IS×00 夢を目指す者   作:王天君

34 / 62
 どうも皆様お久しぶりです。

 次回が少し地味になりそうなので、今回と前回は戦闘多めにしました。

 ついに今回、箱組の正体も明らかに。

また原作と少しずれていきますよー

 それでは本編をどうぞ。


第二十四話 旧き革新者

 昼の太陽が明るく照らすアリーナで、光が生まれては消えていく。今また1発、黒塗りの装甲に粒子ビームが命中し、弾かれて消えていく。

 そのビームは【GNソードライフルモード】から放たれたものだ。狙ったのはもちろん衝撃砲の装甲。

 だがかなりの防御措置を施してあるのか、牽制に浴びせた本体には数発傷をつけた粒子ビームがまるで通った気配がない。

 

「ビームでも歯が立たないとか、どんな装甲してるんだよ。」

 

 俺の言葉に警戒を強めた鈴は、衝撃泡を過剰に発射してくるようになった。砲撃はさらなる壁を作って、接近をことごとく阻んでいる。

 近づかなければ【GNブレイド】は役に立たないので、一旦は距離をとり【GNソードライフルモード】で射撃と牽制で気を窺っている。

 あわよくばここで衝撃砲を壊せないかと狙っているのだが、複数の条件からそれは叶っていない。

 俺の射撃適性の低さや、衝撃砲をかわしながらの狙いのつけにくい体勢、そして・・・

 

「【エクシア】のライフルじゃ、威力が低すぎる!」

 

 盾越しに体を打ちのめす衝撃に顔をしかめ、そう怒鳴る。

 【アストレア】の派生としてバランスをとってあるようで、【エクシア】はこと遠距離に関しては特別有効な装備がない。

 かろうじて装備されている【GNソード・ライフルモード】も1発ごとの威力は低めに設定されており、連射性以外は【アストレア】のものに劣っている。

 それを裏付けるように、何度か発生装置に当たったビームがあっても衝撃砲の雨あられは止んでいない。

 狙うとするなら砲身形成のために開く衝撃砲のカバーの奥、光を放つ部分を直接狙っていかなければ。

 

「盾を前に体当たりしても、1つはすぐに潰さないと体が持たないってのに。」

 

 近づいて確実に破壊するのも、離れて安全に壊すのも無理ならやれる手は1つしかない。

 

(結局いつも通り、身体を張った賭けに出すしかないよな。)

 

 近づけないことを念頭に置いた鈴の戦い方で攻め難くはなったが、それは俺の推測が当たりであり鈴から余裕が失われ始めている証拠に他ならない。

 こうなれば鈴の方も、早く俺を損傷させる糸口は探しているはず。いくらかすり傷に留めても【甲龍】の方がシールドエネルギーを減らされている事実があるのだから。

 

(なら、ここは焦らすか挑発か誘い込むか・・・)

 

 試合時間はまだ半分はある。

 そして【甲龍】はここまで、亀同然に守りを固めるだけに徹してきた。

 鈴の性格からして、いつまでも黙って耐えることは想像しづらい。時間切れで勝てなくなれば、防御をかなぐり捨ててでも狩りに来るだろう。

 相手の焦りや油断に合わせてわざと待ちの姿勢から、罠にかける手法も取れなくはない。

だが、勝たせてもらうと言った人間が、相手の出方に頼っているのは好ましくないものだ。

 やはり危険を承知で自分から飛び込んでいく。

 

「また危ない勝ち方だな。けど、付き合ってもらうぜ【エクシア】!」

 

 衝撃砲にひたすら耐えさせていた【GNシールド】を手放す。さらに右手で尖った一方の先端を握り、フリスビーの様に捻った体勢から投げつける。

 エクシア用の【GNシールド】は『シールド』と名こそついているが、その両端は刺突武器としても使えるように鋭く尖らせてある。

 殴るか武器をすべて失った時の緊急用なので、投げたところでダメージを望めない。

 それでも高速で飛んでくる得体の知れないものに、人は無反応ではいられない。鈴も想像に違わず、受け止めずに軽々と衝撃砲で撃ち落とす。

 

「やけになった? 盾を捨てたら・・・」

 

 もう逃げられない、と続けようとした鈴が言葉を失う。

 シールドを囮に、鈴が意識をそらされた間に一夏が、【エクシア】を鈴の視界外にまで移動させたからだ。慌てて行方を追う鈴を、真下から再び加速をつけて突撃を仕掛ける。

 

「っ、どこ!?」

「下だ!」

 

 あえて位置を教え、俺を見つけさせた後にさらなる加速を行う。

 【GNソード】は片付け、【GNブレイド】を手に【甲龍】を切り刻まんと迫る。

 鈴もその意思を読み取り、青龍刀を大上段に持ち替えて2度目の突撃と同じく打ち返すそぶりを見せる。

 

「性懲りもなくまた突撃。何度やっても・・・」

「鈴こそ何度も余裕見せない方がいいぜ!」

 

 否定しようとする鈴の口上を遮る。

 

(いつまでも無策だと思うなよ!)

 

 三度、【甲龍】と【エクシア】は空中でその身を交錯させた。

 

 

 

 

 空気を震わせる、これまでで間違いなく最大の衝撃音がアリーナ全体に轟いて、観客をどよめかせた。

 もう3度目になる二機の全速力からの交錯。

 その結果は2度目をなぞることなく、拮抗することでエネルギーの均衡を引き起こした。

 また【エクシア】が打ち返されるだろうと甘く考えていた観客は、慄き、食い入るようにその行方を見守る。

 【エクシア】は左手の【GNショートブレイド】で【甲龍】が両手で振るう青龍刀を受け止め、GNドライヴの推力にものを言わせて踏みとどまる。打ち合わせた衝撃で飛ばされかけた体をどうにか支え、逆に押し返さんと背中のGNドライヴは一層粒子の放出を増して光輪を幾重にも発生させる。

 衝突時にかかるGと、両手の相手を左手1本で受け止めることでかかる負荷。それらの悪条件が【エクシア】の左肘関節を曲げさせ、軋む音を鳴らす。

 それでも【エクシア】は右手も、左腰に戻した【GNロングブレイド】も使わずに、あくまで左手のみで受け止め続ける。

 思いの外、長く続く暴力の均衡に観客も次第に疑問を持ち始める。

 【エクシア】の攻撃を受け止め、不利な姿勢からでも強引に持ち直せるだけのパワーがあるはず【甲龍】がなぜ今回に限って、まだ払いのけることが出来ないのか、と。

 それは同じく観客席に座っていたセシリアにも言えることだった。

 

 

 

 

「一夏さんの限界を超えた推力が、【甲龍】のパワーを上回っているんですの?」

「どうだかな。凰のやっていることはもっと単純に思えるが。」

「あら、篠ノ之さんは仕組みが全てわかりましたの?」

「近距離戦は私の専門だ。武器の仕組みさえ理解すれば、想像するくらいはできる。」

 

 堂々と箒が、【甲龍】に隠された能力を説明してみせる。

 

「【甲龍】のパワーと、青龍刀をあれだけ軽々と振るえる理由は衝撃砲だろう。」

「空気を固めただけの大砲をどう使ったら、パワーアップやスピードアップを起こせますのよ。まさか、衝撃砲の中に隠し武器があるとでも。」

「そうではない。衝撃砲の砲弾を武器に当てることで奴の力を支えているのだろう。」

 

 『砲弾を青龍刀へと当てる』。

 具体性に欠けることを確信めいた口調で言われても、セシリアは納得がいかない。

 

「結果だけ話されても分かりませんわ。過程を教えてくださいな。」

 

 私も使っているわけではないからあくまで想像の範囲だが、と前置きを踏んだうえで箒が話し始める。

 

「まず【甲龍】がいくらパワーに優れていても、全力でぶつかった相手を撃ち返せるだけの膂力を持つのはおかしいのではないかと思った。」

「その通りですわね。」

「加えて一夏が仕掛けてから防御を間に合わせるだけのスピードさえも持っている。重量型が速度を両立できるのはおかしいと言えば分かりやすいか。」

「それはなんとなくわかりますわ。」

「以上を踏まえれば、凰の攻と速が突出していたとしてもあまりに異常だ。それを可能にするものがあるとすれば、凰が衝撃砲を工夫して使っていると見るしかなかろう。」

 

 さらに想像を広げ、衝撃砲を青龍刀の刀身に当てることで、加速や重量感を増すことを可能にしているのではないかとのことだった。

 振り始めに当てれば群を抜く初速を発揮し、青龍刀の直撃時に合わせれば斬撃に砲弾の威力を上乗せできる。工夫次第では、振り抜く途中で軌道を強引に変えることも、敵の攻撃の速度を落とすことすら可能かもしれない。

 

「もし箒さんの推理が当たりなら、相当の技量が必要ですわよ。」

「凰も中国の国家代表だ。

 慣れれば、自身の機体が持つ特性を120%引き出すくらい朝飯前ではないのか?」

「わたくしだって【ブルー・ティアーズ】を誰より上手に使えるという自負はありますわ。それにしたって・・・」

 

 口で言う程、ホイホイと攻撃も防御も速度もこなせるものだろうか。

 近距離戦がからきしのセシリアには再現どころか、想像すらとても不可能だ。

 

「篠ノ之さんなら、この技が再現出来まして?」

「幅の狭い刀身に当て、その勢いを起点に振り回し、敵と武器を合わせるピンポイントで後押しをさせる・・・。言っておいてなんだが、私も相応の訓練をしなければ出来るとはとても言えんな。

 防御向きではないから、私の性格には合うのだが。」

「防御向きではないって、鈴さんはずっと一夏さんから防御に使ってますわよ。」

 

 苦い顔で困難さを示す箒がポロっと漏らしたことが耳に留まる。

 文字通り鉄壁さを演出しているあの動きが防御向きでないのなら、何のために使っているというのだろう。

 

「使っているのではなく、使わざるを得ないのだと思うがな。

 本来、射角無制限の武器なら四方八方から撃って相手の行動を封じるのが、凰の【甲龍】の戦い方のはずだ。逃げ場を封じたうえで高威力のソレをたたき込む、この手順なら戦法としても成り立つ。

 それが今回を見てみろ。一夏に追いすがるのが精一杯で満足に直撃すらできておらん。一夏の攻撃を防ぐのに必死なのだと思うぞ。」

「攻撃をしなかったのも、何度か降参を促していたのも、実は追い詰められているのを隠すために張ったブラフだということですの?」

「すべて私の想像の範囲を出ないが、当たっている筈だ。」

 

 周囲がまた驚きの声を上げたところで、その会話は打ち切りとなった。

 

 

 

 2人が想像していることを一夏もまた思い描いていた。

 そして想像が当たっているなら、付け入る隙が生まれている。

 1つはこの均衡した状況。

 砲弾を刀身に当てて威力を加算するこのやり方は性質上、1撃1撃限りのパワーアップにしか使えない。攻撃を受け止められて耐え切られ、勢いが死んでしまうと、次弾発射までは元通りのパワーしか使えない。何度か鍔迫り合いを演じることが出来たのも、常時発生型ではない技術が用いられていたからこそだ。

 2つ目は突撃を撃ち返された時に聞こえた異音。

 相手の勢いを返すために作られたわけではない武器では、全力の衝突を何度も受ければダメージが蓄積されるし、無傷でもいられない。

 異音は、鈴の青龍刀が過負荷によってあげ始めた悲鳴だ。もう、そう長くは【GNショートブレイド】を受け止め続けることは出来ないだろう。

 そこまで考えて、一夏はこの均衡を保ち、衝撃砲を破壊する為に訪れる機会を待つ。

 【甲龍】にも青龍刀にも戦況にも良くない現状を打破するには、鈴は衝撃砲を使わざるを得ないからだ。

 一夏が仕組みを見抜いていれば、そこに罠が張られているとしても。

 

(鈴が衝撃砲を使わないと、俺もマズいんだけどな。)

 

 ここまでだと一夏が優位に見えるが、彼と【エクシア】も余裕はない。

 この均衡を保つために全力を注いでいるので、挑発で使わせようとすることは出来ず、動くのは完全に鈴任せ。

 【エクシア】の腕だけでなく、一夏自身の腕にも負担がかかっている。あまりに長引けば破損の可能性もある。

 つまりお互いの力どころか、戦況すらもかなり緊迫した均衡を起こしているのだ。

 あと一押し、何かが起これば状況は「静」から「動」に移る。

 それが起こるのが果たして一夏か、鈴か。

 

 

 

 

 それはあまりに唐突で、しかし揺らぐことなく訪れた。

 

ピキッ

 

 俺と鈴、お互いの耳に聞こえるほどはっきりとした金属音が鳴る。

 その出どころは、鈴の青龍刀。

 

「っ、使いすぎたわね。」

「気を抜くなよ!」

 

 ついにこれまでの酷使に耐え切れなくなったようで、青龍刀にヒビが入る。発生したヒビは【GNショートブレイド】と重なった部分へと波及して亀裂になり、一気に武器としての強度を下がったのが見て取れる。

 この機に乗じて俺もGNドライヴの出力をさらに引き上げ、再度過剰放出された粒子で【GNショートブレイド】の切れ味を高める。

 これまではスパークを生じさせた青龍刀も、【GNショートブレイド】を防げず、徐々に滑らかに切れ込まれていく。

 

「・・・仕方ないわね!」

 

 追い詰められた鈴も両肩の衝撃砲発生装置を起動。スライドした装甲内部から緻密なコンピュータの基盤が露わとなった。

 無理を押してでも衝撃砲を使い、俺を振り払って勝負を仕切り直しに図るつもりだろう。

 

(この時を待ってたぜ!)

 

 わざわざ敵が切り札を切るのを待つほど俺も気長じゃない。

 衝撃砲操作のために俺から鈴の意識がそれたのを感じて、後ろ腰から抜いた【GNビームダガー】2本を、左の発生装置目掛けて投げつける。

 1本は装甲に阻まれて落ちてしまうが、もう1本が外れることなく装置の基盤に突き立つ。

光刃が突き刺さった衝撃砲は大きく黒煙を噴き上げ、各所から小爆発を起こした後地面へと墜落していった。

 

「しまっ・・・」

 

 鈴が犯した失態は、ヒビに焦って俺が狙っているのが明らかな衝撃砲を使ってしまったことだ。

 墜落した衝撃砲に気を取られる鈴に悪いが、俺は手を緩めない。

 切り結ぶというより、切断しかけの【GNショートブレイド】とヒビが入った青龍刀が重なる部分を、さらに腰から抜いた【GNロングブレイド】で切り付ける。

 すでに脆くなっていた青龍刀は耐えられず断ち切られる。分厚い刀身が折られ、根元から5㎝ほどを残してみすぼらしい破片に変わった。

 もはや衝撃砲1門を残して丸腰になった鈴。

 諦めてもおかしくないこの状況下で、その目はまだ戦意を失わない。素早くほぼ柄だけの青龍刀を格納庫に戻し、衝撃砲発生装置のカバーを開いて、両手のクローを閃かせる。

 

「鈴もまだあきらめないのか?。」

「あたしの性格は一夏が良く知ってるでしょ!」

 

 武器も持たない相手をこれ以上傷つけるのは気が引けるが、あの様子では気を抜いた途端に俺がやられかねない。

 先に両手のクローを壊し、続けて衝撃砲を破壊してとどめを刺す、と考えをあらためたときだった。

 

 

 世界が震えた。

 

 

 

 

 

 轟音と共に、周囲の景色が激しく鳴動する。

 起きた現象に鈴も前のめりだった姿勢を直し、俺の前であたりを見渡している。

 

「地震なの?」

「地震にしては長くないか。」

 

 アリーナに倒壊する様なものは置かれていないので2次被害は起きていないが、かなりの規模だ。観客席で生徒が立ち上がれない程の振動が1分たっても継続している。

 やはり地震にしては長い。

 不審に思って鈴を伴い、一旦控室に戻ろうとした俺に耳をつんざくような音が鳴る。

 

『警告!警告! 未確認IS接近!未確認IS接近!』

「敵!?」

『織斑、凰、今すぐ退避しろ!テロ組織の襲撃の可能性がある!』

 

 畳みかけるように、織斑先生の教員席からの通信まで入ってくる。

 

「織斑先生、テロリストってどこから!?」

『上だ!いいから早く――』

 

 不自然に通信が途切れる。

 テロリストだろうと何だろうと、この学園の皆を脅かすなら戦うつもりだが、鈴を巻き込むことは出来ない。

 ひとまず鈴を逃がすのを最優先にしよう。

 やることを確認して振りむくと、鈴はまっすぐアリーナの天井、さらにはその先の学園の空を見上げて固まっていた。

 

「鈴、指示通り控室までもどるぞ。決着とかは後でまた決めよう。」

「一夏、あれ何だと思う?」

 

 俺の声に反応して鈴が指さした先には、

 

「箱? それともコンテナなのか?」

 

 箱が2つ、赤く光を放っていた。

 IS学園の上空には半球状の不可視のシールドが張られている。

 ここは秘密技術や各国の最先端技術が集うだけあり、よく不穏な組織に狙われる可能性がある。そこで襲撃にも対処できるよう、ISのシールドエネルギーと同じもので上空からの攻撃を防ぐことが可能らしい。

 その一部、アリーナ上空に展開された箇所に衝突した箱が平面をぶつけ、接触面との摩擦で赤色発光を起こしているのだ。

 しかもその箱、否コンテナには見覚えがある。

 

 『俺の【アストレア】が積まれていたものと同じだ。』

 

 ただの箱が降ってくるだけで十分怪しいのに、俺のものと同系統。騒動の引き金になる予感がひしひしとする。

 一刻も早く、鈴をこの場から逃がさなければ。

 

「鈴、早く戻るぞ!」

「馬鹿言わないでよ! 本当にテロリストなら先生たちが来るまで足止めがいるでしょ!」

 

 俺の決死の呼びかけもスルーして、鈴は覚悟を決めた顔でコンテナから目を離さない。

 苛立ちの混じる俺が箱を見ると、箱は角度を変えた。

 平面ではなく角を押し付け回転まで始める。するとなんと先端が潜り始めるではないか。

 ドリルの要領で無理矢理にシールドを掘削、先端に続く三辺が角まで侵入したところで、辺が外へと向けて開かれる。

 箱より一回り小さいナニカが2つの箱からそれぞれ排出されると、役割を終えたようにそれらは爆散してアリーナに降り注いだ。

 

「!破片が観客席に!」

 

 顔が青くなるが破片が観客席を襲う前に弾かれる。すっかり忘れていたが、観客席全体にもシールドが張られていたのだ。

 

「一夏、集中して!」

「っと、ああ!」

 

 地面に着陸した2つ――手と足を伸ばしてISだと確定したので2機だ――を見据えた鈴は既に残った衝撃砲発生装置とクローを構え、戦闘態勢にシフトしている。

 俺も2本の【GNブレイド】を構えて、油断なく相手の出方を待つ。

 対峙している俺達だけでなく、アリーナ全体に沈黙が満ちることしばらく、二機ともが身体を起こしてその全容が明らかになった。

 1機は薄緑のすみれ色。顔は小さな赤いアイレンズを残してマスクに覆われ、背中に腰幅を優に超えるサーフボード状のパーツが取り付けられている。

 もう1機はグレーとブラウンの2色。こちらは顔全体がバイザーに隠され、中からツインアイのかすかな光が漏れている。後は肩に小さいながら、こちらもサーフボード状のパーツが装備済みだ。

 共通の規格で作られているのか全身のフォルムはよく似ている。胴体より大きい球形の肩、そこに挟まれて小さく見える頭部と胸部、すらりと伸びて人間的な腕部、先端が二股に分かれて地面に接地している脚部。

そして一番目を引いたのは、

 

『背中から放出される青みがかかった白いGN粒子』

 

(俺と同じ、GNドライヴ搭載型の機体か・・・!)

 

 もし戦うとなれば【アストレア】より、戦闘向きの体をしたこいつらは間違いなく強敵だ。俺はともかく損傷の目立つ鈴が戦うのには相手が悪すぎる。

 

(敵が動き出す前に、鈴だけどうにか逃がせないか)

 

 思案する俺を嘲笑うように敵が動きを見せた。

 グレーの機体が俺を視界にとらえて顔を向けてくる。

 

『思ってたよりもずっと剣呑な雰囲気ね、坊や。』

「・・・俺を知っているのか?」

『ええ、よーく知ってるわ。今回のターゲットだもの。』

 

 ターゲット、その言葉で俺の身体にも緊張が走る。囮が俺一人で出来るということだが、狙ってくるコイツらの力量が分からないと、いつまでもつかわからない。

 口で少しでも情報を引き出せないか。

 

「誰なんだ、お前らは!」

『ヒリング・ケア。「元」イノベイターよ。』

『リヴァイブ・リバイバル。ヒリングと同じ、「元」イノベイターだ。』

 

 グレーの機体のヒリングに続き、すみれ色の機体がリヴァイブと名乗った。

 名乗りを聞いて【エクシア】のシステムが機体情報を更新、それぞれの頭上に機体の形式番号と名前と思しき文字列を浮かべる。

 

 ヒリングは【GNZ-0005 Garazzo】。

リヴァイブには【GNZ-0003 Gadessa】

 

 【ガラッゾ】、そして【ガデッサ】。それが奴らのISの名前だった。

 

『さあ、始めよっか!』

 

 言い終えて間もなく、ヒリングの【ガラッゾ】が両手を広げて突っ込んできた。

 




 こんな感じでした。

 箱組の正体についてと、トンデモ理論はいかがだったでしょうか。
 ロケットのブースターを任意に設置できる能力、みたいな解釈が鈴のやっていたことの仕組みです。
原作のように衝撃砲で滅多打ちにするのが正攻法なのに、一夏の速度と攻撃量が増えたせいで防戦一方になり、今回の結果を招きました。
 武器にダメージを肩代わりさせているようなやり方なので、何度も衝突のダメージをモロに受ければ砕けるのも当然かと。

 また、今回で少し触れていますが【アストレア】から【エクシア】に変わったと言っても、全能力が向上したわけではありません。
 機能変化であって、形態移行ではないので完全な上位互換にはならないのです。【アストレア】をこれからも出すための言い訳じゃないよ!
 死に設定にならないよう気をつけたいと思います。

 それでは今回はこの辺で。

 次回は襲撃に対してヒロインズや一夏達がどう行動するかを描く予定。戦闘も少しはいれるつもり。

感想・質問・評価、何でもよろしくお願いします。


――どうでもいい余談――
 【ガラッゾ】と【ガデッサ】の強さは00時点での、【アストレア】との強さほどには開いていません。そうなったらまず勝てません。
第二世代と第四世代だもん。
 あくまで00の【ガラッゾ】と【ガデッサ】を元に作られて、性能に手を加えられたのが登場しています。疑似ではなくオリジナルの太陽炉を積んでいるのもそれが理由です。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。