今回はなんと、あの謎の美少女!綾波さんの正体をシンジくんが探りに行きます!
綾波レイ・・・一体何リリスなんだ・・・?
二回目の使徒の戦闘から数日が過ぎて、今は学校の体育の時間。
僕等男子はコンクリートの壁に寄り掛かるように座って休み、女子はここからでも覗ける場所にあるプールでキャイキャイと水遊びを楽しんでいる。
いつもなら帽子か何かで目の辺りを陰にして見えないようにしてから、クラスの女子のスペックを計りに行くのだけど今日はそんな気分じゃ無かった。
みんなのうちほとんど(トウジとケンスケはダイレクトに見てる)がチラチラとプールを見る中、僕だけが空を見て考え事をしていた。
ぶっちゃけキャーキャーうるさい。いつもより騒がしい気さえしてくる。
うんざりと言った感じでプールを見ると、一人ぼっちで体育座りをしている綾波さんが目に入った。
僕の考え事はズバリ綾波さんに関係がある事だったから、ついじぃーっと見つめてしまう。
「おいシンジぃー何見てんだよー?」
「綾波か?綾波をみてるんかぁ?」
「うん、君達と一緒にしないで貰おうか」
貴様らのように露骨に見て女子からの好感度を下げるなど、愚か者のすることだ。
僕はさっきも言ったようにしっかりと対策してからじっくり堪能するからね!
・・・じゃなくて。
「というかシンジお前さっきから何考えてたんだ?」
「それが綾波さんに関係することでね・・・」
「マジか!おいお前ら!!シンジが綾波のこと気になってるらしいで!!」
「ちょ!トウジ!?」
確かに気になるが今考えてることは別件・・・ってわけでも無い、のかな?
「なんだと!」「抜け駆けは許さんぞ碇!!」「綾波は俺の嫁」「いや俺の嫁だろ」
いやお前らも集まってくんな!
そんな声を出す暇も無く、瞬く間にクラスの男子が僕を囲むように集合した。
「さてキリキリ話して貰おうかシンジ」
「綾波のどこが好きになったんや?」
「いや、確かに僕が考えてたのは綾波さんに関係ある事だけど、別にそういう話じゃないよ?」
「じゃあなんなんだよ?」
「悩みがあるんだけど・・・」
「言ってみろよ、せっかくだし相談に乗るぜ?」
さてどうしようか、言ってしまっていいものなのかなコレ。
なんかみんなで僕の悩みを聞くふいんき(何故か変換できない)が出来上がってるし。
・・・まぁいいや、一人で考えてもしょうがないか。
「知っての通り僕と綾波さんはロボットのパイロット・・・NERVに通っているんだ」
「そりゃ訓練とかもあるらしいし」「お前らよく早退するもんな」
「んでNERVでの綾波さんなんだけど、ぶっちゃけこっちと変わらないんだよね」
「知ってた」「想像つかないもんな」「綾波のやつホントに笑わないからなぁ」
「でも一人だけ例外がいる・・・NERVの司令官だ」
「例外?」「例外ってなんだよ?」「綾波と仲いい・・・とか?」「ねーよ」
「実はそのとおり、綾波さんはその人とかなり仲がいいんだ」
「マジか」「司令官裏山」「司令官について詳しく」「そうだ司令官のスペックはよ」
「その司令官が・・・なんと厳ついおっさんなんだ、判決は?」
「ギルティ」「ギルティ」「圧倒的ギルティ」「事案発生」「通報しました」
「さらに言うとその人僕の父さん」
「碇家ギルティ」「また碇か」「納得の碇」「お前らギルティ」「その血の運命」
何故僕までギルティなのか。
まぁトウジの妹についてはかなり大声で話してたからなぁ・・・
「つまり僕の悩みは「なんか父親がクラスのアイドルと親密なんだが」ってとこだね」
「これはひどい」「なんかラノベっぽくね?」「こんなラノベはいやだ」「やったね碇!家族が増えるよ!」
「おいやめろ」
「おいやめろ」「おいやめろ」「おいやめろ」「おいやめろ」「おいやめろ」
・・・
とまぁそんな感じで相談を続けた所、結局現状じゃどうしようもないから情報収集する、ということになった。
みんなから今までの綾波さんの事を聞くと、まさに人形、といった感じらしい。
体育の後に女子からも聞いたけど同じような感想。
それについてケンスケと一緒に考察したけど、綾波さんはあまりにも人間性が無さすぎるという結論に至った。
・・・どんな可能性もあり得ないとは簡単に断じることはできないってことだよ。
クローンとか、NERVの科学力ならあり得ない話じゃないだろうし。
こんなことで悩み始めたのも、父さんが似合わない行動をするからだ。
綾波さんを身を挺して助けようとするなんてなぁ・・・
ま、聞いた時は素直にカッコイイと思ったけどね。
父親の武勇伝?を聞けたのは純粋に嬉しかったりもしたんだ。
父さんカッコイイなー憧れちゃなー。
「シンジくん、完全に現実逃避してるわね・・・」
「逃避じゃないです考え事です」
「なんでよー?こんなにおいしいのにー」
くそっ!父さんをいくら褒めても目の前の毒物は減らない!
やっぱり父さんはダメだね(暴論)
僕は今リビングでミサトさんの作ったカレーをお客さんとして来ているリツコさんと共に処理している。
何を入れたらレトルトをここまでひどくできるんだ・・・?
「すみませんリツコさん」
「大丈夫よ、あなたは悪くないわシンジくん」
「ありがとうございます・・・でも、ここまでとは思いませんでした」
「あら?ミサトの料理のこと知ってたの?」
「ガサツな人が料理だけはうまいなんて奇跡は起こりませんよ」
それにちゃんとした根拠だってあるんだ。
「少し前に料理失敗して微妙な味に仕上がっちゃった時、ミサトさんそれをいつもと同じように食べてくれたんです」
「なるほどね、味覚障害の事に気づき、そこから芋蔓式にってわけね?」
「はい」
「あんたら失礼ねー!あたしの味覚はふつーよふつー」
「無いわね」
「ミサトさんがそう思うならそうなんでしょうね、ミサトさんの中ではですが」
「・・・」
ミサトさんが青筋を浮かべて震えている。
おーこわい。でもね、食べ物の恨みは深いんですよ?
僕はトリコの読者でもあるからして、食事は本当に味わって食べてるんです。
トリコのグルメタウン回を見ながら食う飯はマジでうまい。
「あ、忘れるところだったわ・・・シンジくん、頼みたいことがあるのだけど」
「なんでしょう?」
「綾波レイの更新カード渡しそびれたままになってて、悪いんだけど本部に行く前に彼女のところに届けてもらえないかしら?」
「あー、明日召集が掛かってたんでしたっけ・・・その時にですね?」
「そうよ」
「綾波さんにも明日召集を?」
「零号機の起動実験だからもちろん呼んであるわよ・・・そうね、一緒に来てもらえると助かるわ」
狙ったかのようなタイミングで綾波さんと接触するチャンスが。
こんな機会中々無いだろうし思い切ってかなり踏み込んでみようかな・・・?
「どうしちゃったの、レイの写真をジーと見ちゃったりして?」
どうやら僕は渡されたカードを見つめたまま固まっていたらしい。
さっきの仕返しとばかりにミサトさんにそこをツッコまれてしまった。
何勘違いしてるんですか?僕のターンは終了していませんよ?
「いや、綾波さんってやっぱりかわいいなーと」
「あ、そ、そうよね、かわいいわよね」
「(うまいわね、ハッキリと感想を言われたことでミサトはその話題で弄れなくなった)」
僕が上!ミサトさんが下ですッ!
そこの所を勘違いしないで貰いたいですね。
・・・しかし、綾波さんの家、か。
きっとミサトさんとは比べ物にならないくらいに整っているんだろう―――
―――と、思っていた時期が僕にもありました。
リツコさんに教えて貰った綾波さんの住んでいるマンションは、なんとなくスラム街を彷彿とさせる小汚さがあった。
うん、これは勝手に期待した僕が悪いかな。
綾波さんは人間味が無いってケンスケと話したばかりだったのに。
外でもこれなんだ、中も部屋としての機能を果たしていれば問題無いって感じに色々散らかってると思っておいた方が良さそうだね。
僕は散乱しているゴミを避けながら進み、綾波さんがいるであろう部屋の前にたどり着くとインターホンを押した。
・・・あれ、鳴らない。
「綾波さーん?」
他に住んでる人は居ないみたいだし、少しうるさいくらいの声で呼びかけるが返答無し。
おかしいな・・・リツコさん曰く、綾波さんは学校と召集以外で外出なんかしないって聞いてたのに。
「綾波さーん・・・うわ、開いた」
もう一度呼びかけながら、なんとなくドアを開けようと試みる。
するとすんなりと開いてしまい予想外で驚いてしまった。
不用心ってレベルじゃねーぞ!
さすがにもうわかった。
綾波さんはかわいいけど、ミサトさん以上にアレだってことがわかった。
「・・・入るよ」
と、いうわけなのでお邪魔します。
僕は扉を開けて中に入り、靴を脱いで揃えて置く。
そっちが気にしないと言うなら僕も気にしないで入らせてもらおうじゃないか。
僕だって私情で来てるわけじゃ無いし、あんなところで立往生しているわけには行かないんだ。
だ、だから部屋に入って無造作に散らかってるであろう下着とか見てしまっても不可抗力のはずだ!
綾波さんだって気にしないよね!ね?
僕は自然と足が速くなるのを感じながら、ゴミだらけの廊下をずんずん進み、薄暗い部屋にたどり着いた。
「・・・」
その部屋をぐるりと見回した後、僕は首だけを回し自分の入ってきた玄関を見る。
うん、確かにここはマンションの一室だよね。牢屋とかじゃ、無いはずだよね・・・
確かに、僕のお目当てである脱ぎ捨てられた下着もそこには合った。
だけどそれ以上にコンクリートが剥き出しになっている壁と、ゴミ箱に山積みになった血の付いた包帯が気になってしまう。
いや、どんなプレイだ。
そんな感想を頭に浮かべながら、本来の目的である綾波さんを探そうと部屋の入り口から中へと進む。
部屋の真ん中辺りに立ってぐるりと見回しても綾波さんは見当たらない。
まぁ脱ぎ捨てられた服から綾波さんが今何しているかは大体わか、ん?
そこまで考えた所で、あるものが目に入る。
僕のお腹辺りまでの大きさしか無いタンスの上に置かれた、壊れた眼鏡だった。
綾波さんがしていることを考えれば、僕は早くこの部屋から出て行かなければならない。
それがわかっているというのに、僕はその眼鏡が気になってしょうがなかった。
「綾波さんの、じゃないよね・・・?」
デザインからしてとてもジジ臭いそれは、とても綾波さんに似合わない代物だった。
さらに言えば、こんな無駄な物がここにあるのもおかしい。
部屋を見回して僕はここには生活するにあたって必要最低限の物しか無いと感じた。
だから壊れたジジ臭い眼鏡なんて物は、かなり浮いた存在に思えた。
・・・まぁ、綾波さんからしたら無駄な物じゃないのかな?
僕はそう結論付け、他の物に意識を逸らす。
もし僕がここに閉じ込められて、脱出ゲームのような事をやっていたのだったらこんな意味深な物にはすぐに触っただろう。
だけど今はそんな事してないし、意味深な物は地雷だったりすることもある。
だから僕は壊れた眼鏡をスルーして、その下の引き出しから覗く下着の山を凝視していた。
・・・だけど何故だろう?ものすごいイベントを逃してしまったような気分になるのは。
ガラッ
その時、後ろから物音がした。
誰か僕の後ろにいる・・・いや、綾波さんが僕の後ろにいる!
しまった!遅かった!!
素早く退出する手筈のはずが、この眼鏡のせいで機会を逃してしまった。
全部この眼鏡のせいだっ!つまりこの眼鏡は父さんの物だね!!(暴論)
ノリで持ち主が決定してしまった眼鏡だったが、多分あってる気がする。
って今はそんな事考えてる場合じゃないか。
僕があんなにも急いでいるのは、脱ぎ散らかしてあった衣服から綾波さんはお風呂に入っていると推理したからだ。
だから鉢合わせしないよう急いで出ようとしたのに、父さんのせい(決定)で綾波さんが出て来てしまった。
つまりは・・・
「・・・何してるの?」
「勝手に上がっちゃってゴメンね?ちょっと用事があったんだ」
声を掛けられ、ずっと背を向けているわけにはいかなくなった僕は瞬間的に覚悟を決めて爽やかな笑みを浮かべて振り返る。
「リツコさんから綾波さんの更新カードを預かって来たんだけど」
そう言いながら『一糸纏わぬ状態で』廊下に立っている綾波さんの横をスッと通り過ぎ、踵を潰して素早く靴を履いて玄関のドアノブに手を掛けてから笑みを崩さないように振り返った。
「僕は外で待ってるからNERVに行く支度をして出て来てね、カードもその時に渡すからさ」
僕はそう言い残して外に出てから扉を閉め、その場から離れるように少し歩いたところで大きな溜息を吐いた後に側の壁に寄り掛かった。
・・・し、死んだかと思った。(社会的に)
あんな状況になった原因を辿れば変かもしれないけど、今この瞬間だけは綾波さんに人間味が無いことに感謝していた。
普通の女子だったら騒がれて僕の人生は終了していた確信がある。
ぶっちゃけ使徒との戦いより緊張したんだけど!
・・・もう綾波さん最後の使徒でも僕は驚かないよ。
僕は綾波さんが着替えて出てくるまで、ずっとギリギリの体験をした後に良くある興奮状態に陥っていた。
今回は使徒、でませんでしたね(すっとぼけ)
次回はなんと!みんな大好き◇さんがでます!
お楽しみにねっ!!
学校で疲れたので変なテンションになってるのは自覚してます。
サーセンしたwww
次回の投稿は土曜日を予定しております。