東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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前回のあらすじ
翔聖と秦羅が奥の手を使う。
イ「あれが噂の…」
劉「しゃしゃり出んなボケ」


62 思わぬ結果

人間の中には、神の力を持つものもいる。それを、『神力』と呼ぶ。それを手にしたものは大きな力を持つ。そして、それの上を行くものもある。

 

 

 

神を超える力、『絶神力』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な…何だ、急に…」

 

刃燗は何が起こっているのかサッパリな状態だ。秦羅の目が変わり、雰囲気もかなり変わったからだ。

 

「動揺するな、悪いが手加減できない」

 

秦羅の忠告を受け 慌てて構えをとる。そうしなければ負ける という事は議論するまでもなく分かる。

 

 

 

だが 警戒したところで 意味など無かった。

 

 

 

 

 

《ズバァァァん!!》

 

 

 

「 …ゲハァ…? 」

 

その次の秦羅の動きを 刃燗は全く見ることができなかった。ついて来れなかったでは無く、見ることすら

 

 

 

 

だが、ここで倒れるほど刃燗は甘くない。傾いていく身体に気合を入れて食いしばる。追い討ちをかける秦羅に向けてスペルを発動する。

 

 

「爆撃『ドン・ナックル』!!」

 

 

拳を当てて爆発。刃燗の持つ自爆攻撃だ。至近距離での爆発はどんなに頑丈だろうと大惨事を避けることは出来ない。

 

 

 

 

そう、当たれば だが…

 

 

 

 

「…まさか爆発攻撃とは…数秒遅れたら食らうところだった」

「な!?」

 

 

 

先程まで刃燗の目の前にいた男、秦羅は既に刃燗の上にいる。

 

 

 

(…早すぎる…)

 

 

スピードに全く追いつけず、刃燗に打てる手は無かった。

 

 

 

「終わりだ。罪龍『天龍蒼波』」

 

 

絶神力を持つ時のみ秦羅が使えるスペル、龍の衝撃波を刃燗に当てた。

 

 

 

最初の一撃を耐えた刃燗も、この一撃を耐えることは出来ず、そのまま力尽きた。

 

 

 

 

 

 

蛾溪 刃燗 敗退

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秦羅同様、翔聖も雰囲気をかなり変えていた。黎人は意表を突かれないように構えをとる。

 

 

因みに前までは『水』のリロードに時間をかなりかけていたが、現在は早い段階でリロードが完了する。鍛錬を重ねることで更に力を上げることが出来るのだ。

 

 

 

 

 

「ハァ!!」

「…!」

 

 

だがそれだけでは不利になる。接近戦では1番向いていない形態であり、まして今の翔聖を止めれるほどの力は無い。元々、狙撃や不意打ちに特化している形態なのだから。

 

 

 

 

 

 

(…くそ!!重い…つーか銃でどうやって防げ、ていうんだよ)

 

腕や足を使って防ぐもののダメージは受けており、剣による攻撃は防ぎっこ無い。銃で防ごうとするが上手く行っておらず、傷を負ってばかりだ。

 

 

「クソッタレ!水符『フォッグボール』!」

 

 

霧の球を作り出して防御する。

 

 

「えぇ!?ちょ、何コレ!?いや、そんな事より…」

 

翔聖は若干驚いたが、気にせず黎人の方に向かおうとする。

 

 

 

「どいてろ!翔聖!!」

 

それを止める男が1人、そう秦羅だ。

 

「秦羅!?」

「聖輝『マテリアルセイバー』!」

 

翔聖が持ってるのと同じ、剣先からレーザーを出すスペル。それがフォッグボールを飲み込んだ。

 

 

 

「チッ…見抜かれたか」

「やはり弾幕だった。お前は少し警戒しろ!」

「ごめん…よく分からなかった」

 

黎人は秦羅を見て一つだけハッキリと分かった。新羅が此処に居るという事は、刃燗は負けたということだ。

 

 

つまり、ここから先は2対1の戦闘になる。しかも、相手は絶神力という強大な力を使い、かなりパワーアップしている。このままでは結果など見るまでもない。

 

 

 

 

 

 

「仕方ねぇ。出し惜しみする必要ねぇしな」

 

 

黎人は自分の霊力を最大限まで上げる。

 

 

 

 

 

辺りが静まる。不自然なくらいに。風の音や、鳥の声が聞こえてたはずなのに、一瞬で音が消えた。

 

 

 

聞こえたのは 水の音

森の中で 見るものを魅了する

清らかな水が 流れる音

 

 

 

髪の色を青く染めた黎人からは、さっきまでの焦りは無かった。

 

 

 

「甘く見るなよ…これからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけたか?『ガイラ』」

「落ち着け『良也』。今急激な霊力の高まりを感じた」

 

誰の目にも触れなさそうな暗い場所で2人の男が喋っていた。

 

 

1人の男…良也はガーディアンを羽織っており、細身な体型だ。

もう1人…ガイラはかなり大柄で、マントを身につけている。

 

 

 

 

 

「しかしどうするんだ?あの場には黎人だけいるわけじゃないだろ?勝てる勝算はあるのか?」

 

良次が言っているのは翔聖たちのことだろう。不安になるのは致し方ないというものだ。

 

 

「心配するな、先程までの報告ではその2者が対立している最中と聞いた。今こそ攻撃を仕掛けるチャンスだ」

 

 

だが互いに戦闘していることは分かっている様子。その上で攻撃を仕掛けようと言うのだ。

 

 

「…で?どう動くんだ?此処から博麗神社は近くないけど」

 

 

良也はどうやって博麗神社に向かうか考えていた。

 

 

 

だが、ガイラはそこまで考えていた。

 

 

 

 

「安心しろ。一発で行ける方法がある」

 

 

 

 

 

ガイラの笑い顔に、何故か不安が募る良也だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黎人の胸の紋章には、『流水』と描かれている。『火』で言うところの『火焔』のように、『水』の強化系だ。

 

 

「な…何?それ…」

「ここ最近手に入れた力だ。俺は『五行を司る程度の能力』を持っている。戦況に応じて形態を変え…そして、各形態に強化系の能力が存在することが分かった」

「それで?結局何が変わったんだ?見た目は変わらないようだが…その銃の威力が上がったとかか?」

 

秦羅の言う通り、見た目は全く変わってない。唯一髪の色が変わったくらいだが、それだけでは全く分からない。

 

 

「心配しなくても見せてやるぜ。『流水』の能力」

 

 

そう言って黎人はそのまま

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地面の下に潜り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「 ええ!? 」

 

突如の事で翔聖は仰天した。急に姿を眩ましたのだから。その時、秦羅は見えた。

 

 

 

神社の方から銃口が翔聖に向けられていることに

 

 

 

「危ない!」

 

秦羅は翔聖を突き飛ばす。お陰で水の弾幕を避ける事ができ、被害を被らずに済んだ。だが、避け切った時にはさっきの銃は無くなっていた。

 

 

そして、別の地面から銃口が向けられる。

 

 

 

 

 

 

 

(なるほどね…)

 

霊夢は黎人の戦闘スタイルを読み取った。

 

 

見ての通り、黎人は地面に身を沈ませる。まるで、地面を水と思わせるように。地面の中を移動している間は攻撃される事は無い。

 

逆に黎人も相手の姿は見えなくなる。当然、地面の中から見れるはずも無い。だがその必要は無い。元々の水の能力である索敵を使えば、大体敵が何処にいるのか分かるからだ。

 

早い話、『流水』は不意打ちに最も適した能力だ。相手に気づかれる事も無く、一方的に攻撃できるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ブハァ!!」

 

 

肺活量があれば

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブエッホ!エホ!!ゲェッッホ!!こ、呼吸続かねぇ…」

「当たり前でしょ」

 

 

黎人の今の大声で、翔聖たちは一瞬動きが止まった。だがそれも束の間、2人は一斉に動き出す。

 

 

 

 

 

「やァァァァ!!」

「ハァ!!」

「どわっちょ!!」

 

 

急いで地面に潜って2人の攻撃をかわした。

 

「逃げられた!」

「だが、今ので長時間地面に潜れるわけじゃない事が分かった。その隙を狙う」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(クソッタレーー…)

 

博麗神社の周りの木々で黎人は顔を出した。2人には気づかれてない様だ。

 

(一気に攻撃を食らうとは…だが、エスケープ出来たのは救いだ)

 

黎人は銃を取り出し、翔聖達を狙う。スナイパーと呼ばれるものは一撃撃ったらその場から離れるのが基本、『流水』はそれに最も適している。

 

(いくぜ…)

 

引き金を引く。放たれた弾幕は真っ直ぐ翔聖に…

 

 

 

 

《スパァァァン!!》

 

 

飛ばなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「霊夢ゥゥゥゥ!!!」

 

(ヤラカシタァァァァァ!!!!)

 

 

飛ばした弾幕は見事、霊夢の眉間に当たった。死傷を与えるものではないが、無事では済まない。

能力が適するからと言って、本人に会ってるかどうかは別の話だ。黎人はどちらかというと接近戦が得意で、遠くから敵を狙うのは苦手だ。今まで遠くから撃ったことないし、ましてや隠れながら撃つという事なんてやった事無い。それを無視してやった結果がこれである。

 

 

 

 

 

「翔聖…秦羅…」

 

霊夢の言葉に、当事者ではない2人が冷や汗をかく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝敗とかどうでも良いからあいつを此処に連れて来なさい」

 

「「ら…ラジャー」」

 

 

戦況が大きく変わり、いつの間にかとんでもない敵を作ってしまった黎人であった。

 

 

 

 

(ヤベェ ガチギレしちゃってるよ!勝っても負けても死が待ち受けてるみたいになっちゃったよ!デッド オア アライブ じゃなくて オンリー デッド になっちゃったよ!どうすればいいのこれ!)

 

動揺しまくっているのがハッキリと分かるくらい思考が滅茶苦茶になっている。

 

 

 

 

 

 

「…?」

 

ふと上空に違和感を感じ、見上げてみる。広がる青い空に輝く光が見える。その光は段々と大きくなり…

 

 

 

(てゆーか、なんか落ちて来て…って)

 

 

 

そこに気づいて全く動かなかったのは、黎人の失策だった。そんな事を考えているうちに落下するものはスピードを上げて…

 

 

 

 

 

 

《チュドォォォォン!!!》

 

 

「ギャァァァア!!」

「ぐわァァァ!!?」

 

 

黎人に直撃した。

 

 

 

 

「な、なになに何々!?」

 

大きな音と巻き上がる土煙に、翔聖は不安が巻き起こる。秦羅に至っては目が見開いてるくらいだ。

 

 

 

「はっはっは!どうだ!!俺の怪力による超ロングスローは!あっという間に着いただろう!」

 

上空から声が上がり、ふと見上げると、マントを羽織った大男が立っていた。

 

 

 

 

 

 

やがて、土煙が収まる。そこには…

 

 

 

 

 

 

 

「ゲホッゲホッ…

 

これ死ぬよね!?僕じゃなかったら死んでるよね!?実際隣で知らない茶髪男が死んでるよね!!?」

 

 

土塗れになってる男と気を失った黎人が見えた。

 

 

 

斐川 黎人 死亡

 

 

 

 

「誰だ、君らは」

 

秦羅は知らない人であるならば最初にかけるであろう言葉をかけた。だが、それだけじゃない。

 

 

 

 

秦羅は直感的に理解した。この者らは、敵対する者である と…

 

 

 

 

 

「急かすな小童!この祭り、俺たちも参加させて貰おう!

 

 

 

俺は ガイラ・ギガスト、又の名を、獅子王という!いざお相手願う!」

 

 

 

ガイラは剣を抜いて高らかに声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あれ?僕の台詞は?」

 

 




話の展開が早すぎたかな?



と言うわけで本章の敵キャラ登場です。因みにボスではありません。

彼らの狙いとは何か、そして結末はどうなるのか?



次回も楽しみにして下さい。
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