IS×00 夢を目指す者   作:王天君

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さて皆様お待たせいたしました。
IS二次小説、その第一の見せ場、セシリア戦です。(第二が何かは知らない)

今回は始まってすぐ終わりですが、今日中にもう一話投稿しますので、もうしばらくお待ちを。
本当は一話だけ投稿の予定が、二話に切りました。
何で切ったかと言えば、一話にしちゃ長すぎるので分割です。

1万字以上とか自分でも読む気になりませんもん。

――追記――
この決闘においてのルールは
制限時間が30分と整備班に連絡して作戦を立てるくらいです。
後は自由(感想で指摘されたら追記します。)


それでは、後書きにて。


第十三話 決闘、開始

「一夏!」

「ん?どうしたんだ、箒?」

 

 当日の昼休み、試合開始一時間前を切ったので、控え室に向かう俺は箒に呼び止められた。

 走って追いかけてきたようで、膝に手をついて息を上がらせる姿を心配していると、俯かせていた顔を起こした。

 

「試合、勝てそうなのか?」

「・・・勝ち目は五分あればいい方だろうな。」

 

 箒にそう答えて、俺は今朝のことを思い出す。

 

 

 

 

 今朝一時間目の授業中に、俺と本音と簪の三人は専用機が届いたので受領しに倉庫へと来るように連絡された。

 そこで巨大な黒い箱と対面し、俺にしか開けられないと言われて付けられた画面に手やら目やらを近づけると、意外にあっさりと箱の一面が開き、中身を俺達へとさらした。

 中にあったのは打鉄より少し大きい程度の姿をした待機状態のIS、【GUNDAM ASTRAEA(ガンダムアストレア)】と、その機体専用にあつらえられたと思わしき無数の武装達だった。

 待機状態のそいつはパッと見ただけでは、イクサの機体によく似ていた。

 全身装甲であるところや、頭部にツインアンテナとツインアイを備えているところ、姿勢制御やスラスターを兼ねて人間離れしやすい四肢が人間型に収まっているところ、と兄弟機ではないかと思うほどによく似ている。

 一方で構成色が明らかに違っていて、イクサは赤と黒を基調にしていたのに対して、アストレアは白が八割、残り二割が赤と青でできていた。

 他に目だった違いは背中の【ブースター】と呼んでいた物の代わりに、円錐型のパーツがはまっていて、簡素な印象を受けることか。

 武器は種類も豊富だが、数が結構あったので、どのような武器かを知るために一部を除いて本音達整備係に解析を依頼して預けてある。

 その結果控え室で俺を待っている【ASTRAEA】の装備には、【プロトGNビームライフル】・【プロトGNソード】・【プロトGNビームサーベル】・【プロトGNシールド】の計四つしかないが、使い方の分からない武器ばかりあっても持て余すのでこれは仕方がない。

 少しでも効率を良くしようと本音達に協力を申し出たところ、『本番が控えている人間は準備をしていろ(意訳)』と言われて、さっきまで素振りとイメトレを繰り返していた。

 開始時刻に間に合わない時は、量子空間の武器保管庫へ直接転送するということだが、どうなるかはわからない。ミサイルポッドや大砲に似たものが見えたが、見かけ通りのものかもわからない。

 第一武装よりも重大な問題が、あの機体には隠されていた。

 

『一次移行が出来ない』

 

 冗談の様だが現実の話である。

 本来一次移行に要する時間は三〇分ほどだとされる(個人差はある)。

 千冬姉の指示で、体を温めるついでに一次移行も済ませておこうとしたが、展開してしばらく待っても何の変化も起こらなかった。素振りや飛行に歩行、色々やってみたが機体が変化も光もしない。

 いくら戦うための知識が乏しい俺でも、この異常には流石に気づいた。千冬姉にすぐ連絡をとってみると、

 

『ソレは束がお前用に作った機体だ。特注だけに何が仕込まれているか、私でも分からん。

 移行条件もお前に限っては、特別なものにされている可能性がある。

 最初からお前専用なだけに、一次移行も起こらないのかもしれん。』

 

 言ってしまえば、一次移行をする必要のない機体ではないか、と推定された。起動した時点で俺用に最適化され、俺の機体に仕上がっているのではないか、という推測だ。

 千冬姉の言葉を信じ、展開状態での歩行、素振り、格闘の型、かなり未熟だが飛行、をやってみたがどれも変化こそしないものの、逆に目立った障害もなかった。

 同時に、動かしたために分かったことだったが、この機体もイクサと同じく粒子を発生させることが出来た。原理が不明な上に、他社製の機体と異なりスラスターの類も特には積んでいない、などと俺専用というのは本当なのかもしれない。

 粒子で体を動かしていると考えるしかないのだが、俺の機体にイクサの機体と同じものがついている理由など謎が多い。

 謎や問題がついて回ることには慣れたので、動く以上はこれで最適化されていると見るべきだと、機体を戻し、素のまま鍛錬だけ繰り返して、今へと至る。

 

 尚、解析・チェック担当の本音と簪からは武器について、『想像以上にピーキーなもの』だとだけ連絡が来た。修正箇所だけ治して、俺の保管庫へ量子転送する、とそれっきりである。連絡の間も惜しんで調整してくれているらしい。

 どんだけ問題ばっかりなんだ。

 

 

 

 

「やはり、厳しい勝負なのだな。」

「オルコットの実力もデータ通りとは限らないし、不安の種ばっかりだ。」

「一夏・・・その、」

 

 箒は何か言いたげな顔をして、口を開いては閉じる、を繰り返す。

 この表情をしている時は十中八九、俺からは聞かない方がいい時だ。急かすと、今から言うから急がせるな、と怒られる。

 

「・・・やはりなんでもない。勝ってこい、一夏。」

「?ああ、訓練に付き合ってもらったしな。負ける気は無いぞ。」

 

 思いつめた顔のわりに何かを言うわけでもなく、走っていってしまう。追いかけるべきかとも思うが、時間も迫る。

 しばし考えた末に、後で聞こうと俺も目的地へ急いだ。

 

 

 

 

「いいな、織斑、今回はクラス内の私闘なので一方に肩入れはできん。

 実戦の空気を味わって来い、とだけは言っておくがな。」

「了解ですよ、織斑先生。」

 

 到着した控え室内で【アストレア】を展開させ、動きに支障が出ていないかの最終チェックを行う。本音達からはまだに連絡が来ない。

 千冬姉以外は誰もおらず、閑散とした空気が控室に漂っている。

 

「操縦に関しては、把握したか?」

「本音と簪が協力してくれて一通りは。

 ただこの【アストレア】って機体、慣らし操縦しただけでも明らかに動きが聞いてたのと違うんだけど。」

「私も知らん。粒子で動くシステム自体が初耳なんだ。

 聞かれても答えられるわけがないだろう。」

「そりゃそうかもしれないけどさ。」

 

 これも第一次移行をするために動かしていた時に気づいたことの一つだが、機体の動きからして予想していたのと大きく違う。知っている限りのものは鋭角機動や瞬時加速、【ブルー・ティアーズ】のビットを例に、高速での機動をしているのが特徴だ。

 その理由は機体各所に設置されたスラスターなどの推進部を使っての動きになるからで、速さが見ている方にも伝わってくる。

 知っている打鉄などを『人』に例えると、【アストレア】は『飛行機』位に違う。頭文字の『ひ』しか合っていない。

 粒子による独特な動きのせいで、完全に扱えるかは未知数だ。高速戦闘とかも本当にできるのかも疑わしい。

 それでも専用機に並ぶ速度での飛行は可能だと、マニュアルには書いてあったため、機体が足を引っ張ることにはならない、はずだ。

 

「アリーナでの模擬戦とはいえ、実況・解説まで放送部がやるそうだ。そっちに気を引かれるなよ。」

 

 外では確かに、大きなアナウンスの声が聞こえている。

 

『さー、いよいよ今年もこの時間がやってまいりました!

 5月の目玉、新入生によるクラス代表対抗戦!本日は出場クラスの1つ、1組で代表選抜を行うことになっています!

 対戦がイギリス代表候補生『セシリア・オルコットさん』と、あの世界で唯一ISを動かせる男性『織斑一夏君』だと聞いて、会場にもかつてないほど興奮が高まっています!

 オッズはオルコット選手対織斑選手で、8対2となっていまーす。みんな、織斑君の方にかけて一発逆転を狙いましょう!

 開始まであと3分を切りました!

 オルコット選手はすでにフィールド内でスタンバイ、織斑選手ももう間もなく到着との報告が来ています!

 アリーナにお越しの皆さん、あと少しの辛抱ですよ!』

 

「思いっきり賭博宣言してるけど、いいのアレ?」

「学食の食券を賭けているだけだ。金銭の類でもなし、大目に見てやっている。

 そんなことより、さっさと出撃してこい。観客も待ちわびているようだ。」

「・・・もう観客呼ばわりなんだな。分かった、急ぐよ。」

 

 そう言って控室から千冬姉も出ていき、俺だけが残る。

 発出口は目の前にあるし、急いで歩く必要もない。

 

「・・・勝たないとな。」

 

 誰に聞かせるわけでもなく、そうつぶやく。

 この戦いは誰も死ぬ可能性はない、ただの模擬戦。レムナントとやったように、命の危険を感じるようなことはまずないはずだ。

 それでも、勝つ必要があることには変わりない。オルコットに俺のことをどう思われても、夢が間違っているとは言わせられないのだから。

 

 機体を発出口にセットし、信号が青になるのを待つ。

 身に付けた【アストレア】はさっき着た時と変わらず、俺の動きにしっかりとついてくる。なお、今の装備は右手に【プロトGNソード】、左手に【プロトGNシールド】が装備済みだ。【プロトGNビームライフル】は今使い道がないので、格納庫に収納。後背部に【プロトGNビームサーベル】が装着してある。

 三カウント後、青信号を確認し、対戦相手の待つ会場へと飛び出した。

 

「織斑一夏、ガンダムアストレア、行くぜ!」

 

 

 

 

「来ましたわね。女性を待たせるものじゃありませんわよ。」

 

 同じ目線にまで飛んできた俺を見つめ、開口一番そう告げてくる。

 空中戦に慣れない俺と比べ、オルコットは何でもないことの様に空中に立っている。戦う前から実力差を感じさせられるわけだが、そ知らぬふりをしてごまかしに徹する。ここでさらに付けこまれる隙を生むわけにもいかない。

 

「開始時間はまだじゃなかったか?」

「常識の話ですわ。

 今回は非公式ですけど、次の公式戦にも試合ギリギリの到着が許される、と思っているわけではないでしょう?」

「常識か、とりあえず次からは―――」

 

 気をつけるよ、と言おうとして、

 

「最もここで負ければ、そんな必要もありませんけど。」

「・・・」

 

 必要ないなら言わないでほしい。

 常識のことはもうどうでもいいのか、あっさり話題を切り替えるオルコット。

 

「後1分もすれば始まりますわ。せいぜい足掻いて見せなさいな。

 一応、第一世代機なんて化石を持ってきてまで戦う度胸は、今認めてあげてもよろしくてよ。」

「お褒めの言葉どうも。認めてもらうのは、俺が勝ってから俺の夢と一緒にお願いするよ。」

 

 ここだけは譲れないので再度念押しをしておく。

 オルコットも聞き飽きたのか、うるさそうに手を払う。

 

「分かってますわよ。

 貴方こそ負けたら、1学期ずっと私の奴隷ぐらいは覚悟しなさいな。」

「そんなこと言ってたか?」

 

 それ以前に、オルコットが勝った場合のことは言われてなかった気がするんだが。

 疑問符を浮かべる俺に、これだから男はと言いたげな目をして、

 

「相手が勝負を受けると言ってから罰を決める。これが勝負の駆け引きですわ!」

「せこいな!」

 

 貴族とか言っていたくせに引っかけるとは。狩りの基本、とでも言えばまだ格好もつくというのに。

 気の抜けていたところはそこまでで、どちらともなく口を閉ざして体に力をこめる。オルコットの言う通りなら後10秒もなく、試合は始まるはず。

 思考を集中。オルコットは中距離型。ビットが展開される前に懐に入るのが勝利への道筋。

 先手をとって斬りかかるために、背中の円錐部に意識を集中させる。高まっていく駆動音に、知らず心まで高揚していくかのようだ。

 待ち始めて7秒後、大きくチャイムの音が鳴る。試合開始を告げる鐘の音が響いた。

 

 

 

 

「シッ!」

 

 相手の動きを見ずに、一気に進む。直進と同時に【プロトGNソード】を変形させ、全長1.5mはある大剣が手の中で完成。

 敵がどう動くかを見ていると、空中になれない俺は後手に回る。先手を取りたいときは速度で畳みかけるべきだと、箒から教えてもらった。

 オルコットは反応が遅れたのか、ビットも飛び出していない。となれば、今のアイツに使える武装は、右手のライフルだけだ。

 そのライフルも中距離用。空いていた距離は15メートルだが、思ったより加速もスピードもよいこの【アストレア】なら、瞬きする間にライフルの内側に潜り込める。

 

(先手はもらったぞ!)

 

 そう確信する俺へ、

 

「ティアーズ、回旋曲(ロンド)!」

 

 号令に合わせてビームが4本、オルコットを守るように上から降ってきた。

 

「!?」

 

 オルコットの周りを俺から半円状に囲むそれは、一瞬とはいえ敵の接近を阻む壁になる。

 予想外の事態と目論見が崩れたことが重なり、制御が甘くなった俺の速度が落ちる。

 発射元は【ブルー・ティアーズ】。オルコットの両肩の上に2個ずつキャリアに合体したままのソレが、土台ごと向きを変えビームを降らせたのだ。

 俺が慌てるのを待っていたとばかりに、オルコットのライフルが俺へと向けられる。

 

「私から先手を簡単に取れるなんて、思わないことですわ!」

 

 高速で飛来する銃弾を見るより先に機体を傾ける。不慣れな空中戦に加えて、無理な動きにより体にかかるGで、吐き気が沸き上がるのをこらえてでもだ。

 急制動をかけ、必死に動いた甲斐あってか、損傷は掠っただけで軽微に済む。だが、これで先手を取られてしまったことになる。

 

「甘く見てなかったつもりなんだが、思ってた以上に難敵だな。」

「行きなさい、ティアーズ!」

 

 【ブルー・ティアーズ】の本領たるビットが飛び立つのを見て、一気に形成が不利になったと悟るが、臆さず俺の方から突っ込んでいく。

 戦いは始まったばかりだ。

 




始まったわけですが、いかがでしたでしょうか。
感想にもありましたが、ここのセシリアは原作より強キャラ感が出ています。
何故かと言えば、作者の知っている遠隔兵器使いが、

「恥を知れ、俗物!」

のミンキーモモとか、

「知れば誰もが望むだろう、君のようになりたいと! 君のようでありたいと!」

の変態仮面とか、

「飛べ、我が眷属よ!」

の全部乗せおじさんとか

 こんな人たちばっか見てきたので、セシリアにも強化の余地があるんじゃないかな、と思ったわけです。最後違う気もするな。
 単純に、二次創作だといつもセシリアが噛ませになるのを見て可哀想になり、彼女が強そうに見える話もいいかなー、なんて思ったのも理由の一つではありますが。

 別にセシリアが負けてるか噛ませになってる作品の否定はしてないですよ。原作であの扱いだったから、当然の事だし。
 作者の方々が考えた自分の機体を輝かせる、最初の機会ですし。

それではまた次回。

感想・評価・質問、お待ちしています。

――恒例 どうでもいい余談――
実は例に出した3人の乗ってた機体のうち1機が、装備とかは変えるけど外見それで登場予定。だいぶ先、というか最終決戦位だろうけど。
キュベレイか、プロヴィデンスか、ディオスクリアか。
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