東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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前回のあらすじ
秦羅がガイラを倒した。
輝月「安らかに眠りなさい、ガイラ・ギガスト」


77 俺はテメェが気にくわねぇ

数分前…

 

「チッ、ガイラがやられたか…」

 

上空で空飛ぶ船に乗っていても、地上の戦況は観れる。まして、変化したガイラのデカさだと、敗れた事はハッキリと分かる。

 

「…見知らぬ人間が2人いるな。どちらも報告に上がってないが…もしやダイガンが把握しきれてないとかか。…あの男め、偉そうな顔をして完璧にこなせないとは、呆れ果てる」

 

リヴァルは地上に2人の見知らぬ人間がいることを悟った。その時、わざとらしく溜息を吐く。

 

「…ガイラを…倒した…?」

 

息切れしながら、翔聖が問いかける。彼も地上の様子はうっすらとは見えるが、リヴァルの言葉から、秦羅たちが勝利したことを初めて実感した。

 

「ああそうだ。めでたいではないか。あの怪物を倒すなど、並大抵の実力ではないぞ?貴様らはそれだけでも誇る意味はある」

 

リヴァルは手を叩いて『口では』賞賛する。しかし、彼の表情などを見ても本気でそう思ってない事は明らかだ。

 

「…いや、喜ぶのはまだ早い。こいつを倒さないと、何も解決しないんだ」

 

翔聖は真剣な顔で剣を構える。彼の眼の前では、余裕そうな顔でリヴァルが待ち構えてる。

 

 

 

 

「…おや?1人は準備万端のようだが…もう1人は何やら気になる事があるようだな」

 

 

 

翔聖から視線を逸らして呟かれるリヴァルの言葉。それを聞いて現在共に戦っているもう1人の男の方を見る。

 

「…黎人⁉︎どうしたの…?」

 

 

 

 

 

 

(嘘だろ…)

 

彼は地上を見ていた。ガイラが倒れたから、ではない。彼にとっては最も脅威である男が、そこにいるからだ。

 

(何でテメェがそこにいるんだ…魏音…)

 

 

 

 

 

「ああ、もしかして知り合いか?」

「…!」

「図星か。ここに来てまだ増員してくるとはな。それともいままで来てないのは…もしや、()()()()()()という事か」

 

坦々と語る。見下してはいても勘は冴えてるのか、まるで全て分かっているかのようにリヴァルは把握しているようだ。

 

「…どういうこと?黎人…」

「いま下に、魏音って言う奴がいる。そいつは…前会った時、刃燗を殺そうとしてたんだ」

「え!?」

「…ほう」

 

リヴァルの言っている事の意味が分からなかった翔聖は、黎人にどういうことかを聞いた。それに対する黎人の答えを聞いて、翔聖は驚愕し、リヴァルは感嘆の声を漏らす。

黎人が魏音と最初に会ったのは、夜中に人里を歩いている時だった。その時、魏音が刃燗を殺そうとしたのを、黎人は止めて魏音と戦ったのである。その時、彼は魏音の途轍も無い力を実感した。まだ能力を使い始めたばかりとは言え、手も足も出せないに近いほど蹂躙された。最後は自分の体を犠牲に使って一矢報いたとは言っても、戦闘力では明らかに、魏音の方が上だろうと容易に推測できる。

その途轍も無い力と、彼の冷酷な性格から、黎人は地上にいる霊夢の事が心配になる。そのような男といて、殺されたりしないだろうか、と…

 

「成る程、奴が貴様らの中で最も強い部類か。納得はするな。だが来るのが遅すぎた。この空飛ぶ船にはもう乗ることはできない。あと少し奴が早く来てれば、止めれる可能性が1パーセントくらいはあったかもな」

「…どういう事だ」

 

リヴァルが愉快そうに呟く。一体どういう事なのか、と聞くのは当然かもしれない。だが…その答えは大方予想がつくような気さえもする。

 

「決まってるだろう」

 

 

 

 

 

 

閃光【ボルトフラッシュ】

 

 

 

 

 

「貴様らでは俺を止める事など、万に1つも無いからだ」

 

 

 

翔聖と黎人に向かって指から一筋の雷を起こす。その雷はグングンと伸びて、彼らが居た甲板を捉える。

もちろん当たったりはしていない。翔聖も黎人も、その場から飛び退いて回避する。黎人は遠くの地点に着地し、翔聖は翼を出してそのままリヴァルに向かい飛ぶ。

 

 

「ハァァァ!!」

 

 

刀を持って斬りかかる。そうして近づいているのに、リヴァルは避けようとも防ごうとも、焦ったりもしなかった。

 

 

 

 

《ドキュン!!》

 

「うっ!?」

 

足首に激痛が走る。銃撃が飛んできた方を見ると、リヴァルの武器の1つである浮かぶ剣、『シュライダー』の剣先が翔聖に向いていた。

 

「コレは…この剣に銃が…?」

「そうだ。このシュライダーには、先端に銃が組み込まれてる。俺の指示で発砲するようにな」

 

そう言いながら、リヴァルは手を開く。先ほどまで持っていた刀は納め、今は腰に添えてある。

 

蜘蛛糸【ホワイトボール】

 

リヴァルの手から白い球形の弾幕が出て、翔聖に近づく。翔聖は翼を用いて空に飛んで回避する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かかったな」

 

 

 

だが突如白い弾幕は割れて、中から何やら糸が翔聖を捉えた。

 

「…え?」

 

その糸はかなり粘度があり、力でどうにかできるものでは無かった。翼も雁字搦めになり、引っ込めることも動かすことも出来ない。

 

「な…!」

「驚いたか?あれはダメージが入るような代物じゃあ無い。あれは所謂卵だ。一定時間経てば中から蜘蛛の糸が現れ、標的を捕らえる。

これに捕らわれたものは、例え獅子だろうと抜け出せん。いや…貴様らのように霊力が高いものほど餌食となる」

「くそ…!」

 

黎人が、両手に持つ剣で、リヴァルに斬りかかる。だが、リヴァルは剣を抜いて防いだ。勢いを失った黎人を、遠くに飛ばす。

吹き飛んだ黎人を放っておき、リヴァルがサッと腕を上げる。

 

「信念は強く、実力も高い。戦闘能力では、貴様らは何者にも劣らないだろう。

だがそれでは勝つ理由にはならない。

強いから勝つのでは無い。諦めが悪いから勝つのでもない」

 

シュライダーが、翔聖の倒れている地面を斬り落とす。足場を失い、翔聖は重力に従って地に落ちていく。

 

「倒せるから、勝つのだ」

 

 

 

 

 

 

「う…くっ……」

 

地面に落とされ、翔聖は踠いている。見たところ怪我は無さそうだが、高いところからの落下だ。ダメージは確実に入っている。

 

「翔聖!」

 

彼の元に数人が駆け寄る。霊夢の他に、2人いた。

 

「輝月さん…?それと…だれ…?」

「話は後です。とりあえず、糸を切りますよ」

「あ…はい」

 

刀によって蜘蛛の糸を斬り落とす。簡単に取れたりはしないが、漸く拘束が解けた。

 

「怪我なしですか…もはや奇跡ですね。それよりも…貴方が落ちたという事は、あの船には斐川 黎人だけがいるという事ですか…」

「はい…早く戻らないと…」

 

事情を輝月が把握している間にも、翔聖は焦っていた。今すぐ戻らないと、黎人がやられるかもしれない。

 

「止めておけ」

 

だが…それを止める男がいた。そう、魏音だ。

 

「え…でも…!」

「臭うんだよ」

「え…?」

 

焦った声に被せるように魏音は臭う、と言った。一体どういう事なのかが分からない。

 

「あの船…空飛ぶ船という奴だが…何となく『死』の臭いがする。どういう原理かは知らんが…あの船は、途轍もない力を持ってる。恐らく…

 

あれに乗ってるほうが、危険かもしれん」

 

 

 

 

「さて…1人となったな。斐川 黎人」

 

翔聖が地に落ち、この船には、今は黎人とリヴァルしかいない。先ほどまで2人で戦い善戦してたのが、これから1人で戦わないといけないのだ。

 

「充分楽しませて貰った。勲章として貴様らの死骸は…特別な墓にでも入れてやろう。満足して…死ぬが良い」

 

シュライダーが、ガチュリスが、戦闘体制に入る。今この場には黎人1人。よもや、勝ち目など何処にもない。

 

 

 

 

 

 

「………そうか…」

 

だが、そんな状況にも関わらず、斐川 黎人は笑っていた。その不敵な笑いに、リヴァルまでもが不可解な顔をした。

 

「テメェは言ったな。諦めが悪いから勝つんじゃない、強いから勝つんじゃない。倒せるから勝つのだと…」

「…あたりまえだ。勝つためには倒す力がいる。

牛が獅子に勝てないのは何故だ?牛は獅子を倒せないからだ。そのデカイ図体を持っていても、獅子を狩る術が無いからいつも破れる。

ネズミがネコに勝てないのは何故だ?ネズミの矮小な体ではネコを倒す術が無いからだ。例え一矢報いようとも、倒せる素質が無ければ勝つ事はない。

勝つ側は常に、倒せる力と倒せる素質と…倒せる状況が整っている。優れた戦術家は、先ず倒せる状況から作る。兵力、兵器…そして情報。そうして勝つ算段が着くからいつも勝てる。

貴様らのように、力だけでゴリ押しと言うのが真っ先に死ぬタイプである証拠だ。勝つ見込みどころか、勝つための力が無い。だから貴様らは…ここで死ぬのだ」

 

リヴァルの言葉に、フッと息を漏らす。彼の言ってる事は最もで、根拠がある。正に研究者、頭の回りがズバ抜けているのだろう。

 

だから、黎人は思った。

 

 

 

この男だけは許せないと…

 

 

 

「不思議に思ってたぜ…今まではテメェがクズだから気にくわねぇと思ってた…けど今ハッキリと分かったわ。

 

俺が気にくわねぇのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その下らな論だ」

 

 

 

突如、黎人の雰囲気と髪の色が変わる。髪の色は赤。そして、彼の手には、先ほど持っていた刀が強化されている。

 

 

 

 

「『火焔』か…そう言えば五行には更に上があるとあったな。で?今さら何が出来ると言うのだ?」

 

リヴァルの言葉に、黎人は全く答えない。彼は黙って、右手を上げる。すると、真っ赤な炎の槍が現れた。

 

「…フン、あのスペルか。レベルが上がった事で何か強化されたのか?」

 

黎人は足を半歩前に出す。槍の先をリヴァルに向け、直ぐにでも投げ飛ばせる。

 

 

 

 

 

「火符【熱線ロッド】」

 

 

 

黎人は槍を投げ飛ばす。彼の投げた槍は、物凄い速さで、リヴァルの元に向かった。

だが、リヴァルはそれに当たらず、跳んで回避する。熱線ロッドはそのまま、後ろの方に伸びた。

 

「スピードは確かに上がったが…所詮この程度か」

 

リヴァルは手を開き、腕を真っ直ぐ伸ばしてシュライダーで黎人を斬り裂こうとした。

 

 

 

 

 

 

 

「…【転回】」

 

 

だが、先ほど投げた炎の槍が、行く先を変えて再びリヴァルの方に伸びた。

 

「…何!」

 

宙に浮いたリヴァルは、それを避ける事は出来ず、槍を受けてしまった。槍が彼の肌に触れた瞬間、爆風が辺りに散布する。

 

「ぐ…カハッ…」

 

爆撃を受け、少々傷は負ったが、動きに支障は出なかった。彼は煙の中から現れる。

 

(バカな…1度投げた槍を、方向転換させるだと…そんな事出来るわけが…待てよ)

 

幾ら弾幕であろうと、手元から離れたものを自由自在に操る事はほぼ不可能。ましてあの熱線ロッドはあのスピードであるから、そのまま真っ直ぐ軌道を変えるなど無理。

だが、彼は思い出した。『火焔』は攻撃に爆破が備わる。斬ったものを、斬撃を当てた部分から爆発して威力を底上げする仕組みだと、報告に上がってた。

ならば、向きさえ変えて槍の後部を爆発させれば、方向転換そのものは可能であると。

 

「…ここに来てそのような隠し技か。貴様も相当、性格が悪いな」

 

リヴァルの目が、怒りに染まる。見事にしてやられた、と言いたげな顔だ。

そして、黎人はゆっくりとリヴァルに近づく。

 

「ああ、気にくわねぇ。テメェの言葉1つ1つが気にくわねぇ。それを聞く度に怒りが湧き出てくるのを感じる。

けど…不思議と大声を出す気にはなれない。今までなら怒りを込めて叫ぶのに、そんな気すら起きねぇ。

ああそうか。

 

 

 

俺はテメェと喋りたくねぇんだ。ただ、倒したいだけだ」

 

歪んだように言い放つ。その顔は、今までの中で最も殺意の籠った顔だった。

 

「フッ…俺を殺したいか…虫けら風情が」

 

ガチュリスの大勢が黎人を襲う。黎人は、両手の刀と反射神経を持ってそれらを薙ぎ払う。爆風によるダメージは、ガチュリスにとって最も脅威、瞬く間に大勢が倒れていく。

そこまでは、リヴァルの想定通りだった。彼はガチュリスが黎人を倒せるとは思ってない。黎人を全力で戦わせて、黎人を疲労させることが目的。ガチュリスはその為の礎に過ぎない。

だが彼は、別の違和感を感じ始めた。

 

(馬鹿な…霊力が…上がっている…?)

 

霊力の枯渇を狙っている筈なのに、低下どころかむしろ上昇している。霊力は、戦うものが動く為のエネルギーのようなもの。戦っていく内に上がる事はあっても、戦いの最中に上がる事は無い。なのに…目の前でそれが起こっているのだ。

 

(今まで隠してたのか…?それとも、あの『火焔』の能力の一種か…?)

 

リヴァルは色々と考えた。ひょっとすると、彼は『霊力を上げる力』があったのでは?と思い始める。そうすれば、その急激な霊力上昇に説明がつく。

 

(だが…そのような能力は限界が訪れる。上昇限界で止まるか、或いは何か犠牲を払って上昇するかの2択…何れにしても、そう長くは持つまい)

 

永久に霊力上昇は無い。どのようなものであっても、限界はいずれ訪れる。そうであるならば、長期戦を仕掛ければリヴァルに勝機がある。

リヴァルは片手を上げ、シュライダーを一本、黎人に向けて発射する。勢いをつかせ、黎人の体を貫かんとしていた。

 

 

 

だが…黎人はシュライダーを、刀をもって破壊した。

 

 

「何…!?」

 

流石にそれは想定してなかったのか、漸く彼の顔に動揺が走る。

 

(馬鹿な…いくら何でも上がり過ぎる…もうシュライダーを壊すことなど…待てよ…)

 

先ほどまでリヴァルの刀で苦戦していた男が、今の数分でシュライダーを破壊する域にまで達した。どのような理由にしても、そんな急上昇はあり得ない。だが…彼は1つ、ある書物の内容を思い出していた。

 

極限突破

特殊能力の限界を超える事。発動の為には何らかの条件がある。とある人物は、特定の人物が近くにいる時可能になる…と。

これは神力同様、翔聖たちの世界に存在する力であり、この世界に同じようなものがあるとは限らない。だがもし、それと同じようなものが存在した場合…そして、その特定の条件といえば…

 

『気にくわねぇ』『怒りが湧き出てくるのを感じる』『俺はテメェと喋りたくねぇんだ』『ただ、テメェを倒したいだけだ』

 

「そうか…貴様、怒りによって限界を突破したか」

 

今の黎人の怒りは尋常では無い。リヴァルの発言が、黎人の逆鱗に触れ、彼の霊力が途轍もない勢いで上がっているのだろうと思われる。そして…彼は限界すらも超えたのだ。

 

 

 

「そういうところまで貴様譲りか…修斗」

 

黎人は刀を持って、リヴァルに近づく。ガチュリスがほぼ全滅し、リヴァルを倒そうとしているのだろう。

 

「だが感情論でどうなるものでは無い。貴様が怒りのままに行動するのであれば…その行動を、消し炭にしてやろう」

 

リヴァルの手が、真っ直ぐ前に伸びる。破壊されてない方のシュライダーの剣先が取れ、断面から大きな穴が開いている。

 

「放て、大筒」

 

リヴァルの合図とほぼ同時に、穴から大砲のように砲弾が発射される。火薬の爆発により、音と勢いがかなりあり、相手に逃げ切る隙は無い。その砲弾が、黎人に当たる。

勝利を確信した顔にはなるが、その顔は、一瞬で綻んだ。

 

「馬鹿な…」

 

爆煙の中から、黎人は走るその足を止めなかった。彼は、勢いを止める事なく、リヴァルに斬りかかる。リヴァルも慌てて、刀でそれを止めた。

全て合致した。先ほどから、何故黎人は攻撃を弾き飛ばす事に拘るのかを…そんな事をしなくても、最初から斬りかかれば、それで済むはず。それをしないで、真正面から挑む理由は…

 

「貴様……正気か!?この俺の攻撃を、全て叩きおとすなど…」

 

そう、黎人は敢えてリヴァルの攻撃を真正面から突破している。そのような事をすれば、リスクを犯すようなものだ。

 

「1つだけ確信した。お前は研究者としては一流だろうが…研究者であって戦士ではない。戦場で戦う事を理論だけで纏め、本当の戦いを知らない。

だから俺は、お前の全てを叩きおとす。お前の武器が、その兵器だというならば…俺はそれを全て壊し、テメェを完全に屈服させてやる」

 

リヴァルの研究の成果である兵器。それを全て叩きおとすと黎人は言った。それは、リヴァルの全てを破壊すると同義であり…リヴァルの完全な敗北とも同義になる。

 

「…!キッサマァ…最早殺すだけでは許さん!その不遜な口と頭ごと、ここで散らせてやろう!!」

 

リヴァルの大声と同時に、手に力を入れて、黎人を弾き飛ばす。

 

「行け!」

 

そして、シュライダーを操作して黎人に放つ。剣先で、黎人を貫かんとする。

黎人は刀でシュライダーを斬る。切り口からの爆発によって、シュライダーは完璧に破壊された。

残ったシュライダーが破壊されるのはリヴァルには想定済みだった。彼にとって本命は、刀を振り切ったその体制だ。

 

閃光【ボルト・フラッシュ】

 

指先から雷を放出し、黎人にグングンと伸びる。そのスピードでは、黎人は避ける事はままならない。だが…

 

「あめぇよ」

 

その体制の戻しが早く、刀を直ぐに戻し、雷に刀を当てた。白い光と爆音が響き、リヴァルの放った。雷が霧散した。

 

「何…!?弾幕を爆破しただと…⁉︎」

 

驚く暇すら与えず、黎人はリヴァルに攻撃を仕掛ける。両手に持つ刀での連続攻撃。防いではいるものの、リヴァルは押されている。

 

(馬鹿な……馬鹿な…馬鹿な、馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な!)

 

焦り始めるリヴァル。ガチュリスが全部倒れ、シュライダーも壊れ、攻撃も全て防がれる。刻一刻と、リヴァルの完全敗北へと近づいていってる。

 

「ぐぅ!!」

 

渾身の力を込めて、リヴァルは剣を振った。同時に、黎人もその刃を下す。刀同士のぶつかり合い、それを制するのは…

 

《バリィィィ…ン!》

 

力の強い黎人のほうだった。刀が壊され、彼の目は、焦燥に染まる。

 

(俺が…この、不遜者に負ける…だと…⁉︎そんな…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おのれぇぇぇぇぇぇ!!」

 

腰に携えていた、もう1本の刀を抜き、黎人に斬りかかる。その勢いは、今までの中で最も強い者であった。

 

 

「貴様が!貴様程度が!この俺を屈服だと…!調子に乗るな!」

 

剣を滑らせ、一旦自分の方に引いてもう一撃入れる。、単調だが、それですら必死に動かしている。

 

「俺が!この俺が!地面に這い蹲る虫けら共に足元を汚される事がどれほど許されざる事なのか!思い知れ!」

 

もう一回刃を引く。攻撃を繰り返すたびに、その威力は強くなっていく。

 

「俺の全てを叩きおとすだと…?ふざけるな!凡人の貴様に俺の研究の何を知った!知ったかぶりも大概にしろ!貴様程度では、俺の足元に及ばないとなぜ分からない」

 

引いて、振って、引いて、振って…最早何度、刃を振ったかなど、覚えれないほど刀を振るう。

 

「貴様が!貴様が!貴様が貴様が貴様が貴様が貴様が貴様が貴様が貴様が貴様が貴様が貴様が貴様がァ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウルセェよ」

 

 

一言、たった一言でリヴァルを黙らせた。そして、リヴァルの持つ刀が壊れる。

 

 

 

 

「言ったろ。その口を閉ざせ、1秒でも長生きしたけりゃ、てな…」

 

段々と…黎人の殺気が高まっていく。いや、それよりも…

 

 

 

黎人の発する言葉が、どんどんと重くなっていく。

 

 

「チィ…!」

 

黎人の急上昇する戦闘力、このままでは自分がやられると思い、手から何か出そうとしている。

 

すると…

 

 

 

《ドゴォォォォォン!!》

 

「な…⁉︎揺れだと…」

 

突然船が揺れ始めた。体制を崩し、リヴァルのやろうとしていた事は途中で止められた。

 

『第1オペレーションシステム 停止 運用不可能 緊急用プログラムを 開始し 停止します』

 

空中で先ほどまで上昇していた船が、上昇も下降もせず停止する。

 

「まさか…」

 

 

 

 

「ハァッ…ハァッ…」

 

塔の一室の、コンピューターの前で1人の男が立っている。全身から流れる血は止まらないが、何とか意識を保つ事が出来た。

 

「漸く…達成しました…プログラムの…停止」

 

1人でコンピューターを止めるために戦っていた男、稲田 惣一は、見事プログラムを停止させる事に成功した。

 

「後は…任せましたよ…皆さん…」

 

役目を終えた惣一は、緊張の糸が切れたかのように、ばたりと倒れた。

 

 

 

「チィ…」

 

足を使い、何とか立ち留まる。だが、彼の上空からその男を斬ろうと飛びかかる男が1人

 

 

 

「ぬおりゃあ!!」

「なっ…!」

 

 

黎人は手を思いっきり振って、リヴァルの腕を斬り落とす。斬り落とされた腕は遠くに飛んだ。

黎人から離れようとリヴァルは後ろに引き下がる。もちろん、そんなことさせるかと言わんばかりに、黎人はリヴァルに近づき、左手に持つ刀を貫く。

 

「ぐっ…」

「爆ぜろ!【熱線ロッド・刺突】!」

 

彼の宣言に従い、巨大な爆発が辺りを包み込んだ。




リヴァルに強力な攻撃を当てた黎人、果たしてリヴァルを倒せたのか?
そして、魏音が言う『死』の臭いとは…?
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