反撃までの作戦を考えるのと、簪の存在感出すだけで今回の話が終わってしまいました。
次の話がそこそこ書いてあって、キリがいいとこまで書いて投稿なので、次話はいつもより早くお届けできると思います。
今回もオルコットさんがそのチートっぷりの一端を出します。
後なんで、同時に攻撃できたかの理由も解明されます。
では本編をどうぞ。
「・・・ら・・斑、織・・・斑・・・、織斑君!」
「いっ・・・てぇ。・・・簪か?何がどうなったんだ?」
「織斑君…さっき、…オルコットさんに撃たれて…それで墜落しちゃって。
あれから三分...くらい経って、残り十分…かな。」
機械で覆われているので分かりにくいが地面の感触と、通信機からの声で目を覚ます。頭痛がひどかった。銃弾と地面で二回脳を揺さぶられたためか、視界が安定せず吐き気までする。
口元を押さえて頭を振ったところで、自分がどうなっていたのかを把握した。
「そうだ、気を失ってたのか・・・」
「見た目によらず頑丈ですわね。試合終了まで起きないだろうと踏んでいましたのに。
それと、女性を待たせたのはこれで2度目ですわよ。」
頭上から降ってきた声を見上げると、地上30m程の位置から俺を見下しているオルコットを発見する。2度の斬りつけにより各所に傷跡は残っているが、飛行するのに支障はない様子だ。
声をかけられてシールドエネルギー残量に目をやるが、最後に撃たれた時以上には減少していない。
「俺が起きるのを待たずに、終わりにすればよかったんじゃないのか?」
「意識のない相手を嬲る趣味はありませんの。不意打ちは別ですけど。」
時計を見れば気絶していたのは3分もないようだが、待ってくれていたようだ。ここまで強引に決闘を申し込まれたりしたが、意外と根はいいやつなのかもしれない。
見上げながら片手で視界のガイド表示を操作、確認。墜落による機能障害もなく動くことは出来て、戦闘続行可能と表示される。
表示はそう出ていても、楽観的にそう思えるほど機体の状態は良くなかった。
決定的な損傷である腕や足の喪失はないが、今までに浴びた攻撃と無理をしたツケが全身に現れている。
墜落前の銃撃は左顔面に当たったようで、手で触るとヒビが入っているのが伝わる。
頭部のアンテナは片方が折れ、右肩のアーマーは溶けて原型を残していない。胴部装甲にも掠った傷が続いて、爪で抉られたような跡を残している。下半身に至っては傷の無い面を探す方が難しい。
剣の損傷は見られないが、盾はダメージが蓄積したのか淵が割れ、使い続ければ砕けるかもしれなかった。
壊れた箇所からは素肌が見えて、絶対防御が発生する危険もある。
誰がどう見ても、俺が不利なままだな。
「掠る程度だった攻撃でも、一撃が重けりゃ数を重ねて大ダメージにできるってか。」
経験したくはなかったが、これも実戦の空気か。
武器の損失といえば【プロトGNビームサーベル】を落としてしまったことだが、左腰にもう一本ある以上、そこまで気にすることはない。
そんなことよりも、
『織斑君…何か…次の作戦はあるの?』
「無い。今の流れで決めてやろうと思ったんだけど、引き離されたからな。
隙ももう見せないだろうし、どうやって接近するか・・・」
打てる手はすべて打った。打ち尽くした。
しかし敵はいまだ健在。こちらの方が深手を負ってしまっている。
次にこちらの間合いに引き込むのに、同じ手段は通用しまい。
手の無くなった今、気分は絶望感でいっぱいだ。
「【プロトGNシールド】もいつまで耐えてくれるかわからない。【プロトGNソード】は盾に使う訳にもいかないし・・・。【プロトGNビームライフル】は扱いにくい。
結構ピンチ、かもな。」
『武装は…調整が終わったから…そっちに送るね。それを見てから…また、考えよ?
きっと…きっと…まだ何とか…なるはずだから。』
「・・・分かった。時間は稼ぐから、なるべく急ぎ目で頼むな。」
『…うん…少しだけ…待っててね。』
簪の言葉に少しばかり希望を見出す。
表示内に『転送中』の表示が現れ、預けていた武装達が送られてくる。
今俺がやるべきことは、オルコットにこの間攻撃されないようにして、次の機会を待つことだ。
会話を振って、攻撃から意識をそらさせる。
「自爆してくるなんて、自分の手足を切るようなものだろうに、よくやってきたな。」
「私だって可愛いティアーズ達を自爆させるなんて、やりたくありませんわよ。
でも、背に腹は代えられませんもの。負けることに比べればやむなしですわ。
それに私の実力じゃありませんもの、あんな下手な攻撃。」
「・・・意味がよくわからないんだが。」
「もう隠しても意味がありませんし、教えてあげますわ。
貴方も気になったでしょう?私がティアーズを使いながら攻撃が行えた理由。」
説明しだしたオルコットに内心感謝するが、転送はまだ終わらない。
焦る俺の内心を知ってか知らずか、オルコットが手を振ると、キャリアに戻っていたらしいティアーズたちが再び動き出し、彼女の周囲に滞空する。一機を手元で撫でてやりながら、俺を再度見てくる。
「私に勝つためにいろいろと学んだのでしょう?私の過去の戦いやティアーズの動かし方についても。」
「格上相手なら当然の事だろ。」
「勿論そうでしょう。そして調べていけば私の持つ最大の弱点、『ティアーズとの同時攻撃不可』の事実にも突き当たったはず。私と戦うなら確実に其処をついてくるだろうと考え、私も罠を張ることにしましたの。
それならあなたの考えを逆手にとるために。」
「・・・」
(俺達の考えが読まれていたわけか。)
自信満々の態度を裏打ちするだけの能力が、彼女にも確かにあったということだ。
だがそれが事実なら、彼女は同時攻撃への対策をしたということだが、一体何をしたというのか
「で、同時に使えるようになったのか?」
「いいえ。この短期間でそんなことが出来るほど、私は特別じゃありませんわ。
だから自動運転させてましたのよ。それなら、私も攻撃しても問題ありませんもの。」
「自動運転?」
「機械に操作を一任させて攻撃させるだけのことですわ。でも私が動かすよりずっと酷いったらありませんの。
おびき寄せる罠だとしてもあんな下手な攻撃、見ているこちらがイライラしましたわ。」
「・・・つまりあれか、あのビットはお前が操ってたわけじゃない、と?
で、俺がのこのこ近づいてくるための罠だったと。」
「そう言っているでしょう。挙句にティアーズを自爆させざるを得なくなるなんて、後で本国に苦情決定ですわ。」
「・・・」
最後の苦情はさておき、動けば躱せるあの攻撃はオルコットの体調不良ではなかったということだ。それは良かったが、敵が自分の弱点を離すことに嫌な予感しかしない。
「何でその秘密教えてくれたんだ?大事なことなんだろ?」
「私の弱点を調べて勝ちに来る相手なんて、この学校にそうそういませんもの。
自動操縦は、近距離戦を得意とする相手の罠くらいしか使い道がないと分かりましたし、もう使う気がありませんの。」
「もう使わないって、この決闘でもか?」
「一度接近をした相手が二度目を出来ないと思う程、楽天家ではありませんの。」
俺への評価がオルコットの中で高めになってきている。なおさら嫌な予感が晴れない。
「この決闘の幕は、私自身の手で引いてあげますわ!」
「本領発揮ってわけか」
自動操縦を封印するのか。だが、もしそうするなら彼女が攻撃できなくなるデメリットが復活するはずだ。ビットは後五機でビームを撃てるのは三機に減った。
ミサイル持ちが出てくるとしても、実弾に強いこちらはさほど気にしなくていい。
付け入る隙は増えたと言えるか。
勝機が僅かなりとも見えてきたと思うが、オルコットの目はまだ慢心していない。それが嫌な予感と同じく、俺にとっての気がかりだった。
「それで、貴方も何かこそこそと企んでいるようですけど、用意はできましたの?」
見れば、転送表示は終了していた。簪との通信内容を予想して待っていてくれたのか。
それともあるいは、動かない敵は撃たない主義なのか。
「また待っててくれたのか?」
「全力の貴方を叩き潰すことが目的ですもの。何か企んでいるなら早くしなさい。」
下に見るような言い方が目立つが、本音では対等に戦いたがっているのだ。
もっとも彼女の性格がどうであっても、俺の苦しい現状に変化は訪れない。俺としても、ここまで待たせて逃げるわけにもいかない。
武装一覧の表示の中に使っていた四種類以外の出現を確認して、体を起こす。
「何度も待たせて悪かったな。もう大丈夫だ。」
「待ちくたびれましたわよ、ティアーズ!」
跪いた従者のようだった三機のビットがオルコットの元を離れ、俺へ向かいだす。続けざま、腰からもミサイル持ちの二機が射出される。
ついに彼女の隠し玉も出し尽くした全力戦だ。
気合を入れなおした俺を、オルコットの次の行動が驚愕させた。
「さあ、踊りなさい。わたくしセシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で!」
声とともに動いたのはオルコットの左手。【スターライトmarkⅡ】を握ったその手が、素肌を覆う装甲ごと彼女から分離したのだ。腕との接続部にシャッターを下ろし、推進機関を噴射して、ビットとして動き始める。
他とは違い俺へ向かってくるのではなく彼女の周囲で浮遊しながら、俺へと照準を定めてきた。
さながら固定砲台と言った趣だ。
「ビットと私が同時に攻撃できないなら、私の攻撃手段もビットと同じにすればいい、違いませんこと?」
「まだこんな奥の手隠してたのかよ!」
『腕部のビット化』、これが奥の手か!
右手に変化はないが、左手はオルコットの前から動かない。砲門の数はこれで六。しかも俺との間にとどまったままということで、距離を詰められることへの対策にもなっている。
四機に死角狙いで動かせ、近距離も後手に回っていたこれまでとは違い、攻撃態勢に入って本気で潰しにかかってくるつもりだ。
「死角狙いも弱者を降伏させるためのやり方ですの。
私に距離を詰めた貴方を強者とみなして、ここからは勝ちに行きますわよ!」
「来いよ、オルコット!」
俺達が吠えるのに呼応したかのように、オルコットのティアーズと俺の背中が光り始める。
さあ、戦闘再開だ!
◇
「これまでとはわけが違いますわよ!食らいなさい!」
「誰が!」
高所で指示を待っていたビット三機が、同時に俺目掛けて降下を開始。自爆機と同じく正面から突っ込んでくる。
数は増えたが死角に回っているのがいない分、躱した後の心配はしなくていい。
回避しようと体へ力を入れたが、
「ティアーズ、三重奏(トリオ)!」
『だめ、織斑君、防いで!』
「簪、ってうおッ!」
簪の指示で動きを止める。
すると動きを止めた俺目掛けて、ビット三機が連結、直列繋ぎとなったティアーズから、一筋の太い光が放たれる。
咄嗟に盾を掲げて防いで見せるが、盾越しに感じる力が今までの衝撃とは比にならない。掠っていた衝撃が蚊に刺された程度なら、今の一撃は棍棒で殴りつけられたようなものだった。
「重っ!」
ただ撃つのではなく、連結して細い三本のビームを一本に集約し、重みと威力と範囲を増している。
防いだから良かったものの、盾に食らった衝撃を思うと、簪に言われたとおりにしなければ欠損部分が出ていたかもしれない。
足に力を入れて持久戦にするべきかと考える俺に、簪から指示が飛ぶ。
『後ろへ下がって!』
「分かった!」
今度は体を止めることなく後ろへと飛びさがる。盾へかかる衝撃も利用し、大きく距離をとった。
着地に合わせて目をやれば、俺のいた位置を横から来たビームが交差して焼いていた。
連結を解いた三機が俺の周囲を包囲、受け止めたところを横から挟んでいたのだ。
「操ってる奴が変わるだけで、ここまで威力が変わるのか。」
『オルコットさんの言う通り…使い方次第…なんだと思う。』
「自動操縦なんて小細工しなけりゃ、こんなことまでできますってか!」
追ってくるビームを躱し、飛行しつつ後退する。撃ち方も変えられる変則的な攻撃に、付き合う必要はない。
連結型は撃ってこないが、三機が精度を増した射撃を続けてくる。動くだけで躱せた雑さなどそこにはなく、動いても頭や手足に着弾の火花を散らす。やむなく盾を持った手で背中を覆い、気休め程度にはなるが被弾を避ける。
地面と平行に飛びながら、通信機に怒鳴るように問う。
「簪、何か手はあるか!」
『しばらくは…守りに…入っておいて。
その機体は…速度は第三世代でも平均的…だけど…安定性は…良く出来ているから…しばらくは大丈夫…なはず。』
「安定性?」
『うん…空中機動になれない…織斑君でも…攻撃された時以外…一度もバランスを崩したりしていない…から。』
『安定性が良い』
戦うことに支障が出なかったので分かっていなかったが、確かに一度も失速したり、動き損なったりしたことはない。
空中戦初心者の俺がやっているにしては、違和感が出ない方がおかしい。それにもかかわらず問題が起きていないのは、機体の安定性の高さを証明している。
試しにうつ伏せから仰向けになって、背面飛行に移るがこれも支障が出ない。
「・・・簪の言うとおりだな。全然問題なく動ける。」
『防御に集中して…!』
「ああ!」
速度が出ないのでビットを振り切ることは出来ないが、撃ってくる姿が見えればやりようもある。
防御するには【プロトGNソード】は役に立たない。
武装一覧を呼び出し、【プロトGNソード】を収納、【プロトGNシールド(タイプK)】を出現させ、両手で貝のように盾2枚による防御を決め込む。
盾は流石に堅牢さも違い、攻撃を受けても損傷せずに耐えている。ビームも当たった端から弾かれて、地面に火花を散らすだけに終わる。
『もう少し飛ぶと…アリーナの外周にあたるから…沿って…飛び続けて。』
「あれだな!」
視界に捕らえた外周部へ接近、円形のそれに沿うように飛行を続ける。この間もビットはたえず攻撃を続けてくるため、内心穏やかではいられない。
それでもどうにか、安全地帯を作ることには成功する。盾は簡単には壊れないはずなため、気を抜かなければ損傷は避けられる。
そう思ったのが間違いだった。
「私を忘れてもらっては困りますわね!」
「うおっ!?」
オルコットからの銃撃。右肩に当たったそれは、これまで通りに微かにシールドエネルギーを減らすだけだった。だがダメージはそれだけでも、影響はそれだけにとどまらない。
体が大きく右へと傾き、地面に擦りそうになる。体勢を立て直そうとするところへ、ビットまで攻撃してくるのだからたまらない。
地面にぶつかれば、次に飛び立つ間もなく蜂の巣になって終わりだ。
「こいつ、戻れ‼‼」
教えてもらったばかりの機体の安定性を信じて、粒子を噴射し強引に持ち直させる。
一撃もらっただけでこれほどぐらついてしまったのは、彼女の攻撃を失念していたこともあるが俺の能力にあった。
やったこともない背面飛行をしている今、多少の衝撃でも俺はバランスを崩しかねない。
いくら安定性に優れていようが、俺自身がこの性能を操りきれるかは別問題だと痛感させられる。
さらにアリーナ中央に陣取る彼女からすれば、外周に沿って移動する俺は狙いたい放題である。後半戦に入り機体も体力も消耗して、ビームを回避し続ける余力もない以上、逃げるのが最善だと分かっていても舌打ちせずにはいられない。
後方から追い立てられ、横からは的になりに行っているようなものだからだ。
「簪、何か言い手はあるのか?」
『織斑君に…して欲しくないけど…無茶が出来るなら…逆転できるかもしれない手は…あるよ。』
「無茶は元からだ、問題ない。何をしたらいいんだ?」
『ミサイルの…バリエーションの一つで…煙幕があるでしょ?
それを使って…オルコットさんから…見えなくして…近づく…っていう作戦。』
「でもそれだと、ちッ!ビットはどうするんだ?、ってぇ!」
盾に分散して当たっていた衝撃が固まってきた。またもや集束型を撃ってきている。攻撃箇所も絞ってきたようで、使い続けている左手側の【プロトGNシールド(タイプE)】への被弾が増える。
単発型は平気でもこちらはきついのか、盾に亀裂が入ってひび割れ始めている。まだしばらくは持ちこたえてくれるだろうが、破壊されるのも時間の問題だ。
『それは…その…』
「打つ手なし、か!」
衝撃に耐えようと力をこめたのが、怒鳴り声になって、簪の返答が止まる。
失敗に気づいて謝ろうとする俺を遮るように、簪が謝った。
『・・・ごめん…なさい。』
「・・・いや俺も怒鳴って悪かった。
責めてるわけじゃないから、謝らないでくれよ。」
戦っているのは自分のくせに、苦境を理由に助けてくれている相手に当たるなんてみっともないにも程がある。
さらに相手は小動物のように怯えがちな子だ。こうして男の俺と話すのにも緊張しているだろうに、余計なストレスを与えるほど馬鹿なこともない。
自己嫌悪の念が浮かぶが、盾を襲うビームを思い出して頭を切り替える。
(今ここで、簪に謝り続けても何も変わらない!勝つのが先だ!)
「簪、後でちゃんと謝るから、今は一緒にオルコットを倒す手を考えてくれ。土下座でも何でもするから、今だけは怒鳴っちまったこと忘れて協力してくれ!」
体を震わせるビームにも負けないように声を張り上げる。
必死になって伝えると、簪が軽く笑ったのが聞こえた。
「?おーい?」
『・・・織斑君、私は気にしてないよ。だって…仲間…でしょ?
苦しい時も…楽しい時も…一緒に分かち合うのが仲間だもん』
通信機越しの声にも、どこか笑っているかのような空気が含まれている。
仲間と言ってもらえるのは嬉しいが、思っていたよりも彼女の声がしっかりしていることに面食らう。こんなに打たれ強い子だっただろうか?
それほど長い付き合いでもないから、何とも言えないが。
謎が浮かぶのもいつものことなので放り出し、オルコット対策を考える。
『それで…織斑君は…何か浮かんだの?』
「また賭けになるけど、1つ武装一覧を見て浮かんだのがある。
こんな作戦なんだけど―――――」
自分で言うのもなんだが、作戦というより博打の様なものだった。
シールドの耐久値、エネルギー残量、残り時間、オルコットの思考、すべてを加味しても上手くいくかさっぱりわからない。
俺は元から、剣と接近戦以外にはろくに知恵が回らない。自分でも名案が浮かぶことなどハナから期待していない。
一つ言えるこの考えの長所は、問題点の多くが俺を犠牲にすれば防げる可能性が高いことだった。時間ももう十分無いので、返答が良くなくても実行するしかないと密かに決める。
『・・・うん。』
「やっぱり無茶が過ぎるよな、別の手に―――」
『ううん、その作戦で…いこう。』
無言を否定ととらえ、別の手にしよう、と言いきる前に遮られる。
「・・・反対されると思ってたんで意外だな。」
『だって…反対しても…やるんでしょ…?』
見抜かれていたことに驚きを隠せない。簪自身が無茶な作戦を嫌った言い方をしていただけに、賛成してくれるとは思わなかった。
そう素直に告げると、また笑いを隠すように、しかしはっきりと答えてくれた。
『織斑君は…無茶ばかりするから。反対しても…それしかないと…思ったらやっちゃうでしょ。
だから…少しでも安全なように…作戦を完璧にする方が私の役割だって…思って。』
浅はかな考えが全て見透かされていた。
彼女が小動物などと例えたのが間違いだ。この子もしっかりした意思を持って共に戦ってくれているのだ。
現に彼女がいなかったら、逆転を賭けたこの作戦も生まれなかった。
『織斑君の作戦にいくつか修正を加えるから、それで実行して。実行タイミングは任意、急がずそれでいて的確に。
時間はあと七分と少し、ここが正念場だよ!』
と、そこまでたどたどしかった口調が、急に生き生きとしたものに変わる。人見知りが激しいわりに、集中すれば物怖じしない一面もあるのか。
司令塔役とか案外向いているかもしれない。
『勝つよ、織斑君!』
「ああ、勝とうぜ、簪!」
墜落した余韻か、未だに頭に響く頭痛を押し殺して俺は勝利を誓った。
◇
【ブルー・ティアーズ】 シールドエネルギー残量 390
機体損傷レベル 小(やや中)
【ガンダムアストレア】 シールドエネルギー残量 189
機体損傷レベル 中(やや大)
共に前回から変化なし。
一夏のみ格納庫に武器が転送されたため、残武器数が増加
試合時間 残り07:25
というわけで第十五話いかがでしたでしょうか。
今まで分かりにくかったですが、一夏は近距離戦で活路を見出すのは得意な一方、それが出来なくなると後は捨て身戦法しか出来ない人です。
(才能の壁もありますが、一人で作戦まで考えられるなら誰にも頼らなくていいとなるから、という裏の理由もあります。)
簪がここぞとばかりに、存在感を出せたのは良かったかなと思います。
セッシ―大活躍、オルコッ党の人たち大喜びかもしれない。
弱点もあるけど、一夏相手だとほとんどそれが出ないので、最強のようにも見える。
まあとにかく、次回もお楽しみに。
感想・評価・質問・お気に入り登録、何でもよろしくお願いします。
次回予告は止めときます、守れないことの方が多かったので。
――毎度 どうでもいい余談――
死角封じ、壁、自爆で強制的に距離をとらせる、連結で威力を上げる、腕を分離してビット扱いにすれば同時攻撃もできる。
うん、なんだこのチート。
作中で何時になるかわからないから弱点を言っておくと、
・やっぱ近距離はロクにできない(インターセプターはあるが、ティアーズとの使用レベルを比べれば話にならない。)
・想定外のことは対応に時間がかかる(だから一夏の行動も予想して罠を張っていた)
・技名の「回旋曲」や「犠牲駒」は、いわゆるマインドセット(複雑な行動パターンを操るための自分にかける暗示)。これを使用することでスムーズに幾つもの動きを行う。
つまり技名のパターンを知られると対処策が練られるし、同じ手は使えない。
(覚えても対処できるかは別だが)
・一夏相手に押しているが、逆を言えば防御に回ると守備の弱さが露呈する。
大体こんなもんですかね。用意をしておく分、用意していないことには弱い人です。バイオハザードとかに弱そう。
インフレさせないために、これから咬ませになるかは知らない。
三重奏は威力的には、スローネアインのGNランチャー単発型くらい
最大出力はライフルにビット四連結で放つ五重奏(クインテット)で、GNハイメガランチャーと同等になったりして・・・
大振りになる分狙いにくかったり、冷却時間が必要になったりで良いことばかりじゃないからあまり使いませんけど。
長くなったのでこの辺で。