レース翌日、いつものようにトレーニングを続ける彼。シミュレーターでの練習、スカイラインに乗っての実戦テクニックなどを基本に行っていた。今日も、スカイラインで走りこむために、サーキットへと足を運ぶ。そして午前11時くらいにピットを出ることとなる。
「今日もよろしく頼むよ、スカイライン!」少年は気合十分だった。アクセルを踏み込み、ピットを出た。
きつい右コーナーを抜け、その後は緩いS字。そこからくる左ヘアピン。そこを立ち上がると、少しきついくらいの右コーナー。DUNLOPの文字がくっきりと見える。緩い左からのきつい右ヘアピン。そこを抜けると長い直線。すると…左右対称の円い4つのライト、白いボディが、彼の目に見えた。
「R34のGT-Tかぁ…よし、勝負だ!」直線で大きく離されるR30。しかし、最後の緩い右コーナーで、R34との差を一気に詰める。が、それを抜けるとスタートした場所へと戻る。そこは長い直線。R34に離されてしまった。
「まあ仕方ないよなぁ…こっち吸排気系とコンピューターチューンだから…足もまだまだやわらかいし…しかもなんか音からして速そうだしなぁあの34。」その後も速いクルマにはぶち抜かれていく少年のスカイライン。流石の少年でも、パワーと年式の差を挽回することはできなかった。しかしその後も走りこみを続け、かなりサーキットを周回した。
ピットに戻り、気づけば早くも30分以上経過している。楽しいことに熱中すればするほど、時間は短く感じるのだ。
「タイヤもほぼダメになってるし、そろそろどこかに行って飯でも食うか。」そしてサーキットを出た少年は、昼食を食べに、行きつけのレストランへとクルマを停める。その後は彼の大好きなステーキを、ライスと共に頬張り、レースとバイトとで稼いだお金で払った。
高速道路に乗り、メンテナンスショップへ立ちよることにした少年は、スカイラインを走らせる。気がつけば、ガソリンの半分を使い切っていた。
「もうガソリン半分か…旧車は仕方がないかなぁ。でも、せっかく親父が遺してくれたクルマだし、もったいないよな。」高速の出口が見えた。少年はETCゲートをくぐり、無事出れた。そこからさらにクルマを走らせ15分。メンテナンスショップにたどり着く。駐車場にクルマを停め、ボンネットを開ける。
「もうオーバーホールの時期かなぁ…」FJ20ETでも、限界が来ている。亡き父親が愛車として長く乗っていて、かつ毎日の通勤に使い、サーキットを走りこんでいたのだから、クルマのエンジンが限界来ても仕方がないだろう。クルマをメンテナンスに出して、早速チェックしてもらうこととなった。
そのあいまに、新しいタイヤを買うために、その隣のタイヤショップに行って、新しいタイヤを買うことにした。
「うーん、今時はネオバだよなぁ、名前もかっこよさそうだし。実際使ってる人もいい評価をしてるみたいだから…」ということで、タイヤは、横浜ゴムの、“ADVAN NEOVA AD08R”というタイヤを選んだ。全部交換したいという言葉から、4本購入。ホイールは、亡き父親が履いていた、ワタナベホイールというホイールメーカーの“EIGHT SPORK 艶なしブラック”。
ちょうどよくメンテナンスも終わり、どうやらエンジンは予想通りだったものの、ミッションまでオーバーホールを行う時期だというのだ。そこで、かつてのR33スカイラインにもつけられていた、RB25DETを載せ替え、ミッションも変えることにして、ついでに先ほど購入したタイヤまで交換してもらえたという徹底サービス。2時間かけ、ようやく終了。100万近くを払い、自宅に戻ることにした。
ところが、その帰り道のことだった。謎の黒ずくめの戦闘員たちと、一体の青い怪人が姿を現した。それでもユウイチはスカイラインを止めず、黒ずくめの怪人たちを轢いた。そのあと出クルマを停め、降りた。
「そこまでだ、ハイパー電王!」青い怪人が喋った。
「鈴鹿の時のやつのお仲間かい!ったく、面倒かけやがって!」そういった少年はベルトを腰にセットし、右腰にあるパスを持ち、左の人差し指で赤いボタンを押す。
「変身!」あの時のようにパスとスキャン部分を合わせる。
<FLAME・FORM>
「さっさと帰らせてもらうぜ、俺だって仕事で忙しいからな!」フレイムダイトを手に取り、戦闘員たちを斬り続ける。十数体もいたはずの戦闘員が灰になった。
お構いなしに青い怪人も斬る。しかし…
「効かない!?」フレイムダイトをもってしても、この怪人には効かなかった。
「フハハハ!俺は火関連の攻撃は通じんぞ、さあどうする?おるぁ!」怪人が蹴りを入れる。
「くそ、他になんか無いのかよ!うわぁっ!」ハイパー電王はダメージを受け倒れた。
「フフフ…!死ねぇ!!」怪人がハイパー電王を斬り裂こうとしたその時だった!
「てやややぁっ!」甲高い女性のような声が聞こえた!その女性はとび蹴りを食らわせる!
「ぐおっ!?」怪人はひるんだ!その隙にハイパー電王の彼を立ち上がらせる。
「大丈夫!?」その声の主は、金髪のロングヘアー、グレーがかった白い瞳、黄色いタンクトップの下着の上には白の半袖の上着、黄色いミニスカート、そして黄色いパンプスを履いた美少女だった!
「え…女の子!?」ユウヤは驚いた。生身の少女が、怪人を相手に戦えることを…
「やめてくれ!君は生身の人間だ!あんな怪人と戦える相手じゃない!」彼は止めようとする。しかし、少女は止めようとしない。
「見た目はそうでしょ?でもほんとはすごいんだから!」少女がまたも怪人に蹴りを何発も入れる。
「確かにすごいのは分かったけど、僕はどうすればいい!?」何をしたらいいのかわからないユウヤに、少女はこう告げる。
「その緑のボタンがあるでしょ?それをまず押して!」
「あ、ああ…」すると、スキャン部分が緑色に光った。
「そして、これとパスを照らし合わせてみて!」少女の指示通りに彼はやった。
「させるかぁぁぁ!」怪人が襲いかかった!
「ほら早く!」
「あーわかったから!」少年はそのパスを照らし合わせた!
<WIND・FORM>
緑色の竜巻が炎を消し飛ばし、アーマーが緑色に染まる!そして、メット部分が風の様に渦巻く!
「何!?」ハイパー電王の変わった姿を見て、怪人は驚いた。
「やったぁ!これでフォームチェンジも覚えれたわね!」少女は喜ぶ。それに対しユウヤは…
「二刀流かぁ…まあ悪くはないね。」そう言っている合間にも、怪人は近づく!それに対して、二本の刀で相手を斬り裂く!
「ぐはぁ!」怪人はまたもダメージを受けた!
「これは繋げてもいいのかな…うわぁ!」二本の刀が、一本の薙刀に変身!
「すごーい!君センスあるじゃん!」少女がほめる。
「なんとなくやっただけだよ!僕は戦略的にやったわけじゃない!」照れながらも彼は言い返す。そのあと、まるで薙刀をブーメランの如く投げたその時、ブーメランの周りに緑色の竜巻が!
「うおぉぉぉぉぉぉ!?」風に巻き込まれた怪人。その怪人は薙刀に斬られながら、高く舞い上がっていく!ブーメランが戻ったころ、怪人は吹き飛ばされて地上に落ちている!
「くそぉぉ!」怪人が性懲りもなく近づく!
「これで決まりにする!」
<FULL・CHARGE>
もう一度ブーメランを投げ、竜巻が起きる!怪人はまたしても吹き飛ばされ、高く舞い上がる!
ハイパー電王はその竜巻の中に飛び込み、ブーメランを解除した途端、二刀流の回転切りを決めた!
「おのれハイパー電王!次はないぞぉぉ!ぐあぁぁぁ!」怪人は爆散した。即座に変身を解除するユウヤ。初めて彼女の顔を素顔で見れた。
「お疲れ様!」少女が純白の瞳で見ている。彼は恥ずかしいのか少し火照った。
「というか、君…瞳が白いよ?」
「そういう君だって、目が蒼いよ?ほら。」お互い目の色に気がついている。少女は鏡を持って確認させる。
「ホントだ!目が蒼い!?」彼はやっと気がついた。
「普段はこんな目じゃないのに何で…」彼は驚きのあまり声を潜めた。
「君、覚醒者って言葉、知ってる?」少女は突然不可解なことを言い始めた。
「いや、全然…」ユウヤは青い目を丸くして答える。
「全世界で4人しかいないって言われてる、言ってみれば超人って言ったらいいのかしら。」
「超人だって!?しかも、僕が4人のうちの…一人!?」少女の発言に、ユウヤは驚いた。
「そう、そしてあなたはその中の一人、蒼き覚醒者。」
「蒼!?色があるのかい!?」ユウヤは、初めて知った衝撃の事実に驚きが隠せない。
「実は、あたしも覚醒者なの。白き覚醒者っていうんだけど。」
「白、青、じゃあ赤とかってあるかい?というか、どんな原理でそうなる?」知らないことの多い彼にとって、覚醒者なぞ知ったことではない。知っているのは、せいぜいクルマのことくらいだ。
「覚醒者には4種類いるの。黒、赤、白、そして青。」
「じゃあなんで僕がそんな超人として選ばれたんだ?」彼は選ばれたことが不思議だった。
「まあそこはあとでゆっくり話しましょ?あ、そういえば、名前聞いてなかったね。」少女は今頃になり、名前を聞いていなかったことを忘れていた。
「あ、そうだね、じゃあ送ってく?その時話そうよ。乗って。」ユウヤは少女を、愛車に乗せる。エンジンをかけて、話しながら少女の家に送っていく。
「ずいぶん古そうな車に乗ってるね。」
「親父のおさがりでさ。」話が弾んでいた。
「ところで、名前は?」
「あ、あたしはアクア・スプレイン。そっちは?」
「僕、サカグチ・ユウイチ。レーシングドライバーをやってるよ。よろしく。」シフトアップしながら、話を続ける。
「レーサーやってるんだ。そうなの。」少女は明るく返してくる。
「それでさ、その覚醒者になる条件ってなんなんだい?」彼はさっきのことを再び聞き始めた。
「最近の話だと、覚醒者になるための細胞が、遺伝子にくっついて、それでなるとか言ってたような…わかんない。」
「そっかぁ…」少し暗いムードながらも、彼は少女を送る。
「覚醒者か…ハイパー電王もなってしまったか。」NEO電王は椅子に座って観察していた。
「まあ、我々も、その二人ではあるがな。」30代の男がそういう。
「白と蒼なんぞまだ弱い。到底かなうわけでもなかろうに…」NEO電王はそういいながら、自信におぼれていた。
サーキット
筑波サーキット
R34のGT-T
日産・スカイラインの10代目に当たる。GT-Tとは通称で、本来は25GTターボである。当時、RB25DETと呼ばれるエンジンで、メーカー自主規制の280馬力を達成していた。この作品で出た車両は、エンジンや軽量化などに手を入れた、本格チューンドで、約500馬力ほど。
FJ20ET
R30スカイラインに搭載されていた2Lターボの直列4気筒エンジン。
RB25DET
R34スカイライン25GTターボに搭載された2.5Lの直列6気筒のターボエンジン。実際は、その前のモデルであったR33スカイラインGTSタイプMにも搭載された。
ADVAN NEOVA AD08R
横浜ゴムが開発しているスポーツ専用タイヤのこと。
EIGHT SPORK
ワタナベホイール社の製造しているホイールのことで、艶なしブラックは、頭文字Dの主人公駆るAE86型スプリンタートレノのホイールとして使われている。
おまけ
「しかしこれではまずいな…」一人の男が言う。
「どういうことだ?」NEO電王が言う。
「いえ、作者に言いたいのですよ。」男はそういった…って俺!?
「そうか、作者、この小説は何話で終わすつもりだ?」NEO電王は言う。
作者「えーっと…この話は次の物語にもつながっているからねぇ。だからと言って長続きさせるわけにも行かないんだなぁ。しかも次のやつがとんでもないくらい長いから…15話くらい?めんどくさいから。」
NEO電王「こんな展開が遅すぎるのでは話が全く進まない。省略しても、幹部軍団は無視してでも構わんから俺とハイパー電王を戦わせろ。あいつらにも作者側の事情は言っとく。」
作者「はあ…」
NEO電王「ヘタすれば10話近くで最終回でもいいんだ。早くおわして、次の物語を書け。」
作者「んじゃ次回ハイパー電王とNEO電王が直接対決ということで。」
NEO電王「頼むぞ。」