IS×00 夢を目指す者   作:王天君

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戦闘が長かった鈴編もこれで終了。
鈴と一夏の関係も一旦けじめというかはっきりはさせます。

前半は主に鈴、後編からは前回ちょろっと言葉にしたこの世界の秘密、おかしな部分が取り上げられます。
世界設定だからつっこまないんじゃ・・・みたいな部分でも切り込んでいきます。読まれてた中でもおかしいと感じられてた方もいるかもですが。

ではまた後書きで

最初からまたブチ込むよ


第二十九話 変わらない気持ち/見つからない答え

 

 

 静寂が満ちた空間。

 赤い絨毯が入り口から伸びて真っ直ぐに部屋の奥に伸びている。

 参拝者が座るための椅子。

 左右の両壁にあつらえられた無数の彫刻。

 豪奢なステンドグラスからは日が差し込み、まばゆく照らし出した部屋の奥には荘厳さすらある。

 そこはまさに教会であり、聖堂だった。

 

 ただ部屋の奥にあるのが司教座ではなく、()()であることを除いては。

 

 玉座に腰かけるのは短い金の髪をした少女。

 青地のマントと白のドレスを身に纏い、両手を組んで腰かけたまま無言を貫いている。

 やがて日差しが顔を覗かせて、眠っているように深く閉じていた目をうっすらと開く。

 

『鍵が外れて彼方との境界が崩れたか。閉じ直しても、時が近づいている証左には違いない。』

 

 玉座の向かいに位置する扉は重々しく閉じられ、外の様子を窺い知ることは出来ない。彼女はその扉の向こうを鋭い眼光でにらみつける。

 まるで見えない良くないモノが扉の向こうにいるように。

 

『元を辿らば同じ・・・引き合うのもまた必然。』

 

 入口の上にも施されたステンドグラスを見上げて、悲しげに息を吐いた。

 

『なればこそ今は健やかにあれ。我が主、織斑一夏よ。』

 

 肩にかかったマントを重そうに払いのける。

 防寒具の一種だろうと、この場で座るだけの身には窮屈な拘束具でしかなかった。

 

『選択の時を迎えれば、そなたから安息の時は失われるのだから。』

 

 再び目を閉じる。

 また境界が崩れるか、少年がこの場を訪れるその時まで。

 日が陰って、光が違った顔を見せる。

 少女に差し掛かる日に、無限の配色を与えるのはステンドグラス。

 教会を俯瞰するように作られたそこには、黄金でできた剣と天秤が対になるように彫り込まれていた。

 

 

 

 

「・・・・っは!」

 

 目を覚ますと見慣れた天井がまず目についた。

 

「ここは寮の部屋か。」

 

 もう窓の外は真っ暗だった。

 月明かりと廊下につながるドアに付けた非常灯だけが、部屋をうすぼんやりと明るくしている。

 

「たしか俺は皆と合流したところで気を失って・・・」

 

 誰かに運んでもらったのか。

 隣のベッドが膨らんでいるので、箒はもう寝てしまっているみたいだ。

 そこで足元がもぞもぞと動いた。

 

「ん、何だ?」

 

 誰かいるのまではわかったが視界が上手くきかない。仕方なく手探りで手を伸ばすと、

 

「鈴か・・・」

 

 リボンの形と髪型で鈴だとわかった。

 ベッドに寄りかかるようにして眠っている。

 

「一夏ぁ・・・また心配させたら・・・許さないんだから・・・」

「・・・」

 

 夢の中でも心配をかけているらしい。

 置いて行ったこと、最後まで戦えなかったこと、巻き込んでしまったこと、謝らなければならないことが多すぎて言葉に詰まる。

 

「・・・しょうがないから・・・ずっとあんたと・・・」

「・・・ごめん、鈴。」

 

 寝たままの彼女に告げても意味はない。それでもどうにか絞り出すように、その言葉は口から出た。

 さて、足にしがみつく姿勢で寝ている鈴をどうするか。ぐっすり眠っている彼女を起こすのも悪いが、朝までこのままなのもよくない。

 熟考することしばらく、結局起こすことにした。

 

「鈴、そんなとこで寝てたら風邪ひくぞ。」

「んぅ・・・平気よ、いざとなったら一夏に面倒見て・・・」

 

 寝言らしいことは顔を上げたところで止まった。

 目をこすって俺の顔を確認。ぱちくりと瞬きしてようやく意識が追い付いたらしく、顔が真っ赤になった。

 

「・・・何か聞いた?」

「・・・寝言っぽいのならばっちり。」

 

 誤魔化さずに伝えると赤かった顔がさらに一段階赤くなる。火でも起こせそうだ。

 下らないことを考えるだけの余裕はあるが、扱いを間違えると大爆発すること間違いなしだ。

 どうなだめるかと思った矢先、爆発寸前にまで赤くなっていた顔が唐突に収まる。

 

「はぁ、もういいわ。どうせ今日言おうと思ってたし。・・・一夏!」

「は、はい!」

 

 名前を呼ばれて思わず身が引き締まる。

 鈴も箒のベッド、俺の顔を正面から見る位置に座る。

 何の関係もないが、さっきからそこそこ大声出したりしているのに箒は起きたりしないのか?

 

「今日の試合が終わったらあたしの部屋に来てって言ったわよね。」

「言ってたな。」

「伝えたいことがあるからとも言ったわね。」

「ああ。」

「今ここで言うから、しっかり聞いて。」

 

 内容に察しはついている。

 だから箒のことを言おうしたが遮られた。

 

「あたしは一夏のことが好き。」

「・・・おう。」

「友達とか幼なじみじゃない、一人の女の子として好き。

 ・・・でもアンタがどう思ってるかは分からない。だから教えて、あんたの気持ち。

 好きでも・・・嫌いでも、ちゃんと受け止めるから。」

 

 居心地の悪い沈黙が部屋に満ちる。

 鈴の告白を聞いた時から、ベッドに箒がいることも謝ることも吹き飛んでいる。それだけ真剣に答えないといけないことだ。

 目線を下に落としてじっと俺の返事を待っている鈴の手はスカートの裾をギュッと握っている。今日伝えるつもりだったにしても、これだけいきなりとなると相応に勇気が要ったに違いない。

 

(鈴、ありがとう。こんな俺を好きになってくれて。)

 

 後から思えば、その場しのぎの解答をして穏便に事を済ますのも、眠ったふりでもしてごまかしてしまうのもやれなくはなかった。

 だけど俺には気取った言い回しや鈴の勇気を踏みにじる真似は出来なかった。

 

「・・・鈴のことは好きだ。でも恋人とかそういうのじゃない。」

「・・・」

「それに俺は・・・今は恋愛とかは考えられないんだ。自分のことで手一杯でさ。」

 

 一度息をついてもう一度はっきり告げる。

 彼女の望まない答えだとしても、俺は言わなくちゃいけない。

 

「だから付き合ってって言うんだったら、その気持ちには応えられない。女の子を気にしながら夢を追えるほど器用じゃない。」

「・・・そっか。」

 

 鈴の声は軽く、しかし思いのほか気丈なものだった。

 泣きながら殴られても文句は言わないつもりだったんだが。

 相変わらず顔を見せない鈴がどんな表情をしているかは読めない。だから実は鈴がまた爆発寸前の顔をしているかもしれない。

 

「もう1つ訊かせて。あたしだからそう言うの?それとも誰とも付き合う気は無いの?」

「鈴だけなわけないだろ。誰とも付き合う気は無い。」

「・・・じゃあ、あたしだけが一夏の夢に負けたってわけじゃないんだ。」

「夢に負けたって、いやそうなるのか。」

「一夏!」

 

 やっと上がった鈴の顔は涙で濡れてはいなかった。

 

「あたし、諦めないから!一夏が夢よりあたしが好きだって言うまで諦めないんだから!」

「・・・分からず屋だな。俺みたいなのを好きになったこと、いつか後悔するぞ。」

「男を見る目は親よりしっかりしてるわよ!」

「・・・第一俺の傍にいたら、また今日みたいな危ない目に―――」

「あたしは!!」

 

 まだ不安を重ねようとした俺の言葉を鈴がすっぱりと切り落とした。

 

「一夏に置いて行かれるより、一緒に巻き込まれた方が良いの!」

 

 尻すぼみになった終わりの方はほとんど叫びに近かった。

 言葉にしなくても分かる。最後の鈴の叫びは今日一人で戦いに向かった俺の行動への責めだ。

 勝手に守られる側だと思うなと。

 それに甘んじるほどか弱くなんてないと。

 そう訴えているのだ。

 お互い、言うべきことを言い切った後だけに、何を言えばいいか思い浮かばない。

 お互いの心中を出し切り、停滞していた場を壊したのは間の抜けた声だった。

 

『イイ雰囲気ネ!イイ雰囲気ネ!』

『鈴、ハッピー?鈴、ハッピー?』

『思イ切ッタナ。思イ切ッタナ。』

「うおっ!?」

 

 失念していた箒だと思っていた膨らみから影が飛び出す。

 その正体はハロ。

 ・・・グレー、青、すみれと色が3色に増えている以外、おかしい部分は無いな。

 

「・・・鈴、増えたハロはどうしたんだ?」

「アンタが気絶した後に簪が見つけたの。襲ってきたのと色が似てるから、何か知ってるかもと思って持って帰ってきたのよ。」

「で、情報は?」

「全然。アンタのハロと同じでうまく会話できないからそのままよ。」

「へー。」

 

 確かにハロから情報を聞き出そうとしたら、気長にやらないと無理だろう。

 だがかなり怪しい。

 

「じゃあ名前は?」

『リヴィ。リヴィ。』

『ヒリ・・・ヒール!ヒール!』

 

 グレーのハロが詰まった気がする。

 さらに問い詰めようとすると、気配を察したヒール(仮)が鈴の隣をすり抜けてベッドにダイブした。

 

『寝マショ!寝マショ!』

「・・・だってさ。もう12時前だし、聴くのは明日でいいんじゃない?」

「・・・そうするか。」

 

 明らかに俺を避けようとしてるし、これ以上は無駄か。

 改めて布団をかぶり直すとリヴィとハロが中に入ってくる。ハロもペットみたいな感覚だったし、今更数が増えても気にはならない。

 

『添イ寝。添イ寝。』

『詰メテクレ。詰メテクレ。』

「初対面なのに偉そうだな!?」

 

 ハロはともかく、ずかずかと布団に踏み入ってきたリヴィは俺が驚いても反応しない。仲良く2体並んで目のアイライトを消灯した。

 意識を手放したと思われるので、それ以上は何も言わずに俺も目を閉じる。

 

「一夏。」

「うん?」

「・・・諦めないからね。」

「・・・ありがとう。」

「ばか、もっと気の利いたこと言いなさいよ・・・でも、そんなとこも含めて好きだから。」

 

 それだけ会話して、後は俺も鈴も何も言わないまま夜が更けていく―――

 

 

 

 

 ―――わけがなかった。

瞼を閉じて数秒、頭の中に声が響く。

 

(そのまま聞くんだ少年。)

「・・・やっぱりお前らか。リヴィ…リヴァイブ・リバイバルだったか。」

(分かっていたような口ぶりだね。私が敗北したのを見てはいなかっただろう?)

「どっちかでも生きてれば鈴たちが無事に済むはずがない。ハレルヤが【ガラッゾ】と相討ったのと同じころに落とされたんだろ?」

(フフフ、口惜しいが正解だ。4対1の不利もあったけどね。

 ・・・さて、まあそんなことはいいんだ。まずは健闘おめでとう、少年。見事私たちという敵を倒せたのだから。)

 

 言い方とは裏腹に褒められたとは到底思えない。どうせ本気ではないんだろう。

 

(浮かない顔だね。人を評価するのは結構稀なんだ。もっと喜んでもいいのに。)

「・・・俺はお前らに遊ばれてただけだ。倒したのはハレルヤと鈴たちだろ。」

(勝利を受け入れるだけの凡愚でないのは、それだけで善いことだね。何、相手が悪かったと思って次を頑張ることだ。)

「慰めより、わざわざ話しかけた理由を言え。事と次第によってはここで破壊してやる。」

 

 荒っぽい言葉はあんまり好きじゃないが、寝ようとしたのを邪魔されて気がたっている。無駄話する気なら脅かしてもいいだろう。

 幸いハロはすぐそばだ。

 【ガデッサ】の展開より速くコイツの体を抑え込むくらい、全身怪我だらけの俺でもできる。

 飛び起きるべく四肢に緊張を走らせる俺にリヴァイブはあっけらかんと答えた。

 

(しばらくこの部屋に住ませてほしいから許可をくれ。)

「・・・・・悪い、俺の耳がどうかしたみたいだ。もう一度言ってくれ。」

 

 聞き間違いだな。

 襲ってきたテロリストが同居願いを出すとか、非現実的すぎるだろ。

 

(だから、ここにしばらく住ませてもらいたい。)

「やっぱり聞き間違いじゃなかった!?何軽く言ってんだ!」

(この姿だと言葉は脳量子波だけ、それも一般人には接触状態でないと会話もできない。今街中に出れば一日となく路頭に迷ってしまう。)

「だから住ませろって・・・虫がよすぎる話だろ」

(諸事情でもう【ガデッサ】も【ガラッゾ】も出せないし、暴れる気もない。家事手伝いならやるから引き受けてはくれないか?)

 

 そう言われても、いいよと決定を下せるわけでもない。

 相部屋の箒の了解もとらないといけないしな。

 ・・・ところで箒はどこ行ったんだ?

 

(では条件というか対価を出そう。私たちの要求を1つ聞いてもらうたび、質問に答える。君たちでは知り得ないことも教えてあげられるよ。)

「胡散臭い。嘘を言ってないとも限らないし信用できるか。」

(そこは私の人間性を信じてもらうしかない。何なら今、君の興味を引くような質問をいくつか提示してみせよう。)

 

 リヴァイブはわずか楽しそうに内容を話しだす。

 

(『今後に起こる出来事』、『ISについて』、『【アストレア】の本当の設計者』、ざっとこんなところだね。

 どうだい、何か聞いてみたくなったかな?)

「よく言うぜ。それで勝手に答えといて代わりに住ませろって言う気だろ。

 ・・・はー、分かった。どうせハロの前例もあるし、備品扱いで通してもらう。」

 

 結局根負けした。

 どこまで本気かわからないが、逆の発想で危険なものは目の届くところに置いておいた方がいいと思おう。

 千冬姉にまた叱られる理由が増えたと思うと気が滅入る。

 

(柔軟な発想をしてくれて助かる。ではサービスで1つ、僕らの秘密を教えよう。)

「火星から来た宇宙人とでも言いだすのか?」

(そこまで突飛じゃないさ。・・・なんでも僕らは未来からやってきたそうだ。)

「やってきたそうだ、って自分のことなのに聞いたみたいな言い方だな。」

 

 どこかの青い猫型ロボットでも自分の来た場所は覚えてたぞ。

 

(意識を得たのはこちらに着いてからだったんだ。やってくる前後をすべて把握しているのはリボンズ・アルマーク一人だ。)

「・・・誰?」

(僕らの上司、創造主かな。元をつけると本人に言うと怒るから気をつけなよ。

 ただ僕自身、君以上に未来からというのには懐疑的なんだ。時が経つほど違和感が拭えない。)

「根拠があるのか?」

(いくつもあるけれど一番は軌道エレベーターだ。)

 

 軌道エレベーター。

 世界に3本だけ存在する、地球1周分のリングで繋がれた宇宙への橋頭保。スペースシャトルもまだ時々打ち上げられるが、年々その数は減少に転じている。

 基礎理論は50年位前に外国の学者が発表したものの、技術的障害の多さから一時期お蔵入りになった計画だった。そこにISの登場で技術水準が飛躍的に向上、3団体の特殊兵器開発も重なって30~40年で完成にこぎつけた。

 この辺りまでは俺も知っている。

 知る範囲ではおかしなところなど特には無いが・・・

 

(おかしいのは作られた時期と設計だ。あの天に伸びる柱は僕らの時代では西暦2200年代に建造されたものでね。西暦2307年の時点でもアフリカタワーは正常稼働に至っていなかった。

 それにソロモン諸島の軌道エレベーターは、記憶のデータと観測したので細部が異なる。)

「待て、EU所有の軌道エレベーターはもう稼働状態に入ってるぞ。つーか、ソロモン諸島のはいつ調べた。」

(今日ヒリングに任せている間にちらっと調べさせてもらった。【ガデッサ】の狙撃用スコープレンズなら戦闘空域からでも見えた。)

 

 海の上まで素直についてきたのはあっちにとっても好都合だったからかよ。

 とことん倒すべき相手には見られてなかったわけだ。

 

「やっぱ遊び半分で相手されてたのか。・・・記憶違いとかの可能性はないのか?」

(それは・・・いや今は言えないな。

 だが君とて疑問に思わないか?

 この100年たらずでISをはじめとした技術は2、3歩どころでなく進歩を遂げている。人類が誕生してからの歴史に比すればありえない速度だ。このままいけば僕らのいた時代も追い抜く。

 誰かが裏で糸を引いていると考えるのもそこまで頓狂でもないだろう?)

「世界を勝手に進歩させている奴がいるってことか?」

(僕らと同じく未来から来た者なら可能だろうさ。いっそ、ここがパラレルワールドだとでもすればこんな考察は不要となるのにね。)

 

 そこまで語った奴は、これ以上は話さないと言わんばかりに目のアイライトを消灯して、そっぽを向いた。

 語り手が無言になったら俺もすることはない。ここまで引っ張りやがってと窓から投げ捨てることも考えたが、大人しく布団をかぶった。

 

(未来から来た誰かが世界を思い通りにしようとしている・・・束さんなら仮にその誰かだとしても納得できる。でも箒と遊んだ時にいた記憶があるからあの人じゃない。

 そもそも軌道エレベーターの開発に関わるのは国や企業の大物でないと不可能だ。戸籍もないような人間にそんなことできるのか?)

 

 答えの思いつかない問いに悩みながら、俺の意識は闇の中に落ちていった。

 

 

 

 

 箒が戻ってこないままだったことに気が付いたのは翌朝になってからだった。

 

 

 

 

 

(確信の持てないままに話したものの、この世界は一体どうなっているんだ。)

 

 自信ありげに語ったリヴァイブも実は事態をすべて把握しきれてはいない。ただ軌道エレベーターから測れた差異は確かに存在している。

 つまりアレはリヴァイブ達の時代にあったものとは別物なのだ。

 

(仮にアレが別物で、ここがパラレルワールドではなかった場合、それは後々の厄介ごとを暗示している・・・)

(文明の進歩にしたところでISはヴェーダのレベル7までのどこにも記載がなかった。僕だけならいざ知らず、リボンズ・アルマークの目まで誤魔化す力の持ち主がいたというのか?)

(アメリカのP.AやEUの兵器も【ユニオンフラッグ】や【AEUイナクト】を凌駕するものばかり・・・ニンゲンも200年後になって性能が劣った兵器を、最新鋭機と発表する間抜けばかりではないだろうし。)

 

 リヴァイブもまた霧の中で手探りをしているに等しい状態である。一夏に訳知り顔で話せたのもごくごく一部の知る範囲のことだ。

 活動拠点を確保するのだけは間にあってよかったといえよう。

 

(未来か過去か、夢か現実か、これもあなたの手の内ですかリボンズ・アルマーク。・・・ぞれともあなたすら、この世界は見当もつかないものなのですか?)

 

 謎は晴れない。

 

 

 

 

――セシリアの部屋――

 

 

「うう~、おりゅこっと!もう一杯だ!」

「飲みすぎですわよ。」

「固いことを言うなぁ!酒でも飲まんとやっちぇられんのら!」

「それコーラですわよ。コーラで酔えるのも十分おかしいのですけれど。」

 

 一夏さんと鈴さんがお話をされている頃、わたくしは自室に篠ノ之さんを招いていました。

 後、篠ノ之さんが飲んでいるのはコーラですわ。決してコークハイなどではありませんわよ?

 

「も、もし中華娘が告白などしていたら・・・」

「前から約束されていた風なのに邪魔は無粋ですわ。貴女だってそうでしょう?」

「し、しかしだな、私も幼なじみとして・・・」

「立場に甘えて行動しなかった罰ですわ。鈴さんのように、再会してすぐ告白でも考えればよかったでしょうに。」

 

 一夏さんを部屋で寝かせた後、鈴さんが二人きりにして欲しいと頼んできました。気配から彼女の心を悟ったわたくしと簪さんが同意、篠ノ之さんも渋っていましたけど無理矢理引っ張ってきました。

 

 

 

『ほら、篠ノ之さんはわたくしの部屋に行きますわよ。』

『離せ、私も一夏に用が!』

『わたくし、人の恋路を邪魔してお馬さんに蹴られるのはごめんですの。それに友人の気持ちは尊重するべきですわ。【ティアーズ】。』

『き、貴様、ISを使って引っ張るな!』

 

 

 

 その時を思い出してか、言い返せない篠ノ之さんは俯いてしまわれました。

 流石に哀れに見えますし、助け舟くらいは出しておいてあげましょうか。

 

「・・・貴女が何かアクションをとると決めたなら手伝って差し上げますわ。もう今日のところは潔く寝なさいな。」

「・・・だいひゃい、あいつらが来なければ()わちゃしだって・・・」

「いつまでも負けを認めないのは見苦しいですわよ。」

「うう、変革がどうたらと・・・妙なことばかり・・・zzz」

「コーラで酔いつぶれてますわね。明日も早いし、わたくしも寝てしまいましょう

 ・・・でも変革だなんて言葉、言ってましたかしら?」

 

 テーブルに突っ伏したまま寝てしまった篠ノ之さんをベッドに運んで、わたくしも寝るとしましょう。

 

 

 

 

 一人は新たな覚悟

 

 また一人は湧き立つ混乱

 

 ある一体は尽きない疑念

 

 違う二人は心配と配慮

 

 立ち位置も向く先も違う感情は夜とともに深まっていく。

 




鈴は諦めないと決めたのでした。めでたしめでたし。
真面目な話、これくらい意思表示しとかないと一夏の女性関係に口出せないからね。

リヴァイブ達がゆるキャラ化しつつありますが、IS側が暗い面子ばかりになりそうなので彼らが清涼剤になっています。

最初の聖堂に出てきた女性はセイバーのイメージ。特に本人と関連性も理由はなし。
「またセイバーかよぉぉぉ!」
「ぶっ飛ばすぞ武内!」
ここらと同じノリです。

軌道エレベーターを軸に話される世界の相違。
一応、リヴァイブ達がいたのはほぼ皆様の知る00本編の時代です。戦った記録に多少違いはありますが、勝ち負けや起こったこと、死亡は同じ。

リヴァイブの話もあくまで彼の想像であって真実とは限りません。
糸を引く者がいるのか、一夏達の世界は00のパラレルワールドなのか、またこれから明かされていくかと思われます。

では今回はこの辺で。

感想・質問・評価、何でもよろしくお願いします。

――どうでもいい余談――
評価の方でタグがごちゃごちゃしすぎとのご指摘を受けたので、現在整理中です。

いい加減設定も上げようかと思います。EUだけたせばいいですし。










久しぶりにCパート。
次回へ続くので、気になっちゃう人は次回が出るまで読まない方がいいかも。





「よいしょよいしょ。ふぅ、教師は夜もなく働かないといけないので大変です。」

 私、山田真耶です。
 もう夜の12時を回ったのでお仕事もいつもは終わりなんですが、今日は大変だったので報告書のまとめで残業中です。
 他にも転校生の案内とかが来て大忙しなんですよー。

「織斑先生はアメリカの偉い人とお電話してますから、もっと大変なんですよね。」

 織斑君たちが傷だらけで帰ってきたとき、真っ先に織斑先生が保健室に運んだり指示を出したり頑張ってくれてました。今も外国に頼んだ救援先と交渉中なので私以上に頑張ってらっしゃいます。
 だから私もできるだけ頑張らないと!

「織斑先生、報告書持ってきましたー。」

 私の背が隠れる量の報告書を職員室まで運んできましたが、返事がありません。
 フラフラ倒れそうになりながら、なんとか近くの机に書類の山を置くと見慣れたダークスーツが机に突っ伏しているのが見えました。

「・・・お疲れ様です、織斑先生。」

 寝ていたのはやっぱり織斑先生です。

 疲れが溜まってたんですね。織斑君が飛び出して行った時から誰より心配そうでしたし。
 宿直室に置いてあった薄い掛布団を背中からかぶせておきます。
 かぶせた拍子に机と織斑先生の手の間から何かが滑り落ちました。

「何でしょう?」

 落ちたのは写真でした。
 織斑先生?と織斑君が子どもの頃の写真です。今も目元とかよく似てるんですけど、この頃はそっくりですね。

「家族の写真を抱いて寝るなんて、なんだか意外です。」

 ちょっとかわいいと思っちゃいました。
 でも少しして、

「あれ?写真がもう一枚ある。」

 ぴったり重なって気づきにくかったですが、もう一枚写真が見つかりました。
 写っているのは4~6歳に見える女の子です。入院着みたいな服なので個性はあまり分かりません。
ムスッとした仏頂面でも目元は織斑先生に似てる気がしますね。
 妹さんでしょうか?
 
「・・・山田先生、人の写真を勝手に見るのは趣味が良いとは言えないな。」
「ひう!?お、織斑先生、起きてらっしゃったんですか?」
「布団をかけてくれたところあたりから少しずつな。それより写真を。」
「あ、はい。すいません、勝手に見てしまって。」
「・・・その写真を見たついでだ。一つ、夜長の暇つぶしの話でも聞いてくれ。」

 そう言うと織斑先生は写真を取り返そうともせずに、ゆっくり語り始めました。

「これは一夏の誘拐事件の交換条件で、私がドイツにいたころの話だ―――」

 ふと話を聞きながら女の子だけの写真を裏返すと、

『M』

 と短く書いてありました。
 
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