IS×00 夢を目指す者   作:王天君

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お久しぶりです。

お待たせしてるのでまずは本編を。

あ、あと敵機の設定はとりあえず【RGM-96X ジェスタ】にしました。


FRIENDS 当店では酢豚は取り扱っておりません 後編

 全くの不意打ちで構えたライフルが破壊されても、隊長の判断は速かった。

 

「上方警戒!各機、フォーメーションFで散開しろ!」

『隊長!あれは・・・』

『あ、悪魔だ。10年前の!』

「無駄口を叩くな!悪魔などと大げさな伝説に惑わされるな!」

 

 上空からビームで攻撃されたのを受け、指揮下の11機の【ジェスタ】が下りてくる敵を囲むように移動させる。空飛ぶUFOでも眺めるように顔を上げながら、各々の破壊を免れたライフルやハンドガンを構えた。

 敵はISの分類に従って、体躯も3mと小型。だがこちらには装備していないビーム兵器や高威力武装を積んでいる可能性は大いにある。腰に提げられた2本の剣や背中の三角形の武装からも、量産型にはない特別性が感じられる。

 だが今それ以上に謎なのは、

 

(ISは10年前の1件で全機が稼働停止したのではなかったのか?)

 

 最もどれだけ考えたところで目の前の敵は消えてくれないので捨て置くしかない。

 隊長は青と白に塗られたISを見て、部下たちにどよめきが広まっていくのを注意する。

 

(戦場に現れる青と白の死神か。確かにあのときのISとよく似ている。だが、これはまずいな。戦う前から士気をくじかれては戦にならん。)

 

 機体の体格はこちらが10m越えだ。ここしか勝っている部分は無いかもしれない。

 周囲より早く動揺から立ち直った部下から通信が入る。

 

『後退すべきではないかと。伝え聞く通りの敵なら、この1個分隊では手に余ります。』

「仕事ではそうもいかん。この一帯の武装勢力鎮圧もまだ終わっていない。」

『しかし―――』

「攻撃用意!」

 

 なおも食い下がる部下の通信を打ち切り、一斉に銃口を敵機へと向けさせる。

 隊長自身もハンドガンで慎重にガンダムの頭部に照準を合わせた。

 そして照準一杯に顔が広がる。

 青白いアイレンズの先にパイロットの目を見た気がした。

 

「撃てえ!!!」

 

 12の銃口から一斉に銃弾が躍り出る。

 茜色に染まりつつあった空へ絵を描くように、それらは青いISへ襲い掛かった。

 

 

 

 

 隊長の奮起や部下たちの勇気もむなしく、決着には10分とかかからなかった。

 始めの銃撃を残さずかわされ、敵が地上の瓦礫と化した村跡に降りた時点で勝敗は決したのだ。

 【ジェスタ】隊の周囲は先の戦闘の跡がまだ残っている。

 特にレンガや土でできた建物は良く目立つ。それらは彼らよりは低く、ISは隠れられるほどの大きさだった。地形を活かしたゲリラ戦を熟知した動きで、ISはその中を縦横無尽に駆け回ったのだ。

 後は残骸の隙間を縫うように動き回られ、攻撃が当たらないのに当てられる恐怖にかられた兵士たちは一人また一人と撃破されていった。

 

 コックピットを背後からブレイドで串刺しにされた機体。

 

 袈裟懸けに切られて両断された機体。

 

 気づけば残っているのは隊長機だけになっていた。

 掠めたビームやブレイドの傷で無残な姿の隊長機とは真逆に、敵のISは傷一つついていない。絶望的な性能と技量の差が両者の間にはあった。

 

「こんな・・・ばかなことが・・・」

 

 呆然とした頭で撃つ銃弾が当たるわけもない。体を揺らすだけでかわされ、反動を利用して振るった刃が【ジェスタ】の右膝を切りつけた。

 切れ込みは僅かでもかかった体重で亀裂が広がり、数秒で千切れ取れた。

 体勢を保ちきれず、仰向けに転がる【ジェスタ】。

 

 

「なぜだ・・・なぜこんな!」

『この世界は歪んでいる・・・10年前の大惨事を経験しても何も変わらない。だから、俺は戦わないといけない。』

 

 通信機越しに虚ろにも聞こえる声音が漏れ出た。

 その自分が起こした悲劇を正当化するような言い方に隊長も怒りが沸き上がった。咆哮を上げながら、必死にハンドガンの引き金を引く。

 

「貴様はまだ!10年前、あれだけの犠牲を生んでおいて!」

『俺は戦って・・・そして救い続けなきゃならない。鳴りやまない()を止めるために。』

 

 流れるような動きで銃弾はかわされ、肉薄したISが回転しながら両腕を切断。頭頂から降り下ろされたブレイドで、メインカメラからコックピットまでを切り裂かれる。

 我が身を両断される瀬戸際、隊長の脳裏にあったのは先月生まれたばかりの息子と帰りを待つ妻のことだった。

 

 

 

 

『ぐっ・・・』

 

 最後のP.Aを真っ二つにしたISが地上に降りたかと思うと、頭を押さえてふらついた。

 吹き荒れた暴風のような強さとは真逆の脆さを目にして、へたり込んでいた鈴も肩のカメラの存在を思い出した。相手の正体も分からないまま、写真家の本能でシャッターを切る。

 

『くそ、残したものがあるなら兵士なんかやってんじゃ―――誰だ!』

 

 すぐに機体を起こして飛び去ろうとしたISのツインアイが鋭く鈴を捉えた。

 視線からも感じる殺気に身が凍る。

 シャッター音を消し忘れた無能を呪ってももう遅い。数秒後に襲い掛かる死を感じて再び身構えた。

 だが、

 

『鈴・・・?』

 

 攻撃ではなく、戸惑うような声色に恐る恐る顔を上げた。

 

「ひょっとして・・・一夏、なの?」

 

 機体の外見と声から、ただ一人該当しそうな人物が思い当たった。

 名前を言われたISはたじろぐ様子を見せながらも、飛び立とうと体を浮き上がらせる。

 

「ま、待ちなさいよ、一夏!」

『・・・幻覚だな。俺の知ってる鈴がこんな場所にいるはずがない。』

「何勝手なこと言ってんのよ!」

 

 一人で納得して去ろうとするISに怒鳴ると、まだ信じられないように鈴の顔を見つめた。視線に臆することなく眼差しを返す。ガンダムフェイスのレンズを通してではあっても確かに視線は交わった、そんな気がした。

 上昇が止まり、ISの肩から力が抜ける。機械を通しても聞き間違えようのない声で話しだした。

 

『やっぱり鈴かよ。最後に見た・・・卒業式のときと少しも変わってないな。』

「何よ、7年ぶりの再会なのにそれだけ?もう少し気の利いたこと言えないの?」

『これ以上に何を言えってんだよ。』

「綺麗になったな、とか。大人びてて気づかなかったとか。」

『そんなこと言うのが俺らしいか?』

「ぜんぜん。余計なこと言ってあたしや箒に怒られる方がよっぽどらしいわ。」

 

 だったら最初から言うなよ、と一夏から笑いもこぼれて弛緩し空気が流れる。

 だが、懐かしむような声から一転してまた鋭さのある声に戻る。

 

『・・・どうしてここにいるんだ?』

「あんたが原因でしょ!行きそうな場所探し回って・・・見つからないけど諦められなくて・・・気が付いたら7年も経ってたわ。」

 

 首から提げたカメラを示す。元は時間の記録に過ぎなかったことが仕事の一部になるとは想像もしなかった。

 

「だいたい、どこ行くかも言わずにいなくなって、探さないなんて思ってたわけ!?」

『・・・探してくれなんて頼んでないぞ。』

「子どもかあんたは!」

 

 ムキになった子どものような反論に呆れかえりそうになる。

 返す言葉もないのか、黙って一夏は空を仰ぐ。

 沈黙したところで、思い切って言わないとと思ったことを告げる。

 

「・・・ねえ一夏、一緒に日本に帰ろ?

 みんな、もう7年もあんたが帰ってくるのを待ってるのよ。あたしもあんたが食べてくれないから、酢豚をお店に出せないままだし・・・。

 あのことは・・・あんたのせいじゃない。だれにも止めることなんてできなかったわよ。」

『・・・それでも、俺は戦い続けなきゃならないんだ。贖罪と正義の味方としてあり続けるために、それにこの声・・・救われたがってる声を止める為に。』

 

 鈴の耳には遠くで展開されている戦闘音や風の音しか聞こえない。

 しかし一夏にはしっかり聞こえているらしく、どこか遠くを見つめた顔は微動だにしない。

 勝利の余韻に浸ることも、倒した相手への感傷に囚われることもない横顔に鈴はあらためて一夏との距離を感じる。

 自分の知っていた頃の彼は人の死に()()()いなかった。歩む道が重なることのなかった7年、それは鈴にとっても苦痛だったが彼にはそれ以上のものがあったのだろう。

 

「一夏はいつもそうよね。自分以外を優先して、自分を見てる人間のことなんて気にも留めない。」

『・・・』

「会ったら言ってやろうと思ってたことが他に山ほどあったけどもういい。どうせ止めても行くんでしょ。早く行っちゃえば?」

『・・・ああ、それじゃあな。』

 

 突き放すようにそう言うと、一夏は何も言わずに背部から粒子を放出、さらに上昇を続けていく。

 

「何で7年前、あたしや箒には何も言わずにいなくなったの?セシリア達には別れの挨拶しに行ったって聞いてるわよ。」

 

 答えは無い、あるいはもう聞こえないと思ってした質問だった。

 長い沈黙の後、一言だけ答えが返る。

 

「二人の顔を見たら行けなくなったからな。ついてくるなって言ってもついてきただろうし。」

 

 それだけ、本当にただそれだけの言葉を残して一夏とガンダムは空に昇っていく。

 考えたわけではなく、自然の動作で彼がのぼっていくのを写真に収める。

 一枚、また一枚とシャッターが落とされるたび、彼が遠くなっていくのを忘れないように。

 やがてある程度の高さになったところで糸がほどけたように、パッとその体が粒子となって散った。

 

「バーカ・・・だったら、行くなってのよ。」

 

 鈴は一夏の最後の言葉が許せなかった。

 内容ではない。

 最後の言葉だけは分かれた7年前と同じ、鈴の良く知る一夏の声だったからだ。顔を隠していたフェイスを解いていたのが、声質の違いで分かった。

 正義の味方ではなくて、『織斑一夏』として旅立ちをためらっていたことを告白されたのが許せなかった。

 

「あたしたちの顔見ただけで揺らぐなんて・・・そうよ、止めとけばいいのよ。人助けなんて・・・あんたが、一夏が、誰を救っても、あんたは救われないままでしょ!?!」

 

 本当は悩んでいたのだろう。苦しかったのだろう。

 その彼を意地でも止められる機会をみすみす逃した。彼に踏み込むことを避けてしまったのだ。

 乾いた大地に、涙のにじむ声が染み入るように掠れていく。

 相手はもうここにはいない。鈴の声は届かない。

 

 

 

 彼の願いは間違っていなかった、でも行かないでほしかった。

 

 

 

 

 凰鈴音と織斑一夏の物語はこれにて幕を閉じる。

 彼らが出会えたのはこれが最後であり、鈴がこの後いくら戦場を巡っても一夏に会えることはなかった。

 手元に残ったのは一夏が茜色の空に飛び立つ背を写した写真だけだ。

 止めることは出来なかった鈴だが、追うことを止めることもなかった。旅費稼ぎの片手間に始めたカメラの技術が高じて、優れた戦場カメラマン兼ジャーナリストとして後世に名を残すことになる。

 その存在に感化された中には、後のソレスタルビーイング関係者となる青年の姉もいたと言われるが定かではない。

 

 ただ1つ言えること、それはこれが全て終わってしまった物語だということ。

 何者にも幕を下ろした人生をやり直すことは許されない。

 




ここで終わり・・・になるところなんですが今回はまだこの後があります。

時系列は現在、イノベ組との交戦後、臨時教員になるのが決まった夜あたりのことです。
さっきまでのとは関係ないのでご注意を。







――西暦2112年 IS学園――


 夜も深まった学園の廊下にポーン、ポーンと鞠でも弾むような音が木霊している。
 時に高めの音を出したり、あるいは転がる音に変わったり、七変化させながら校内に響く音を出す。
 その正体は今やハロの体に人格をインストールされたリヴァイブ・リバイバルだ。

(仮とはいえ教師役だ。学園内に精通するぐらいはしておかないとね。)

 今朝引き合わされた気弱そうな女性に、「臨時でいいので教師をやってくれませんか」と言われた時にはさすがに驚いた。
 ヒリングは大っぴらに戦闘が行えない今、楽しそうだからと2つ返事で了承。
 リヴァイブとしては引き受ける理由はなかった。だが織斑一夏に「働かざるもの食うべからずだぞ」と言われて彼なりのプライドが刺激され、引き受けることとなったわけである。
 イノベイターもといイノベイドとして活動していた頃からも、周りよりは常識人として活動していた彼だ。
 数合わせのために頼まれた教師役でも職務は全うする。この夜間のみ回りも学園内の地図を確認する意味も込めている。
 ヒリングは一緒じゃないのか?
 「見回りとかつまんない。」とまるでやる気の感じられない発言と共に、布団に隠れてしまったので放置してきた。





 その見回りにも飽きて、そろそろ居室(※一夏と箒の部屋)に戻ろうとしたときだった。
 突然、脳内に稲妻に似た感覚が閃く。

(脳量子波・・・だがこれはヒリングでも、リボンズのものでもない。()か?)

 海上戦の途中には意識を表面化させたハレルヤが脳量子波を使ったとは聞いている。だが彼ももうこの世界にはいない。

(屋上から発せられている、それも全周囲に・・・罠のつもりか?)

 発信源を特定させるためのように感じ取りやすくして、波長は出ている。
 機械の体に疲労は溜まらない。
 眠る前の一仕事と向かってみることにした。





 電子ロックの鍵をハックしてこじ開け、じめじめとした空気の漂う屋上に注意深く顔を出す。
 待っていた人物は隠れることもなく、扉の向かいの柵に身を預けていた。
 だがその人物がにわかには信じがたかったため、本性を隠してロボットに成りすます。

『コンバンハ、コンバンハ。』
(ロボットのフリなんてしなくていいわよ。あんたたちの正体も全部知ってるから。)
(・・・こちらとしては、何で君が脳量子波を使えるのかから教えてもらいたいね。)

 返された脳量子波の返事から、相手がこちらの関係者だと理解して頭を切り替える。

(そうだろう?()()())

 まだ日は浅いが特徴的なツインテールは印象強く残っている。服装も私服の範囲に入るジャケット姿だ。
 今、柵に背を預けているのは、つい最近交戦した少女凰鈴音に間違いない。
 だが、そんな特徴や脳量子波の件もかすむくらいの問題を彼女は発していた。
 
(なぜ君は()()()()()()()?ただの人間ではないだろう。)

 正しくは半分透けているといったところだ。
 輪郭や表情を読み取れる程度に実体はあるが、向こうの景色がぼんやりと見えている。 人間にこんなことできるわけがない。
 顔色は若干悪そうに見えるが何か関係があるのか。
 幽霊(ゴースト)、そんな言葉がリヴァイブの頭に浮かぶ。

(幽霊みたいなものよ。誰かさんにちょっと心残りがあって消えられない馬鹿な女の未練。)
(織斑一夏との恋仲か。)

 ならば興味の埒外のことだ。ニンゲンの心に由来する物事は、いまだに論理で推し量れない。
 革新の途上で散ったアニュー・リターナー(半身)にはわかったのだろうか。
 しかし感情で理解できないリヴァイブでも、

(聞き耳を立てていた範囲では彼との関係は悪いばかりではなかったが。)
(盗み聞きなんてイノベイドも品がないわね。
 ・・・一夏に思いをぶつけたのは()()()()()()。あたしには出来なかった。)

 友人以上の存在に織斑一夏からは思われているのではと感じたが、悩みの種はもっと違う所にあるらしい。
 身を起こした凰鈴音?は夜空の星々に目をやる。

(最後のチャンスも止められないと思ったから止めなかった。変わりすぎてたアイツの傍に行くことを恐れたあたしが中にいたわ。
 周りがどう思ってるかばっかり伝えて、思いを言葉にすることもできなかった。だからここで未練が晴らせる、そう思ってたわ。
 ・・・ほんの少し前までは。)
(なら、君は何をしようと?)
(何も。)

 星はその命を燃やして輝く。満天の星空とは星の生涯が燃え盛る、まさにその時に他ならない。
 星空へ両手の指で四角を作り、カメラの真似事を試みる鈴?
 気のせいかその姿は妙に堂に入っているように見えた。

(こっちで見てわかったわ。ここのあたしの人生はあたしだけのもの・・・あたしのスペアなんかじゃないんだって。
 それが分かったら、なんか全部すっきりしちゃった。)

 笑った顔の輪郭から粒子がサラサラと中に流れ出る。
 
(ここのあたしたちがいる限り、一夏は一人でどこかに行ったりしない。あたしの役目も仕事も始める前から終わってたのよ。)

 下ろした右手が震えたかと思うと、形を保ちきれなくなって消滅する。

(何!?)
(未練の無い幽霊は成仏しなくちゃね。)

 左手も右手の後を追って消滅する。音もなく消える姿はまるで砂でできた城が波にかき消されるようだ。
 その消え方にリヴァイブも鈴?の体が半透明な理由に気づく。

(砂・・・違う、これはGN粒子か!?)

 GN粒子の集合体。あるいは結晶体とでも呼ぶべきか。
 眼前の少女が人智、いやイノベイドの英知すらも凌駕した存在だとようやく認識した。
 顔色の悪さも何のことはない。全身に青みがかった白のGN粒子が舞っていただけだ。

(人の意思を伝達する粒子・・・こんなことも可能なのか。)
(せっかく機会をもらったのに無駄になっちゃったな。そこだけは謝っておくわ、束さん。)
(束さん・・・篠ノ之束、彼女の差し金か。)

 足も消え失せ、いよいよ鈴?の胴体と頭を残すのみになった。
 自身の存在が消えていく最中だというのに、その顔には焦りも嘆きも見られない。達観したような顔で消えていく体を見守っている。

(その消え方・・・ニンゲンで言うところの死の様なものだろう?
 なぜ穏やかな顔でいられる?君は何者だ?)
(思い残しがなくなった、それだけのことよ。)
 
 一度死んだのはリヴァイブも同じだが、ここまで慣れることは出来ない。はたして彼女のようにふたたび死を前にした時、無抵抗でいられるだろうか。
 ただのニンゲンの女性から敗北感を感じる。そのことが彼のプライドを傷つけた。
 皮肉気にまた未練の一つでも生みそうなことを聞いてやる。

(ただ一人に人生を費やしたこと、後悔していないと?)
(後悔するような相手を一生想い続けるなんてできると思ってるの?)

 消え残った頭だけでリヴァイブに鈴?が向ける視線は勝ち誇ったようですらある。
 実に不快だ。子どものようにあしらわれるなんて、イノベイドの頃から無かったのに。

(気が向いたらでいいから・・・ここのあたし達のこと、守ってあげてね。
 それがきっと、あんたたちにも―――)

 フッと緩んだ顔にはやはり死への恐怖感も未練も浮かんでいない。
 頼んでこそいても、その視線は心配してはいなかった。
 その口も目もすぐに粒子となって消失する。後に残されたのはリヴァイブだけだ。

(未練が消えたというわりに守ってあげてだと、まだ気になっているんじゃないか。)

 やはりニンゲンは未完成な存在だ、そうリヴァイブは思う。
 守らねばならないなら我が身を盾にしてでも守ればいい。彼らとも日の浅い自分たちに頼むようなことではない。
 なぜ消える前に自分を呼んだのか。

(まあ、仕事である以上はやるしかない。子どものお守りも含めて、ね。)

 幽霊のような凰鈴音のことといい、僕らを送り込んだ理由といい、篠ノ之束がどれも裏で糸を引いている。
 また宇宙に上がって彼女を問い詰めるまでは働かないといけない。いくら電気だけで生きられるハロの体でも、生活費もメンテナンスもタダではないのだ。
 やや下心の混じった理由でやる気をみなぎらせた。


 どこかでポーン、ポーンと鞠でも弾むような音が木霊した。





 『もう一人の鈴』も『セシリア』に続いてこの世を去った。
 それを知るのはリヴァイブ・リバイバル、ただ一人。
 だが彼もまた底の知れない霧の中でもがく者の内だ。

 鈴?がリヴァイブに自身を含めた者たちを託した理由。
 その本当の意味を彼が知るのはずっと後になってからのことだ。





―――――――――――――――――――



はい、ここからが本当の後書きです。

といっても遅れてすいません、としか言えないんですが。
鈴の何気ない一言で彼女たちをここへ送り込んだのが束だと判明しましたが、それくらいかな進んだのは。
まだ見えていないことの方が多いですね。

次回は考えたんですが、ラウラ編として始める予定です。
シャルルはどうなんの?と言われるとまた別の展開を考えてます。
特に【シュヴァルツェア・レーゲン】の強化案は

何がどうしてそうなった!?

といいたくなるものを考えてます。
片鱗は次回出す予定なのでお楽しみに。

それでは今回はこの辺で
感想・質問・評価、何でもよろしくお願いします。

――どうでもいい余談――

ちょっとリアルの方が忙しくて更新遅れ気味で申し訳ないです。
重ねて謝罪しておきます。

尚、強化案のヒント→ある機体と合体

それでは
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