不思議そうに首をかしげるその少年は、カツンカツンという不可解な音をたてながら、シオリ達の方に近づいてきた。
・・・少年の右足がない。
その事に真っ先に気づいたのは、ソナタだった。
「はー、急に雨降ってくるんだもん、ビックリしちゃった。お陰で、帰ってくるの遅くなっちゃった。あ、管理人のお兄さん。今日は僕が夕飯作るね!へへ~♪買い物してたときに、お店の人が美味しそうな料理のレシピ教えてく・・・え?」
ニコニコしながら、楽しそうに話をしていた少年の顔が、一瞬にして凍りついた。
ドサッと、彼の手から買い物袋が落ちる。
その視線の先にいたのは、ソナタ。
「・・・」
少年の顔が豹変する。
無表情となった少年が、ソナタをじっと見つめる。
「こ、こんばんわ。。あの、私は月光ソナタっていうの。あなたは、ここの子どもなの?・・・あ、そうだ!この日記帳の持ち主に、心当たりないかな?」
ソナタは自己紹介をしたすぐあとに、思い出したかのように慌てて日記帳を取り出した。
ちらりと日記帳を見た少年は、すぐ興味なさそうに視線をそらす。
「・・・なんで、僕に尋ねるの。君がわからないのに、どうして僕がわかると思うの?」
少年の口から出てきたのは、あまりにも無情な言葉。
何を言っていいのかわからず、黙り込むソナタ。
黙ったままのソナタを見ていた少年は、やがてため息をついてソナタから視線をそらした。
少年は落としてしまった買い物袋を拾い上げると、松葉杖を近くにあった机に立て掛け、片足で器用にけんけんをしながら奥の部屋に消えていった。
「・・・はあ?!朱音って、あんな嫌な奴だったの!?信じらんない!」
「あんなに礼儀正しいいい子が、暴言。。?ど、どうなってるんだ?須賀君」
顔を真っ赤にして怒る佐久間と、信じられないというような顔で須賀を見る望月。
須賀は何も書こうとはせず、ただ少年が消えていった部屋を見ている。
「あ、あの。望月巡査、あの子は・・・?」
シオリが尋ねかけると、望月は「あ、ああ。。」と少し戸惑いながらも答えてくれた。
「あの子は、雅朱音君だ。年は、佐久間と同じで十四歳。普段は明るくて人懐っこいいい子なんだけどな。。」
キィィィ
奥の部屋のドアが開き、朱音が戻ってくる。
朱音はそのまま須賀のとなりにやって来た。
「~~~」「・・・」
朱音と須賀が、なにかをヒソヒソと話し合っている。
といっても、朱音が一方的に話しかけているだけなのだが。。
朱音は話をしている途中、何故か数回ソナタの方を見た。
その動作から、何となくではあるがなにか自分と関係があるらしいと感じ取ったソナタは、自ら二人に近づいていった。
「あ、あの!私も、シオリさんと一緒に探し物してもいいですか?私、小さい頃の記憶がなくって、その事でいじめられたりとか、辛いことがたくさんあって。。でも、この日記帳を見つけてもしかしたら、記憶を取り戻せるんじゃないかって!・・・それに、なんだか君には昔、あったことがある気がするんだ・・・」
そう言って、ソナタは朱音に笑いかけた。
笑いかけられた朱音は、一瞬悲しそうに目を伏せた。
しかしすぐに顔をあげ、いい放つ。
「帰れ。ここはお前の来る場所じゃない。ここにいられても、迷惑なだけだ。・・・帰れ」
「そんな。。やだ、帰りたくない!思い出したいの、誰か、大切な人のことを忘れてる気がするんだもん。帰りたくないよ!」
ソナタと朱音が喧嘩し始めると、そこにシオリと須賀も加わってきた。
「須賀さん!私も、ソナタちゃんと同じ気持ちです!知りたいんです、自分の知らないことを。・・・忘れてしまっていることを。。だから、ここで調べものをさせてください!」
【帰れ。】
大喧嘩勃発でしたね。
というか、朱音君の性格が悪すぎているような。。?