真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中) 作:ブラック・レイン
サブタイトルでネタバレになっている。
アマラ深界から抜けるとオレはギンザへ向かった。
ギンザのターミナルにはフトミミの予言の通り、ヒジリ記者がいた。
「…おお、零時じゃないか。無事だったようだな。…それにしても、よく俺がここにいるって分かったな」
「とある予言者が教えてくれてね」
「……予言者、ねぇ。まぁこの世界には何がいてもおかしくはねぇが」
ふぅと息をつくヒジリ。
「しかし、氷川は恐ろしいヤツだな。本当にマントラ軍を滅ぼしちまいやがった。ナイトメア・システムか……えらい仕掛けを隠してたもんだ」
「組織を1発、だもんなぁ」
ナイトメア・システム。悪魔相手なら無敵のシステム。これが氷川の手にあるかぎり、敵の悪魔集団なんぞ一撃だろう。
このままでは氷川の思い通りになってしまう。そうはさせるか。
「だが、俺はあきらめちゃいねぇよ。ヤツが動けば、それだけ分かることもある。
ナイトメア・システムの拠点はどこか、システムを動かしているらしい巫女とは何者か……」
システムを動かす巫女は誰か分かる。氷川自身がそれを言い漏らしたのだから。
だが問題のナイトメア・システムの拠点が分からない。
「ターミナルで分からないのか?」
ニヒロ機構の本部、および中枢区の場所をヒジリはターミナルで知ることができた。それを使って探せないのかと思ったのだが、
「無理だ。如何せん、このターミナルはニヒロの支配下にあってな。肝心なところで調べがつかんよ」
「……そううまくは行かないってわけか」
オレがそういうとヒジリはため息をつく。
「どうにも、やつらの監視がゆるいターミナルを見つける必要がある……」
そういうとヒジリは何かを思い出したような素振りをみせた。
「そういえば今まで錆びれてたアサクサの街が、マントラ崩壊で解放されたマネカタの手で復興されてるらしい」
「へぇ」
フトミミがアサクサを拠点にしたのか。これは見にいってみたいものだ。
だが今の問題はそこではない。内心で頭をふる。
「そこなら、ニヒロ支配の甘いターミナルがあるんじゃないかと思うんだ」
「なるほど、可能性はあるか」
アサクサが受胎後、錆びれていたのならニヒロ機構にしても放置している土地ということだ。確かにそこならニヒロ機構も重要なセキュリティは構築していないだろう。
もっとも、ターミナルがあればうまくいくという話だが。
だが別の問題もある。
「で?どうやってアサクサまで行く?」
ターミナル間の移動は一度たどり着いたターミナル同士でないとアマラ経絡に落ちる可能性がある。そうでなくてもアサクサにターミナルがあるかどうかも分からないのだ。
オレの問いに、ヒジリは肩をすくめた。
さて、マネカタどもはマントラ崩壊で、アサクサへの道も通ったらしいが、そんなとこ歩いて行くなんて、危険すぎて俺には無理だね。ここのターミナルからアタックしてはみるが……」
あ、嫌なパターンだこれ。
予感の通り、ヒジリはオレを注視した。
「…そうか、おまえがいたなぁ」
デスヨネー、知ってた。
「どうだ?おまえアサクサに行く気はないか?
もし、おまえがアサクサに着いて、連絡をくれれば、俺もアサクサに行ける。
おまえの力なら、アサクサまで行けるだろうし……いいだろ?」
期待、というかもうそれしか眼中にない目でオレを見るヒジリ。
オレはため息をつく。たまには命賭けない仕事がしたい。この世界に安全な場所があればな。
「分かったよ。行くしかねぇんだろう、オレが」
そう答えるとヒジリは満足そうに笑った。
「良かった。これでなんとかなりそうだ。まあ、ニヒロでも、巫女でも、アサクサで分かったことは教えるから持ちつ持たれつでいこうぜ」
「調子いいな。全く……」
こっちは友人が歪む姿を見たのに、とは言わない。ヒジリだって大切な人間の10人はいただろう。その人達を亡くしているのだから。
暗い気分のなかでヒジリは今後の予定をまとめた。
「よし、おまえのアサクサ到着待ち、ってことでいいな。東イケブクロにアサクサへ通じる坑道の入り口があるらしいから、そのへんを当たってみてくれ。
俺も努力は続けるが、おまえのほうが期待が持てそうだ。よろしく頼むぜ」
「了解」
そういうとオレはターミナルの部屋から出ていった。
東イケブクロにある坑道、といういうのは東イケブクロにある地下鉄であった。
イケブクロ坑道と呼ばれているそこにたどり着くとまず悩んだのが暗闇。
【光玉】というジャンクショップに売っているアイテムが必須になる。
それでも薄暗い坑道内は常に悪魔の奇襲の危険がある。こんなときの【心眼】だ。
心眼を使わずとも、オレは見られているという感覚が鋭い。が、これがあると安心感が増す。なんでだろうか。
坑道内の悪魔は脳筋が多い。地霊 サルタヒコ。妖獣 モスマンの攻撃力の高さには少し悩んだ。
狭い坑道内だと派手に動けないし、派手な攻撃が出来ないからだ。
おまけに変な鬼の四人組に襲われるし、最悪だった。ムラクモというマガタマが手に入ったからまぁ、それは良しとするが。
イケブクロ坑道を抜けるとそこはかなり変貌した土地があった。
アサクサのある風景の奥にある変な建物を中心にクレーターがあって、土地が陥没していたのだ。これは復興どころか移動も大変だろう。本当にマネカタはここの土地を選んだのかねぇ。
とりあえず、アサクサのターミナルに行きますか。
どうしてこうなった。オレは問いたい。
アサクサに入ってすぐにメノラーが火を灯したと思ったらいきなり引き込まれた。待ち伏せかい。
そして見飽きた荒野。燃える空。
いつもと違うのは、魔人の出現のみだった。
空から馬の嘶く声がしたと思ったら白馬が空中から落ちてきたのだ。
そして着地した白馬に乗っていたのは、第三カルパ入り口に現れた四騎士の一人である、白騎士。
白騎士は再び空へ駆けるとオレに向き直った。
「ハハッ!また会えたな零時!」
なかなか快活な声をあげる魔人。今までなかったことだが、魔人特有の死を連想させるあの雰囲気は変わらない。
「全てはメノラーの導き……その光は唯一人の主を求め、引き合い、燃え上がり、我らを巡り合わせる!」
「オマエが全ての魔人を倒し、メノラーを手にするならばそれも良し!それが出来ぬのならば……」
白騎士は手にもつ弓矢を掲げた。
「このホワイトライダーの神矢に射ぬかれるまでよ!さぁ、来い!臆病風の守りなど許さぬ!」
「元よりただの臆病でここまで生きてねぇっつうの‼」
オレは魔力をたぎらせ、ホワイトライダーに向かっていった。
ホワイトライダーとの戦いはいくつかある魔人戦の中でも苦戦した。
黙示録の四騎士はそれぞれ人類を滅ぼす属性を司るといわれている。
白騎士……ホワイトライダーの司るのは【勝利の上の勝利】。つまり【支配】だ。
そのためか白騎士には他の騎士にはない王冠を被っている。
そのためかホワイトライダーは勝つための手段が多数存在した。
たとえば“死天召喚”。このスキルは天使 ヴァーチャーという悪魔を召喚できる。おまけに何度でも。
天使という種族は、基本補助と攻撃両方出来るので厄介だった。衝撃に弱いため“竜巻”で蹴散らしてはいたが、“竜巻”とて何回でも使えるわけじゃない。魔力とそれを回復するアイテムが切れたらアウトである。
もう1つ厄介なのは“ゴッドアロー”成功率100%の即死技である。
破魔に耐性があるか、または避けなければ即アウト、というわけだ。
おまけに無限に矢があるときた。ホワイトライダーも弓が上手い。弓道部とか流鏑馬とかやるなら大活躍だ。
……まぁ相手誉めたってしょうがない。こちらも切り札はある。
話が変わるがオレが第二カルパで拾った【死兆石】を覚えているだろうか?
あれを邪教の館の主に聞いたところ、なんと魔人を悪魔合体で創れるようになるアイテムらしい。
それで過去に倒した魔人を創ってみた。それがこいつだ。
「喝ッ!」
気合いの声とともに骸骨の僧侶はホワイトライダーの矢を吹き飛ばした。
魔人 だいそうじょう。かつてイケブクロでオレと仲魔達に倒された魔人だった。
気に入らないやつだったが話を聞いてみると奴も悲しい存在だった。
だいそうじょうも、魔人になる前は人であった。人であるだいそうじょうは昔、各地を周り人々を救うために仏教を説いてきた。
しかしどんなに教えを説いたところで人は無情に、無惨に死んでゆく。病気で、殺人で、災害で。
その内だいそうじょうは生に絶望した。
その後、死こそ救いと信じ、死に染まった存在【魔人】に堕ちたということだ。
オレはその絶望を聞き、その上で説いた。
死に意味などない。死は終わりなのだ。終わってしまったことに救いなんてないと。
その後、オレはこう懇願した。
その死の力、オレに貸してくれ。オレの敵を殺し、オレを救ってくれと。
だいそうじょうは笑った。生に執着するその姿勢を愚かとも言った。
だが何を思ったのかだいそうじょうはオレの頼みを聞いた。合体によって造り出された契約なのかなんなのかは知らないが。
だが魔人とあってだいそうじょうは強い。即死攻撃・バッドステータス攻撃を無効化する耐性はチートだった。
補助の魔法も充実しており、彼は活躍した。
その活躍もあってホワイトライダーは倒された。
オレはメノラー、【慈悲のメノラー】を拾い上げ、結界から抜け出した。
アサクサでのホワイトライダー戦は驚きでした。
あきらかな奇襲ですよね、あれ。