真夏のサーキット、午前9時近くのこと。ある一人の少年が、サーキットのパドックへとやってきた。
彼の名は、サカグチ・ユウイチ。18歳という若い歳ながら、注目を浴びているレーシングドライバーだ。赤と黒のツートンのクルマ、日産、R30スカイラインの隣に立ちながら、彼はサーキットに出る準備を待ち構えていた。
(今日は一番大事なレースなんだ…負けるわけには行かない。)そう考えていると、チームのメカニックが少年の元へと近づく。
「また鉄仮面にでも見とれてるかい。」
「親父のクルマだもんな、仕方ないさ。」そうメカニックたちは言うと、少年は返す。
「ま…まあそうですけど…」少し照れながら、微笑んでいた。
「おい若いの、頼むぞ今日。」パートナーとなる先輩レーサーが肩をたたきながら告げる。
「任せてください。このクルマで一応練習は積んでますから。」少し自信気に返した少年。
「俺はもう体があれなんだ、今日は期待してるぞ。」先輩レーサーは、そういって、少年とグローブでの握手を交わす。
午前10時、レースが始まった。少年は今、青いGT-RのGTカーで2位スタートのまま、1コーナーに入っている。インを取り、前の紫青のHSV-010をパスしていく。これでトップに上がった。2コーナーを抜けて、連続コーナーに入る。そして、上った左コーナーを立ち上がり、ここまで、2位に1秒近くの差をつけた。しばらく緩い左コーナーが続き、それが終わると、少し角ばった右コーナーが見えた。しかも、そのあとの直線の先に、もう1個見える。それを駆け抜けて、短い直線に入る。その後、緩い右コーナーからのきつい左ヘアピンカーブが待ち構え、それに向けてブレーキを踏み込む。十分減速できたら、アクセルを少しずつ踏む少年。そこからは、緩く少し上ったり下ったりの右コーナーを抜け、再びブレーキをかける。きつい左、短い直線、そしてまた左コーナー。そこから先は長い直線。少年はそれが完璧に見えた途端、アクセルを思いっきり踏み込んだ。加速しているGをものともせず耐え、そこからの左コーナーに備える。ブレーキを入れ、左コーナーをクリア。直線からの、きつい連続コーナー。少年はブレーキを踏み込み、一気にスピードを落とす。そしてその連続コーナーを曲がり切り、緩い右コーナーを抜け、スタートした場所へと戻る。
パドックで見つめているメカニックと先輩。心配そうに見つめている人もいれば、少し微笑ましい顔で見ている人もいる。
「調子いいね彼。」
「いやぁ若いのっていいね。」
「この子すごいよね。」というような声もあれば、
「トップ守ってくれよ」という先輩の声もある。
1時間が経過し、レースは佳境を迎えていた。この時点でピットインしタイヤを交換、ドライバーも交換して、ほぼ1位決定という状況でコースに復帰していた。
「いやぁありがとう!」
「すごい!」ほめたたえられ、今日も絶好調の少年。
「いや、そんな僕はまだ…」照れくさそうに少年は言う。
この時点で、少年のチームのクルマは最終ラップに突入しており、周回遅れが出てきたほどである。先輩レーサーは最後の長い直線を抜け、緩い左からのきつい連続コーナーに備え、ブレーキを踏み込む。きついコーナーを抜け、スタートした場所に戻った!
「さあここで早くもGT-Rがチェッカーを受けました!やはりこれは、少年の成長と、能力のたまものと言っても過言ではなさそうです!」実況も少年を盛大にほめたたえた。
ウィニングラップを終え、戻ってきた先輩レーサー。
「いやー今日は絶好調だね!」
「これも若い君のおかげだよ、よく頑張った!」先輩レーサーから、メカニックから、褒め倒される少年。
そして表彰式。見事表彰台の真ん中に立ち、シャンパンファイトを浴びた少年と先輩レーサーは、夏のレースの栄冠を手にした。
が…その喜びはつかの間だった。観客席から悲鳴の声が聞こえたのだ。レーサーたちはたちまちそのまわりを見て恐怖する。そして少年は愕然とした。
「同じだ…親父を殺されたときのと…全く同じだ…!」悲鳴とともに、レーサーたちにも襲い掛かる謎の怪人たち。少年は絶望した。その時だった。駐車場あたりから何かが光っている。少年はそれを見た。
「あの位置…間違いない、僕のスカイラインからだ!」彼は表彰台を急いで降り、駐車場に合ったスカイラインの運転席を開ける。そこには、黄金色に輝くベルトが運転席にあった。
「親父…使わせてもらうよ…!」少年は一回目を閉じ、ベルトを腰につける。まるで何かに目を覚ましたかのような表情を浮かべる。その眼は鮮やかな青。ベルトの6色のうち、赤いボタンを押し、そして彼は、人々を守るために…大声で叫ぶ。
「変身!」パスを腰のスキャン部分に照らし合わせた!
<FLAME・FORM>
素体のNEW電王から一転、明るい真紅に染まるボディ!そしてフェイスは、NEW電王のメット部分が炎の色で埋め尽くされている!
「サカグチ家の名にかけ、燃えまくる!」炎でできたようなその剣を構え、怪人たちを斬り捨てる!
表彰台とパドックでも、怪人の勢いは止まらない。
「や、やめてくれぇぇ!」その叫びに応えるかのように、戦士は剣で怪人たちを斬り捌いた!
「早く逃げてください!」
「わ、分かった!」少年は怪人を斬り続ける。一匹残らず、すべて消えるまで。メカニックたちは無事逃げれた。
表彰台に上り、怪人をここでも斬る。
「大丈夫ですか!?」
「その声!若造か!」先輩レーサーは彼の声を聞き、一安心した。
「皆さん、早く逃げて!」
「おう、済まんな!」表彰台から逃げたレーサーたちは、戦士が戦ってくれることを祈って、無事、パドックから、車ごと逃げることができた。
観客席でもも怪人が湧き出て、人々を襲っていた。戦士は怪人を炎をまとった剣で斬り裂き…
「皆さん、早く逃げてください!」観客たちは一目散に逃げた。これを見逃すはずもない怪人たちはさらに追いかけようとする。それを戦士は許すはずもない。彼は背後から次々と斬り倒した。すると…
「おのれぇ貴様何者だぁ!」ボスっぽい怪人が姿を現した。深緑色の怪人だ。
「何者だって?ただのレーシングドライバーさ!」レーシングドライバーを名乗る戦士は、剣で斬り続ける!そして!
「まあ何となく、見ていたからわかるけど!」パスを再びスキャン部分に照らし合わせた戦士。
<FULL CHARGE>戦士は高く飛び上がり、その状態から、左足を曲げ、右足をまっすぐに伸ばす。
「はぁぁぁぁぁぁ!」そして、戦士が炎に包まれる!
「ういやぁぁぁぁぁ!」キックを浴びせた!
「ま、まさかお前は…!」怪人は気がついた。
「そう、サガミ・ユウヤ、ヒャクタロウの息子だ!」彼はついに本名を明かした。
「ハイパー電王めぇぇぇ!ぐおあぁぁぁぁぁ!!!!」怪人は爆散して消えた。
少年は変身を解除し、その青かった目も、変身が解けた途端、普通の目に戻った。
「ハイパー…電王…これが、か…」彼は言われたことを呟いたのだった。
「とうとう姿を現したか…仮面ライダーハイパー電王…」血のように深紅い戦士が椅子で足を組み、どこかのモニターを見て確認していた。
「ヒャクタロウめ、こんな隠し玉を用意していたとはな。」30代に近い男がそういった。
「心配しないでください。この仮面ライダーNEO電王の敵ではありません、もう少し様子を見ましょう。」その深紅い戦士は、不敵な笑みをこぼした。
レース時のコース
鈴鹿サーキット
青いGT-RのGTカー
カルソニック IMPUL GT-R
紫青のHSV-010
レイブリックHSV-010
次回からヒロイン登場ですw