もう一つは朱音。
序章 二つの約束
~須賀~
大切な人がいた。
全てを捧げてでも、守りたい人が。
幼かった頃の僕は泣き虫で、いつも泣いてばかりであの子に迷惑ばかりかけていた。
僕の母親は死んでしまっていて、父親が面倒を見ていてくれていた。
僕とあの子は仲良しで、毎日一緒に遊んでいた。
無口で泣き虫だった僕は、よく周りの子ども達に苛められていて、その度に必ずあの子が飛んできて助けてくれた。
強くて優しくて、大好きだった。
このまま、ずっと一緒だと思っていた。
でも、それを壊したのは僕自身。
父親が死んだ時、僕はことりおばけの棲む森に入ってしまった。
ただただ寂しくて、母親に会いたかった。
・・・気づいたときには、目の前にことりおばけが立っていた。
最初、ことりおばけは僕と約束しようとした。
でも、あの子。
・・・しぃちゃんが、僕の代わりにことりおばけと約束してしまった。
いつも、僕を守ってくれていたしぃちゃん。
泣いている僕を、必死に慰めてくれようとしたしぃちゃん。
大好きだった。護りたかった。
だから僕は、ことりおばけにお願いした。
『何でもするから、今すぐしいちゃんを連れていかないで!!』
・・・ことりおばけは、僕の声と引き換えに、しいちゃんを連れていかないでくれた。
記憶を消されて、村から去ったしぃちゃん。
どんなに遠くにいても、僕はしぃちゃんのことを想っているよ。。。
~朱音~
大好きなお母さん。
優しい優しいお母さん。
お母さんは言ったよ。
『弟か妹がもうすぐ生まれるから、仲良くしてあげてね。。守ってあげてね』
って。
こうも言ったよ。
『泣き虫さんなあー君は、~~ちゃんと仲良しさんね。~~ちゃんも泣き虫だから、あー君が守ってあげなくちゃね』
って。
僕ね、赤ちゃんも、~~ちゃんも守ってあげるんだ。
それから、お母さんも。
お母さんは、いつもお父さんに酷い目に遭わされてるんだ。
毎日、毎日だよ?
だから、ね。僕がお母さんを護るの。
みんな、み~んな僕が護るの。
大好きだから、大事だから。
そう、思ってたのに。。
お母さんは死んじゃった。お父さんも、お腹の中にいた赤ちゃんも。。
お葬式の日にね、~~ちゃんが泣いたんだよ。
僕は泣いてないのに、~~ちゃんは泣いたんだよ。
僕、泣かなかったよ。
だって、泣いたってお母さんと赤ちゃんは帰ってこないから。
・・・ことりおばけ。お母さんの棲む森に入ったのは、~~ちゃんだった。
僕が森に探しに行ったら、~~ちゃんはお母さんに逢っていた。
お母さんは、~~ちゃんと約束してしまっていて、変更させてくれなかった。
だから僕は、~~ちゃんを連れていかれないように、お母さんに自分の右足をあげたんだ。
お陰で、足はなくなったけど~~ちゃんを助けられた。
でも村には居られなくて、夜光石の不思議な力で記憶を消されてしまった。
~~ちゃんは、そのまま村から出ていった。
寂しくないよ。だって
『君だけでも、護ることが出来たんだから』
僕はもう、泣かないからね。。。
須賀と朱音の一人語りでした。