真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中) 作:ブラック・レイン
感想で、ダンテかライドウどっちが出るのかと言われたことがあります。その問いはタイトルが答えになっています。
真・女神転生3 nocturne マニアクスを知らない方は純粋に物語をお楽しみください。
決闘裁判三回戦め。
ついにその三番目の悪魔がやって来た。
それは勇を殴り飛ばしたあの巨人悪魔だった。
巨人はオレを見下ろすと名乗った。
「ワタシは……鬼神トール」
トール。有名なその名前に内心で驚いた。トールといえばゲームとかでチラホラみる雷神ではないか。なるほど雷を落とされるとオニが戦慄するのも頷ける。
「ここまで見事な戦いぶりだった、と誉めてやろう。しかし……
この私にも、キサマの力が通用するかな?
我が裁きのハンマーをもって、キサマの力を試させてもらうぞ。
今しばらくの猶予を与える。万全の準備を整えるがよい」
「了解……」
オレは準備時間が存在することに感謝しつつ、闘技場の端に行き、マガタマを付け替えたりした。
悩むのはなんのマガタマを使うか、だ。仲魔は策のためにストックに待機しているからよしとして。このマガタマは迷う。
オレはトールの伝承を思い出す。雷神であるトールは一族の中でも力に秀でたという。
それが反映されているなら奴の自慢は電撃だけではなく強力な物理攻撃もあるということだ。
オレはそう考え、カムドのマガタマを飲み込んだ。これでオレは物理に強くなった。
そしてトールに向かいあった。
「準備できたぜ。さぁ、こい!」
「では……キサマの力を見せてもらおう!いくぞ…!」
「吠え面かかせてやんよ!」
そしてオレとトールの攻撃が衝突した。
攻撃の応酬は何百回も続いた。さすがマントラNo.2。犬と女とは違うってか。
力では完全に劣るオレが対等に渡り合えた理由は一つ。トールには速さと技に欠ける部分が目立つ。
ハンマーの攻撃、電撃攻撃は確かに驚異だが当たらなければどうということはない。片手で振るうハンマーは大きさに大してリーチが短いし、魔法は奴の目を見ればわかる。
これはハイピクシーの受け売りだが、攻撃魔法を使うにあたって地味に必要なのは指向性を持たせるなにかだという。
もっともオーソドックスなのは指。これが攻撃魔法に指向性を持たせるのに簡単な方法だし、指向性も高い。
次に目。つまり視線で指向性をつけること。これはかなりのテクニックがいるがこれが出来るなら武器を振るいながらでも魔法を正確に当たられるというわけだ。
トールが使っている魔法の発射方法は後者。視線だ。ハンマーという全身の力で振るう武器を使っているからだろう。ハンマーを振るいながらもしっかり魔法で当てようとしてくる。
だが、逆にいえばそれは視線で当てようとするなら奴の目を見れば雷を落とそうとする場所やタイミングが分かるということだ。
トールはハンマーを振ってこっちを牽制しながら魔法を使う。
視線がオレとその左右を薙ぐ。全体電撃魔法を左右を塞ぐ形で撃つつもりか。
前にはトールのハンマーがある。なら後ろに飛ぶ!
オレが後ろに飛ぶのとトールがマスク越しにカッと目を見開くのは同時。電撃が落ちたのはそのすぐあとだった。
ガァン!という音とともにオレがいたところとその左右に落ちた。
それを確認するとオレはカムドが教えてくれた技を使う。
「“気合い”」
そういうとオレは魔力を少し消費し、全身に力を溜める。
この技は一回だけ物理による攻撃を大幅に強化する一種のドーピングだ。“気合い”一回につき攻撃力強化は一度というのが難点だが、そこはオレのセンスで補う。
そして電撃の壁でオレの姿を見にくくなっているはずのトールに強力な一撃を喰らわせる。
“突撃”
「ムンッ!」
重い気勢とともにトールに体当たりをぶちかます。トールはハンマーでそれを受け止めるが大きくノックバックする。
「キサマは……強いッ!」
「そういいつつ、防ぎきってんじゃねぇよ……!」
言葉の応酬とともに再び攻撃の応酬が始まる。
しかしトールは知らない。オレが敗北をとことん忌むことを。それゆえに勝利に意地汚いことを。
オレは知っている。その意地汚い心が死神に恐怖させた力をオレに持たせると。
トールに以前から持っていた昏い感情が燃え上がった。
勇を………オレの親友を殴り飛ばし、殺そうとした罪。その命で償え!
オレはトールの目がオレに集中したのを見た。撃つのは単体魔法。最上位か。
瞬間、右に飛び、その魔法を避けるとにやりと笑い、手を振った。
【ヤクシニー戦の時、ヤクシニーの背後をハイピクシー奇襲した時のように】
トールはオレのその行動を見て嘲笑した。
「一度見た策。引っ掛からぬわッ!」
そういうとトールは体を猛然と回転させ、ハンマーを背後に振るった。
【そこには、誰もいないのに】
「ッ⁉」
トールの体が揺れた。謀られたと気づいたのだろう。これが虚構のコンビネーションだということも。
決闘という一対一を連想させる形を徹底的に使った戦法。真っ正面からそれを逆手に取ったのがヤクシニー戦。さらにその裏をかいたのが今。
決闘裁判時、控えている悪魔がその戦いを見るというのは予想していた。ヤクシニー戦の時に、すでに種は撒かれていたのだ。
オレが悪魔を召喚するとき、当然必要な身振りはある。手を振り上げることだ。
それを使ってヤクシニーを背後から奇襲させるために召喚させている素振りだと気づかせれば、絶対にそれを警戒することは分かっていた。
賭けではあった。しかし戦いに関しては賭けで負けたことはないね。
だって報復と敵の排除に関しては、死神を恐怖させるぐらいに才があるのだから!
「シャアァッ!」
オレは飛びあがり、奴の首めがけて生命力で作った刃を、ありったけの生命力を乗せて振るった。頑丈な奴の体にはこれぐらいしないと斬れないのは戦っていて分かる。
届くッ!
そう思っていた、が。
「ぬうんッ!」
なんとあの体勢からかわしてみせたのだ。さすがはマントラNo.2……
しかし避けきれるはずがない。奴の首からブシュと血が噴き出した。
しかし悪魔がそれくらいでくたばる訳がない。生命力を大幅に削いだオレに、もう手はなかった。
しかしただでは死なない。せめて相討ちに持っていこう。そう思った矢先だった。
トールがオレに制止をかけるように手をこちらに向けたのだ。
「これまでだ」
「え?」
まぬけな声をあげるとトールは感嘆と畏怖の目でオレを見た。
「…………私をここまで追いつめるとは、……見事だ。
それと同時に私はキサマに恐怖を抱く。キサマの目には、勝利に執着する心が窺えた。
どうやらキサマの奥底には、他の悪魔に無い何かが宿っているようだ
……これは、私を楽しませてくれた礼だ。受け取れ」
そういうとトールは血まみれの手でなにかを渡した。それはマガタマだった。名前はナルカミ。
それを受けとるとトールはいまだに鮮血が流れる首を動かし、上を示した。
「……ゴズテンノウに会え」
「へ?」
どういうことだ?罪人のオレを自分たち組織のトップに会わせようとするなんて。
「恐らくゴズテンノウはこの戦いを見て、キサマに会いたがっているだろう。
ゴズテンノウは、この本営ビルの最上階に在らせられるぞ。
キサマの力で世界が変わるかもしれん。よく覚えておけ。
おい、裁判官。被告人、夜藤 零時に無罪判決を下せ。私が認める」
「えっ!? 無罪?…はっ、ハイ!!」
一瞬、何を言っているのか理解出来ないというような素振りを見せたあと、裁判官の悪魔は戸惑いながら宣言した。
「……で、では、判決を下す……です。
トール様の命令……いや…被告夜藤 零時の力に免じ……
……ここに無罪放免を言い渡す!
……これにて裁判は閉廷、被告は釈放につきすみやかに退去せよ!」
そういうと闘技場の出入口が開き、オレは晴れて自由の身になった。
数分後、あのカボチャ悪魔に連れられて、マントラの本営の門に出た。
カボチャ悪魔はオレのことが気にくわないらしく、イライラしてた。
「チッ!
トール様に認められるなんて、運のいいヤツめ……
ホラよ。どこにでも自由に行きやがれ!」
「あぁあぁそうしますよ」
ぞんざいな態度でオレは去れとばかりに手を振るとカボチャ悪魔は怒り狂ったようでカタカタと頭を鳴らした。
そして去ろうとしたとき、思い出したようにオレに言った。
「……そうそう。
トール様が、オマエは顔パスだってよ。
マントラ軍の本営内を、自由にウロついていいんだとさ。
……気にいらねえ!」
そう吐き捨てるとカボチャ悪魔は本営に去っていった。
イケブクロ戻ると、オレは仲魔の強化に勤しんだ。さっきは狭い室内だからやりようはあったものの、あのトールとの戦いが広いところだった場合、あんな上手くは戦えない。
というわけで、強い仲魔を手にいれるのだ。それならば広いところでも勝てる。
まずは妖魔 カラステング。妖魔 コッパテングを変化させた悪魔で衝撃魔法・及び武術を得意とする。
次に鬼神 ゾウチョウテン。天部とあってなかなか強い。
女神 サラスヴァティ。こいつは補助役だ。回復魔法・補助魔法を得てとするように合体させた。
魔術 イヌガミは神獣 マカミに変化させたし、妖鬼 モムノフという悪魔も仲魔にした。
ハイピクシーも御魂という種族の悪魔と合体させて強くした。
そうやって自分も強化させると、オレはマントラの本営に向かった。ニヒロ機構を攻略する協力も取り付けないといけないし、トールにも会えと言われたし。
オレはイケブクロの街から本営に向かうため、本営前の広場に向かった。その時……
「ッ!」
物置き空間に異常が起きた。それは、メノラーが反応しているあの感覚だった。
仲魔達に警戒するよう呼び掛ける。魔人が近くにいる。
オレはいつ襲われても瞬時に覚れるよう、カムドのスキル“心眼”を最大限に発動させる。これは敵の気配を探る技である。精神的に疲れるが奇襲されるよりははるかにマシだ。
警戒しつつ、本営の門に近づく。その時、その魔人の居場所が分かった。
“心眼”により、さらに鋭くなったオレの感覚はその魔人の気配を上で捉えた。
カグツチの光に目を細めながらオレは上を向く。
悪魔になって視力がはるかに上昇したオレの視界に、赤いコートを着た銀髪の男が映った。
その男はなんと本営のビルの屋上からこっちに向かって落ちてきたのだ。
「ッ!」
オレはその男の放つ気配に目を見開いた。
トールよりも、マタドールよりも気配が強大なのだ。それはつまり、こいつはオレが出会った悪魔の中で最強の部類に入るということだ。
男はオレの目の前に、一切のショックを感じさせないでシュタッと着地した。
「会えて嬉しかったぜ、少年。お前もそうだろ!」
銀髪の男はオレに銃を向け、獰猛な笑みを浮かべた。
魔法に関しては独自設定です。(トールさん、魔法使うときは完全に上向きますし)
ゲストはダンテさんです。この人はカッコいいですよね!