実際のものとは多少異なる部分があります。
一章 帰ってきた少女達。
ガタン ガタン
揺れる電車の中で、少女が一人うとうとと微睡んでいた。
少女の手に握られているのは、一枚の古びた写真。
そこに写っていたのは、仲睦まじげな一組の家族の姿・・・
少女。シオリは1ヶ月ほど前に、交通事故で両親を亡くした。
その日は、奇しくもシオリの十九歳の誕生日だった。
シオリには親戚もおらず、ひとりぼっちになってしまった。
気持ちが落ち着いたときには、既に長い長い夏休みに入っており、特に予定がなかったシオリは両親の部屋を整理しようと思い立った。
「うわ。。埃だらけだぁ……。あれから、全く掃除してなかったからな~~」
そう言いながら、シオリは部屋の掃除を始めた。
まず、大きな本棚を掃除しようとした、その時。
ガタン! バサバサバサッ!!
「きゃあ?!」
大きな音が鳴り響き、沢山の本やら書類やらが降ってくる。
ブワッと、埃が中を舞う。
「げほっけほっけほっ」
埃を吸い込んでしまったシオリは、げほげほと苦しそうに咳き込んだ。
さらに。
ガンッ
「っっっっっ~~~~~!!!」
追い討ちをかけるかのようにシオリの頭に降ってきたのは、小さくはあるが頑丈な木で作られた木製の小箱だった。
あまりの痛みに五分ほど悶えていたシオリは、やっと小箱の存在に気づくことができた。
「うぅ~。。・・・あれ?これ、なんだろ……」
涙目になりつつ、シオリは小箱を拾い上げる。
軽く振ってみると、微かにカチャッと音がする。
中身が気になったシオリが開けようと試みるが、すこし湿ってしまっているようで、小箱はなかなか開かない。
「開かないな。。う、ん……おりゃ!!!」
渾身の力を込めると、やっと小箱の蓋が開いた。
中に入っていたのは、小指の先っぽ程の小さな小石と、一枚の古びた写真だった。
「綺麗な石。。それに、この写真は・・・!!」
シオリは、写真を見て目を見開いた。
そこに写っていたのは、両親と幼い頃の自分。
そして、自分を抱き締めてくれている、一人の男性の姿。。
「もしかして、私のおじいちゃん。。?」
ドクン。ドクンと、心臓が大きく脈を打つ。
ふと写真を裏返せば、そこに書かれていたのは『◯月◯日 阿座河村』という言葉。
(・・・ここにいけば、おじいちゃんに逢える?)
今まで考えたことがなかったが、自分でも知らない身内がいた。
そんなことがあっても、可笑しくはないのだ。
そう考えたシオリは、そこから持ち前の行動力を発揮する。
「行こう、阿座河村に……!」
・・・そんな経緯を経て、シオリは今、阿座河村へと向かう電車に揺られている。
眠ってしまったシオリは、まだ見ぬ身内の夢でも見ているのだろうか。。
『可愛い可愛い私の坊や。早う早うおいで』
『あの日、あなたたちが分けた約束の欠損は、時間の経過と記憶だけで許しましょう』
『だから・・・
早う戻っておいで。
約束を、果たしにおいで』
『シオリの命を、頂戴な』
~次は、阿座河村。阿座河村です~
シオリ視点は一応終了です。
次は、ソナタ視点に移ります。