「貧弱貧弱ゥ!!!」
鵞「おい、あの女は一体何なんだ」
黎「……聞くな」
「マスタースパァァァァク!!!」
魔理沙の大技マスタースパークによりガチュリスを大半沈めた。かなりの数を減らしたと思われる。
「ちょっと!周りのことも考えたらどうなの⁉︎」
「ん?あぁ、悪りぃ悪りぃ。」
「軽い!!」
真上から苦情が飛んできたが「悪りぃ」で済ませるあたり流石魔理沙である。霊夢の言葉など耳に入らない。
「この……」
「キャーーー!!!」
「うるさい!!!」
「ギャァァア!!!」
ガチュリスの後ろからの奇襲はあっという間に看破される。もはや虫けら扱いだ。……いや、もはやでは無いか。
「はぁぁあああ!!!」
飛んでいるガチュリスを真っ二つにしていく妖夢。飛んでいる小さい物体を切り落とすのはかなり至難の業だが、長年稽古を怠らない彼女にとっては造作もないことである。
「何で私があんな目ニィィ!!!」
……何やら別の要因もあるようだが
《ズシュ!!》
ただ飛行しているだけのガチュリス。近くに誰もいるわけではない。なのに突然八つ裂きとなり命を落とす。
「これで300……何体いるのかしら、これ」
先ほどから、咲夜は時間を止めてはナイフを投げつける。時間を止めてる間に全てのガチュリスを始末すればいいんじゃないかと思うが、ナイフの数には限りがあるため時間を再び動かさないと倒せないのだ。
加えて連続して時を止める能力を使えば体力をかなり浪費する。限界がもうすぐ訪れようとしていた。
(このままじゃ、体力が…)
『ムチャはするなよ。お前が倒れれば、みんなが困るからな』
一瞬浮かび上がった『あの男』の言葉。それに動揺して一瞬大きな隙が出来た。その隙をガチュリスは決して見逃さなかった。
「咲夜‼︎」
霊夢の声かけで意識を取り戻したが、間に合いそうもない。既に目の前にはガチュリスが来ていて…
《パァァン!!》
次の瞬間、ガチュリスの方が砕け散った。咲夜は時間を止めたりはしていない。ピンチの彼女を別の誰かが救ったのだ。それは霊夢でも魔理沙も妖夢でも、まして黎人でも無かった。
《スパァァン!!》
またも鳴り響く発砲音。その音から発砲した者を見つけることが出来た。
(嘘でしょ…あんな遠くから)
方角は東、つまり人里の方で飛んでいる人影を見つけた。その姿がハッキリと見えず、いるかいないか曖昧な感じ。咲夜から見てそうだということはあっちからもよく見えないということだし、そんな位置から正確に狙い撃つなんてことは出来ない。
(何てエイム…一体何者なの?)
惣一はフライアーマーで飛び上がり、グランスコープで戦闘位置を確認した。霊夢を含めた4人の女性が虫…ガチュリスと戦っているのが見えた。ならば自分も援護しようとロンガを取り出して咲夜に襲いかかろうとするガチュリスを射殺。長年の訓練を受けている彼は例え遠く離れた的も正確に当てれる。
「あれは、惣一さんかしら?」
霊夢も彼の存在に気づいた。姿が見えないが、銃を使いこなせるのは鈴仙と惣一ぐらいで、鈴仙は実物を使おうとしないから、惣一だろうと判断した。
「誰なの?それ」
「黎人と同じ外来人よ。外の世界では軍人さんらしいわね」
「軍人…」
咲夜が霊夢に聞いてきた。惣一は霊夢と魔理沙には会っているが、咲夜は会ってない。聞いてくるのもしょうがない。
「なぁ、なんか暑くね?」
突然、魔理沙が手で仰ぎながら聞いてきた。その言葉によって霊夢達も気づいた。
「確かに…暑いわね。異様に」
「そうね…でも、別に汗をかくほどの暑さじゃないわよ」
「そりゃお前の服が特殊だからだろ」
ついさっきまでと比べて明らかに暑いのだ。咲夜も妖夢も魔理沙もかなり汗をかいている。霊夢は服の中に風を通せる穴があるから若干平気なのだが…ガチュリスも若干動きが鈍っている。普通、虫は気温が上がっているときに活発に動けるイメージがあるが、ガチュリスは例外である。
「な…ちょ、霊夢さん!あれは何ですか⁉︎」
妖夢が突然声をかける。妖夢の指差す先には…
髪の色が赤くなっている黎人がいた。
◇
髪の色が赤くなり、顔に紋章が現れている。因みに彼の紋章は火・水・土・金・木のどれかだったが、顔に書かれてあるのはそのどれでもない。
彼の紋章はこう書かれていた。
『火焔』
つまり、『火』の強化バージョンである。
「一体何なんだ。大体その髪は何だよ」
鵞羅は突如変わった髪を指していた。気になるのは当たり前だ。
「あぁ、これはな…」
彼は髪に触れた
「あ……」
《シュボ!!》
「あっちゃあァァァ!!!!」
すると突然彼の手が燃えた。
「あっつ!!アッチッチ!!《ブンズン!!》フー、フー、フー…」
手を一生懸命振ったり息を吹きかけたりして炎を消した。
「あっぶねぇ…触れたら燃えることを忘れてた」
「何勝手にダメージを受けてんだよ」
冷静に突っ込む鵞羅。さっきまで『その答えがこれだ』とカッコ良さげなセリフを言ってた人とは思えない。雰囲気ぶち壊しである。…にしても鵞羅が突っ込むのは珍しい。
(ふざけやがって…)
緊迫したこの状態にも関わらず人をおちょくるような行為をする黎人に理解に苦しむ鵞羅。黎人が変異してから先ほどまで緊張感が高まっていた空気がどっかいった。
「っざけてんじゃねぇぞ!!!クソガキィィィ!!!」
ブチ切れた鵞羅は黎人に向かってドスを突きつけた。かなりの勢いがあり、風をきるような音がした。
それを、黎人は後ろに倒れこんで回避する。上半身を寝かせ、膝から上が真横になっていた。
「何…⁉︎」
標的を失って空振りをしたことでバランスを崩し、前によろけかかる。
「ふざけんな…⁉︎俺はさっきから大真面目だ!」
黎人は鵞羅の脇腹に刃を入れた。鵞羅は力を入れて回避しようとするものの、完全に避けきることが出来なかった。
「チッ…あの『火』の速度はあるっての…か……⁉︎」
その場から離れて距離をとった鵞羅が傷口を見た時、妙な事に気づいた。傷口が光っているのだ。血の色は赤…だが、白い光が合わさり…
《ボォォォォ!!!》
「ぐああああ!!!」
すると突然、鵞羅は炎に包まれた。距離を開けているのに、何故突然炎が…?
「俺はこの2週間…自分の能力をもっと磨けねぇかと鍛錬を続けた。
そしたら、この五行を司る程度の能力は、各能力について更に上がある事を知った。
これは『火』の身体能力を持ちながら且つ、斬ったものを斬傷から発火させる。
それが、『火』改め『火焔』の能力だ」
「グ…ガハッ……」
炎が収まり、全身火傷を負った鵞羅が現れる。意表を突かれた彼はバリアを張れる隙も無く攻撃を受けてしまった。いや、それ以上に……
刃燗との戦闘と連続で体に限界が訪れていた。
「殆ど動けねぇようだな。何だったら逃げてもいいぜ」
鵞羅が黎人を睨む。だが、彼は動揺しない。
「本当はぶっ殺してやりてぇぐらいムカつくがな…そんなことしたところで叶うのは俺の自己満足だ。今更復讐なんて面倒くさい。2度と此処に危害を加えないと約束するなら見逃してやる」
最初は許せなかった。父を、母を、家族を奪ったこの男を。次に霊夢や刃燗に危害を加えて、更に怒りが募っていくのが分かった。
だが、神奈子との戦闘で戦う為の覚悟を知り、2週間の修業で力を手に入れ、今この場で戦っていく中で、彼は今自分が成そうとしている事は唯の自己満足だと感じた。それを知り、彼は怒りの刃を収めた。
「逃げる……だと…………?ハハハ…
調子こくんじゃねぇぞクソガキがァァァ!!!」
鵞羅はドスを投げ捨て、両手を横に広げた。
「凶器【死の風(デスウィンド)!!!!】」
彼の両手に黒い刃が現れた。かなり大きく、鵞羅の手が覆いかぶさっていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「話にならないねぇ……ボツだよ」
紙を投げ捨てられ、不機嫌を露わにする上司の前に立ち、その叱責を受けてる俺、鵞羅がいた。
「やれやれ情けないねぇ……この程度のことも出来ないのか」
「そんな、俺…私は夜中ずっと悩んで作ったのに」
「過程は聞いてないよ。結果が全てさ」
そいつはゆっくりと立ち上がり、俺の前に近づく。
「店に来た客が期待するのは商品の出来栄えであってその裏なんて関係ない。不用品は不用品だし、出来損ないは出来損ないだよ」
俺の前に立つとそいつは蔑むような目で俺の顔を覗き込んだ。
「何時まで経っても僕の満足出来るようなものが出来上がらないなら、永遠にそれを続けてもらう事になるかなぁ…」
「……ッ!!!」ギリッ
「何てことを考えてるんだ!!鵞羅!!!米羅(べいら)を意識不能にさせるなんて!」
あの後、俺は米羅を殴って気絶させた。それを見た別の部下が社長に言って俺は会議室で怒声を浴びていた。
「殴りたくなるさ…あんなこと言われて…」
「ふざけるな!あの男はな…我が社のプロジェクトを次々と取り組んでいながら全て成功させた、いわば我が社の腕利だ!!その男がいなくなれば、我が社はとんでもない不利益を被ることになるんだぞ!!」
いっつもこうだ。何でもこなせるエリートは周りから優遇され、何も出来ない役立たずは迫害される。
小さい頃から学力も評判も良くなかった俺は、暫くの間雇うようなところは無かった。唯一入れてくれたこの会社の中では、俺は雑用という形で就職し、年齢が10も違う奴らから良いようにこき使われていた。
こんなの許されるはずないのに…社長とかの奴らまで目をつぶってやがる。挙げ句の果てにはこうして俺を非難する始末だ。
「お前は体力だけはあった…だから雇ってやったが、我が社に不利益が生じるなら話は別だ」
目の前のこいつは、引き出しから書類を取り出してそれを机の上に叩きつけた
「解雇通知だ。お前はもう2度と、この会社に入ってくるな!」
「テメェ…」
「おい!この男を追い出せ!!」
扉から数人出てきて俺を、会社から摘み出した。漸く手に入った社員証も無くなり、俺の手には解雇通知だけが残っていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ここに来て隠し玉か……何だ?今までと威力が違うのか?」
黎人は鵞羅の新たなスペルに警戒しながら聞いた。手にひっついて見えるのは風で間違いないが、今まで透明だったのが色がつくようになって威力か何かが変わっていたりするかもしれない。
「『デスウィンド』は俺の最強の技だ。これでテメェを…殺す!」
鵞羅は同時に腕を上げ、攻撃できる体制に入り、前方に飛び込んで、黎人に風を当てた。
「……‼︎速い…」
「どうだ!俺の動きに合わせた変速な斬撃は!!」
風を飛ばすのではなく、斬の風を纏う。先ほどの手を払ったり風を打ち落としたりという手は使えない。手も風も一緒に動いているからだ。
鵞羅は距離を離そうとする黎人に向かって走り出した。そのスピードに合わせて黎人は刃を振るが、後方に回り込まれた。
「チッ…何だこのデタラメな動きは」
「風に決まった動きがあると思ってんのか⁉︎」
戦場を駆け続け、側面、背面から斬りかかる。『火』の反射神経で何とか避けてはいるが、風が体を覆いかぶさってしまってるので、攻撃が出来ない。
「ハッ!!」
風そのものに刃を当てるが、切り込みを入れることが出来ず、発火もほぼ意味がない。
「万事尽きたな!!お前はこれで終わりだ!!!」
両手を上から振りかぶり、黎人に向かって下ろす。
ーー見てろよ、クソエリートども。今から俺はこの男を潰して…
ーー貴様らを薄ぎたねぇ肉片にしてやる!!!
《ガギン!!》
「何…⁉︎」
鵞羅の下ろした刃を、黎人は受け止めた。暫くの間拮抗は続いたが、黎人が押し負けて体を斬られる。
「……」
黎人は手に持っている刀を見つめていた。回転させ、再び握る。
「何だ?防ごうとしたのか?そんな小せぇ刀で俺の刃を防げる訳が…」
黎人は思いっきり剣を振り、火の斬撃を出した。鵞羅に当たりはせず、地面を焦げさせた。
「ゴチャゴチャウルセェよ。もう一回来てみろよ。今度は仕留めてやる」
「……」ブチッ
もう一回来いと挑発に鵞羅はキレたのが分かる。彼は挑発が嫌いで、乗りやすいのだ。
「自分の命を顧みずに無謀な挑戦を続けるバカを何というか知ってるか?
そういうのを、『命知らず』って言うんだよ!!」
全力で黎人に飛びかかり心臓目掛けて振り下ろした。
それを再び刀で防いだ。さっきそれで弾かれたので、黎人の方が再び押し負けると思われた。
《バキィ…ン》
「な…風が」
割れたのは黎人の刀ではなく鵞羅の風の刃だった。黎人は前より少しだけ腰を入れて受け止めた。力に耐えるときは腰に力を入れないといけない。そう思って改善してみたら、成功した。
「小さい世界だけを見て自分が最強だと思い込むことを何というか知ってるか?」
黎人はその刀に力を入れた。
「そういうのを、『井の中の蛙大海を知らず』て言うんだよ」
その刀は風を完全に壊し、鵞羅の体に大きく斬り込んだ。
ちょっと強引過ぎたかなーと思ってます。まぁ、長い戦闘描写は苦手なんで…許してヒヤシンス☆
てな訳でいよいよ決着がついた鵞羅戦。この後どうなるでしょうか?次回も是非是非見て下さい。
〜NGシーン〜
「話にならないねぇ……ボツだよ」
紙を投げ捨てられ、不機嫌を露わにする上司の前に立ち、その叱責を受けてる俺、鵞羅がいた。
「やれやれ情けないねぇ……この程度のことも出来ないのか」
「そんな、俺…私は夜中ずっと悩んで作ったのに」
「過程は聞いてないよ。結果が全てさ」
そいつはゆっくりと立ち上がり、俺の前に近づく。
「店に来た客が期待するのは商品の出来栄えであってその裏なんて関係ない。不用品は不用品だし、出来損ないは出来損ないだよ」
俺の前に立つとそいつは蔑むような目で俺の顔を覗き込んだ。
「何時まで経っても僕の満足出来るようなものが出来上がらないなら、永遠にそれを続けてもらう事になるかなぁ…」
「……ッ!!!
分かるわけあるか!!意中の女を虜にする方法なんて!!」
とうとうブチ切れた。何でこんな下らねぇことに徹夜してんだ俺は!!
「頼むよーこのままだと俺独身10年だよ〜」
「知るか!ていうか仕事はどうすんだよ!!」
「仕事よりも家庭なんだよ〜頼むよ〜」
「……(怒)」
いい加減鬱陶しくなり我慢の限界だった。
「何てことを考えてるんだ!!鵞羅!!!米羅(べいら)を意識不能にさせるなんて!」
〉以下本編に続く