真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中)   作:ブラック・レイン

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まずいぞ……話のストックが尽きた……!


アラディア

 

「“地獄の業火”!」

 

「“マカラカーン”!」

 

「”マハジオンガ”!」

 

「“マハザンマ”!」

 

「“マリンカリン”!」

 

「“常世の祈り”!」

 

魔法の応酬がぶつかり、その光が今いる階層を鮮やかに染める。

 

双方放たれた魔法を跳ね返すか相殺し、食らえば回復を繰り返す、を繰り返しているのだ。

 

あの三姉妹の連携は厄介の一言にに尽きる。クロトが回復し、ラケシスが補助魔法を使いまくり、アトロポスが攻撃魔法を唱えまくる。

 

この連係を崩さなければ勝てない、というわけだ。

 

アトロポスの猛攻は当たらなければどうってことはない。鋏をむける方向、振り方でどのように魔法を飛ばすか予想はつく。

 

なら、狙うは……回復を行うクロト、あるいは補助のラケシス!

 

オレはアトロポスの魔法の波をしのぎきると、突進した。

 

「“テトラカーン”!」

 

それを見たラケシスがその魔法を唱え、自分達の周囲にとあるシールドを張った。

 

それを見て、オレは後退を余儀なくされた。

 

かつてオセも使った魔法“テトラカーン”。効果時間が短く、また一度しか効果が無いという欠点があるが、効果がある間は物理の攻撃を反射させてしまうという厄介な魔法である。

 

オレの得意分野が接近しての物理だと知っていてのことだろう。なんとも腹が立つ。

 

かといって魔法を唱えればもう一つの反射魔法“マカラカーン”で今度は魔法を反射させてしまうのだ。

 

厄介なことに攻撃しか跳ね返さないのであちら側の補助魔法は普通に通用してしまうのだ。

 

今でもオレの接近を警戒して“テトラカーン”を張ったあと、そのあと降り注ぐ魔法攻撃を防ぐために“マカラカーン”を唱えられてしまうのだ。

 

しかもカーン系のこの魔法は強制的に解除が出来ない。

 

もちろんカーン系の魔法は連続で使用はできない。が、その隙をアトロポスの魔法攻撃の雨で埋めてしまうのだ。

 

たまに防御を掻い潜って攻撃が当たったとしても致命傷には程遠い。たちまちクロトが回復してしまう。

 

………まぁ、そのループを解く策はついているがな。

 

オレは仲魔達に合図し、自身に“気合い”を掛けつつ再び降り注ぐアトロポスの魔法攻撃の波を凌ぎ、オレはもう一度クロトに突進する。

 

またそれかとばかりに三姉妹が呆れ、あるいは嘲る。そして唱えた。

 

「“テトラカーン”」

 

ラケシスが唱え、蒼白い光が三姉妹を包み込む。これでオレの攻撃は届かない、

 

「と思っていたのか?」

 

オレはニタリと笑い、両手の掌に炎を灯した。

 

そしてクロトにむけて、それを突きだした。

 

“マグマ・アクシス”

 

瞬間。

 

ドォーン‼

 

「カッ……⁉」

 

クロトの腹に叩きつけられた炎の掌底はクロトの腹を粉々にした。

 

「お姉様⁉」

 

「クロトお姉ちゃん⁉」

 

爆炎とともに吹き飛ぶ姉に驚愕する妹二人、オレはそれに魔法を唱える。

 

「“竜巻”」

 

ゴオォォオ!という音とともに暴風が二人を襲う。

 

「キャアア⁉」

 

「うわわ⁉」

 

吹き飛ばされた二人。そこに仲魔達が追撃する。

 

なぜ、“マグマ・アクシス”が当たったかこの世界の属性を知っているのならある程度想像はつくだろう。

 

アサクサで買った【ゲヘナ】というマガタマ。それがオレに授けた技、“マグマ・アクシス”

 

生命力を消費するため、物理に間違えられるがこの技の属性は火炎である。

 

つまりは魔法攻撃に位置する技なのだ。

 

魔法攻撃であるなら“テトラカーン”では防げない。オレがバカみたいに同じことをやっていたのはオレが行う接近しての攻撃が物理しかないと三姉妹に思わせるため。

 

策は当たり、クロトは真っ二つだ。そしてそれが回復する前に残りの二人を潰す!

 

「くっ!」

 

ラケシスが片膝立ちの姿勢から立ちあがり、殴りかかるが遅い。あれぐらいならオセの双剣のほうがよっぽど脅威だ。

 

飛んでそれを避けるとそのままラケシスに右掌打を喰らわせ、そのまま床に叩きつける。

 

「グハッ⁉」

 

衝撃で目を見開くが、驚くのはまだ早い。

 

オレはそのままラケシスの頭に膝を落とした。

 

グシャという音とともにラケシスの頭が粉砕される。

 

「ラケ……シス……!くっ!」

 

クロトがそれを見て魔力を込め始めた。命と引き換えに蘇生魔法でも使うつもりか。

 

「死にかけが余計なことをしてんじゃねぇよ」

 

オレは生命力でナイフを生成、クロトに向けて投げた。

 

そのナイフは的確にクロトの額に突き刺さった

 

「ヒギッ……!」

 

悲鳴を挙げ、クロトはそのまま絶命した。

 

「ストラーイク。バッターアウトってね」

 

それにむけてセリフを吐くと、オレはアトロポスの方を向いた。

 

アトロポスは仲魔達、主にクイーンメイブの猛攻に苦戦していた。

 

そしてそれが決まった。

 

「“ジオダイン”!」

 

単体上級電撃魔法“ジオダイン”がアトロポスに直撃し、先のクロトのように真っ二つになった。

 

「カフゥ⁉」

 

肺の中身を全て吐き出しそうな声とともにこちらに吹き飛んだ。

 

アトロポスは息も絶え絶えにこちらを向いた。

 

「たずげで……じにだくない……じにだくないよぉ…」

 

オレは前屈みになり、視点を下げた。

 

「死にたくない?お前、それだけ強いってことはかなりの悪魔殺してきたんだろ?その中には命乞いしてきた奴もいたろう。お前それを助けたことあるか?」

 

「ある……あるがらぁ……たずげでぇ……!」!

 

嘘だ。恐怖にまみれた目が動揺でウロウロしてる。

 

ま、例え助けていたとしてもニヒロ機構に属している以上、オレの敵なんだけどね。

 

それに悪魔の命乞いというのは助けるとロクな目に合わない。前に命乞いしてきた悪魔を助けたら、そいつに背後から襲われた。

 

敵はやはり徹底的にやるに限る。

 

オレは指をアトロポスにむけ、それを下に指した。

 

仲魔に行う合図。意味は『こいつを殺れ』

 

クイーンメイブがこくりと頷くともう一度“ジオダイン”を落とした。

 

「ギャアアアアアアアアアア‼」

 

絶叫とともにアトロポスはマガツヒになって消滅した。

 

「ふぅ、やれやれ。疲れたぁ」

 

オレは息を吐いた。長期戦をやるといつもこうなる。

 

長期戦で重要になるのはいつも策略。きっかけを作り、それを活かしたもの勝ちだ。

 

故に体力も精神もガリガリ削られる。疲れる疲れる。

 

チャクラドロップで失った魔力を回復させるとふと落ちているマガタマに目が向いた。

 

オレのじゃない。つまりあの三姉妹が落としたものか。

 

オレはマガタマ……【ジェド】を拾い上げ、エレベーターに向かった。

 

カグツチの光が見える。きっと最上階だろう。

 

オレは期待に胸を膨らませ、エレベーターに乗った。

 

祐子先生。やっと会えますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐子先生はエレベーターを昇ってすぐに見つけた。

 

マガツヒを集めている装置。その上に逆さで浮かされていたのだ。

 

意識がないのか。近くによっても目を瞑ったままだ。

 

オレは祐子先生を抱き抱え、その装置から外した。

 

瞬間、先生を支える力が失われるが先生の体重くらい、今なら片手でも持てる。

 

その次に装置が機能を停止した。マガツヒを溜め込んでいた活動が止まり、沈黙した。

 

オレはそれを見届けると先生を物言わなくなった装置に寄りかからせた。

 

すると、

 

「零時……君?」

 

先生が目を覚ました。

 

「先生。大丈夫ですか⁉」

 

飛び付くように聞くと先生は弱々しく微笑んだ。

 

「えぇ、大丈夫」

 

そしてふっとそれを消した。

 

「何故でしょうね。あなたが助けてくれる気がしたの。おかしいわよね……私、君が困ったときには助けてあげる、なんて言ってたのに」

 

「……………」

 

オレはその言葉に怒りが湧いた。創世のための受胎に協力しておいて、そのザマか。どす黒い感情が現れるが我慢する。今は先生が重要なのだから。

 

「……私にはなんの力もないわ。世界をどうこうする前に、自分のことすらままならない。そう、氷川に使われるだけの巫女よ。『次の世界の中心になっていただく』とか言われて」

 

嘆きたい気持ちは分かる。分かるが、違う。

 

「嘆きの言葉は要りません。今は、言葉でどうにかなる状況じゃないんです。勇も千晶も、オレがただ励ましているだけだったからこの世界で歪んでしまったんだ!」

 

オレは肩を掴み、先生の目を凝視した。

 

「その様子じゃ氷川の思い描く世界はあなたの理想の世界じゃないんでしょう⁉ならば考えてください!世界を戻す方法を‼あの平穏に戻る手段を!」

 

オレは今まで溜め込んでいた気持ちを全て先生にぶつけた。

 

先生は不思議な光を讃えた瞳でオレを見据えるとふと目をそらした。

 

「私ね。前の世界が好きじゃなかったの。安らぎばかり求めるみんなの姿が嫌で嫌で仕方なかった。みんな気づいてないのよ。それは幸福ではなく、怠惰だと。

競い合うとか、強くなるとか、みんな求めてなかったし、必要しなくなっていた。だから私、思ったの。『このままじゃ私たちは力を失って、いつか消えてしまうんだ』って。そんなんだから氷川に利用されたんでしょうね」

 

語られた先生が受胎を起こした動機。

 

オレは口をつぐんでしまった。

 

先生が言うように、オレは、オレたちはそんなに怠惰に生きてきたのか?先生にはオレたちがそんなに、そんなに虚しく見えたのか。

 

先生がでもね、と言葉を続け、立ち上がった。

 

「全てが終わったわけじゃない。創世はまだ途中、次の形が決められたわけじゃない。私ね、ここで新しい神を見つけたのよ」

 

「神?」

 

問うと先生は頷いた。

 

「そう。それは氷川も知らない、ここのマガツヒの力によって呼び出された神よ」

 

正直、オレは疑いの気持ちしか湧かなかった。祈る神も敵ばかりだったオレに、神は信用ならない存在になってしまっていたのだ。

 

「その神が私に、きっと創世のためのコトワリを授けてくれる……」

 

先生が空を見上げ、祈るようにそのままになった。そして…

 

先生の纏う雰囲気が変貌した。

 

そして突如ギュルンと人にはありえない動きでこちらに向いた祐子先生。

 

その顔にはあるべきパーツがなく、代わりに不気味な青いなにかが張り付いていた。

 

あれは祐子先生じゃない。それに取り憑いたなにかだ!

 

「……自由という名の愚か者よ。お前はその光の下、すべての許しを得るだろう」

 

祐子先生の声。しかしそれはエコーがかかったように耳障りになっていた。

 

「我が名はアラディア。アマラの果てより来た。自由をもたらすのが我が使命、いかなるものをも解き放とうぞ」

 

その言葉に理解はできない。理解できるのはアラディアというのが自由の神というだけだ。

 

だが自由という曖昧なものの神なんざ想像ができない。この神が、オレ達を救ってくれる神なのか。

 

「自らを由とすれば世界に光が戻るだろう。同時に闇も戻る。

 

男よ!創世へ向かえ!

 

 

汝もまた一つの世界なり。

 

 

従うな。自らを由とせよ」

 

その言葉とともにアラディアはオレに大量の力を注いだ。

 

体に満ちる力。その量に驚くオレ。しかしアラディアの言葉は続く。

 

「今は力を失いしこの女もやがては力を取り戻そう。さすれば創世への道へ踏み出そう。我はそれを導かん。男よ、世界を巡り見よ?汝の創世はそこより始まろう……」

 

その言葉を最後に、あやしいもやがアラディアを覆い、

 

アラディアは、祐子先生は消えてしまった。

 

「なっ⁉」

 

せっかく手にした手がかりが一瞬で消えてしまったことに驚くが、いきなり背後からした気配に振り向く。

 

そこにはあの喪服の老婆と子供がいた。

 

老婆はアラディアのいたところを見ると言いはなった。

 

「おやおや、アラディアなんぞが入り込みましたか。これは厄介なことになるでしょうねぇ、坊ちゃま」

 

老婆の問いかけに子供はヒソヒソと老婆に言った。

 

「………感謝なさいませ。坊ちゃまは出来の悪いあなたに知恵を授けることをお許しになりました。心してお聞きなさい。

 

ボルテクス界はいよいよ創世へと向かっております。……そう。コトワリを啓き、次の世界を創ろうとする者達の真の戦いが始まるのです。その中で、コトワリを啓くことが許されぬ悪魔の身であるあなたが、他のコトワリを啓くか、潰すか、はたまた潰されるか……

 

どのコトワリに傾こうともそれはあなたの自由です。どうぞお好きに。ですが坊ちゃまを失望させるつまらない最期などを見せぬよう、頼みましたよ……」

 

そういうと老婆と子供はなんの前触れもなしにいなくなった。

 

そして残されたオレは、新たに手にいれた情報を深く噛み締めながら、オベリスクを去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





感想・質問マジでください……寂しくて死んでしまいます。

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