今回はすごいよマサルさんが題材です
死後の世界。
それはこの世に未練を残した若者が行く世界。
そんな世界で神に抗い続ける死んだ世界戦線。
そんな彼等の前にあの男が現れる。
天使を貶める為に始めたオペレーション。
天使のテストの点を0点にする為に普段は入らないNPCで埋め尽くされた教室に潜入した死んだ世界戦線。
それぞれが席に付いてテストが始まる。そんな時だった。
どこからともなく聞こえてくる妙な歌。
ダバディ~ ダビドゥビ~ ダァ~
あんたァ~ セクシ~ じゃァ~ん…
死ぬなァ~ おじいちゃん~ 恋のォ~
フラフップ~
──あんた…もう、お酒はやめなはれ──
奇怪としか言い様のない歌。周りを見ればNPCの生徒の顔色が悪い。
すると教室の扉に人影が映った。
彼が今の歌を歌っていた人物なのか?
音無がそんな事を思えば、その人物は何故か教室の扉ではなく扉の上に設置されてる窓から教室に入ってきた。
「皆、 おっはよー!」
現れたのは妙にトリッキーな髪型で紳士服の肌着を身に纏い、特に目を引く肩に円盤状の物体を装備した男子生徒
これが彼。花中島マサルとの出会いだった。
「フンフッフッフーン!今日がテストだったなんて知らなかったなぁ。うっかりしてた」
何故か妙に浮き浮きしながら教室を歩くマサル。
そして彼は音無が座っていた席に来ると音無を指さして叫ぶ。
「誰だねキミはこんちくしょー!」
「あ!ええっと……」
あまりの出来事に対応できない音無。
死んだ世界戦線メンバーのユリや日向、高松、大山、竹山も同様でフォローに回れないようだ。
「彼は先程アナタが居ない時に教室に来た。転校生の様なもの」
「なぁーんだ、そうだったのか」
天使がマサルに音無の説明をしてマサルは納得したのか表情を和らげる。
「僕はてっきりメソ……ゲフンゲフン!いや……何でも無い……」
マサルは何かを言いかけたが咳をして誤魔化す。
その場に居た全員が思っていた。
『メソって何だ!?』
「キミ、失礼したね。僕は花中島マサル。よろしく」
「あ、ああ。俺は音無だ」
スッと出された手を握り、握手を交わすマサルと音無。
「なぁに、僕の机なら気にするな。どうにでもなるさ」
親指を立てて爽やかに告げるマサルに音無は先ほどの印象は薄れ、警戒を解き始めていた。
◇◆
──違う……何かが違う!──
音無は心の中で叫んでいた。
現在、マサルと音無は一つの机を二人で使用していた。
左半分をマサルが使い、右半分を音無が使う。
当然狭くなりギュウギュウの状態で受けるテスト。
テスト中にも関わらずクラス中の視線はマサルと音無に集中されていた。この後、音無は昼食までこの状態で過ごすこととなった。
◇◆昼休み◇◆
昼休みになって食事と休憩をかねて音無達は屋上に来ていた。しかし、そこに居たのは先ほどまで一緒だったマサルだった。
「やあ、音無。キミも昼食は屋上派かい?」
弁当片手に陽気に挨拶をしてくるマサル。
ユリの指示で仕方なくマサルを交えて昼食になったのだが……
マサルの弁当箱には、ゆで卵が一つ入っているだけだった。
「卵1個ォォォォォォっ!?」
戦線メンバーのツッコミ役の日向が叫ぶ。それはそうだろう。
弁当箱に卵1個。
しかもマサルは不満げにゆで卵を半分食べた所で投げ捨てた。
それも束の間。
「貴様かユリッぺの邪魔をした奴と言うのは?」
斧を肩に担いだ野田が屋上に現れた。
どうやら彼はマサルがユリの邪魔をしたと勘違いをしてマサルを倒しに来たようだ。
「売られたケンカは買おうじゃないか。それに僕がマスターした格闘技『セクシーコマンドー』の前に敵はない」
「ほざけ!」
自身満々に告げるマサルに野田はカチンと来たのかマサルを殴りつける。
「ガフッ!」
「花中島君!?」
殴られたマサルを心配する大山。マサルは痛みに耐えながらも口を開いた。
「ぐぅぅ……お前のパンチを食らって倒れなかったのは俺が初めてだ」
全員がマサルの言葉に首を傾げる。
○ 俺のパンチを食らって倒れなかったのはお前が初めてだ
× お前のパンチを食らって倒れなかったのは俺が初めてだ
全員が混乱する中、マサルは目を光らせると構える。
「今度は此方の版だな……ハァァァァァァァ……」
マサルは両手を広げたかと思えば、ゆっくりとした動きだ。
そしてマサルは驚愕の行動に出る。カチャカチャとベルトを外し、なんとズボンのチャックを下ろしてパンツ丸出し状態になったのだ。
ユリは顔を赤らめながら手で顔を多い目の前の光景を見ないようにしている。
音無達はリアクションに困り、野田は怒りに震えていた。
「貴様……何のマネだ?」
「フフフ……どうした?怖じ気付いたのかい?」
ズボンを下ろし、パンツ丸出しで野田を挑発するマサル。
「百回殺す!」
野田が大斧を振り回し、マサルに迫る。しかし、マサルはニヤリと笑うと宙を舞った。錐揉みしながら野田から距離を取ったマサルからは妙なオーラが放たれていた
そしてマサルが目を見開いた時、セクシーコマンドの奥義が発動された。
「ヌアアアアアアアアアッ!」
マサルは下ろしたズボンを利用しながらピョコピョコと、それでいて妙に速い速度でヒヨコ走りをしながら野田に迫る。
「うわっ!?」
「気色悪っ!?」
野田を含めた戦線メンバーは、その行動に驚愕しながら引いていた。
そして、その隙を狙いマサルが拳を振り上げる。
「今だ、必殺!ラブ、ミー、ドゥー!!」
「グファァァァァァァァァァァァァっ!?」
超強力なパンチを食らった野田は宙を舞い、血を吐きながら地面に叩きつけられた。
マサルは拳を振り抜いた状態だったがズボンは下ろされたままだった。
「す、凄い……」
「一撃で野田君を……」
音無と高松は驚愕した。
アホだが戦闘力だけを見れば野田は戦線メンバーの中でも上位に入る。それを一撃で沈めれば当然のリアクションだ。
「なんて凄いパンチなんだ……」
「フフッ青いな音無。今のは只のパンチ。セクシーコマンドの奥義は攻撃にあらず」
音無の呟きにマサルはズボンを上げて、チャックを絞めながら答える。
「さっきのヒヨコ走り……アレがセクシーコマンドーだ!」
「「「な、なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」」」
マサルの説明を聞いた戦線メンバーは驚愕した先ほどのヒヨコ走りが何故、技なのかと。
「フ、格闘技なんかのフェイント等の技術を技として昇華させたのがセクシーコマンドだ。どんな強い奴でも油断させたり、気を引けば脆いからね」
説明を続けながら倒れている野田に歩み寄るマサル。
「そして、その一瞬の隙を逃さずに最高な一撃を与えるのがセクシーコマンドーの極意だ。『弘法も筆の誤り』『猿も木から落ちる』『ヒゲ長き小学生に優る者無し』ってね」
説明を続けながら野田を優しく抱き起こすマサル。
「最後のは意味が解らなかったけど、確かに凄い格闘技なのかも」
「ああ、技術もさることながらソレを実行できる度胸も凄い」
「このセクシーコマンドーを極めれば天使に対抗できる技術になるかしら」
マサルの背を見ながら戦線メンバーは口々に言葉を発する。
「凄い、凄いよマサル君!!」
大山がマサルを褒め称える。それに対しマサルは抱き起こしていた野田を再度床に寝かせた。
気絶している野田の顔にはマサルがヒゲをマジックペンで書いていた
「ふぅ……良いヒゲ書いた」
野田をぶちのめした時よりも良い仕事をしたとマサルは満足顔だった。
死んだ世界戦線メンバーは『マサルの方が天使より35倍は怖い』と思うのだった。
Angel Beats!の短編第二弾でした
思いのほか長くなりました
やはりマサルさんを混ぜるとギャグ率が高まります
不良役が天使やNPCでは難しいと思ったので野田で代用しました
これにて今回の短編の締めの挨拶とさせて頂きます