真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中)   作:ブラック・レイン

16 / 61

今回、零時君には痛い目にあってもらいます。ゲスガオ

ダンテとの勝負はどうなるんでしょうねぇ(ゲスガオ)


狩人 頭首 死僧

 

謎の男との戦闘がいきなり始まった。

 

この男はオレが今まで戦ってきたどの悪魔とも違った。

 

気配にゾッとする訳じゃない。マタドールが氷のような気配だとするならこいつは山というべきか。ただただ圧倒されるのだ。

 

魔法の類いは道具のみだが、物理の攻撃は多彩。大剣・銃二丁による乱射乱撃が雨あられと降り注いだ。

 

仲魔達はその動きについていけず、ボロボロになっていく。オレも完全に避けきれず、かすり傷だらけになってしまった。

 

そんななかでもオレに恐怖はなかった。それどころか怒りも湧かなかった。

 

オレを支配したのは嫉妬だった。

 

獰猛な笑みを浮かべながら猛攻を仕掛けるそいつの動きは大胆かつ精密。隙がないのだ。

 

それでいて何よりも……【かっこ良かった】

 

しかも間違いなくこの男は手加減している。余裕しゃくしゃくといった態度でこちらを挑発するのだ。

 

その強さに憧れが生まれ、そして嫉妬した。

 

これじゃ勝てない。

 

これじゃ、負ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負ける?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マケル?

 

 

 

 

 

 

 

それが意味するのは。

 

 

 

 

 

 

 

死と失

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どす黒い感情がオレを埋めた。それこそオレの恐怖だった。

 

「絶対ニ負ケネェ。オレハ……負ケラレネェンダヨ!」

 

獣のような声とともにオレは加速した。男がピクリと眉を動かす。

 

接近してくるオレに、男は大剣を振り抜いた。

 

「ふんっ!」

 

オレは男の持つ剣と同じ大きさの剣を生成し、打ち合った。

 

剣戟の応酬が始まった。それは、マタドールと戦った時よりも速く、激しかった。

 

ギン!ガン!カアァァン!

 

刃と刃がぶつかる度、オレと男の動きは加速する。すでに仲魔達には追えなかったようで仲魔達はおろおろするばかりだ。

 

速く、もっと速く!たとえこの身がちぎれても良い。戦えなくなっても良い。

 

男を越えなければ、オレは負ける。

 

小細工が通じない次元にいるなら、正面から打ち破る!

 

「オオオオオアアアアアアアアアアアアアアア!」

 

獣のような声でオレは剣を思いっきり振った。

 

次の瞬間

 

オレは空を見ていた。

 

理由はひとつ。打ち合いに負けて吹き飛ばされたから。

 

「なぁ……⁉」

 

絶望に声をあげた。こんな隙、あの男が見逃すはずがない。

 

オレは死を覚悟して目をつぶるが、いつまで経っても攻撃がこない。

 

見ると男は剣を仕舞い、オレを見下ろしていたのだ。

 

「うっ!」

 

壁に衝突し、オレは肺から息を吐き出した。

 

男は余裕そうな態度でオレに口を開いた。

 

「悪くない。気に入ったぜ」

 

「はっ?」

 

予想もしてなかったその言葉にオレは目を見開く。いったいこの男は何をいっている?

 

「見た目は悪魔だが、完全に悪魔ってわけでもないらしい」

 

男のその言葉でオレは男の意図が分かった。

 

オレは試されていたのだ。見定めるために。

 

オレに昏い感情が沸き上がる。完全に嘗められている。これじゃ………これじゃ……

 

男の言葉は続いた。

 

「俺の名前は【ダンテ】。ちょっとした商売をやっている。デビルハンターってやつをな」

 

オレは内心で皮肉に笑った。この男……ダンテの気配は悪魔のそれが混ざっている。恐らく存在の何割かは悪魔だ。

 

後天性なのか先天性なのかは分からないが、そんな奴が悪魔を狩ることを専門にするとはね……

 

「ある老紳士の依頼でお前みたいなのを狩りに来たんだが……」

 

「何……?」

 

老紳士といえばオレは魔界のあの車椅子の老紳士を思い浮かべる。

 

いったい何を狙っている、あの老紳士は?オレにメノラー集めを依頼してオレを他の魔人といっしょくたにして討つようにデビルハンターに依頼した?

 

オレが疑問を心に浮かべると男は剣の切っ先をオレに向けた。

 

「……まぁ、良い。今の戦いはチャラだ。ジジイの魂胆が気になる。少し調べてみる必要がありそうだ。ま、事と次第によっちゃもう一度会うことになるだろう。それまでせいぜい生きてろよ?オマエを殺すのは……オレかもしれないだろ?」

 

「冗談……!」

 

歯を剥き出してそういうと男はバカにしたような笑みを浮かべながら悠々と去っていった。

 

「なによアイツ。気に入らないわね……しかし零時もすごいわね。あんな速さに着いていけるなんて」

 

「……着いていけてない」

 

ハイピクシーの言葉を否定し、オレは手を握りしめた。血が出るくらいに。

 

オレは内心で決意した。あいつを越えて見せる。さもなければ………また負ける。

 

それはなにがなんでも避ける………絶対に。

 

今はとりあえずニヒロだ。そのためにマントラを動かす。

 

オレは痛む体を引きずって本営に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マントラ本営の地下に牢がある。そこにいる勇の方にオレはまず向かった。

 

勇はすぐに見つかった。人間の気配なんてすぐに見つけられる。

 

勇はオレの姿を認めると思いっきり立ち上がった。

 

「零時!来てくれたか…痛たた……!

 

「おぉ、無理すんな。上位悪魔に殴られてよく生きていられたな、マジで」

 

「頑丈なのは取り柄でね…クソぉ、アクマのやつらいつまで閉じ込めとくつもりだよ…」

 

悔しそうにいう勇にかける声が分からず、オレは勇を心配そうにみた。

 

「聞いたよ、おまえ決闘裁判で勝って、自由の身だってな」

 

「おぅ、そうだ。もっと誉めろ」

 

少し無理をしてふざけると勇は苦笑し、そしてハッとオレに捲し立てた。

 

「そうだ!それより、祐子先生だよ!」

 

「おぉ⁉落ち着け傷に響くぞ⁉」

 

オレは慌てるが勇は聞く耳もたずだった。

 

「オレ聞いたんだよ!

ニヒロ機構に巫女がいるって聞いたことあるだろ!あれ、祐子先生なんだ!

 

「あぁ、知ってる」

 

他ならぬ本人が巫女を名乗ったのをオレは聞いている。

 

「しかも、じっとしてる場合じゃねぇんだ!

マントラのヤツラ、もうすぐニヒロ機構に攻め入るらしいんだよ!」

 

「何⁉マジの話かそれ⁉」

 

いつの間にそこまで話が進んでいたのだろう。これは聞き捨てならない。

 

「先生捕まったら……殺られちゃうよ!

頼むよ、零時!マントラがニヒロを攻めたら、先生を助け出してくれ!

今のオマエの力なら、出来ない話じゃないだろ?

オレにはできないから……頼むよ、零時!」

 

ほとんどすがるようにいう勇にオレはうなずいた。

 

「分かった。なんとかしてみせる」

 

オレは牢を出た。まずはゴズテンノウに面会しよう。ニヒロ攻めの内容を聞き出すんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マントラの本営の屋上。魔獣 バイブ・カハというカラスのような悪魔を虐殺していきながらオレは進んだ。

 

階段を登った先にある扉をくぐるとオレは耳が痛くなる感覚が走った。強大な悪魔がいる証拠だ。

 

扉をくぐり抜けたさきにある扉を通ると、そこには見上げるほどの巨像があった。しかし悪魔の姿が見当たらない。これほどの悪魔なら目立つはずだが。

 

その時、巨像の前にいるマネカタの姿に気づいた。

 

それは巨像の前でなにやら呪文のような言葉を呟き始めた。

 

「おおおお…

 

天地に き揺らすかは

 

さゆらかす

 

神わがも

 

神こそは きねきこう

 

き揺らならば……」

 

そのとたん、巨像から力の波動を感じた。まさかこの巨像が……ゴズテンノウ⁉

 

巨像はビリビリと大気を震わせる声を轟かせた。

 

「よく来た、夜藤 零時。大いに歓迎しようぞ。

我はゴズテンノウ。マントラ軍の長として、悪魔らを導いておる」

 

オレはその威圧感を感じて、なぜトールがマントラNo.2なのか分かった。

 

格が違いすぎる。これでは悪魔の大群がいてもこいつ単体で蹴散らせるだろう。

 

ゴズテンノウはその重々しい声でオレを称賛した。

 

「しかし、その方の戦い見事であった。

新たな猛き悪魔の出現……誠に喜ばしい。

まずは褒美じゃ。遠慮なく受け取れい」

 

そういうとゴズテンノウはオレに大量のマガツヒを注いだ。

 

オレの力がぐんと上昇するのが感じた。

 

オレはそれに驚き、ゴズテンノウを見上げた。

 

ゴズテンノウは大気を震わせながら哄笑した。

 

「ハッハッハ!その身に精がみなぎったであろう。これが我の力ぞ。

今後とも我に尽くせば更なる力を授けようぞ……

どうじゃ? これから我がマントラに仕えること依存あるまい?」

 

ゴズテンノウはオレに問うた。なるほど、押し売りのようだ。

 

だが、仕えるのは嫌だ。誰かの下にいるのはもうウンザリだ。

 

「断る。オレはここにはあなたに協力をお願いするために来たんだ。ニヒロを潰すのであれば手を貸すが、仕えるのはオレの意に反する」

 

「ちょ、零時⁉」

 

ストックのハイピクシーが慌てるがゴズテンノウは面白そうな笑った。

 

「フハ…フハハハ……フハハハハハハ!!

…なるほど、その方は誰かの下に着くのを嫌う性をもっているのか。

まあいい。その屈強なる心、悪魔なれば頼もしい限り。

我に仕えずとも、良い働きをしてくれるだろうて。

……だが、逆らうような真似はするなよ。その時には…わかっておるな……」

 

勇を人質に取っていることを暗に示したゴズテンノウにオレは顔をしかめた。

 

こいつも……いつかは……殺す!

 

そう決意するとゴズテンノウは本題に入った。

 

「さて、話そう。我らマントラの敵なるはニヒロ機構……それは知っておろう。

ヤツら、世界に静寂をもたらすなどと企みて、我らを脅かしておる。

もうこれ以上、ヤツらの振る舞いを見過ごしてはおれぬ!」

 

ゴズテンノウの怒りの声に大気どころか建物そのものが揺れた。

 

「我は断を降した。

我がマントラ軍は、ニヒロ機構に攻め入る!そして奴らを滅ぼす!

配下の悪魔らには、ギンザにあるヤツらの本部に攻め入るようすでに命じておる。

おまえも悪魔ならば、ギンザに行けい。この世界を脅かす者どもを成敗するのだ!

我はゴズテンノウ。悪魔を、混沌の国を導く者なり……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴズテンノウの部屋を出るとふと目に入ったものがある。

 

屋上には一切柵はない。本当に吹き抜けなのだ。

 

そしてそこはダンテが下に向かって落ちたと思われる場所だった。

 

下を向いてみると地面ははるか下。ダンテはどうやってノーダメージで落ちたのか。

 

……真似れば、オレも出来る?

 

そう悩んでいるとハイピクシーが勝手に出てきた。

 

「なにうじうじしてるのよ?あの男みたいにここから落ちるんでしょ?やってみなさいよ、男でしょ」

 

「いや、さすがに難しいって「ドーン!」へっ⁉」

 

オレが首を振って落ちるのをやめようとするとハイピクシーがオレを突き飛ばした。

 

オレは空中に投げ出された。

 

「オオオオオアアアア⁉」

 

オレは悲鳴をあげながら落ちていった。

 

オレはそのスピードに目を眩ましながら、ダンテと同じ体制をとる。

 

そして地面が近づいたところで思いっきり足を下にする!

 

結果は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、ハイピクシー。オレお前を殺していい?殺していい?ねぇ」

 

「わ、悪かったわよ!謝るから私を握りしめるのやめてぇ‼」

 

着地は失敗した。上手く着地したつもりなのに足の骨が砕けたのだ。悪魔じゃなかったらミンチだった。

 

………まぁ、もう一度やれば出来ると思うが……とりあえずこのチビを〆ないと気がすまない。

 

 

 

オレがハイピクシーの頭にゲンコツを喰らわす。するとその時。

 

異常が起こった。

 

空気が冷えた。空気に強大な力が満ちた。

 

それはギンザ大地下道でマタドールに会ったときにも感じた。死の気配。

 

今、この魔人にニヒロ攻めの邪魔をさせるわけにはいかない。

 

「ハイピクシー」

 

「えぇ。分かってるわ」

 

涙目でキリッというハイピクシーは滑稽だったが、笑うのを我慢し、オレ達はその力の根源となっている場所まで走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イケブクロの西。そこに行くとオレ達はマタドールが使ったシミのようなものに呑み込まれた。

 

落ちた先はそこもマタドール同様、雷が落ちる荒野だった。

 

それを確認すると背後から声が聞こえた。

 

「暗黒の力に魅入られた魔人とは汝のことか?」

 

「ッ!」

 

オレとハイピクシーが後ろを向くとそこに魔人がいた。

 

それは仏教の高僧の姿をしていた。しかしその顔に肉はなく、マタドールと同じく骸骨だった。

 

それを確認すると魔人の姿が消え、再び背後から声が聞こえた。

 

「人はいつか死に、世界はいずれ滅ぶ。しかるに汝はそれに逆らおうとしている」

 

「くっ…!」

 

「なっ…!」

 

オレとハイピクシーは距離をとり、骸骨僧侶をにらんだ。

 

骸骨は諭すようにオレにいった。

 

「迷いたもうな、人修羅殿よ。汝の死への抗いは迷いに過ぎぬ。いくら汝がメノラーを手にしたところで汝の迷いの暗黒は晴れはせぬ

一切衆生の迷いを解くのが我が務め。汝の身、我に任せるがよい。

 

受け取られい……我が死の救いを!」

 

そういうと魔人は………魔人 だいそうじょうは鈴を鳴らした。

 

それは小気味良い音を響かせ、オレの耳に届くが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは怒り狂っており、まともに耳に入らなかった。

 

なんだ、こいつの言い様は。オレがしていることを無駄の様に言いやがった。

 

メノラー集めは……生きるために泥を這いつくばる思いで生きようとする行動の一つだ。それを無駄のように評するか。魔人。

 

しかも、こともあろうに死が救いとほざき、オレを殺そうとしている。

 

侮辱だ。ここまで血にまみれ、傷にまみれ、辛くも勝利を握り続けて生き残ってきたオレへの侮辱だ。

 

メノラーになんの価値があるのかは知らないが、だいそうじょう。お前はオレの敵になった。

 

「死ね」

 

魔力をたぎらせ、力をこめ、オレはだいそうじょうに言いはなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぞましき……生への……否……勝利への執着よ……のぅ」

 

戦いはあっという間だった。こいつはダンテと比べて弱すぎたのだ。

 

即死攻撃、精神攻撃のラッシュを喰らったが。当たらなければどうってことはない。こいつはあまりにも遅すぎるし、勝とうとする気がお粗末すぎる。

 

結果仲魔達の多段攻撃に翻弄され、その隙に殴り飛すなり斬り込むなりして軽く勝てたのだ。

 

しょせん死を………すべてを捨て去る行為を救いと評した空っぽの奴だったということだ。

 

オレはだいそうじょうが落とした【永遠のメノラー】を拾い上げ、だいそうじょうの遺骸を踏み潰した。

 

マガツヒがオレを憐れむかのようにオレを包んだ。

 

 

 

 

 

 

 





零時君の性格が、ある程度理解出来てきたかと思います。

感想、質問、お待ちしております。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。