真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中)   作:ブラック・レイン

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今回、零時の心の闇が分かります。そして零時君がチートになる所以も見られます。




地下道の死神と模倣と執着の悪魔

 

「人修羅!あなたという人はなんていうことをしてくれたのですか‼」

 

「だってぇ……!」

 

「だってもなにもありません!泥棒なんて下衆な真似をクドクドクドクド」

 

現在、オレハイピクシーとともにアークエンジェルに説教されている。原因はロキの部屋に泥棒をしたことだ。

 

恐らくアークエンジェルが人を導く天使だから説教しているのだろう。他の悪魔なら当然のように振る舞う。

 

規律を守る法が通用しないこの世界だからこそ、こういった存在は尊いのだろうが、いくらなんでも一時間正座はキツイ。

 

ちなみに人修羅というのはオレの悪魔としての名前らしい。なんでもオレは悪魔としてはそういう名前なんだとか。

 

「とりあえず、その盗んだものを返せとは言いません。私もあのような者にこのような富を持つなんぞ腹立たしいですからね。しかし今後このようなことをしないように!」

 

「「はい……」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギンザ大地下道に戻るとガタクタ集めのマネカタは大層、喜んだ。

 

「おお!!オサツだーーーー!!」

 

そういってオサツに頬擦りする姿はなぜだろうか?貧相な服を着ている事も相まって哀れに見えてくる。

 

しばらくそうさせておくとハッとマネカタが正気に戻った。

 

「いけないいけない約束を忘れていたよ。少し待ってくれ」

 

そういうとマネカタは奥にしばし引きこもり、出てくると少しくたびれた紙を持ってきた。

 

「……お待たせ。この手紙を門番に渡すといい。きっとイケブクロへ通してくれるはずだ」

 

「分かった。ありがとさん」

 

「こちらこそ、オサツを持ってきてくれてありがとう!」

 

互いに礼をいうとオレは部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マネカタがすみかにしている水路には妖魔 イソラというフォルネウスにそっくりな悪魔がうじゃうじゃしていた。

 

そいつらの退治(という名前の殺戮)を行いつつ、オレはギンザ大地下道を奥へ奥へと進んでいった。

 

イソラ達にはありがたくオレの新しい技の実験台になってもらいました。

 

もう、物理だけのオレじゃないぜ!

 

「おぉおおお‼“竜巻”!」

 

「「「ギャアアァ⁉」」」

 

ヒフミというマガタマがオレに教えてくれた(?)技である“竜巻”は水ごとイソラ達を打ち上げ、切り裂いていった。

 

燃費は悪いが、この技は強力でこの辺の悪魔なら直撃すれば一発であの世行きにできるだろう。

 

そして自慢できる攻撃はもう1つ。

 

「“ヒートウェーブ”!」

 

「「「ギャン⁉」」」

 

“カムド”というマガタマが教えた技、“ヒートウェーブ”

 

自らの生命力で作り上げた剣を地面に打ち付け、文字通り火の波を放つ技だ。この技を覚えたことにより、自分の生命力で剣を作り上げることが出来るようになった。

 

しかしどうも使いこなせない気がする。剣を使うアークエンジェルの剣技を見て真似てはいるが、なにか、なにか足りない気がする。

 

そうこういっているうちに水路を抜け、ゲートにたどり着いた。

 

「ぴぴー、トマレなさい。

この先、マントラ軍のあるイケブクロに通じてます。

マントラ軍が来たら大変だから、この門は開けられないのです」

 

ゲートにはマネカタがひとり立っているが、はっきり言おう。これじゃゲートなんざすぐ突破されるぞ。

 

呆れと不安のため息を吐くが、それを言葉には出さない。マネカタを守る余裕なんてオレにはないからだ。冷酷だが、今は生きることと歩き回ることで精一杯である。

 

オレはただ黙ってガタクタ集めのマネカタが書いてくれた手紙とやらを渡した。

 

……?……アイツからの手紙?………?………!

……わかったのです。そういうことなら、仕方が無いのです。……よし、通してやるのです。

ここを通りたい時は、いつでも声を掛けるのです」

 

表情をコロコロ変えながら手紙を読んだマネカタはそういうとゲートを開閉するスイッチを押し、オレを通してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悪魔を倒しながらギンザ大地下道を奥へ進むとマネカタの姿が見えた。

 

彼は何かを見て、腰を抜かしているようだった。

 

「マントラの悪魔とやらに、襲われてんのかね?」

 

オレは警戒体勢で近づくと、マネカタがすがり付いてきた。

 

「た、助けてくれ!こ、この先に、死神が出たんだ!」

 

「死神……何をいって……」

 

オレはそういったとたん、体内に違和感を感じた。オレはその感覚に覚えがあった。

 

オレのスキル、物置き空間に動くものがあるとその感覚が現れるのだ。

 

物置き空間を引っ掻き回すと、驚きの声をあげてしまった。

 

アマラ深界。そう教えられたあの世界でもらった【王国のメノラー】。それが勝手に火がつけられ、その火が激しく揺らめいているのだ。

 

なんだと悩んでいると、今度は全身をぞっとする感覚が包んだ。

 

この感覚は何度も感じた悪魔の気配。そして敵意。だが、なんだ?今まであった気配の中でも最も恐ろしい気配だ。

 

「ハイピクシー!アークエンジェル!警戒しろ‼」

 

「ふえっ⁉なんで、どうして!」

 

「しっ……静かに。何かが近づいて来ています。………恐ろしい……悪魔が……」

 

アークエンジェルが感じたのか辺りを警戒する。後方を警戒していたはずのアメノウズメでさえ、前に出て警戒している。

 

その時、声が聞こえた。

 

『メノラーの炎が私を戦いに駆り立てる……』

 

『貴公が何者かは知らぬが……メノラーを持っている以上、戦いは避けられぬ道だ』

 

『誰にも邪魔はさせぬ。私の結界内で雌雄を決しようではないか!』

 

その男の声が響いたとたん。

 

オレのいる床にシミのようなものが広がり、それはオレを声をあげる間もなく呑み込んだ。

 

「零時ッ⁉」

 

呑み込まれる瞬間、ハイピクシーの声が最後に聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと、オレは見知らぬ場所の上空を落下していた。

 

しかし、悪魔の身をもってすれば無傷で着地できる高さだったのでオレは衝撃を全身で受け止めるため、四肢全てを用いて着地した。

 

「フッ」

 

呼気とともに落下の衝撃に耐えるとオレは瞬時に立ちあがり、辺りを見渡す。

 

そこは荒野だった。あちこちに雷が落ち、空は燃えるように赤く、生命の気配がないのはボルテクス界と同じだった。

 

「………この結界、脱出しうるのは唯一人。すなわち勝者のみが敗者のメノラーを奪い、ここを出ることができる」

 

その時、オレ以外に誰もいないはずなのにどこからか声が響いた。

 

なにがなんだか分からないがその声に耳を傾ける。そこから得れる情報は存在するからだ

 

例えば今の言葉からなら、すなわち勝たなければ全てを失うということが分かる。この声はオレへの敵意と戦闘意欲に満ち満ちている。そしてここでいう勝負は文字通りの死闘なのだろうから。

 

「メノラーを持っているということは、貴公もまた最強の力を得んとするものか?」

 

その言葉とともにその声の主が目の前に現れた。

 

それは闘牛士のような出で立ちをしていた。きらびやかな衣装に身を包み、右手には深紅に染めたカポーテが握られている。

 

しかし闘牛士と違うのは左手に持っている細身の剣。そして髑髏の顔だった。

 

オレはソイツが放つ気配に精神的な圧迫感を覚えた。こいつの気配は死を連想させるのだ。なぜか脳裏に自分が死ぬ未来しか見えない。

 

オレはそれを感じてなぜ、あのマネカタが『悪魔が出た』ではなく、『死神が出た』と言ったのか分かった。

 

この雰囲気は力だけではない。こいつ特有の何かがあるのだ。

 

オレは骸骨のその顔を見据えた。骸骨にオレに向けて首をふった。

 

「許されぬ。それは許されぬぞ。最強の力を得るのは最高の戦士こそふさわしい。そして、それは……」

 

ここで言葉を切り、鮮やかな動きで空を切り裂き、骸骨、言い放った。

 

「血と喝采のなか、数多くの命を絶ってきた最強の剣士。すなわち私、【マタドール】こそふさわしい」

 

骸骨……マタドールは瞳のない眼窩でオレを睨めつける。

 

オレはその迫力に『押されなかった』。逆にソイツを見据える。

 

「貴公はメノラーを手にするものとしては失礼ながら力不足と見受けれる。私のような物に渡すのが相応だが……言ったところで受け入れはしまい」

 

当然だ。オレはあの時から奪われるだけの自分にならないと誓った。この王国のメノラーは要るものではないが、易々と渡すのはその誓いに反する。

 

その心情を知りはしないだろうがマタドールは剣を構えた。

 

「ゆえに貴公の体に問おう。私と貴公……どちらがメノラーを持するにふさわしい強者か……」

 

「この剣とカポーテにかけ、今宵もまた勝利を誓わん‼

さぁ血の劇場よ!最高の戦いの幕開けだ!」

 

「その誓い、破らせてもらうよ」

 

オレが静かにそういうとマタドールはカポーテをはためかせ、オレは拳をだらりと構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いが始まった。

 

マタドールの剣技は鮮やか、かつ正確だった。最強の剣士を名乗るのは伊達ではないようだ。

 

こちらも不恰好ながら反撃させてもらう。剣が頬を掠めるとこちらも拳を敵の頭に向けて放つ!

 

「フンッ!」

 

「むっ!」

 

攻撃の合間に喰らわせた攻撃は掠めるだけにとどまった。

 

そしてヒラリとマタドールが飛び退き、距離を取った。

 

「なるほど。メノラーを持つだけのことはある。だが、これならば触れられまい!」

 

“赤のカポーテ”

 

マタドールがカポーテを振るうとマタドールの体が緑色に一瞬輝く。

 

それは“スクカジャ”という魔法に似ているが、それよりも光が濃い。まさか……

 

「ヤァ!」

 

「のわっ⁉」

 

スクカジャよりも圧倒的に加速したマタドールの連続攻撃がオレを襲った。大きく飛び退いてかわすが、何度か掠めて全身のあちこちから血が流れ始める。

 

「逃がさぬ!」

 

マタドールは切り裂くような声と共にこちらへ跳躍し、その技を放った。

 

「“血のアンダルシア”!」

 

「ぎっ……!」

 

剣が血の色に光ったと思った瞬間、神速としか形容できないスピードで何度もマタドールが突きを放った。

 

オレは再び飛び退くが今度は遅かった。カムドで物理に耐性を持っているはずの体に深く突き刺さった。

 

ここで痛みに怯んだら負けだ。オレは何度も地を蹴り、距離を離そうとするがマタドールは無言でそれを負う。

 

戦いは劣勢を強いられた。スピードで完全に負けているのだ。そのうちあちこち刺され、突かれ、無傷な体の部位がなくなった。

 

マタドールは勝利を内心で確定させたのか、歯をカタカタ鳴らす。

 

しかしなぜだろう。なぜだ。

 

『なぜ、怖くない?』

 

頭がイカれたわけじゃない。そうであれば今の思考もできていない。

 

思えばフォルネウスやスペクターに劣勢に追い詰められた時も現れた感情は恐怖でなく、怒りだった。

 

今、オレの心を支配しているのも怒りとその怒りに対しての戸惑い。

 

いや、恐怖はある。だがそれはマタドールに対してではなく、負けることに対して、なのだ。

 

オレは小さい頃からいじめられていた。それはそのうち悪質になり、ついには大切な物まで壊された。

 

その時からオレは敗北することに恐怖を抱いた。そしてそれ以上に勝たなければいけないという思いを抱いた。

 

オレは報復に走った。オレをいじめたもの、オレをいじめようとするもの。その全てを敵とし、あらゆる手を使って潰した。

 

オレは1つのことに天才になれる才能はなかったが、あらゆることに精通する器用さはあったのだ。行える手は多数あった。

 

どんな手を使っても、オレの敵になったものを徹底的に潰したオレを千晶は妄執と執念の塊と評したものだ。

 

過去を思い出したオレはハッとした。

 

マタドールに恐怖せず、怒りが沸き上がる理由を見つけ、オレの動きが一瞬止まってしまった。

 

「終わりだ!」

 

マタドールは声とともに剣を突きだした。狙いは心臓、当たれば死ぬことは確定だ。

 

だがその時にもオレに沸き上がるのは恐怖ではなく、怒りだった。

 

「ウオラァ!」

 

獣のような声で瞬時に剣を精製し、それで胸に迫り来る攻撃的をオレは防いだ。

 

「ッ⁉」

 

骸骨ゆえに表情は読めないが、マタドールにまぶたがあるのなら目を限界まで見開いていただろう。

 

その隙にオレは剣を押し込み、マタドールを吹き飛ばした。

 

「ぐっ!」

 

吹き飛んだマタドールは受身をとると地面に着地し、こちらを睨めつけた。

 

「追い詰められたネズミの抵抗か。しかし私には勝て「うるさい」……!」

 

オレは痛みも忘れて剣で攻撃する。マタドールは慌ててガードする。

 

オレは剣で攻撃の雨を降らせた。マタドールは驚愕の声を漏らす。

 

「なぜだ……なぜだなぜだ⁉なぜ剣で私と渡り合える⁉なぜ加速した私の動きを追える⁉」

 

「お前の動きはもう【見飽きた】」

 

自分でも驚くほど冷たい声で言い放ち、オレはマタドールに向けてその剣技を放った。

 

「“血のアンダルシア”!」

 

「何ッ!ぐわぁ⁉」

 

マタドールに初めて攻撃が直撃した瞬間だった。

 

「なぜだ⁉なぜ、私の剣技を使える⁉」

 

「言ったろ?【見飽きた】と」

 

オレの才能は真似ること。マタドールのやれることは全てオレにもできる。“血のアンダルシア”も生命力を糧にし、剣を振るう腕を加速させてマタドールのように何度も高速で突けば良い。

 

オレが悪魔に恐怖しない理由は1つ。オレが勝ちへの執念があまりにも深いからだ。

 

どんな手を使ってでも負けないという想いがオレは強い。その手段を考えるのもオレは得意だ。

 

戦う技術も真似て学べる。心意気に至っては絶対に負けない。

 

はっきり言おう。死ぬイメージは見えてもそれが現実になる未来は見えない!

 

戦いは執念が原動力だということを教えてやる!

 

「死にさらせッ………!オレの敵になったのなら……死にさらせェェェェェェェェ‼」

 

「死ぬのは貴公だッ!」

 

剣戟に剣戟の応酬を繰り返す。ほら、剣士という枠組みに嵌まっているから剣でしか攻撃しない。

 

オレ達がやっていることにルールはないんだぜ‼

 

「“ヒートウェーブ”‼」

 

剣でマタドールを弾くと蹴りでヒートウェーブを放つ。

 

「なっ⁉」

 

別に炎の波を放つのに武器を用いる必要はないはずだ。薙ぐものがあればそれで良い。

 

しかしぶっつけ本番で撃ったからか威力が小さい。しかし剣士に生命線である腕を切り落とせた。

 

完全に意表を突かれたマタドールはオレから距離を取ろうとした。再生する手でもあるのだろうがそうはさせない。

 

「足掻くんじゃねぇッ!」

 

生命力を糧にすれば一時的に膨大なパワーを手に入れられるのはマタドールの“血のアンダルシア”オレの“突撃”が示している。

 

オレはそれを使って加速し、剣を振り上げてマタドールに迫る。

 

「うおおおお‼」

 

マタドールは裂帛の気勢をあげてオレの攻撃をカポーテで抑える。ほら、またオレを見誤った。

 

腕は二本ある。剣は瞬時に作り出せる。さて、これで次の攻撃は………分かるよな?

 

「これで終いだ!」

 

オレは二本目の剣を作り、横に薙いだ。

 

意表を突かれ、オレを見誤り片腕を無くしたマタドールはなす術もなく首を飛ばされた。

 

そして、反す腕で身体を薙ぎ、自由になった腕とともに身体をバラバラに斬り裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





今もチート?いえいえ、強いだけです。

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