今回から鈴戦スタート。
待たせておいて、長く語るのもなんなので本編をどうぞ。
今回もやっぱり長い。
『会場にお越しの皆様、長らくお待たせいたしました!間もなく今期のクラス代表対抗戦第一試合を開始いたしまーす!』
再び立つこととなったアリーナの試合会場で、放送席からのアナウンスがここまで聞こえてくる。
俺は発出口につながる控室内で機体を待機状態のままでセットし、呼び出しの合図を待っていた。
澄んだ青色をした【エクシア】が弁慶のように堂々と立つ姿を、俺は椅子に座って眺める。手にする紙コップの中身は既に無くなり、片手の中で残った数滴だけが光る。あと数分とせず、この手に剣を握っているのだから不思議だ。
本音と相談して考えたが、【甲龍】相手に半端な武装で距離をあいまいにするのは危険だとして【エクシア】の姿での待機だ。セシリアとの戦いで破壊された武器や防具、体の各部は既に修繕され、7本の剣を装備した勇壮な姿は能天使の肩書きに引けを取らない。
だが、【エクシア】の雄々しさにふさわしくなく、俺は戦いに全ての意識を向けられずにいた。もちろん鈴との約束が気がかりであるためだ。
「・・・落ち着かないな。」
試合が始まってしまえば、何も思うことなく戦えるだろう。2つのことを同時に考えられるほど器用ではないし。
それでも箒から聞かされた鈴との約束の意味が、一人で待つ今は気になってしようがない。彼女の推測が当たっている保証はない。だがもし当たっていたなら、鈴には真摯に答えなければならない。
それと試合を分けて考えるのが難しくて、こうも苦い思いをしている。
『―――それでは選手の方、規定位置へ移動をお願いします!』
「!時間だな。」
紙コップをゴミ箱へ投げ込み、頬を打って気合を入れる。
箒にも言ったが鈴は強敵だ。あいつの性格なら試合はちゃんと全力でくる。府抜けた様子を見せたりすれば、一気に狩られる。
「やれることをやる、それだけ考えてればいいんだ。」
自分にそう言い聞かせ、【エクシア】を纏った。
◇
5月より幾分慣れた動きで、既に空中で待機していた鈴の元へ到着する。
「威勢のいいこと言っといて、尻尾撒いて逃げるんじゃないかって思ってたのに。」
「始まる前から言ってくれるぜ。そんなみっともない真似するわけないだろ。」
挑発にしてはレベルが低いな。その程度で俺がペースを乱すと見ているなら大間違いだ。
俺の反応に驚くでもなく、鈴は肩をすくめる。
「とか言って、今まで控室で悩んでたくせに。」
「・・・何で分かるんだよ。」
「伊達にアンタの幼馴染やってないわよ、あたしも。その場で割り切れても、その先か後かで悩むのが一夏でしょ。」
「良く知っていらっしゃる。」
『では後1分で試合開始となります!選手の方々、お覚悟よろしいですか?』
でかいアナウンスの声に、お互いそれまで軽く開いていた口が閉じる。初戦と変わらないGNドライヴの静かな回転音が、少しずつうなりを上げていくのが耳に届く。
鈴も、そして俺も相手を見る目には迷いを残していない。
今の二言三言で、お互いの調子は知れた。後は機体に全てを託して、思いのままに戦う。
そして、その時は訪れた。
『それでは・・・試合開始!』
「行くぜッ!」
司会者の声を合図にドライヴの回転を跳ね上げ、展開済みの【GNソード】を背に構えて突撃する。一拍遅れて鈴も俺の突撃を見て手にしている薙刀に似た、柄の長い青龍刀を俺に向ける。
空いていた間合いを一息に詰めて振り下ろした【GNソード】を袈裟懸けに斬り下ろす。馬鹿正直に鈴も攻撃は受けずに青龍刀の柄で受け止めて、一夏が勢いに乗せた体勢のまま、2機の力が空中で拮抗し合う。
接触した剣と柄が光を散らして、頭上の太陽にも負けない輝きを生む。その火花散らす光景の中で互いの得物を挟み、今までになく近い距離で俺と鈴は顔を突き合わせる。
「衝撃砲は使わせねぇ!」
「そう来るとはね! てっきり最初は様子見だと思ってたわ!」
驚きの表情を浮かべた鈴にも手は緩めない。『鈴が動く前に機体を接近させて、【衝撃砲】を撃つひまを与えない』。これが俺流の鈴対策案だった。
いくら考えたところで射程距離の分からない【衝撃砲】をかわす有効な手立てはない。ならいっそ使わせないようにするのはどうか、と考えついたのが理由だった。
「目の前の武器に集中したまま、衝撃砲まで使えるか!」
読みの当たり外れはともかく、使ってこない今が攻め時と判断してさらにGNドライヴの出力を上げる。
スタートダッシュで得た加速、有利な姿勢、余力を残しているGNドライヴのパワー。3つの要因を重ねて、このまま武器を両断しようと柄に【GNソード】を押し付ける。
攻撃耐性のコーティングはしてあっても、直接ぶつける計算をしていない部位はダメージに弱い。ゆっくり、しかし確実に近寄る【GNソード】が、待っていれば青龍刀を刀と柄に二分するだろう。
だが俺の有利を許すほど、やはり鈴も甘くはなかった。
「調子に…乗るなぁ!」
「っ、嘘だろ!?」
鈴の声と同時に手元が軽くなったかと思えば【GNソード】ごと、俺は空中に飛ばされていた。
鈴が俺の攻勢を上回る出力で柄を押し上げ、俺もまとめて跳ね除けたのだ。
武器を両断させて距離をあけるか、又は一旦【甲龍】を引かせて衝撃砲を撃ちに来るだろうと踏んでいた俺に、それはかなりの驚きだった。
宙返りして体勢を立て直し、追撃をさけるため鈴を睨んで作戦を練る。
「【甲龍】を衝撃砲頼みの三流機体と思ってもらっちゃ困るわね!」
(あの状況をひっくり返せるだけのパワー・・・。スピード寄りの【エクシア】じゃ切り結ぶのは良くない。
距離も空けられたし、突撃ばかりじゃ対応される。衝撃砲もあるし、連続攻撃が早いやつでいくか。)
突進及び突撃用の【GNソード】で押しのけられるのでは、力比べに勝ち目はない。
【GNソード】を格納庫にいれ、二本の実体剣を呼び出す。
新たに現れた長さの不揃えなそれらの剣は【GNロングブレイド】と【GNショートブレイド】。長さと厚さに長けた【GNソード】のような極端な破壊力こそないが、切れ味は劣らず、取り回しもいい。
何より攻撃の速度は段違いに上だ。
軽くなった得物を両手に、俺は再び鈴へと向かった。
◇
「む、勝ちが決まったかと思ったが・・・」
「始まって1分と持たずに決着の方が興ざめですわよ。」
クラスメイトに紛れた応援席から、箒はセシリア・オルコットが隣に座るという座席順を恨みながらも観戦していた。
食べ物の売り子などが歩いたりもしているが、彼女らの手元には今は何もない。
せっかく一夏が勝ちかけたのを残念がらないセシリアに、箒は訝しむ。
「一夏の優勢を喜ばんとは、オルコットは一夏の応援をしないのか?」
「一夏さんなら応援無しでも勝ちますわ。わたくしに勝った人ですもの。」
こともなげにそう返すセシリアに、わずかに胸がささくれ立つ。自分より一夏のことを知っているような言い方に、つい反応してしまう。
「・・・一夏を信頼しているのだな。」
「評価はきちんとするタイプですの。それに、早く決着がつけば簪さんが予定より早く出番になってしまいます。協力者としては、そちらの方が気になるものでしょう?」
どうにも最近は、彼の周りの女性が増えたことに危機感を感じ始めている自分がいる。もっと自分を磨かねば、とセシリアの一切気の無い反応で思い直す。
話題の切り替わりで、控室で同じくこの試合を見ている筈の更識簪のことを考える。
彼女は今回が初出場であり、どんな心持ちで今という時間を過ごしているかは余人には計り知れない。
ずっと昔に箒も剣道の初試合で出番を待っている時は、緊張で手が震えていた。同じ思いをしている筈の簪のことを考えられなかったことを恥じ入る。
なお、かつてのそんな時にも声をかけて自分を安心させてくれたのが一夏だったりするが、それを思い出すと長くなるのでおいておこう。
「緊張しているだろうか。」
「【打鉄】程度に負ける方じゃありませんけど、初の実戦がどんな影響を生むかは未知数ですわ。
本番だからこそ練習以上の成果を上げられる人もいれば、その逆も然り。彼女がプレッシャーに押し潰されていないことを祈りましょう。」
「一夏も、そして更識も勝ってほしいものだな。もちろん凰にもだが。」
「どちらですの?」
「気持ちの問題なのだ!」
そこで会話を終え、新たな局面に移った戦況を二人はまた眺めた。
◇
――戦闘開始より10分経過――
開始直後に起きた激しい力比べが終わって間もなく、一夏と鈴は戦闘スタイルをそれぞれに切り替えていた。
鈴は両肩の上に浮遊する1対の棘付き球体――衝撃砲【龍砲】の砲身発生装置――を起動させ、見えない砲弾で一夏が接近するのを牽制する。それでも近づく一夏の剣は青龍刀で受け止め、反撃するというカウンター型の戦い方をとる。
一夏は新たに装備した【GNロングブレイド】と【GNショートブレイド】でたえず放たれる衝撃砲を時には耐え、時には偶然でかわして一撃を見舞うヒット&アウェイで戦っている。動きを止めないのは少しでも被弾数を減らすためだ。
2本のブレイドを使い、距離を素早く詰めては移動を繰り返す一夏が、場の主導権を握っている。鈴も一夏の攻撃には反撃を当てることすらできず、もっぱら防ぐことに終始して、攻撃は衝撃砲に頼り切っている。
だが、一夏の頭にはその流れは気になってはいなかった。
(おかしい)
そう、おかしいのだ。
最初に押し返されたパワーから考えるに、【甲龍】は衝撃砲を抜きにすればガチガチのパワータイプ。力押しが信条の機体だと読んだ。
そう踏んだからこそ【GNソード】の突撃で一撃破壊を狙うのは諦め、小さなダメージを蓄積させるやり方を選んだ。【甲龍】も速度にはついてはこれず、目に見える傷を増やしていく予定だった。
だが接近と退避を繰り返すこのやり方にして以降、【甲龍】に目立った外傷は特にできていない。
思ったよりも衝撃砲が飛んでこず、こちらも被弾は少なく済んでいるが、そのダメージの通らなさに気持ち悪さが抜けきらない。
「昔より弱くなったんじゃないの!」
強気な鈴の言葉に呼応して、衝撃砲がうなりを上げて襲い来る。目に見えないのでかわすのは困難とし、【GNシールド】で防ぎながら接近の気を見計らう。
なぜダメージが通らないのか?
その理由は予想に反した鈴の近距離適性だった。角度や向きを変えて斬りつけても、あっさり青龍刀で受け止めてしまう。
鈴の背丈ほどの長さがあるそれを、バトンでも回すように回転させて張られた防御壁は、一夏の攻撃は全て確実に防ぎ続けている。
一夏にはそれが理解できない。
(パワー型だから軽く振り回せるのはともかく、俺の速度についてこれる理由が分からない。)
一夏も自身の剣技には自信がある。レムナントの時は重さに引きずられたが、今は十全にこの剣の特性を生かしている自信がある。近距離だけなら以前のセシリアにも負けないと、豪語できるくらいには評価を下している。
その実力が明らかに二本の【GNブレイド】より重い青龍刀一本に防がれるのが理解できない。
「これならば!」
衝撃砲が飛んでこなくなったタイミングで接近し、正面で振り下ろすように見せかけて機体を横回転、流れるように回り込んだ背後から伸ばした腕の延長、左手にある【GNロングブレイド】を真横に走らせた。
当たったなら機体が上下に分割される一撃を、鈴は青龍刀を肩に担ぐようにして背中へと回し、これも易々と防いでみせる。
だが、今回は一夏も防がれるのを見越している。防がれた衝撃を利用して機体を逆回転させ、右手の【GNショートブレイド】を再度正面から逆手に握り、胴へと突き刺しにいく。
しかしまたしても青龍刀が閃く。
三日月の様に弧を描く軌道の青龍刀が【GNショートブレイド】も弾いて防ぐ。
(それなら!)
これまでは距離をあけたが、あえて下がることをせずに向き直る。
「うおおおお!」
裂帛の気合と共にまず左手、【GNロングブレイド】を振り下ろす。これは青龍刀の刃先で受け止められたが、右手の【GNショートブレイド】はまだある。そして力では勝てないが、しばらく勢いで青龍刀の動きを止めることは可能だ。
ここで鉄壁を越えようと、守るものの無い鈴の左半身を【GNショートブレイド】で切りつける。
だが・・・
「少しは効いてくれてもいいんじゃねえの!」
「猿知恵よ、少し頭使ったくらいで!」
流石に抑えられた青龍刀は間に合わなかったが、左肘のスパイクアーマーが防御役となって、大ダメージにすることをしのいでいる。掌や銅よりも固く作られたその部位は、【GNショートブレイド】を受け止めてそれ以上の侵攻を食い止める。
かたや剣対剣、かたや剣対棘。ともに【GNソード】との衝突と同じく、接触面から激しくスパークと火花を生んで、煌々とアリーナを照らす。
せっかく得た2度目の追い込む機会。また距離をあければ千日手になりかねない。
絶対に逃がしてたまるか!
(このまま切り裂く!)
GNドライヴが高速回転をはじめ、背中の円錐部から放出される粒子の量が増えだす。その輝きがブレイドに力を与え、【GNロングブレイド】と【GNショートブレイド】の切れ味が上がっていく。
青龍刀は散らすスパークの量が増えただけだが、肘のスパイクはそうはいかない。バターを切るように【GNショートブレイド】が食い込み切断、それどころか左腕にまでその刃を沈ませる。
いけるかと思ったが、突如鈴の肩の上が光ったかと思うと青龍刀が【GNロングブレイド】を振り払い、俺も巻き込まれて空へと投げ出される。
【GNソード】と同じ轍は踏まずに機体を起こす。攻撃に失敗した俺目掛けて衝撃砲の見えない砲弾が飛んでくるが、前に【GNシールド】を構えて防ぎ、距離をあける。
「くそっ!」
「近距離なら勝てるなんて思わないことね。 あたしの【甲龍】に弱点は無いわ!」
自信満々に言われると腹が立つが、本当のことだけに否定はできない。
そして今の攻防でようやく、鈴の防御の鉄壁さの理由が垣間見えた。
(青龍刀は動き出し、初速が異様に早い。俺が攻撃に出てからも間に合うなんて、普通じゃまずありえない。
それにいつも馬鹿力でもない。鍔競り合いも最初は押されないんだ。俺をはねのける力もカラクリがあるんだろう。)
鈴の青龍刀は今の攻防からも分かるように、俺の攻撃を見てから動いている。
そしてその上で防御に成功している。
攻撃を見てから、かわそうと動く。
これは単純だ。攻撃への回避も多くはこのパターンなのだから。
だが攻撃を見てから防ぎに回って成功するのは難易度がぐっと上がる。
『避ける』と『防ぐ』は似ていても全く別物であり、一夏自身も同じ芸当をやれと言われてもできる自信はない。
(自動迎撃のシステムでも組んであるのか。あるいはあの動きを実現する後押しをどこかからしてるのか。)
あの防御の要は、見てから素早く動く青龍刀にある。
どういう理屈か仕組か、手で動かすよりも速い速度で動き出して防御している。しかも時には不利な体勢から攻撃を弾き返せるだけの力を伴って。
少し上がり始めた息を整えつつも、視線は鈴からそらさない。
「どう一夏、降参する? 続けても一夏が先に消耗して負けるだけよ。」
「忠告ありがたいが、きけないな。」
「せっかく言ってあげてるのに聞かないんだ。」
「どうせわかってるだろ?」
「まぁね。幼なじみだから。」
余裕をかました会話に見えて、鈴の鉄壁を越えないと俺に勝ち目はないので余裕など欠片もない。手を変えて擦過傷を重ね続けるやり方もあるが、制限時間がある今は現実的ではない。
再開した衝撃砲による砲撃を【GNシールド】で防いで、次なる手を考える。
(待てよ・・・)
そこであることが思い当たった。
(俺も大したダメージを受けてない?)
鈴には攻撃が通っていないが、【エクシア】も大して損傷がない。
一夏が攻撃している最中、衝撃砲はほとんど飛んでこなかった。飛んでくるのは、こうして距離を開いて仕切り直したりするときに限られている。
距離をあけると背中に展開したりするやり方はできないのか、真正面からしか飛んでこないので防ぐのには苦労していない。そのせいか、今でも動くのに支障は出ていない。
いくら実弾に高い耐性を持つ【エクシア】でも砲弾を浴び続ければ損傷するし、ダメージも溜まっていく。
支障が出ないだけで、既に食らっていたかとシールドエネルギー残量を確認しても、初期値の『550』から目立って減った様子はない。今も『540』を示して、前回のセシリアとの時を思えばあり得ない残り方だ。
つまり『鈴は何らかの理由で、衝撃砲で攻撃をしていない。もしくは使用そのものをしていない。』ということがいえる。
そして、【GNショートブレイド】が左腕に食い込んだとき、肩の上に見えた謎の光。
「なら・・・」
その事実から今までの流れに一つの回答を見つける。
もし、これが正解なら【甲龍】のパワーも青龍刀のスピードにも説明がつく。妙にあきらめを促すという、鈴らしくもない回りくどいことをしているのにもだ
(確かめてみるか・・・)
2本の【GNブレイド】を腰に装着、【GNソード】を右手に装備し直す。
そして鈴よりも上方に飛び上がり、墜落にも似た速度で突撃を敢行する。
「また突撃? ひねりがないのよ!」
「やるまでわからないぜ!」
腰だめに両手で青龍刀を構え直す鈴。
受け止める気なのだろうが、まともに衝突すれば勢いで鈴ごと地面にたたきつけられる。
さらにスピードを上げ、重力も加算した速度で【GNソード】を突き出したまま鈴にぶつかる。
一瞬の交錯の結果は・・・
「うっ!」
「学習しないわね。一夏もいい加減にあきらめたら?」
交錯時に剣閃の音とわずかな異音を残し、両者は分かれる。
バッターに打ち返されるボールよろしく、俺は攻撃を相殺されて跳ね返され、地面に墜落した。
一方鈴は腰に手をやって、いよいよ勝利宣言とも取れる余裕が目についてくる。だが、その鈴には見えないよう注意しながら、俺は笑みを浮かべる。
今の突撃にダメージを負わせることは、最初から期待していなかった。鈴の桁外れの防御の秘密を暴くべく、根拠を確認しようと狙ってやったことだ。
そして、思った通りの事実を見つけた。
(やっぱりな。鈴が反撃に出るとき、
2度目の拮抗で視界に移った光が衝撃砲の発生装置だとしたら、あの時光った理由にも説明がつく。
これで何をやっているかは分かった。衝撃砲さえ潰してしまえば、鈴のパワーとスピードは失われる。
そして、もう一つ予想していなかった好機を見つけていた。
それは交錯時に出た異音。
これもおそらくは俺に味方する要素になりうる。
「鈴!」
「なによ?」
「この勝負、勝たせてもらうぜ!」
「・・・何か考えたみたいね。いいわ、来なさいよ、一夏!」
見上げられる格好となった鈴は俺の雰囲気の変化を感じ取っても、まだその声音に余裕をにじませている。
それでも、変化に思うところがあるのか、若干強張った表情になったのを俺は見逃さない。
【GNソード】を格納庫に戻して、腰のアタッチメントから【GNブレイド】を抜き放つ。
さて、あの余裕、剥がさせてもらおうか。
◇
「今回の織斑君は攻めてますね!」
「・・・」
「今回は1組対2組だから応援してもOKですね!」
「・・・」
「・・・あのー、織斑先生? 反応してもらえないと、可哀想な子みたいに周りから見られちゃうんですけど。」
目の前で手を振られて、ようやく呼ばれているのは自分だと気づいた。
「具合でもお悪いんですか?」
「いや…すまない。」
「なんだか上の空ですけど・・・」
「大したことはないんだ。ただ、少し考え事を。」
千冬の頭には、また直感が危険信号を発していた。
対して役にも立たない勘でしかないが、一夏とセシリアが戦っている時に感じたものよりはるかに大きな危険が迫っている気がしてならない。
学園を巻き込んだ大騒動が起こる、そんな予感すらしていた。
「大したことじゃない・・・大したことじゃないんだ。」
千冬は曖昧に言葉を濁すしかできなかった。
原作よりも強化が施されたのか微妙な鈴戦。
セシリアと違ってもう活路見出すのかと言われるかもしれませんが、一夏は近距離なら頭の回るタイプなので。
得意な近距離でダラダラ攻めあぐねるのもつまらないですし。
鈴の防御がどれだけおかしいかというと、モンハンの大剣で双剣の攻撃全て捌かれているような状態。
今話はこの後へのつなぎも含めているので、テンポを速めてもいます。
一夏がただ有利なまま終わるほどヌルゲーじゃないよ!
それでは今回もこの辺で。次回で鈴戦は終了予定。その後がエライことになりますが。
感想・質問・評価、何でもよろしくお願いします。
――どうでもいい余談――
鈴のやたら堅い防御の謎のヒントは本編に知るした通りです。
次回でアルドノアの伊奈帆みたいに、弱点を突いて倒す予定。
感想でどう防御してるか、想像を書いてくださっても大丈夫です。正解は答えかねますが、次回以降に生かせそうなアイデアは大募集ですので。
言っておきますが、作者の考えはトンデモ理論です。