真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中) 作:ブラック・レイン
マニアクスの真骨頂。アマラ深界の始まりです。
「どこだ……ここ……」
ギンザへ出るという出口を通り、あまりの眩しさに目を閉ざしながら進むとオレは謎の場所にでた。
この場所はギンザじゃない。直感がそう囁く。
それにここの雰囲気は初めてじゃない。シンジュク衛生病院の地下でエレベーターを開けた途端飛ばされた、あの場所の雰囲気だ。
空気の重さに息が詰まる。だが、何故か前回その雰囲気を感じた時よりもその感じは薄くなっている気がした。
しかし状況は最悪。仲魔達の姿もなく、召喚も出来なくなっていたからだ。
警戒しながら辺りを見渡すと目の前に巨大な穴のようなものがあった。
興味に駆られ、オレはその穴を覗いた。
次の瞬間
「…………おっと」
『意識が引っ張られる』感覚がオレを襲い、視界を他人の手によって変えられている現象が起こった。
視界は穴を通り、奥へ奥へと進み、終着点について停止した。
そこは劇場だった。垂れ幕がかかり、開幕を待っている舞台だった。
寒気が走るほどそれは綺麗で、だが悪魔であるこの身も震えるほど恐ろしい何かが潜んでいるそれは、しばらく待っているとその幕をキィ…キィ…と音を立てて上に上げた。
開幕した舞台はどこかの部屋を模倣したかのような舞台で、暖炉や本棚が置かれていた。
そしてそこには、病院でオレを謎の場所に誘った車椅子の老紳士と喪服の女性が立っていた。
オレが呆然としていると女性が言葉を投げ掛けた。
「…いらっしゃいましたか。宿命があなたをここへ誘ってくれると承知しておりました。
ここはアマラの果て。人であった身には魔界と言ったほうが良いのでしょうか」
魔界…確かにその名前に似合う雰囲気をここは持っている。
しかしアマラは果てとはどういうことか?まさかアマラ経絡を奥へ進みすぎたというのだろうか?
オレが疑問の言葉を心の中で悶々と続けると女性が言葉を続けた。
「感じていようとは思いますが、ここには数多くの強力な悪魔が潜んでおります。
その神に貶められた者らはここをかりそめの住み処とし、再び飛び立つ時を待っているのです」
なるほど。確かに悪魔が住む世界だ。神に貶められた者というのは大概悪魔や邪神を指すのだから。
オレがそう感想を想うと女性が意識だけのはずのオレをひたと見据えた。
「悪魔の力をその身に宿せし少年、夜藤 零時。
今はまだ弱く、このアマラ深界のマガツヒにもただ流されるだけ……
ここに来たのは迷いこんだも同然に思えるでしょうが……案ずることはありません。
あなたが向かおうとした地まで私達の力で送り届けて差し上げます」
それはありがたいが、とても感謝する気になれない。いったい何が狙いか?敵か味方か見定めることにする。
「さぁ、トウキョウの地へ戻りなさい。今のあなたがこの地ですべきことは何もありません。
そう、今の力弱きあなたには……」
反論する気にはなれない。この地では生き残れないことぐらいさっきから感じる強力な悪魔の気で分かる。
しかし女性の話は終わりではなかった。
「…しかし、これだけは渡しておきましょう。その燭台………蝋燭立てはメノラーと言います。
あなたがその力の行方に迷ったとき、そのメノラーがあなたに考える手掛かりを与えることでしょう」
そう女性が言った途端、オレの手に何かを握らされた気配がした。
問いたいことはあるが、声が出せない。なすがままになるしかなかった。
「それでは……ギンザの地へお送りしましょう。宿命が望むのであれば……また会うこともありましょう……」
その声を最後に、舞台の幕が閉じ始めた。
その途端、オレの意識が遠退いた。
「……い、聞こえるか!」
気がつくとオレはシブヤや病院とは違う、しかし同じ形のオブジェの前に立っていた。
この声は言わずと知れた、ヒジリ記者だ。
オレは先ほどの現象にまごつきながら、ヒジリに大丈夫だと言った。
「よかった。なんとかギンザについたようだな。途中、お前の気配が消えたから心配したんだぜ?アマラ経絡に引き込まれたんじゃないかって……」
「……次からは絶対転送に失敗すんじゃねぇぞ」
全くその危険性を指摘されていないオレは剣呑な声をあげた。
「悪かったって……ごほん!次からはお前は足を使って氷川を追ってくれ。ギンザに手掛かりがあるはずだ」
「だといいんだがねぇ……さっきから全くツイてないからねぇ…!」
イライラとそう呟くとヒジリが声をうわずらせる。
「う、運はともかくオマエには力があるんだ。きっと強い悪魔がいると思うがオマエならきっと勝てるさ。……悪いが戦う力のない俺は俺なりに追うさ。
氷川を追っていればいずれまた会うこともあるだろう。
………じゃあな、お互いに生きて会おう」
「あぁ……幸あらんことを……ってね……」
その言葉を最後に、プツンという音とともにヒジリの声が聞こえなくなった。
オレはそうするとふぅ…と息をつき、いつのまにか手に持たされていた燭台……【王国のメノラー】を物置き空間に放り込んだあと、その場に座り込んでしまった。
さすがに疲れはてた。ここに来るこれまでの時間、いったい何回戦い、何回殺しただろうか?
学ぶべきことも考えるべきことがいくつもあり、何度も頭を使って頭が痛い。
体は疲れはて、眠たくなってくる。
あぁ、ここじゃ………眠っ……ては…いけないっ…て……いう……のに……
「うぅん……お……?」
気がつくとオレはオブジェのある部屋の壁にもたれかけていた。
キョロキョロと辺りを見渡すとハイピクシーとジャックフロストとカハクがオレの体にしがみついて一緒に寝ていた。
ハイピクシー曰く、悪魔は寝なくても大丈夫と言っていたのにも関わらずだ。
嘘つきが、と笑いながら呟くとオレは3人が起きるまで横になっていた。
3人が起きると部屋をでてさっそくギンザの街へ行った。
部屋の外は噴水広場。そこにはいきなり強そうな悪魔がいた。
ニヒロ機構の悪魔であると名乗った騎士風のその悪魔はとても紳士的であり、ニヒロ機構のことを表面上のことだけだが教えてくれた。
情報によるとニヒロ機構のトップは氷川であり、総司令を名乗っている。
ニヒロ機構が目指すのは感情に左右されない世界を創ること。
オレはニヒロ機構のことを詳しく調べるためにギンザを駆けて回った。
するとギンザのバーのママ情報通であるとの情報が入り、オレはバーに行くことにした。
少年移動中
バーなんてものは人間であった頃にも当然行ったことはない。
バーのママさんはなんと悪魔だった。
夜魔 ニュクスと名乗った女性悪魔のママさんにはオレが話しかけて開口一番「おませな坊やね」と笑われた。
精神的に傷つきながらもオレはニヒロ機構について聞いてみた。
するとニヒロ機構の本部がギンザのすぐ側にあると教えてくれた。
もしも入れなかったら相談に乗るともいってくれるがそれには及ばない。忍びこむだけだ。
オレは礼を述べ、ギンザに外に向かって出ていった。
結果、施設を見つけることは出来ても簡単に追い出されました。
警備している悪魔の数が多すぎるし、あまりにも組織的で隙がない。あれでは氷川を探す以前の問題だ。
オレは外にいる悪魔を仲魔にしながらバーに戻っていった。
「本当に行っちゃうとは思わなかったわ…」
「おぉい⁉入れないって知っていたのかよ⁉」
戻って知恵をお借りしようとしたところ開口一番呆れられた。
「大体、どうしてそんなにニヒロ機構の本部に行きたいのよ?お仲間になりたいの?」
「………探している人間がいるんだ。ニヒロ機構の本部にいるって話を聞いたから……」
オレが真剣にそういうとママさんはそう……と呟き、口を開いた。
「だったら良いこと教えてあげる。ゴズテンノウに、お会いなさい」
「ゴズテンノウ?」
その名前は知っていた。スサノオと同一視されることもある天部の名前でもあった。
しかしこの世界の神話上の生き物は全て悪魔。妖精であるハイピクシーやジャックフロスト、先ほど仲魔にした天使 エンジェルだってここでは仲魔以外は敵になる【悪魔】なのだ。
そのゴズテンノウも決して綺麗な存在ではあるまい。
「ゴズテンノウは、イケブクロ界隈を牛耳る悪魔の親分よ。
ニヒロとは敵対しているから、アナタには協力してくれるかもしれないわ。
イケブクロには、ここを出て橋を渡った先のギンザ大地下道から行けるわよ」
「なるほど、敵の敵は味方ってわけか」
オレが頷きながらそういうとニュクスはひたとオレを見据える。
「ヤボな事を言う気はないけど、……アナタの望み、叶うといいわね」
オレは驚いた。
仲魔でもない悪魔に優しくされるのは初めてではない。シンジュク衛生病院ではオレに物をくれたこともある。
だが、それはあくまでも気紛れなのだ。
ところが目の前に立つこの悪魔は気紛れでもなんでもなく、ただ優しい言葉を投げ掛けた。人間でも、会って数分の他人にここまで言ってくれる奴は珍しいだろう。
オレは素直に礼をいうと即座に準備に走った。
ギンザ大地下道は名前から察するに長丁場になりそうだ。仲魔も強くしないと危険だろう。
そういうわけで仲魔にすることと、ギンザにもあった邪教の館で悪魔合体を繰り返し、女神 アメノウズメ、魔獣 イヌガミ 聖獣 ユニコーン 天使 アークエンジェルを仲魔にした。
そのため何度も仲魔にするために悪魔と話し掛けなければいけず、お金に悩み始めたのはまた別の話。
お金不足は真・女神転生3をやっていく上で悩むことになるものだと思います。